名刺管理、Web会議、ウェビナー、SFA、kintone、Slack。HubSpotを入れると、社内で使っているツールとつなぎたい候補がすぐに5つも6つも出てきます。App Marketplaceで検索すればアプリは見つかり、インストール自体は数分で終わります。困るのはその後で、会社名が勝手に書き換わる、同じ人が2件できる、半年前から同期が止まっていたのに誰も気づかなかった、といった相談がHubSpotの運用支援では繰り返し届きます。
HubSpot連携で最初に決めるのは、どのアプリを入れるかではありません。流したいデータを項目ごとに書き出し、どちら向きに流すか、値が食い違ったらどちらを正とするかを決めてから、その条件を満たす連携方法を選びます。順番を逆にすると、アプリの初期設定がそのまま自社のデータ運用のルールになります。
つなぎたいツールがいくつも挙がっている会社では、アプリ選びの前に、項目ごとにデータをどちら向きに流すかと、値が食い違ったときにどちらを正とするかが決まっていれば、連携の方法は自然に絞られます。CSVの取り込みで足りる相手なら、連携を増やす必要もありません。
目次
HubSpot連携で決めるのは、何をどちら向きに流すか
HubSpot連携とは、HubSpotと外部ツールの間でレコードや活動の情報を自動で受け渡す設定のことです。設定の中身は、流す項目、流す向き、食い違ったときの優先側の3つに分けて決めます。
「連携する」という言葉は、実際には性質の違う3種類の動きをまとめて指しています。1つ目は外部ツールからHubSpotへの取り込みで、名刺の情報やウェビナーの参加履歴をコンタクトに入れる動きです。2つ目は双方向の同期で、HubSpotとSFAやkintoneの間で会社や取引の値を互いに更新し合います。3つ目は通知や操作の受け渡しで、HubSpotのフォーム送信をSlackに知らせるように、レコードの値そのものは同期しません。
3種類のどれに当たるかで、失敗の仕方が違います。取り込みでは重複と、取り込んだ値がHubSpot側の入力を上書きすることが問題になります。双方向同期では、どちらの値が残るかのルールを決めていないと、営業が直した値が翌日に元に戻ります。通知は壊れてもデータは傷みませんが、通知が多すぎて誰も読まなくなります。
たとえば営業責任者から「商談の金額をHubSpotとSFAの両方で見たい」と言われたとします。ここで確認するのは、金額を入力するのは営業がSFAで行うのか、HubSpotでも直すのか、という点です。SFAでしか入力しないなら、向きはSFAからHubSpotへの片方向で足ります。両方で直す運用にするなら、双方向にしたうえで、同じ日に両方で直されたときにどちらを残すかまで決める必要があります。
連携の方法は4種類ある|アプリ・データ同期・汎用連携・API
連携の方法は、App Marketplaceのアプリ、HubSpotのデータ同期、Zapierなどの汎用連携、APIを使った独自開発の4つです。まずマーケットプレイスで対象ツールのアプリを探し、必要な項目と向きが足りない場合だけ次の方法に進みます。
App MarketplaceはHubSpotの画面上部にあるマーケットプレイスのアイコンから開き、アプリの掲載ページから直接インストールします。インストールにはスーパー管理者か、App Marketplaceのアクセス権限が必要です。掲載ページには提供元(Built by)が表示され、HubSpotが作ったアプリはHubSpotのサポート対象、パートナー企業が作ったアプリは提供元がサポートを担当します。
データ同期は、HubSpotが提供する同期の仕組みで、対応するアプリとの間でコンタクトや会社などのレコードを双方向、HubSpotへの取り込みのみ、HubSpotからの送り出しのみのいずれかで同期します。マーケットプレイスで提供元がHubSpotになっている同期アプリの多くがこの仕組みで動いています。Zapierは、あるツールで起きた出来事をきっかけに別のツールでレコードを作る・更新する汎用の連携サービスで、HubSpot用のアプリもマーケットプレイスに掲載されています。APIによる独自開発は、上の3つで扱えない項目やデータ量、処理の順番がある場合の手段です。
| 方法 | 向く場面 | 向かない場面 | 設定と保守を担う人 |
|---|---|---|---|
| App Marketplaceのアプリ | 対象ツールのアプリがあり、同期される項目で用が足りる | アプリが扱わない項目や独自の処理が必要 | HubSpot管理者。不具合時は提供元に問い合わせる |
| データ同期 | SFA・kintoneなどと会社・コンタクト・取引を継続的に同期する | 対応アプリがない。1回きりの移行 | HubSpot管理者。項目の対応づけを自社で決める |
| Zapierなどの汎用連携 | 「申込があったら1件作る」のように出来事ごとに少量を流す | 大量データの双方向同期、既存レコードの一括更新 | 設定した担当者。担当者の異動で分からなくなりやすい |
