インテントデータとは|BtoBでの取得の仕組みと活用方法、ツールを選ぶ前の確認事項と法的な注意

インテントデータのツールの画面に「A社:会計システムへの関心が上昇」と表示されても、分かるのはA社の回線から会計システムに関する記事の閲覧が増えたという推定までです。調べていたのが経理部長なのか、情報システム部の若手なのか、転職を考えている社員なのかは表示されません。営業がA社の代表番号に電話して「会計システムをご検討ですよね」と切り出しても、受付で話が止まります。

インテントデータの価値は、当たる会社を新しく見つけることより、すでに決めてある対象リストの中で、どの会社から連絡するかの順番を変えることにあります。インテントデータは「狙う会社を決めるデータ」ではなく「狙う会社の中で当たる順番を決めるデータ」として使うと、効果を商談の数で確かめられます。そのためには、データがどこから集められ、どうやって会社名に結び付けられているかを知り、個人に結び付けて使う場合の法的な確認も契約前に済ませておく必要があります。

ABMの対象リストやインサイドセールスの架電リストがすでにあり、インテントデータのツールの提案を受けて導入を検討しているなら、契約するかどうかは、対象にしたい会社の数と営業が実際に当たれる会社の数の差、そして自社のCRMの会社データとツールの企業データを突き合わせられるかが分かれ目です。営業が対象の会社すべてに当たれている場合など、インテントデータを使わずに済む条件もあります。

目次

インテントデータとは、閲覧や検索の行動から企業の検討の動きを推定したデータ

インテントデータとは、Webページの閲覧や検索などの行動から、ある企業が特定の製品カテゴリーや課題をどの程度調べているかを推定したデータのことです。BtoBでは個人ではなく企業単位にまとめて使い、自社で集めるファーストパーティのデータと、外部の提供会社から得るサードパーティのデータに分かれます。

業種・従業員数・売上高のような属性データは「条件に合う会社かどうか」を示し、インテントデータは「その会社がいま調べているかどうか」を示そうとします。属性データで対象を決め、インテントデータで時期を見るという組み合わせで使うのが基本の形です。狙う会社の条件がまだ決まっていない段階では、インテントデータを入れても何を基準に並べ替えるかが定まりません。対象の条件は理想顧客プロファイル(ICP)の決め方に沿って、受注した顧客の共通点から先に決めます。

ファーストパーティとサードパーティの違い

ファーストパーティのインテントデータは、自社サイトの閲覧、自社メールのクリック、自社ウェビナーの参加など、自社との接点で起きた行動です。サードパーティのインテントデータは、提供会社が提携するメディアや外部のサイトで起きた閲覧の傾向を、企業単位に集計したものです。提携先の会員データを直接受け取る形をセカンドパーティと呼んで分ける説明もあります。

区分何の行動か見えてくる検討の段階主な限界
ファーストパーティ自社サイトの閲覧、自社メールのクリック、自社イベントへの参加自社を知ったあとの比較から導入直前まで自社サイトに来ていない会社は見えない。訪問の少ないサイトでは母数が足りない
サードパーティ提携メディア・外部サイトでの記事や資料の閲覧、検索の傾向自社を知る前の情報収集から比較まで集め方と企業の推定方法が提供会社ごとに違い、外から検証しにくい

自社サイトの料金ページを見ている会社と、外部メディアで業界の課題記事を読んでいる会社では、検討の進み具合が違います。どちらのデータかを区別せずに1つのスコアにまとめると、営業は導入直前の会社と情報収集を始めたばかりの会社に同じ温度で連絡することになります。

求人やプレスリリースなど、公開情報のシグナルとの違い

インテントデータのツールの多くは、閲覧の行動に加えて、求人の掲載、資金調達、拠点の開設、役員の交代といった企業の公開情報も「シグナル」として表示します。公開情報は起きた出来事の記録で、何かを調べているという行動とは性質が違います。たとえば経理職の求人が増えた会社は会計システムを見直す可能性がありますが、実際に調べているかは閲覧のデータでしか分かりません。提案を受けたときは、画面に出るスコアが閲覧の行動と公開情報のどちらから計算されているかを確かめます。

