BtoBのリスティング広告の始め方|Google広告が向く商材の判断と予算の決め方、商談まで見る運用

BtoB Google広告の始め方|最低予算と失敗しない設計手順

「リスティング広告、とりあえず月10万円で3か月やってみて」。社長にそう言われたマーケ担当者がGoogle広告の管理画面を開くと、キャンペーンの種類、入札戦略、キーワードのマッチタイプと、決めることが次々に出てきます。資料請求が何件取れたら成功なのか、営業がどのリードを商談と数えるのかは、誰からも聞いていません。

BtoBのリスティング広告は、管理画面の設定より前に、成否の大半が決まっています。商材が検索されているか、何を商談と数えてそれを広告と結びつけて計測できるか、リード1件にいくらまで払えるかの3つが決まっていれば、予算の額もキーワードの選び方も、そこから逆算で出せます。

リスティング広告を任されて、始めるかどうかと予算の額を社内に説明する立場なら、判断の材料になるのは設定のノウハウではなく、自社の商材の検索のされ方と、受注単価から逆算したリードの獲得費用の上限です。条件がそろわない商材なら、リスティング広告を始めないという結論も同じ材料で出せます。

目次

BtoBのリスティング広告は、すでに探している担当者にだけ届く

リスティング広告は、商材や課題の言葉を検索した人にだけ広告を出す仕組みで、需要を作る手段ではなく、すでにある需要を取りに行く手段です。検索する人が少ない商材では、予算を増やしても問い合わせは増えません。

BtoBのリスティング広告とは、法人の担当者が業務の課題や製品カテゴリを検索したときに検索結果に表示される広告(検索広告)を使って、資料請求や問い合わせを獲得する施策のことです。出稿先はGoogle広告とYahoo!広告の検索広告が中心で、どちらも検索された言葉に合わせて広告を出し、クリックされたときに費用がかかる点は同じです。Google広告で検索語句と商談の関係を確かめてから、同じ構成をYahoo!広告に広げるかを判断すると、立ち上げ期に見る管理画面を1つに絞れます。

同じ検索広告でも、BtoCとBtoBでは前提が大きく違います。個人向けの通販なら、検索した本人がその場で購入し、広告費と売上を同じ日に突き合わせられます。BtoBでは、検索した担当者は情報を集める役で、決めるのは上司や決裁者です。問い合わせから受注までに数か月かかり、そのあいだに広告の管理画面からは見えない社内の検討が進みます。

項目BtoC(個人向け)BtoB(法人向け)
検索する人の数多い少ない。製品カテゴリ名でも月に数百回程度のことがある
広告の成果地点購入・申込資料請求・問い合わせ。売上になるのは数か月後の受注
検索する人と決める人同じ人担当者が調べ、上司や決裁者が決める
判断に使う数字購入単価、広告費に対する売上商談1件・受注1件あたりの広告費
対象外の検索の混ざり方少ない学生、個人、求職者、無料版を探す人の検索が混ざる

勤怠管理システムを売る会社を例にすると、「勤怠管理システム 比較」と検索するのは導入を検討している総務や人事の担当者です。一方で「勤怠管理 エクセル テンプレート」や「勤怠管理 アプリ 無料」には、個人事業主や、有料のシステムを入れるつもりのない小さな事業所の検索が多く混ざります。どちらも同じ「勤怠管理」の検索ですが、広告費に見合う商談になるのは前者だけです。

リスティング広告が担えるのは、課題を自覚して解決策を探している層との接点です。まだ課題に気づいていない企業に知ってもらう役割は、ディスプレイ広告やSNS広告、コンテンツのほうが向いています。広告全体でチャネルをどう分けるかは、BtoB広告のチャネルの選び方と予算の配分で決めてから、リスティング広告に割り当てる役割と金額を置きます。