| API・独自開発 | 独自の項目、大量データ、処理順の制御が必要 | 要件がまだ固まっていない。保守する人がいない | 開発者。仕様変更への追随も含めて契約する |
Zapierの連携は、月に数十件の申込をHubSpotに入れる用途なら十分に動きます。一方で、設定した担当者のアカウントに紐づいたまま運用されることが多く、担当者が異動した後に「このコンタクトはどこから来たのか」を誰も説明できなくなります。Zapierで組むときは、どのZapが何をHubSpotに書き込むかを、HubSpot管理者が見られる場所に一覧で残してください。
APIで独自に組む場合は、認証の方式も確認します。HubSpotの開発者向け変更履歴では、従来のプライベートアプリ(レガシープライベートアプリ)の新規作成を、2026年9月28日以降に作成されたアカウントでは同日から、それ以前からあるアカウントでも2026年10月26日から止めると告知されています。既存のプライベートアプリはそのまま動き、代わりの手段としてサービスキーが案内されています。これから開発を発注するなら、どの認証方式で組むかを見積もりの段階で開発会社に確認してください。
BtoBでよく使う連携と、同期される内容の確認箇所
同じ「〇〇連携」でも、アプリによって同期される項目と向きは違います。インストール前に、掲載ページとHubSpotのナレッジベースで、提供元・向き・対象のオブジェクト・必要なプランの4点を確認します。
確認の場面は、たとえばマーケティング担当が「Zoomと連携すればウェビナーの参加者が全部HubSpotに入る」と考えてインストールし、申込フォームに会社名と役職の必須項目を足した直後です。HubSpotのナレッジベースによると、ZoomウェビナーとHubSpotの連携が受け付ける登録項目は姓・名・メールアドレスの3つで、それ以外の必須項目を足すと登録が失敗します。ここを読まずに告知メールを送ると、申込が1件も入らない状態に当日まで気づきません。
| 連携先の種類 | 公式情報で確認できた内容 | インストール前に確かめること |
|---|---|---|
| 名刺管理(Sansan) | HubSpotが提供するアプリがある。掲載ページではSansanからHubSpotへの一方向で、対象はコンタクト。同期できるのは公開・共有タグで上限300 | 同じメールアドレスの名刺が複数あると正しく同期されない場合がある。Sansanで削除してもHubSpotからは消えない |
| Web会議(Zoom) | HubSpotが提供するアプリがあり、HubSpotの会議にZoomのリンクを付けられる。会議は参加者のコンタクトに活動として記録され、録画と文字起こしも同期できる | 録画と文字起こしを誰の分まで同期するか。社外に見せない会議の扱い |
| ウェビナー(Zoomウェビナー) | ZoomからHubSpotへの一方向。登録と参加の有無、参加時間がコンタクトとマーケティングイベントに入る | 登録フォームの必須項目は姓・名・メールの3つに限る。メールアドレスのないゲストは同期されない。Zoom側にウェビナーの追加契約が必要 |
| SFA(Salesforce) | HubSpotのProfessional以上のプランが必要。コンタクト・会社・取引などを同期し、項目ごとに同期ルールを選べる | 同期対象を絞るインクルージョンリストの条件。Salesforce側のAPI呼び出しの上限 |
| kintone | HubSpotが提供するデータ同期アプリがある。片方向・双方向を選べ、kintoneのアプリ(テーブル)を会社・コンタクト・取引などに同期する | 掲載ページではData Hub(旧Operations Hub)のStarter以上とkintoneのスタンダードコースが前提。コンタクトの同期にはkintone側でメールアドレス型の項目が必要 |
| Slack | 全プランで利用できる。HubSpotの通知をSlackで受け取り、Slackからタスクやチケットを作れる | レコードの値を同期する連携ではない。通知の対象をどこまで広げるか |
| 会計ソフト | ソフトごとに異なる | マーケットプレイスに対象ソフトのアプリがあるか、提供元はどこか、請求や入金のどの情報がHubSpotのどのオブジェクトに入るか |
| 広告媒体 | HubSpotの広告ツールで広告アカウントを接続する | 広告のリードフォームの取り込みと、商談・受注を媒体に返す計測は別の設定 |
名刺管理は、展示会の翌週に数百枚の名刺がまとめてHubSpotに入る場面で問題が表に出ます。同じ人の名刺が過去にもあればメールアドレスで照合されますが、メールアドレスのない名刺は既定では同期されず、社名の表記ゆれは残ります。名刺を入れる前に、リードの名寄せをどこまでやるかを決めておくと、取り込んだ後の手作業が減ります。Sansan側にも、Sansanの製品からHubSpotの会社・コンタクトへ情報を連携する仕組みが案内されているため、どちらの提供元の連携を使うかは両社の公式情報で同期の向きと対象を見比べて決めてください。