取得方法は、行動を集める経路と、行動を企業に結び付ける方法の組み合わせで決まる

インテントデータの取得方法は、どこで行動を集めるかと、集めた行動をどうやって会社名に結び付けるかの2つで決まります。精度の限界も、この2つの組み合わせから生まれます。

自社サイトの閲覧を集める

自社サイトの閲覧は、MAツールやアクセス解析のタグ(ページに埋め込むJavaScript)で記録します。フォームを送信する前の訪問者は名前が分からない匿名の閲覧で、送信したあとはCookieを通じて、その人のそれまでの閲覧がコンタクトに結び付きます。匿名の閲覧から会社名を推定する機能を持つMAツールもあります。HubSpotを使っているなら、HubSpotで訪問企業を把握する機能と、会社名にならない訪問の条件を確認すると、外部のツールを買う前に自社サイトの範囲でどこまで見えるかが分かります。

提携メディアや外部サイトの閲覧を集める

サードパーティのデータは、提供会社が提携するメディアやサイトから閲覧の記録を集め、ページの内容を「会計システム」「情報漏えい対策」のようなトピックに分類して作られます。そのうえで、ある企業のあるトピックの閲覧が普段より増えたときに、関心が高まったと判定する方式が一般的に説明されています。どのメディアと提携しているか、どう分類しているか、何をもって「増えた」とするかは提供会社ごとに違い、詳細を公開していない場合もあります。個別のツールの作り方は、契約前に提供会社へ直接確かめます。

閲覧を企業に結び付ける3つの方法

集めた閲覧を会社名に結び付ける方法は、主に次の3つです。

  • IPアドレス:閲覧の通信元のIPアドレスを、企業が使っている回線のIPアドレスのデータと照合して会社名を推定します。会社の固定回線からの閲覧には使えますが、在宅勤務の家庭用回線やスマートフォンの回線からの閲覧は会社名になりません。
  • Cookie:ブラウザに保存された識別子で同じ閲覧者の行動をつなぎ、その人がどこかでフォームに入力した情報と結び付けます。ブラウザによってはサードパーティCookieを標準で遮断しており、SafariはWebKitの2020年3月の発表で、サイトをまたぐCookieを標準でブロックするようになりました。
  • 会員登録の情報:提携メディアの会員が登録した勤務先の情報を使います。登録が正しければ精度は高い一方で、会員が閲覧した分しか集まりません。
1 行動を集める経路 自社サイト タグで閲覧を記録 提携メディア・外部サイト 閲覧をトピックに分類 2 企業に結び付ける方法 IPアドレス 企業の回線と照合 Cookie フォーム入力と紐付け 会員登録 登録された勤務先 3 企業単位のシグナル A社:会計システムの閲覧が普段より増加 誰が見たかは分からず、会社名も推定を含む 4 使い方(当たる順番を変える) ABM 対象の中で 先に動く会社 インサイドセールス 連絡する 順番 広告 配信先を 絞り込む 対象リストにない会社を足す根拠にはしない
図1:インテントデータができるまでと使い道

インテントデータは購入できるのか

BtoBのインテントデータは、データだけを単体で買い切るより、ツールの利用契約の中で企業ごとのシグナルを画面で見たり、CRMに連携したりする形で提供されるのが一般的です。契約で決まるのは、閲覧できる企業やトピックの範囲、CSVで出力できる項目、社内での利用目的、第三者への再提供の可否です。見積もりを比べるときは、料金が何の数量にかかるのか(閲覧できる企業数、追跡するトピック数、利用者の数、CRM連携の有無)を揃えてから比べます。

BtoBでの活用は、ABMの対象選び・インサイドセールスの優先順位・広告配信の3つ

BtoBでのインテントデータの使い道は、ABMで狙う会社の中から先に動く会社を選ぶこと、インサイドセールスが連絡する順番を決めること、広告の配信先を絞ることの3つです。いずれも、先に決めた対象リストの中で順番や重みを変える使い方です。

ABMで狙う会社の中から、先に動く会社を選ぶ

ABMの対象リストは、受注の実績と営業の判断で決めます。インテントデータは、四半期ごとのリストの見直しで、Tier2やTier3にいる会社のうち関心の高まりが続いている会社をTier1の候補に上げる材料に使います。リストの作り方と営業との合意の取り方はABMの始め方と対象リストの作り方に沿って進め、インテントデータの有無でリストの外から会社を足すことはしません。関心のシグナルが出ていても、ICPの条件に合わない会社は受注しても続かないためです。HubSpotでティアを管理しているなら、HubSpotでターゲットアカウントとティアを指定する手順で作ったティアのプロパティに、見直しの結果を反映します。