リスティング広告が向く商材、向かない商材

向くかどうかは、商材や課題の言葉が検索されているか、受注単価でクリック代を回収できるか、問い合わせのあとに追える人がいるかで決まります。どれか1つでも満たさないなら、ほかの施策を先に検討します。

条件向く向かない確かめ方
検索されているか製品カテゴリ名や課題の言葉で検索されている新しい領域で言葉が定まっていない。社名や型番でしか探されないキーワードプランナーで月間検索数とクリック単価の目安を見る
受注単価1件の受注でクリック代を十分に回収できる単価が低く、リード1件に払える額がクリック単価の数倍にしかならない次の見出しの手順で、リード1件あたりの上限を計算する
対象企業の広さ業種や規模でしか絞れず、候補が数千社以上ある対象を社名で書き出せる程度の数に限られる対象企業の数を業種・規模の条件で数える
検討の始まり方担当者が自分で調べ、複数の製品を比べて選ぶ紹介、入札、既存の取引先の中から決まる直近の受注で、最初の接点が何だったかを営業に確かめる
問い合わせ後の体制問い合わせに翌営業日までに連絡でき、着地させるページがある連絡する人が決まっておらず、着地先がトップページしかない誰が何日以内に連絡するかを営業と決められるか確かめる

検索広告の表示回数は、検索する人の数で頭打ちになります。検索数が少ない商材では、入札単価や広告文を直しても、予算を増やしても、問い合わせの上限はほとんど動きません。

たとえば製造業向けの検査装置メーカーで、装置のカテゴリ名が月に数十回しか検索されず、対象になる工場も業界内で名前が挙がる数百社に限られるとします。この会社がリスティング広告に月30万円を置いても、表示される機会がそもそもありません。社名と型番の検索だけに少額で広告を出し、主な予算は対象企業を指定して接触するABMや展示会に回すほうが、同じ予算で商談を作れます。

検索はされているものの、どの施策を主軸にするか決まっていない段階なら、BtoBのリード獲得施策の選び方で候補を絞ってから、リスティング広告を主軸にするか補助にするかを決めます。広告とSEOのどちらから始めるかで迷っているなら、SEOをやるべき会社とやらない会社の条件と並べて比べると、それぞれの施策に置く役割が分かれます。

始める前に決めること:商談の定義、計測、リード1件あたりの上限

配信を始める前に、何を商談と数えるか、その商談を広告のクリックと結びつけて計測できるか、リード1件にいくらまで払えるかを決めます。この3つがないまま始めると、3か月後に続けるか止めるかを数字で判断できません。

何を商談と数えるかを営業と決める

マーケ担当者は資料請求を「リード」として月30件と報告し、営業は決裁者と面談できた件だけを商談と数えて「広告からの商談は月1件」と言う。月末の会議で数字がかみ合わない原因は、商談の定義がそろっていないことにあります。広告の成果を商談で測るなら、配信の前に「予算と導入時期の見込みを確かめられた初回面談」のように、営業と同じ言葉で商談を定義しておきます。

リードのどの段階を営業に渡すかも、同じ場で決めます。基準の作り方はMQLとSQLの定義の決め方に沿えば、広告以外の施策と同じ物差しで比べられます。

問い合わせの種類ごとに計測し、商談を広告に返す

BtoBでは、資料請求のように情報を集める段階の申込と、相談やデモの依頼のように商談に近い申込とでは、商談になる割合がまったく違います。両方を同じコンバージョンとして数えると、件数の多い資料請求を増やす方向に運用が寄っていきます。コンバージョンは申込の種類ごとに分けて計測し、どれを入札に使うかを決めます。Google広告では、入札に使うのは「メイン」に設定したコンバージョンアクションで、「サブ」は計測するだけで入札には使われません。

