Google広告のアカウント構成|BtoBのキャンペーンと広告グループは「判断したい単位」で分ける

Google広告の管理画面を開くと、キャンペーンが20個以上並んでいて、どれが何のためにあるのか担当者本人にも説明できない。商品ごと、地域ごと、以前の担当者が試したものが積み重なり、月のコンバージョンは合計しても数十件なのに、キャンペーン1つあたりでは数件しかない。BtoBの検索広告アカウントでは、こうした状態がよく起きます。

結論は一つです。アカウント構成は、細かく分けるほど管理しやすくなるのではなく、別々に判断したい単位で分けたときにだけ管理しやすくなります。分けた枠ごとに予算や目標を変える理由がないなら、その分割は判断を助けず、データを散らすだけです。

代理店が組んだキャンペーン構成を引き継いだ担当者にとって、統合を考える手がかりは二つあります。枠ごとに別の予算や目標を置く理由があるか、そして分けた先に判断できるだけのコンバージョンが残っているかです。どちらも説明できる分割なら、急いで組み替えなくてかまいません。

アカウント構成は「何を判断する単位か」で決める

アカウント構成は、キャンペーンを「予算と目標を別々に決めたい単位」、広告グループを「同じ広告文とページで答えられる検索語句の単位」として決めます。見やすく整理するための棚として分けると、判断に使えないデータの散らばりが残ります。

Google検索広告のアカウントは、上からアカウント、キャンペーン、広告グループ、キーワードと広告という階層になっています。構成の議論が迷走するのは、この階層を「フォルダ分け」として扱うからです。フォルダなら細かく分けるほど探しやすくなりますが、広告の階層はそうはなりません。階層ごとに設定できることと、データが集まる単位が決まっているからです。

おおまかに言えば、キャンペーンは予算や入札戦略、配信地域や言語といった「お金と配信条件」を持つ単位です。広告グループは、キーワードと広告文を束ねる「検索した人への答え方」の単位です。どの設定がどの階層にあるかは媒体側の仕様変更で動くことがあるので、細部は運用時点の仕様で確かめてください。ただ、この役割分担の考え方自体は大きく変わっていません。

各階層は何を判断する単位かで考える アカウント 請求・計測・権限をまとめる単位 コンバージョンの定義は原則ここで揃える キャンペーン 予算と目標を別々に決めたい単位 地域・言語・配信時間もここで分かれる 広告グループ 検索語句の意図が同じ単位 同じ広告文と同じページで答えられる範囲 キーワードと広告 検索語句との接点になる単位 細かさはここで持ち、上の枠は増やさない
図1:階層ごとの役割と、分けるときに問うべきこと

この役割から逆算すると、分け方の問いは二つに整理できます。キャンペーンを分けるときは「この二つに、別々の予算や目標を置く理由があるか」。広告グループを分けるときは「この二つの検索語句に、別々の広告文やページで答える必要があるか」。どちらの答えも「いいえ」なら、分けないのが基本です。

構成を整えても商談数が動かないときは、BtoB広告運用の全体の中で検索広告に持たせる役割と、整える順番を決め直します。構成は運用の一部品で、構成だけを整えても成果が出るわけではありません。

キャンペーンを分ける基準と、分ける理由にならないもの

キャンペーンを分けてよいのは、予算・目標・配信条件のどれかを別々に決めたいときです。見やすさや社内の組織図は、分ける理由になりません。

予算を別々に決めたい単位

最もわかりやすい基準は予算です。「この事業には月いくらまで使う」と別々に決めたいなら、キャンペーンを分ける意味があります。たとえば主力サービスと新規サービスで、経営判断として投資額を分けているなら、同じキャンペーンに入れると主力側に予算が吸われ、新規サービスの検証が進みません。

逆に、二つの商品の予算を「合計でいくら」としか決めていないなら、分けても日々の配分を人が調整する手間が増えるだけです。予算の配分をどの単位で決めているかは、経営や事業責任者との会話で先に確かめておきます。

目標やコンバージョン地点が違う単位

二つめの基準は目標です。問い合わせと資料ダウンロードでは、1件あたりに許容できる費用も、その後の商談化率も違います。これを一つのキャンペーンにまとめて獲得単価だけを見ると、安く取れる資料ダウンロードに配信が寄り、問い合わせが減っても数字上は好調に見えることがあります。許容できる獲得単価が違う目標は、分けて見る理由になります。