Zoomウェビナーの連携で入るのは、登録と参加の記録までです。当日の質問内容やアンケートの回答を商談の判断に使いたい場合は、ウェビナー当日にどの情報を取るかを先に決め、そのうえで連携で入らない情報をどう取り込むかを考えます。
Salesforceとの連携は、ツールの組み合わせそのものを見直す話と切り離せません。両方を使い続けるかどうかをまだ決めていないなら、先にHubSpotとSalesforceのどちらに寄せるかを決めてください。広告媒体との連携は、目的によって設定が分かれます。広告のリードフォームで獲得したリードを取り込むなら広告リードをHubSpotに自動で取り込む設定、Google広告のアカウント接続やオーディエンスの同期ならHubSpotとGoogle広告の連携設定、受注までを広告の成果として計測するならGoogle広告とHubSpotで受注まで計測する設計に進みます。
SFAをSalesforceのまま残してHubSpotをMAとして使う場合は、HubSpotとSalesforceの連携設定と同期ルールの選び方に沿って、項目ごとの同期ルールとSalesforceに渡すコンタクトの絞り込みを接続前に決めます。
Zoomをウェビナーに使っている場合は、Zoom連携を使ったウェビナー1回分の運用に沿って、申込者の登録と参加記録の戻し方をプランに合わせて決めます。
同期の向きと上書きのルールは、項目ごとに決める
同期の向きは、取り込みのみ・送り出しのみ・双方向の3つから選び、双方向の場合は値が食い違ったときにどちらのツールの値を残すかを必ず決めます。向きを迷ったら片方向から始めます。
HubSpotのデータ同期では、同期の向きを双方向、HubSpotへの取り込みのみ、HubSpotからの送り出しのみの3つから選びます。双方向を選んだ場合は、データが食い違ったときに優先するアプリを1つ選びます。HubSpotのナレッジベースでは、優先側のアプリに値が入っていない場合は相手側のデータを変更しないと説明されています。
Salesforceとの連携では、さらに細かく、項目ごとに同期ルールを選びます。選べるのは「Salesforceが空欄でない限りSalesforceを優先(Prefer Salesforce unless blank)」「常にSalesforceを使用(Always use Salesforce)」「双方向(Two-way)」「同期しない(Don’t sync)」の4つです。双方向では、新しく更新された値が既存の値を上書きし、片方で値を消すともう片方でも消えます。
向きの決め方は、その項目を日常的に入力する人がどちらのツールを開いているかで決めます。商談金額や受注予定日を営業がSFAでしか入力しないなら、SFAからHubSpotへの片方向で足ります。反対に、フォームから入る流入元やメール配信の停止状況はHubSpotで生まれる情報なので、HubSpotから外部へ送り出すか、そもそも送らないかのどちらかです。
双方向にするのは、両方のツールで同じ項目を直す人が実際にいる場合だけにします。双方向は便利に見えますが、誤った値も両方向に広がります。営業アシスタントがkintoneで会社の住所を一括で置き換えた結果、HubSpotの住所も全件書き換わった、という事故は双方向の設定でしか起きません。
フィルターで同期対象を絞っても、一度同期されたレコードは、その後フィルターの条件から外れても同期が続きます。テスト用に数件だけ流すつもりで始めた同期も、流れたレコードは本番と同じ扱いになります。
項目の対応表を1枚作ってから同期を始める
同期を有効にする前に、HubSpotのプロパティと相手側の項目を1行ずつ並べた対応表を作り、向き・優先側・入力する人を書き込みます。この表が、後で値がおかしくなったときの確認の起点になります。
HubSpotのデータ同期アプリには既定の対応づけ(デフォルトのフィールドマッピング)があり、既定のものは削除も編集もできず、オフにすることだけができます。独自の対応づけを追加するには、Data HubのStarter以上のプランが必要です。既定の対応づけをそのまま有効にすると、自社で使っていない項目まで同期され、どの値がどこから来たのかが分からなくなります。
対応表の列は次のとおりです。例として、kintoneの案件管理アプリとHubSpotの取引を同期する場合を書いています。
| HubSpotのプロパティ | 相手側の項目 | 向き | 食い違ったときの優先側 | 入力する人 |
|---|---|---|---|---|
| 取引名 | 案件名 | kintone→HubSpot | kintone | 営業 |
| 金額 | 見積金額 | kintone→HubSpot | kintone | 営業 |