フォーム送信の先にある商談や受注まで広告の成果として見るには、CRMに記録した商談を広告のクリックと結びつけて、広告側に送り返す設定が要ります。結びつけ方は、Google広告のクリックIDをフォームの隠し項目で受け取る方法と、フォームで受け取ったメールアドレスを使うリードの拡張コンバージョンに分かれ、どちらもフォーム側の準備が要るため、配信前に決めておきます。手順はGoogle広告のオフラインコンバージョン設定で確かめ、HubSpotを使っているならGoogle広告とHubSpotを連携して受注まで計測する設計に沿って組みます。流入元を広告以外の施策と並べて集計するなら、UTMパラメータの命名規則もこの段階でそろえます。

リード1件に払える上限を受注単価から逆算する

BtoBの広告予算は、受注1件にかけてよい費用から逆算します。たとえば年間契約額が300万円の商材で、受注1件にかけてよい獲得費用(許容CAC)を60万円とします。商談から受注に至る割合が20%なら、商談1件にかけてよいのは12万円です。リードから商談になる割合が10%なら、リード1件に払える上限(許容CPL)は1万2,000円になります。数字はすべて計算の例です。

許容CPLを持たずに「CPLが高い、安い」を話しても結論は出ません。同じCPL2万円でも、許容CPLが1万2,000円の商材なら赤字、5万円の商材なら余裕があります。広告経由の商談化率がまだ分からない会社は、展示会や問い合わせなど、ほかの経路のリードで出ている商談化率を仮の値として使い、3か月分の広告経由の実績が集まったら置き換えます。契約が何年も続く商材なら、受注1件の売上ではなくLTVとCACから投資の上限を決める方法で上限を出せます。

予算の決め方:許容CPLと検索数から月の予算を出す

月の予算は、商談の目標から逆算した必要なリード数に許容CPLを掛けて上限を出し、検索数で頭打ちにならないかを確かめて決めます。キーワードごとの反応を比べるなら月10万円、商談化率まで含めて判断するなら月30万円が、実務上の目安です。

許容CPLが1万2,000円の例で、広告から月に3件の商談を作りたいとします。商談化率が10%なら必要なリードは月30件で、許容CPLの1万2,000円を掛けると、月36万円が使ってよい予算の上限です。次に、実際にリード1件を取るのにかかりそうな額を見積もります。クリック単価が500円で、クリックした人の3%が申し込むなら、リード1件の獲得にかかる広告費は約1万6,700円です。

受注1件にかけてよい費用 許容CAC:60万円 × 商談から受注する割合 20% 商談1件にかけてよい費用 12万円 × リードから商談になる割合 10% リード1件に払える上限 許容CPL:1万2,000円 × 必要なリード数 月30件 月の予算の上限 36万円(検索数で頭打ちにならないか確認) 想定の獲得単価と比べる 想定1万6,700円>上限1万2,000円 申込率かキーワードを見直してから始める
図1:受注1件にかけてよい費用から月の予算の上限を出し、想定の獲得単価と比べる流れ(数字は計算の例)

この例では、見積もった獲得単価が許容CPLを上回っています。このまま始めると、リードが取れても商談で見ると赤字です。想定の獲得単価が許容CPLを上回るなら、予算を決める前に、申込率を上げる手段か、商談化率の高いキーワードに絞る手段があるかを確かめます。資料請求のように申込の負担が軽いオファーを足せば申込率は上がりますが、商談化率は下がるため、許容CPLの計算もやり直します。どちらの手段もないなら、始めないという判断もこの段階でできます。

予算の上限は、検索する人の数でも決まります。キーワードプランナーで見た月間検索数とクリック単価から、狙うキーワードを全部クリックされても使い切れない額なら、それ以上予算を置いても意味がありません。配信を始めたあとは、キャンペーンごとの「検索広告のインプレッション シェア損失率(予算)」を見ます。予算不足で広告が表示されなかった割合を示す指標で、ここがほぼ0%なら、予算を増やしても表示回数は増えません。