インサイドセールスが連絡する順番を決める

インサイドセールス2名で800社の対象リストを持ち、1週間に当たれるのが数十社という体制なら、どの会社から連絡するかで四半期の商談数が変わります。インテントデータはこの並び順を決める材料になり、関心の高いトピックに合わせて1回目の連絡で送る資料や事例も選べます。

連絡の文面や電話で「御社が〇〇の記事を読んでいた」と閲覧の事実を伝えることはしません。相手は自分の閲覧を知られていると感じて警戒し、会話が続かなくなります。トピックに関係する事例や資料を案内する形にして、関心があれば相手から話が広がる構成にします。架電の順番と聞く順番の設計はインサイドセールスのトークスクリプトの作り方、リストの質の上げ方はアウトバウンド営業のリスト設計と合わせて決めます。

広告の配信先を絞る

会社名のリストで配信先を指定できる広告媒体や、配信の機能を持つインテントデータのツールでは、関心が高まっている会社に絞って広告を出せます。対象リストのすべてに同じ予算で配信するより、関心の出ている会社に予算を寄せられます。成果はクリック率ではなく、配信した会社から商談が生まれたかで見ます。自社サイトの訪問者に配信するリターゲティングとの組み合わせ方はBtoBリターゲティング広告の設計で、MA・CRMのデータを起点にした配信リストの作り方と合わせて決めます。

インテントデータをどの業務に入れるかが決まらないまま提案を受けている場合は、対象リストと営業の人数から使いどころを決める相談もできます。

インテントデータで分かるのは企業単位の推定で、誰が調べているかは分からない

インテントデータが示すのは「ある会社の回線や会員から、あるトピックの閲覧が増えた」という企業単位の推定です。会社名の推定が外れる条件と、分からないことを知ったうえで使います。

会社名の推定が外れる条件

IPアドレスで会社名を推定する方式では、会社の固定回線を通った閲覧だけが会社名になります。在宅勤務の家庭用回線、スマートフォンの回線、コワーキングスペースの共用回線からの閲覧は、会社名が付かないか、回線事業者や別の会社として表示されます。グループ会社で回線を共用している場合は、子会社の社員の閲覧が親会社の名前で出ることもあります。固定のIPアドレスを持たない小規模な会社は、そもそも会社名になりにくいため、中小企業や個人事業主が顧客の商材では対象の多くが見えません。

個人は特定できず、部署も分からない

企業単位にまとめたデータでは、閲覧したのが誰か、どの部署か、決裁に関わる立場かは分かりません。大企業では、同じ会社の別の部署が別の目的で同じトピックを調べていることもあります。インテントデータが高い会社に連絡するときは、誰に当たるかを別に決める必要があり、その部分は従来の部署・役職の調べ方で補います。

大きな会社ほどシグナルが出やすい

閲覧の量は社員の数にほぼ比例して増えるため、補正をかけないデータでは、社員数の多い会社ほど常に「関心が高い」と表示されます。普段の閲覧量からの増え方で判定しているのか、閲覧の絶対量で判定しているのかを確かめないと、大企業ばかりが上位に並び、並び順を変える意味がなくなります。

トピックの分け方が自社の商材と合わない

提供会社が用意するトピックは、自社の商材より粗いか細かいかのどちらかになりがちです。「人事システム」というトピックしかなければ、勤怠管理を売る会社には採用管理を調べている会社まで混ざります。国内企業が相手なら、日本語のメディアがどれだけ分類の元になっているかも確かめます。

インテントデータの数字は、会社の関心を測った値ではなく、閲覧の記録から推定した値です。単独で連絡するかどうかを決めず、ICPの条件と自社サイトの行動と合わせて並び順を決める材料にします。

商談につながるかは、当たる順番だけを変えた比較で確かめる

インテントデータが商談を増やすかは、同じ対象リストを2つに分け、片方だけインテントデータの順に当たって、商談になった割合を比べると確かめられます。シグナルの出た会社と出なかった会社を後から比べる方法では、判断を誤ります。