ただし、目標ごとにキャンペーンを分けるのは、ページとフォームが本当に別の目的で作られている場合です。同じページに問い合わせと資料請求の両方のボタンがあるなら、分けたつもりでも同じ検索語句に対して二つのキャンペーンが競合するだけになります。

地域・言語・配信時間が違う単位

三つめは配信条件です。国内と海外、日本語と英語のように、配信する地域や言語が違えば、広告文もページも別になるため分けるのが自然です。営業体制の都合で「関東だけに出したい商材」と「全国に出したい商材」があるときも同様です。一方、同じ全国配信の中で都道府県ごとに分けるのは、地域ごとに予算や訴求を変える理由がない限り、データを散らすだけになりやすい分け方です。

分ける理由にならないもの

実際のアカウントでよく見るのは、次のような理由での分割です。いずれも「判断を分けたい」理由ではなく、「整理したい」理由から来ています。

分割の理由判断考え方
事業ごとに予算を別々に決めている分ける予算の上限を枠ごとに守る必要がある
許容できる獲得単価が違う目標分ける混ぜると安い成果に配信が寄る
配信する地域や言語が違う分ける広告文とページが別になる
指名キーワードと一般キーワード多くの場合分ける成果の水準が大きく違い、混ぜると判断を誤る
商品やサービスの数だけ理由次第予算や目標が同じなら広告グループで足りる
管理画面で見やすくしたい分けない見やすさはラベルやレポートで作る
担当者や部署が違う分けない社内の組織図と検索する人の意図は関係ない
マッチタイプごと分けない同じ意図の検索語句が枠をまたいで散る

広告を始めたばかりのアカウントなら、指名・競合・カテゴリの三つに分ける初期形から入るのが現実的です。初期形はBtoB Google広告の始め方の手順で組み、運用が進んで枠が増えてきたら、どこまで分けてよいかを次の基準で判断します。

広告グループの粒度は検索語句の意図で決める

広告グループは「同じ広告文と同じページで答えられる検索語句の集まり」です。キーワードの見た目が違っても、答えが同じなら一つのグループで足ります。

広告グループの粒度で迷ったときは、キーワードの文字列ではなく、その語句で検索した人が何を知りたいかで考えます。「勤怠管理システム 比較」と「勤怠管理 ツール 比較」は文字列が違いますが、知りたいことは同じで、同じ比較ページと同じ広告文で答えられます。これは一つのグループです。

一方で「勤怠管理システム 比較」と「勤怠管理システム 料金」は、同じ商材の語句でも知りたいことが違います。比較したい人には選び方の軸を、料金を知りたい人には価格の目安を返すべきで、広告文も着地ページも変わります。こうした場合に広告グループを分けます。

分けるかどうかの見分け方

実務では、次の二つの問いで判断すると迷いが減ります。一つめは「この二つの語句に、同じ広告文を出して違和感がないか」。二つめは「同じページに着地させて、検索した人の疑問に答えられるか」。両方とも問題がなければ同じグループ、どちらかで答えが変わるなら分けます。

検索語句を意図の層で分類する作業そのものは、キーワード選定の段階で済ませておくのが効率的です。キーワード選定の段階で検索語句を意図の層に分けておけば、その束がほぼそのまま広告グループの単位になります。広告グループを分けたら、広告文もそのグループの意図に合わせて書き分けます。

細かく分けすぎると起きること

広告グループを細かくするほど、キーワードと広告文の一致度は上がります。その代わりに、グループ1つあたりのクリックやコンバージョンは減ります。月に数クリックしかない広告グループが大量にあると、どの広告文が機能しているのか誰にも判断できません。広告文の検証も、除外キーワードの追加も、グループの数だけ手間が増えます。

検索する人の意図がそこまで細かく分かれていないなら、細かく分けて上がる一致度は、失われる判断のしやすさに見合いません。粒度の上限は「その広告グループ単体で、月に一度は良し悪しを話し合えるだけのデータが集まるか」で考えるのが実務的です。

判断に迷う場面の例を挙げます。運用担当者が月次で検索語句レポートを開き、「勤怠管理 無料」という語句が比較用のグループに入っているのを見つけたとします。比較ページと比較の広告文で答えられるならそのまま残し、無料プランの有無を知りたい人に別の答えが要るならグループを分けます。