予算の規模によって、1か月に集まるリードの数と、判断できる内容が変わります。次の表は、クリック単価500円、申込率3%で計算した参考値です。

月の予算リード数の目安(月)判断できること運用にかかる時間(週)
10万円6件前後どのキーワードと広告文に反応があるか2〜3時間
30万円18件前後キーワードごとのCV単価の比較と、商談化率を含めた評価5〜8時間
100万円60件前後検索広告に加えて、リマーケティングなどを組み合わせた運用15時間以上

月10万円未満では、判断に使えるだけのリードが集まりません。3か月続けても「反応があったのか、たまたまなのか」が分からないまま終わるため、試すなら月10万円以上を、判断の期間とセットで確保します。表の件数は計算の前提を置いた参考値で、実際の数字は業界、キーワード、着地ページで大きく変わります。運用にかかる時間も実務上の目安です。

Google広告の予算は「1日の平均予算」で設定し、ほとんどのキャンペーンでは1日に平均予算の2倍まで費用が発生することがあります。1か月の費用の上限は、1日の平均予算に30.4日を掛けた額です。

月30万円で運用するなら、1日の平均予算は約9,900円(30万円÷30.4日)になります。検索の多い平日に費用が偏って見えても、月の合計は上限を超えません。Google広告以外のチャネルにも予算を振るなら、チャネルごとの予算配分を先に決め、月々の実績はマーケティングの予実管理表でほかの施策と同じ表に並べます。

キーワードは発注への近さで選び、商談にならない検索を外す

キーワードは検索回数の多さではなく、検索した人が発注にどれだけ近いかで選びます。予算が限られる立ち上げ期は、自社名、競合名、製品カテゴリ名と比較・料金を組み合わせた語句から始め、課題の言葉は予算と着地ページが整ってから広げます。

キーワードの種類例(勤怠管理システムの場合)発注への近さ始める時期
指名自社名、自社の製品名近い。すでに自社を知っている広告を出すと決めたなら最初から
競合競合の製品名、「競合名 比較」近い。乗り換えや比較の段階最初から。予算の上限は別に置く
カテゴリと比較・料金「勤怠管理システム 比較」「勤怠管理システム 料金」中程度。製品を選んでいる段階最初から。新規の商談を作る主力
課題「残業時間 集計 方法」「打刻漏れ 対策」遠い。まだ製品を探していない予算と着地ページが整ってから

課題の言葉で検索する人は多い一方、クリックしても資料請求にすら進まないことが多く、少ない予算で配信すると費用の大半がここに流れます。課題の言葉はSEO記事で接点を作り、広告では製品を選んでいる段階の語句に予算を寄せるほうが、商談あたりの費用は下がります。キーワードの洗い出しから絞り込みまでの手順は、BtoBリスティング広告のキーワード選定に沿って進めます。

自社名に広告を出すかどうかは、競合が自社名で広告を出しているか、自然検索で自社のページが1位に出ているかで判断が分かれます。自社名で検索した結果を実際に見てから、指名検索広告を出すべきかの判断基準で決めます。

登録したキーワードと、実際に広告が表示された検索語句は一致しません。マッチタイプの設定によっては、登録していない語句にも広告が出るためです。立ち上げ期は完全一致とフレーズ一致を中心にし、部分一致は検索語句を毎週確認できる体制ができてから足します。使い分けの判断はマッチタイプの使い分けで確かめてください。

運用担当者が毎週月曜に検索語句レポートを開くと、「勤怠管理 求人」「勤怠管理 資格」「勤怠管理 無料 個人」といった、商談にならない語句が並んでいます。こうした語句は、配信を始める前に除外キーワードとして登録できるものと、配信後に検索語句を見て足していくものに分かれます。事前に登録しておく語句のリストと、除外しすぎを防ぐ判断は、除外キーワードの設定の手順で決めます。

Google広告の検索キャンペーンには、AI 最大化設定のように、登録したキーワードの外の検索語句にも広告を出し、着地ページや広告文も自動で変える設定があります。商談になる検索語句が限られるBtoBでは、検索語句と着地先を毎週確かめられる体制ができるまで有効にしないほうが、予算の流れを追えます。