導入後によく作られるのは、「シグナルが出た会社の商談化率は、出なかった会社の2倍だった」という報告です。この比べ方では、シグナルが出やすい大きな会社がもともと商談になりやすかったのか、営業がシグナルの出た会社に力を入れて連絡したのかを切り分けられません。ツールの効果を見るには、当たる順番以外の条件を揃えた比較が必要です。

ICPで決めた対象リスト 無作為に2つに分ける A群 インテントの高い順に連絡 B群 いつもの順番で連絡 両方で揃える条件 同じ担当者・同じトーク・同じ件数 商談化までの日数を含む同じ期間 A群とB群で比べる数字 つながった割合(電話・メールの反応) アポが取れた割合 商談になった割合 受注(期間が足りる場合) A群の商談化率が上回れば継続を検討
図2:当たる順番だけを変えて比べる検証の組み方

検証の前に決めること

比べる対象リスト、見る数字、期間を先に決めます。期間は、自社で初めて連絡してから商談になるまでにかかる日数を含む長さにします。短すぎると、A群で増えたのが商談なのか、早く会えただけなのかが分かりません。見る数字は、つながった割合、アポが取れた割合、商談になった割合の順で、期間が足りれば受注まで追います。商談の定義が営業とずれていると比較そのものが成り立たないため、リードの質を営業と合意する測り方で商談の条件を揃えておきます。

2つの群の分け方と比べ方

対象リストを会社の規模や業種が偏らないように無作為に2つに分け、A群はインテントデータの高い順に、B群はこれまでどおりの順番で連絡します。担当者、トークの内容、1週間に連絡する件数は両方で揃えます。1つの群で商談が数件しか出ないうちは、差が偶然の範囲に収まることが多いため、対象を広げるか期間を延ばしてから判断します。

トライアルでは、過去の受注で遡って確かめる

契約前のトライアルでは、過去に受注した会社と失注した会社の名前を提供会社に渡し、商談が始まる前の時期にシグナルが出ていたかを確かめてもらいます。過去のデータを遡れるかどうかは提供会社によって違うため、できない場合は、既存顧客の名前が正しく表示されるか、自社サイトの訪問記録とツールの企業名が一致するかを確かめます。

インテントデータのツールを選ぶ前に確かめること

ツールを比べる前に、データの出どころ、企業の推定方法、自社のCRMとの突き合わせ、個人に関する情報の扱いの4点を、どの提供会社にも同じ質問で確かめます。機能の多さや画面の見やすさは、この4点のあとに比べます。

確かめる項目提供会社に聞くこと答えが曖昧なときの判断
データの出どころ閲覧を集めているのはどんな種類のメディア・サイトか。日本語のメディアはどの程度含まれるか国内企業が相手の商材なら、トライアルで既存顧客の表示を確かめるまで契約しない
企業の推定方法IPアドレス、Cookie、会員登録のどれで会社名を付けているか。在宅勤務の閲覧はどう扱うか在宅勤務の多い業界が相手なら、見えない会社が多い前提で使う
判定の基準閲覧の増え方で判定しているか、量で判定しているか。会社の規模で補正しているか大企業ばかりが上位に並ぶなら、並び順の材料にしない
トピックの定義自社の商材に合うトピックがあるか。独自のキーワードで定義できるか近いトピックしかないなら、自社サイトのデータを主に使う
更新と遡れる期間どのくらいの頻度で更新されるか。過去どこまで遡れるか遡れない場合は、過去の受注での検証ができない前提で比較の期間を長めに取る
CRMとの突き合わせ会社をドメインや法人番号で突き合わせられるか。CRMに何を書き込むか自社CRMの会社データが重複だらけなら、先に名寄せを済ませる
個人に関する情報個人単位のデータを提供するか。提供する場合、本人の同意は誰がどう取っているか回答が書面で出ないなら、個人単位の機能は使わない
契約の条件最低契約期間、トライアルの有無、出力したデータの契約終了後の扱い検証の期間より長い最低契約期間なら、検証の結果が出る前に更新を迫られる