母数が小さいBtoBでは、分けるほどデータが薄くなる

自動入札は枠ごとに集まったデータを材料にします。コンバージョンの総数が少ないBtoBでは、枠を増やすほど1枠あたりの材料が減るという構造を前提に構成を考えます。

BtoBの検索広告は、検索される回数そのものが少なく、冒頭の例のようにコンバージョンが月に数十件という規模のアカウントもよくあります。この総数は、キャンペーンをいくつに分けても増えません。分けた数だけ、1つあたりの量が割り算で小さくなります。

同じCV数でも、分け方で1枠あたりの量が変わる A:判断の単位で束ねる 月のCV20件が1つのキャンペーンに集まる 20件 入札の学習材料が1か所にまとまる 良し悪しを月単位で話し合いやすい 内訳は広告グループや検索語句で見る B:商品ごとに4つへ分ける 同じ20件が4つのキャンペーンに散る 5件 5件 5件 5件 1枠あたりの材料が4分の1になる 週ごとの揺れが大きく、良し悪しが読みにくい 予算の小さい枠ほど配信が安定しにくい 分ける理由が予算や目標にあるなら許容する 理由が見やすさだけなら束ね直す 分けるのは、別々に判断したい理由があるときだけ
図2:コンバージョンの総数は分けても増えず、1枠あたりの量だけが減る

自動入札は、過去のコンバージョンを材料に「どんな検索にいくら払うか」を調整する仕組みです。材料が少ない枠では、たまたま取れた1件、たまたま取れなかった1週間の影響が大きくなり、入札の動きが安定しにくくなります。何件あれば十分かは商材や設定によって変わるので、ここでは件数の基準は置きません。確かなのは、同じ総数を細かく割るほど、どの枠も材料不足に近づくという構造です。

データの薄さは、入札だけでなく人の判断も鈍らせます。たとえば運用担当者が月次の振り返りで、月にコンバージョンが5件のキャンペーンを見たとします。今月は3件、先月は7件だったとしても、それが設定の良し悪しなのか偶然なのかは読み取れません。細かく分けたアカウントほど「どの枠も判断できない」状態になり、結局は全体の合計しか見なくなります。それなら最初から、判断したい単位で束ねておくほうが合理的です。

どうしても予算を分けたいが、1枠あたりのデータが足りない場合は、ポートフォリオ入札戦略という選択肢もあります。Google広告ヘルプの説明では、複数のキャンペーンを1つの目標に向けてまとめて最適化する入札戦略です。予算まで分ける理由がないなら、1つの1日の平均予算を複数キャンペーンで使う共有予算もあります。どちらも対象になるキャンペーンの種類に条件があるので、採用する前にヘルプで最新の仕様を確かめてください。あわせて、いまの月間コンバージョン数で使える入札戦略がどれかも確かめます。

もう一つの手は、枠を減らすのではなく、学習させる信号を増やすことです。フォーム送信だけでなく商談化した情報を広告側に返せるようになると、同じ構成でも判断材料の質が上がります。CRMで商談になったリードをオフラインコンバージョンとして広告側に送る設定を入れると、フォーム送信の少ない枠でも判断材料が増えます。自社の月間コンバージョン数で、どこまで分けてよいかを一緒に判断したい方はご相談ください。

指名キーワードと一般キーワードはキャンペーンを分けるか

指名キーワードを広告に出すと決めているなら、一般キーワードとは多くの場合キャンペーンを分けます。成果の水準がまったく違うため、混ぜると全体の判断を誤るからです。

自社名やサービス名で検索する人は、すでに自社を知っていて、比較検討の終盤にいることが多い層です。クリック単価は低く、コンバージョン率は高くなりやすい。一方、課題やカテゴリ名で検索する一般キーワードは、まだ自社を知らない人との接点で、獲得単価は高くなりがちです。

この二つを同じキャンペーンに入れると、指名キーワードの好成績が一般キーワードの成績を覆い隠します。キャンペーン全体の獲得単価は健全に見えるのに、実は一般キーワードでは新規の商談がほとんど取れていない、ということが起こります。また、予算が一つにまとまっていると、一般キーワードの配信が予算を使い切った日に、指名キーワードの広告が出なくなることもあります。