アカウントの組み立て:キャンペーンは予算の単位、広告グループは答えの単位

立ち上げ期のアカウントは、指名・競合・カテゴリの3つのキャンペーンに分け、広告グループは同じ広告文と同じ着地ページで答えられる検索語句で束ねます。分け方を決めてから、広告文、着地ページ、入札の初期設定をそろえます。

最初は指名・競合・カテゴリの3つのキャンペーンで始める

キャンペーンは予算を管理する単位です。指名、競合、カテゴリの語句を1つのキャンペーンにまとめると、成果のよい指名の数字がカテゴリの数字を覆い隠し、新しい商談がどこから出ているかが見えなくなります。3つに分けておけば、翌月の予算会議で「競合キャンペーンのCV単価は指名の3倍だが、商談化率は2倍」といった比較がそのままでき、どこに予算を足すかを話し合えます。

運用が進んでキャンペーンを増やしたくなったときは、分けたことでコンバージョンが薄く散っていないかを確かめてから判断します。どこまで分けてよいかの基準はGoogle広告のアカウント構成の決め方に沿って決めます。

アカウント(立ち上げ期) 指名キャンペーン 自社名・製品名。CV単価の基準になる 社名 製品名 競合キャンペーン 競合名・乗り換え。予算の上限を別に置く 競合名+比較 乗り換え カテゴリキャンペーン 製品カテゴリ+比較・料金。新規商談の主力 比較 料金 紫の枠=広告グループ 同じ広告文と着地ページで答えられる検索語句の束
図2:立ち上げ期のアカウント構成。キャンペーンで予算を分け、広告グループで返す答えを分ける

広告グループは、同じ広告文と着地ページで答えられる検索語句で束ねる

広告グループの中のキーワードには、同じ広告文が表示されます。「勤怠管理システム 比較」と「勤怠管理 ツール 比較」は文字列が違っても、知りたいことは同じで、同じ比較ページと同じ広告文で答えられるため、1つの広告グループで足ります。一方で「勤怠管理システム 料金」を検索した人には価格の目安を返すべきで、広告文も着地ページも変わるため、広告グループを分けます。

1つの広告グループには、同じ広告文と同じ着地ページで答えられる検索語句だけをまとめます。キーワードの個数は結果として決まるもので、目安の個数に合わせて分けたり足したりはしません。

広告文とアセットには、誰向けの何かを先に書く

BtoBの広告文は、クリックを増やすより、対象外の人にクリックさせないことを先に考えます。「従業員50名以上の企業向け」「月額料金は資料で公開」のように、対象と条件を見出しに入れておくと、個人や小さな事業所のクリックが減り、同じ予算で届く担当者の割合が上がります。見出しと説明文の組み立て方は、BtoBのGoogle広告の広告文の作り方に沿って書きます。

広告文の下に表示されるサイトリンクやコールアウト、構造化スニペットなどの「アセット」は、追加すること自体に費用はかからず、クリックされたときにだけ費用が発生します。ただし、常に表示されるとは限らず、Google広告が掲載結果の向上を見込める場合や、広告の掲載順位が十分に高い場合に表示されます。料金ページ、導入事例、資料請求のページをサイトリンクに入れておくと、検討の段階が違う人がそれぞれのページに進めます。

着地ページは、検索した言葉に答えるページにする

広告のリンク先を会社のトップページにすると、検索した人は自分の知りたいことを探し直すことになり、申込に進む割合が大きく下がります。「比較」で検索した人には選び方と自社の違いを、「料金」で検索した人には価格の目安を最初に見せるページに着地させます。着地ページの構成はBtoBのランディングページ改善に、申込の入力項目は問い合わせフォームの改善に沿って整えます。