CRMとの突き合わせは、導入後に最も手間がかかる作業です。ツールが「A社」と表示しても、自社のCRMに「A社」「株式会社A」「A社 東京本社」が別々に登録されていれば、どの会社レコードに情報を載せるかが決まりません。契約の前に会社データの名寄せと重複管理を済ませておくと、トライアルの期間に検証まで進められます。

インテントデータは違法か|個人情報保護法と電気通信事業法で確かめる範囲

インテントデータそのものが一律に違法か適法かで決まるわけではなく、どのデータを、どこから取得し、何と結び付けて使うかで確かめる規律が変わります。最終的な判断は自社の法務や弁護士に委ね、マーケティングと営業の側は判断に必要な事実を揃えます。

企業単位の情報と、個人に関する情報を分ける

個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、法人などの団体そのものに関する情報は個人情報に当たらない一方、役員や従業員に関する情報は個人情報に当たると説明しています。「A社で会計システムの閲覧が増えた」という企業単位の情報と、「A社の〇〇さんが閲覧した」という個人に関する情報では、確かめる規律が違います。ツールが何を出すのかを最初に分けておきます。

外部の閲覧データを自社の顧客リストに結び付けるとき

個人情報保護法は、生存する個人に関する情報のうち、個人情報・仮名加工情報・匿名加工情報のいずれにも当たらないものを「個人関連情報」と定めています(第2条第7項)。ガイドラインは、Cookieなどの端末識別子を通じて集めた、ある個人のWebサイトの閲覧履歴をその例に挙げています。

2022年4月から、提供先がその個人関連情報を「個人データとして取得する」ことが想定されるときは、提供元は本人の同意が得られていることなどを確認しないで提供してはならないとされています(第31条)。ガイドラインは、提供先が受け取った個人関連情報をIDなどを介して自社の個人データに付け加える場合を「個人データとして取得する」場合に当たるとし、その同意を取る主体は情報を使う提供先だと説明しています。外部から受け取った閲覧のデータを、CRMにいる担当者のレコードに結び付けて使う運用を考えているなら、同意を誰がどう取るのかを契約前に提供会社と確かめます。Webサイトで同意を取る場合は、示すべき事項を載せるだけでは足りず、事項を示したうえでボタンのクリックを求めるなどの方法によるとされています。

自社サイトにタグを置くときの外部送信規律

2023年6月16日に施行された改正電気通信事業法の外部送信規律は、対象となるサービスを提供する事業者が、利用者の端末から外部に情報を送信させるときに、送信される情報の内容、その情報を取り扱う者の氏名または名称、利用目的などを通知または公表することを求めています。総務省の資料では、企業のホームページを自己の情報発信のために運営している場合は電気通信事業法の適用対象外とされる一方、ニュースなどの情報をオンラインで提供するサービスは対象になり得ると整理されています。自社のコーポレートサイトだけか、広告収入のある情報サイトも運営しているかで確かめる内容が変わるため、外部のツールのタグを置く前に、サイトの位置づけを法務と確認します。

2026年の改正法で加わる規律

2026年7月に個人情報保護法などの改正法が成立し、7月17日に公布されました。個人情報保護委員会の資料では、住所、電話番号、メールアドレス、Cookie IDなど、特定の個人に連絡できる記述を含む個人関連情報について、不適正な利用と不正な取得を禁止する規律を設けると説明されています。施行は原則として公布から2年を超えない範囲で、2026年9月時点では政令・規則・ガイドラインの検討が続いています。契約の期間中に施行を迎える可能性があるため、提供会社がどう対応する予定かも確認の対象に入れます。

使い方関係する主な規律法務に渡す事実
企業単位のシグナルを見て、連絡の順番を決める法人そのものの情報は個人情報に当たらない。担当者の情報を扱う部分は個人情報保護法ツールが出す項目の一覧。個人名や個人単位の閲覧が含まれるか
外部の閲覧データを、CRMの担当者レコードに結び付ける個人関連情報の第三者提供の規律(第31条)結び付けに使うID、同意を取る主体と文言、提供会社の説明資料
自社サイトに外部ツールのタグを置く電気通信事業法の外部送信規律(対象サービスに当たる場合)、プライバシーポリシーの記載サイトの種類と収益の形、タグが送る情報と送信先

提供会社の営業資料にある「法令を守っています」という説明だけで判断すると、同意を取る主体が自社になる使い方を見落とします。契約書と利用規約に、同意の取得と責任の分担が書かれているかを法務と一緒に読みます。