分けて見ることで、一般キーワードに投じた予算がどれだけ新しい商談を生んでいるかを、指名キーワードの成果と切り離して評価できます。広告投資の説明を経営に求められたとき、この区別がないと説明がつきません。

分けなくてよい場合

指名キーワードの検索がほとんど発生しない段階では、分けても指名側のキャンペーンにデータがほぼ入りません。そもそも指名キーワードに広告を出すかどうかが決まっていないなら、構成より先にその判断をします。競合が自社名に出稿しているかを検索結果で確かめてから、指名検索広告を出すべきかを決めます。

競合の社名や製品名を含むキーワードも、同じ考え方で扱います。クリック単価や商談化率が一般キーワードと大きく違い、使ってよい予算の上限を別に決めたいなら分けます。差がなく、予算を分けて管理する理由もないなら、一般キーワードの中の広告グループで足ります。

既存アカウントの構成を見直す手順

見直しは、今の構成を壊すところから始めません。判断したい単位を先に書き出し、いまの枠との差分だけを、比較できる形で少しずつ動かします。

ステップ1:現状を棚卸しする

まず、すべてのキャンペーンと広告グループを一覧にし、直近数か月の費用、クリック、コンバージョンを並べます。可能であれば、商談化した件数も横に置きます。この時点で、費用がほとんど発生していない枠、コンバージョンがゼロのまま続いている枠、作った理由を誰も説明できない枠に印をつけます。

ステップ2:判断したい単位を先に書き出す

次に、今の構成を見ずに「予算を別々に決めたいもの」「目標が違うもの」「配信条件が違うもの」を書き出します。事業責任者に「来期、この二つの予算を別々に決めますか」と聞けば、分けるべき単位はかなり絞り込めます。これが、見直し後のキャンペーンの設計図になります。

ステップ3:統合と分割の対象を決める

設計図と現状を突き合わせ、差分を三つに分類します。設計図より細かく分かれている枠は統合の候補、一つの枠に別々に判断したいものが混ざっていれば分割の候補、設計図どおりの枠はそのまま残します。統合の候補が多いアカウントほど、見直しの効果は大きくなります。

ステップ4:一度に全部を動かさない

対象が決まったら、影響の小さい枠から順に動かします。すべてを同じ日に作り直すと、成果が変わったときに原因を特定できず、戻すこともできません。まずは費用の少ない枠の統合から始め、実務上の目安として2〜4週間ほど様子を見てから、主力の枠に手をつけるのが安全です。

統合と分割で、過去データと学習はどうなるか

構成を変えるときに最も注意したいのが、過去のデータの扱いです。新しくキャンペーンを作ってキーワードを移すと、そのキャンペーンには過去の実績がない状態から配信が始まります。過去の数字は元のキャンペーン側に残るため、レポートで前後を比較するときは、新旧の枠を手作業で突き合わせることになります。

自動入札を使っている場合は、新しい枠で学習をやり直す期間が生じると考えておくのが無難です。どの程度の期間や変動が起きるかは、設定や媒体側の仕様によって変わるため断定できません。少なくとも、見直し直後の成果の揺れを見て、慌てて設定を戻したり別の変更を重ねたりはしないでください。戻すと、学習がもう一度やり直しになります。

統合の過程では、同じキーワードが新旧二つの枠に一時的に存在する状態も起きます。どちらの広告が配信されるかを人が制御しにくくなるので、移し終えたら元の枠を速やかに停止し、除外キーワードの設定も新しい枠に引き継ぎます。除外キーワードは枠ごとに持っていることが多く、移し忘れると、それまで止めていた無関係な検索に再び配信されます。移す前に除外キーワードの一覧を書き出し、新しい枠に同じ設定が入ったかを照合します。

構成変更の直後は、自動入札の再学習と過去データの分断が同時に起きます。見直し前の数週間の実績を記録しておかないと、変更が良かったのか悪かったのかを後から判断できなくなります。

ステップ5:比較期間を決めて振り返る

最後に、変更前と変更後を比べる期間を先に決めておきます。BtoBの検索広告は平日と週末の差が大きく、月末や期末にも波があるため、少なくとも数週間分を同じ曜日構成で比べます。見るのは合計の獲得単価だけでなく、商談化した件数と、枠ごとに判断ができるようになったかどうかです。後者が改善していれば、構成の見直しは目的を果たしています。