申込の入口が「お問い合わせ」だけだと、まだ情報を集めている段階の人は何もせずに離れます。資料請求と相談の依頼のように、検討の段階に合わせて入口を2種類以上用意し、それぞれを別のコンバージョンとして計測します。

入札、地域、時間帯の初期設定

自動入札は、過去のコンバージョンを材料に入札単価を調整する仕組みです。コンバージョンが月に数件しかない立ち上げ期は材料が少なく、CV単価が日によって大きくぶれます。実務上の目安として、月30件前後のコンバージョンが安定して出るまでは、目標コンバージョン単価のような目標値を置く入札は使わず、上限を決めた入札で検索語句のデータを集めます。自社の月間コンバージョン数でどの入札戦略を選ぶかは、BtoB検索広告の入札戦略の選び方で決めます。

地域の設定では、対象地域に「いる人」だけに出すのか、対象地域に関心を示した人にも出すのかを配信前に確かめます。営業が訪問できる地域が限られる商材で、この設定を確かめずに始めると、対応できない地域からの問い合わせに予算が使われます。配信の曜日と時間帯は、立ち上げ期は絞らずにデータを集め、平日の業務時間と夜間・休日で商談化率に差が出てから調整します。

配信を始めたら、最初の6か月は商談の数で判断する

キーワードごとのCV単価を比べられるまでに約3か月、商談化率まで含めて評価できるまでに5〜6か月が実務上の目安です。見る数字は、1〜2か月目はCV単価、5か月目以降は商談1件と受注1件あたりの広告費に移します。

1〜2か月目:検索語句とCV単価のデータを集める

配信を始めた直後はデータが少なく、CV単価が高く出やすい時期です。この時期は「どの検索語句でクリックされているか」「実際のCV単価はいくらか」を集める期間と割り切ります。自動入札を使っている場合、入札戦略の設定を変えたり、キャンペーン、広告グループ、キーワードを追加・削除したりすると、入札戦略のステータスが「学習中」になります(Google広告ヘルプ「入札戦略のステータスについて」)。学習中は主要な指標が安定しないため、この時期の変更は、除外キーワードの追加のように必要なものに絞ります。

3〜4か月目:キーワードごとのCV単価で予算の配分を変える

3か月分の配信データがたまると、キーワードごとのCV単価の差がはっきりします。許容CPLを大きく超えるキーワードは入札を下げるか止め、許容CPLの内側で表示回数を取りこぼしているキーワードに予算を回します。ただし、CV単価が高いキーワードを順に止めていくと、最後には指名キーワードしか残らず、新しい商談が増えないアカウントになります。止める前に、そのキーワードから来たリードが商談になっているかを営業に確かめます。

5〜6か月目:商談1件、受注1件あたりの広告費で評価する

BtoBで最終的に見るのは、CV単価ではなく、商談1件あたりと受注1件あたりの広告費です。CRMに記録した商談と受注を広告のキャンペーンやキーワードと結びつけて見ると、CV単価では赤字に見えたキーワードが、実は商談化率の高いキーワードだったと分かることがあります。広告のKPIをどの順番で並べて月次で追うかは、受注から逆算する広告のKPI設計で決めておきます。

指標計算判断の仕方
受注1件あたりの広告費広告費÷広告経由の受注数許容CACを超えていないか。最終的な判断はこの数字で行う
商談1件あたりの広告費広告費÷広告経由の商談数受注が出るまでの期間は、CV単価よりこちらを優先する
CV単価(CPL)広告費÷申込数金額の高い安いではなく、許容CPLの内側に収まっているか
クリック単価(CPC)広告費÷クリック数CV単価が許容CPLの内側なら、高低は二次的

数字だけでは分からないことは、営業から受け取ります。月に一度、広告経由で商談にならなかったリードについて、理由を「対象外の企業」「予算がない」「情報収集だけ」のように営業に分類してもらい、そのリードが検索した語句と突き合わせます。「対象外の企業」が特定の語句に集中していれば除外キーワードに、「情報収集だけ」が多い語句なら着地ページのオファーの見直しにつながります。問い合わせから最初の連絡までが遅れて商談を逃していないかも、問い合わせ対応の初動の基準で同じ場で確かめます。