インテントデータを使わないほうがよい場合

営業が対象の会社すべてに当たれている会社や、会社名をほとんど推定できない顧客層を相手にしている会社は、インテントデータを契約しなくても商談は減りません。次の条件に当てはまるなら、自社サイトのデータと対象リストの整備を先に進めます。

  • 対象の会社数が少なく、営業が四半期のうちにすべての会社に連絡できている。順番を変える余地がありません。
  • 顧客の多くが中小企業や個人事業主で、固定の回線を持たない。会社名になる閲覧が少なく、シグナルが出ません。
  • シグナルを見て連絡する担当者がいない。画面を見る人と、見たあとに誰が何日以内に動くかが決まっていなければ、データは溜まるだけです。
  • CRMの会社データが重複だらけで、ツールの企業名と突き合わせられない。名寄せを先に済ませます。
  • 検討のきっかけが法改正や補助金の締め切りなど外から決まっていて、時期が読める。公開情報で時期を見れば足ります。
  • 自社サイトへの訪問がまだ少なく、問い合わせの対応も整っていない。外部のデータより先に、問い合わせを取りこぼさない仕組みを作ります。

インテントデータを見送った場合でも、料金ページや事例ページを見ている既存のコンタクトを拾う仕組みはMAツールの範囲で作れます。外部のデータは、その運用が定着してから足します。

まとめ

インテントデータは、閲覧の記録から企業の関心を推定したデータで、個人は分からず、会社名の推定にも外れが含まれます。狙う会社を新しく探す材料ではなく、ICPで決めた対象リストの中で当たる順番を決める材料として使い、効果は順番だけを変えた2つの群の商談化率で確かめます。

導入を検討しているなら、次の順で進めます。対象リストの社数と営業が当たれる社数を並べて順番を変える余地があるかを確かめ、CRMの会社データの名寄せを済ませ、提供会社にデータの出どころ・推定方法・判定の基準・個人に関する情報の扱いを同じ質問で聞きます。外部の閲覧データを担当者のレコードに結び付ける使い方を考えているなら、その前に同意の取り方を法務と確認します。

ご相談

インテントデータを契約する前に、対象リストと営業の人数から使いどころと検証の組み方を決めます

「ツールの提案を受けたが、自社で商談が増えるのか判断できない」「シグナルは見えているのに、誰がいつ連絡するかが決まっていない」「CRMの会社データが重複していて突き合わせられない」。Ampelは外部CMOとして支援し、ICPと対象リストの見直し、CRMの会社データの整備、順番だけを変えた検証の設計までを担当者の方と一緒に進め、契約するか見送るかを商談の数で判断できる状態にします。

よくある質問

インテントデータとは簡単に言うと何ですか?
Webページの閲覧や検索などの行動から、ある企業が特定のテーマをどの程度調べているかを推定したデータです。BtoBでは企業単位にまとめ、営業やマーケティングがどの会社から連絡するかを決める材料に使います。
インテントデータは違法ですか?
インテントデータそのものが一律に違法と決まっているわけではなく、どのデータを、どこから取得し、何と結び付けるかで確かめる規律が変わります。Cookieで集めた閲覧履歴を自社の顧客データに結び付ける場合は個人情報保護法の個人関連情報の規律が関係するため、使い方を決めた段階で法務や弁護士に確認します。
インテントデータで担当者の名前は分かりますか?
企業単位のインテントデータでは、閲覧したのが誰か、どの部署かは分かりません。連絡する相手は、部署や役職の情報を別に調べて決めます。
インテントデータを無料で取得する方法はありますか?
自社サイトの閲覧や自社メールのクリックといったファーストパーティのデータは、導入済みのMAツールやアクセス解析で集められます。外部メディアの閲覧傾向であるサードパーティのデータは、提供会社との有料の契約で得るのが一般的です。
インテントデータと属性データの違いは何ですか?
属性データは業種・従業員数・売上高など「条件に合う会社か」を示し、インテントデータは「その会社がいま調べているか」を示そうとするデータです。属性データで対象を決め、インテントデータで連絡する時期と順番を決める組み合わせで使います。

BtoBマーケティングの戦略設計から施策実行、運用定着までを一気通貫で支援します。