命名規則は、担当者が替わっても読める形にする

キャンペーン名は、管理画面だけでなくレポートやCRMにも流れていく「データの見出し」です。誰が見ても、名前だけで何の枠かがわかる規則にします。

命名規則がないアカウントでは、「新規」「テスト2」「春施策」といった名前が並びます。作った本人には意味がわかっても、担当者が替わった瞬間に誰にも読めなくなります。構成を「判断したい単位」で設計したなら、その単位が名前から読み取れるようにしておかないと、設計の意図が引き継がれません。

おすすめは、名前を決まった順番の要素で組み立てる方法です。要素は、そのキャンペーンを分けた理由と一致させます。

順番要素記入例入れる理由
1配信の種類検索他の配信形式と並んだときに区別する
2目標問合せ、資料許容する獲得単価の違いを名前で示す
3キーワード区分指名、一般、競合成果の水準が違う枠を取り違えない
4テーマ勤怠管理どの事業の予算かを示す
5地域全国、関東配信条件の違いを示す

この順番で「検索_問合せ_一般_勤怠管理_全国」のように組み立てます。区切り文字は一種類に固定し、略語を使うなら略語の一覧を運用メモに残しておきます。広告グループ名は、そのグループが答える検索意図を短く書くのが基本で、「勤怠管理_比較」「勤怠管理_料金」のようにします。

日付を名前に入れるのは、期間限定の施策に限ります。常設の枠に作成日を入れると、見直しのたびに名前を変えるか、古い日付のまま運用するかの二択になり、どちらも混乱のもとになります。

命名規則の差が出るのは、広告の成果を商談や受注と結びつけて見る段階です。キャンペーン名がCRMのレポートにそのまま表示されるため、名前から目標やキーワード区分が読めれば、営業側と同じ表を見ながら議論できます。命名規則を決める前に、Google広告とHubSpotをつないで受注まで計測する設定が済んでいるかを確かめておくと、名前がどのレポートにどう出るかを見ながら決められます。

やらない判断|構成を複雑にするだけの分け方

構成の失敗の多くは、足りないことより、分けすぎることで起きます。次の分け方は、BtoBの母数では基本的に採用しません。

キーワードごとに広告グループを作る

1つのキーワードに1つの広告グループを割り当てる構成は、キーワードと広告文を完全に一致させる手法として知られてきました。検索語句がキーワードとほぼ同じ文字列でしか一致しなかった時代には、一定の合理性がありました。現在はGoogle広告ヘルプの定義でも、完全一致のキーワードが「同じ意味や同じ意図」の検索語句に広告を出す仕様になっているため、細かく分けても実際に一致する検索語句はグループをまたいで重なり、狙った一致度は得にくくなっています。BtoBの母数でこれをやると、月に数クリックのグループが数百並ぶだけです。

商品ごとに機械的にキャンペーンを増やす

取り扱う製品やプランが増えるたびにキャンペーンを追加していくと、予算が細かく割られ、主力でない枠ほど配信が不安定になります。商品ごとに予算や目標を別々に決めているのでない限り、商品の違いは広告グループで表現します。キャンペーンを増やすのは、その商品に独立した予算を置くと決めたときだけです。

マッチタイプごとにキャンペーンを複製する

同じキーワードを完全一致用とフレーズ一致用のキャンペーンに分けて複製する構成もよく見かけます。管理の手間が倍になるうえ、同じ意図の検索語句が二つの枠に散り、どちらも判断に足るデータが集まりません。マッチタイプの使い分けは同じ広告グループの中で行い、構成を分ける理由にはしないのが基本です。

デバイスや曜日で分ける

パソコンとスマートフォン、平日と週末で成果が違うことは、BtoBではよくあります。ただし、その違いはキャンペーンを分けなくても、配信の調整やレポートで確認できることが多いものです。分けることでデータが半分になるなら、分けずに傾向だけを見るほうが判断しやすくなります。

構成の見直しより先にやるべき場合

次の状態にあるなら、構成に手をつける前に直すものがあります。コンバージョンが正しく計測されていない場合は、どう分けても判断の材料がありません。月の予算が小さく、すでに一つのキャンペーンでもデータが足りない場合は、分け方の問題ではなく配信量の問題です。検索語句を確認して無関係な検索を止める作業が滞っている場合も、そちらが先です。構成の見直しで成果が変わるのは、計測と配信量と除外という土台が整ってからです。いまのアカウントで何から手をつけるべきか、優先順位の整理から相談したい方はこちらからお問い合わせください。