リードは来ているのに商談にならない、そもそもクリックされないなど、配信後に数字が止まる段階ごとの原因と直す順番は、BtoBリスティング広告の効果が出ない原因と対策で切り分けます。広告経由の商談数と許容CPLから、翌期の予算をどこまで増やせるかを経営に説明する材料を一緒に作る場合は、現在の数字をもとにご相談いただけます。

運用を代理店に任せるか:任せても社内に残すことを先に決める

社内に運用経験者がおらず月の予算が30万円以上なら、最初の3〜6か月は外部の支援を入れると立ち上がりが早くなります。経験者がいて週5時間以上を運用に使えるなら、社内で始められます。どちらの場合も、商談の定義と許容CPL、止める判断は社内に残します。

Google広告は、慣れれば社内で運用できる媒体です。ただし、アカウントの組み立てと計測の設計は後から直すと手間が大きく、最初の判断を誤ると、その後の改善が難しくなります。任せるかどうかは、次の3つで判断します。

  • 社内に運用経験者がいるか:いない場合、最初の3〜6か月は外部の支援を入れたほうが、設定の誤りで予算を使う期間が短く済みます
  • 月の予算が30万円以上か:代理店の手数料(実務上の目安で広告費の20%程度)を払っても採算が合うのは、おおむねこの水準からです
  • 運用に週5時間以上を使えるか:社内で運用するなら、検索語句の確認と除外、月次の振り返りに、最低限この時間が要ります

代理店に任せても、商談の定義、許容CPL、CRMの商談データを広告に返す作業、続けるか止めるかの判断は、代理店からは見えないため社内に残ります。代理店の報告がクリック数、CV数、CV単価で止まっていると、CV数は増えているのに商談が増えていないことに気づけません。立ち上げだけ外部の支援を入れ、運用が安定したら社内に移す進め方もあります。

代行を頼むときの料金体系と費用の相場はリスティング広告代行のBtoB費用相場で確かめ、依頼先の候補を比べるときはBtoB広告代理店の選び方と契約前のチェックリストで、商談まで見る会社かどうかを確かめます。広告以外の業務も含めて外に出すかを決めるなら、広告運用の内製と外注の判断基準で社内に残す機能を先に書き出します。

リスティング広告を始めない判断、止める判断

検索されていない、受注単価で回収できない、問い合わせを追う人がいない商材では、リスティング広告を始めないほうが予算を残せます。始めるなら、止める条件を配信の前に経営と決めておきます。

次のどれかに当てはまるなら、今期はリスティング広告を主軸にしません。

  • 製品カテゴリ名や課題の言葉がほとんど検索されておらず、社名と型番でしか探されない
  • 見積もった獲得単価が許容CPLを大きく上回り、申込率を上げる手段も、キーワードを絞る余地もない
  • 問い合わせに誰が何日以内に連絡するかを決められない
  • 広告経由のリードが商談になったかを、スプレッドシートでも記録する手段がない

当てはまる場合でも、自社名で検索した人を競合の広告に取られているなら、指名キーワードだけは少額で出す判断があります。それ以外の予算は、対象企業に直接届ける施策や、資料掲載型メディアなど外部のリード獲得サービス、課題の言葉で接点を作るSEO記事に回します。まだ課題に気づいていない企業に届けたいなら、BtoBのディスプレイ広告のほうが役割に合います。

始めると決めた場合は、止める条件も同時に決めます。たとえば「6か月目の時点で、商談1件あたりの広告費が許容額を2か月続けて超えていたら、指名と競合のキャンペーンだけを残して縮小する」のように、期間と数字と縮小後の形をそろえて書き、経営と合意しておきます。経営会議で「広告費を倍にすれば商談も倍になるのでは」と聞かれたときも、「検索広告のインプレッション シェア損失率(予算)」がほぼ0%なら、増やしても表示回数は増えないと数字で答えられます。

自社の商材がリスティング広告に向くかどうか、向くなら最初の予算をいくらにするかを、受注単価と商談化率の実績から判断したい場合は、始めるかどうかの判断からご相談いただけます。

まとめ

BtoBのリスティング広告を始めるかどうかと予算の額は、商材の検索数と、受注単価から逆算した許容CPLで決まります。設定の細部は、その2つが決まってから各論に沿って詰めれば足ります。

次にやることは、営業と商談の定義をそろえ、自社の受注単価と商談化率で許容CPLを計算することです。そのうえで、キーワードプランナーで製品カテゴリ名と比較・料金の語句の検索数を調べ、見積もった獲得単価が許容CPLの内側に収まるかを確かめます。収まらないなら、申込率やキーワードの見直しを先に行うか、今期は始めないと決めます。

無料相談受付中

商材単価から許容CPLを出し、リスティング広告を始めるかどうかと最初の予算、キャンペーン構成を決めます

商材の単価、商談化率と受注率の実績、着地ページとフォームの状態を伺い、許容CPLと月の予算の目安、指名・競合・カテゴリのキャンペーンの分け方をお返しします。HubSpotを使っている場合は、広告のリードを商談まで追う連携の設計も含めて進めます。Ampelは外部CMOとして、BtoBマーケティングの戦略から施策の実行まで支援しています。

よくある質問(FAQ)

BtoBのリスティング広告は、最低いくらから始められますか?
判断に使えるデータを集めることを目的にするなら、実務上の目安で月10万円が下限です。クリック単価500円、申込率3%の前提なら月6件前後のリードが集まり、どのキーワードに反応があるかを比べられます。商談化率まで含めて判断するなら月30万円からで、月数万円では続けるか止めるかの結論が出せません。自社の許容CPLと検索数から上限を出すと、目安の額より精度の高い予算になります。
リスティング広告の成果は、始めてからどのくらいで分かりますか?
キーワードごとのCV単価を比べられるまでに約3か月、商談化率まで含めて評価できるまでに5〜6か月が実務上の目安です。申込は配信直後から発生することもありますが、BtoBは問い合わせから受注までの期間が長いため、受注1件あたりの広告費が分かるのはさらに後になります。
キーワードはいくつ登録すればよいですか?
決まった個数はなく、予算と、商談につながる検索語句の種類で決まります。月の予算をクリック単価で割ると、1か月に集まるクリック数の見当がつきます。そのクリック数を多くのキーワードに散らすと、どのキーワードにもデータがたまらず判断できないため、立ち上げ期は指名、競合、製品カテゴリと比較・料金の語句に絞り、同じ広告文と着地ページで答えられる語句ごとに広告グループを作ります。
リスティング広告とSEOは、どちらを先に始めるべきですか?
製品を探している人の検索がある商材なら、配信直後から流入を作れるリスティング広告を先に始めるのが実務的です。SEOは成果が出るまでに実務上の目安で半年から1年かかります。広告で商談につながった語句が分かったら、その語句と周辺の課題の言葉をSEO記事のテーマに加えると、広告費をかけずに同じ層との接点を増やせます。
広告運用を代理店に任せる場合、自社で見るべき数字は何ですか?
CV単価(CPL)、商談化率、商談1件あたりの広告費、受注1件あたりの広告費の4つです。代理店の報告はクリック数、CV数、CV単価までで終わることが多く、その先の商談と受注の数字は、発注する側がCRMの記録と突き合わせて見る必要があります。代理店の報告だけで判断すると、CV数は増えているのに商談が増えていない状態を見落とします。

BtoBマーケティングの戦略設計から施策実行、運用定着までを一気通貫で支援します。