まとめ

アカウント構成は、細かさではなく、判断したい単位と一致しているかで評価します。

Google検索広告のアカウント構成で迷ったら、階層ごとに問いを変えます。キャンペーンは「別々に予算や目標を決める理由があるか」で分け、広告グループは「同じ広告文と同じページで答えられるか」で分けます。見やすさ、組織図、商品の数、マッチタイプは、それだけでは分ける理由になりません。

BtoBの検索広告は、コンバージョンの総数が小さいという前提から逃れられません。枠を増やすほど1枠あたりのデータは薄くなり、自動入札にとっても人の判断にとっても材料が足りなくなります。指名キーワードのように成果の水準が明らかに違うものは分け、そうでないものは束ねる。この線引きが、少ない母数を判断に使える形で残す方法です。

既存のアカウントを見直すときは、判断したい単位を先に書き出し、差分だけを小さな枠から順に動かします。過去データの分断と再学習を前提に、変更前の実績を記録し、比較期間を決めておく。そして、キャンペーン名から分けた理由が読めるように命名規則を揃える。構成は一度作って終わりではなく、事業の予算の決め方が変わったときに合わせて見直すものです。

検索広告のアカウント構成を見直したい方へ

増えすぎたキャンペーンを、判断できる単位に組み直します

Ampelは、BtoB企業のGoogle検索広告について、現状の棚卸しから、予算と目標に沿った構成の設計、移行の順番、商談まで追える計測の整備までを支援しています。キャンペーンが多すぎてどの枠が商談につながっているかわからない、代理店の構成が妥当か判断できないといった段階からご相談いただけます。

よくある質問

Google広告のキャンペーンはいくつに分けるのが適切ですか。
適切な数は決まっていません。数ではなく、別々に予算や目標を決めたい単位がいくつあるかで決まります。広告を始めたばかりのBtoBアカウントなら、指名・競合・カテゴリの三つ程度から始め、事業ごとに予算を分ける、目標ごとに許容する獲得単価を変えるといった理由が生まれたときに増やします。理由のない分割は、1枠あたりのデータを薄くするだけです。
1つの広告グループにキーワードはいくつまで入れてよいですか。
個数の上限で考えるより、同じ広告文と同じページで答えられる検索語句かどうかで判断します。意図が同じ語句なら数十個入っていても問題になりにくく、逆に数個でも知りたいことが違う語句が混ざっているなら分けるべきです。キーワードが多すぎて広告文がどの語句にも中途半端になっているなら、それが分割のサインです。
キャンペーンを統合すると過去のデータは消えますか。
一般的には、元のキャンペーンを停止しても過去の実績はそのキャンペーン側に残ります。ただし新しく作ったキャンペーンには実績がない状態から配信が始まるため、レポートで前後を比較するには新旧の枠を突き合わせる必要があります。自動入札を使っている場合は学習をやり直す期間が生じると考えておき、変更前の実績を記録してから移行してください。具体的な挙動は媒体の仕様変更で変わることがあるので、実施時点で確認することをおすすめします。
商品やサービスごとにキャンペーンを分けるべきですか。
商品ごとに予算や目標を別々に決めているなら分けます。そうでなければ、商品の違いは広告グループで表現すれば足ります。コンバージョンの総数が小さいBtoBでは、商品の数だけキャンペーンを作ると、主力でない商品の枠ほどデータが集まらず、配信も判断も不安定になりやすいためです。
代理店が作ったアカウント構成が妥当かどうかは、どう確かめればよいですか。
各キャンペーンについて「この枠だけ予算や目標を別にしている理由は何か」を代理店に説明してもらうのが最も確実です。理由が予算、目標、配信条件のどれかで説明できれば妥当な分割です。「見やすいから」「以前からこうなっているから」という説明しか返ってこない枠が多い場合は、統合を検討する余地があります。あわせて、キャンペーン名から分けた理由が読み取れるかも確認してください。

BtoBマーケティングの戦略設計から施策実行、運用定着までを一気通貫で支援します。