| 取引ステージ | 進捗 | kintone→HubSpot | kintone | 営業 |
| オリジナルソース | 流入経路 | HubSpot→kintone | HubSpot | 自動(HubSpot) |
| 担当者メモ | (同期しない) | なし | なし | 各自 |
表を作ると、項目の型が合わない組み合わせが見つかります。HubSpotのナレッジベースでは、テキストはテキスト、数値は数値、日付は日付と同期し、ドロップダウンの選択肢は自動では更新されず、すべてのドロップダウンが双方向に同期できるわけではないと説明されています。kintoneの「進捗」に新しい選択肢を足したのにHubSpotの取引ステージが空欄になった、という場合はこの制約を疑います。選択肢の値をそろえる作業は、HubSpotのプロパティを作るときの基準と同じ考え方で、使う値だけを残してから対応づけます。
「同期しない」行も表に書き残してください。担当者メモのように各ツールの中でしか意味を持たない項目を明示しておくと、後から「この項目も同期してほしい」と頼まれたときに、なぜ外したのかをすぐに説明できます。
どちらのツールを正のデータにするかは、情報が生まれる場所で決める
正のデータ(マスター)は、ツール単位ではなく情報の種類ごとに決めます。基準は、その情報が最初に入力される場所と、日常的に更新する人がいる場所です。
「顧客データの正はSFA」「いやHubSpot」とツール単位で決めようとすると、議論がまとまりません。会社の基本情報、担当者の連絡先、商談の金額、請求の状況は、それぞれ生まれる場所が違うからです。
| 情報の種類 | 正にする場所の例 | 理由 |
|---|---|---|
| 担当者の氏名・メールアドレス | HubSpot(フォーム・名刺の取り込み先) | フォーム送信と名刺の取り込みがHubSpotに集まる。メールの配信停止もHubSpotで管理する |
| 流入元・Web行動・メールの反応 | HubSpot | HubSpotの中でしか記録されない |
| 商談の金額・ステージ・受注予定日 | 営業が日常的に使っているツール | 入力する人が開いている画面の値が最新になる |
| 請求・入金の状況 | 会計ソフト | 経理が確定させる情報で、HubSpotは参照に使う |
| 会社名の表記・住所 | 名寄せのルールを決めた側 | 表記をそろえる担当がいる側を正にしないと、ゆれが戻ってくる |
正を決めた項目は、正でない側では編集させない運用にします。SFAが正の金額プロパティは、HubSpot側では営業も含めて誰も直さないと決め、プロパティの説明欄に「SFAで入力。HubSpotでは編集しない」と書いておきます。正でない側で直せる状態を残すと、片方向の同期では直した値が次の同期で消え、双方向の同期では誤った値が正の側に書き戻ります。
マーケティング責任者と営業責任者が同じ表を見て合意する場面を作ってください。30分の打ち合わせで、情報の種類ごとに「どこで入力するか」「誰が直すか」を決めれば足ります。この合意がないまま連携を有効にすると、半年後に取引の金額がツールごとに違うことに経営会議の場で気づきます。
kintoneで案件を管理している場合は、kintoneとHubSpotで入力する画面を分ける組み方を先に決めると、受注の前後でどちらを正にするかが項目ごとに決まります。
連携を増やしすぎないための判断
連携は1本ごとに、管理する人と壊れたときの確認作業を増やします。月に数回の手作業で済む連携、同じ項目に2本目の連携が書き込む連携、誰も結果を見ていない連携は作りません。
連携の候補が出たら、次の4つを1つずつ確認します。1つでも当てはまれば、その連携は作らないか、後回しにします。
- 更新が月に数回で、担当者がCSVを取り込めば済む
- 同じHubSpotのプロパティに、すでに別の連携やワークフローが値を書き込んでいる
- 連携で入ったデータを使うレポート、リスト、ワークフローがまだ決まっていない
- 連携が止まったときに気づいて直す担当者を決められない
2つ目の条件は、実際の運用で最も多く問題を起こします。たとえば、名刺管理のアプリとSFAの同期の両方がコンタクトの役職を書き込んでいると、どちらが後に動いたかで役職が入れ替わります。HubSpotの接続アプリの画面には、アプリごとにレコードを作成・更新した件数が日ごとに表示されるので、同じオブジェクトを複数のアプリが更新していないかを定期的に見てください。
3つ目の条件は、連携の目的を確認するためのものです。「Zoomの参加履歴が入れば便利そう」という理由で入れた連携は、参加者をワークフローで次の連絡につなげる設計がないまま、コンタクトの画面に履歴が並ぶだけになります。使い道が決まってから入れても遅くありません。
連携を入れる前に、そのデータを使うレポートやリストを1つ先に作っておくと、連携が必要かどうかと、どの項目が本当に要るかがはっきりします。
自社で連携の設計まで手が回らない場合は、どの項目をどちら向きに流すかの対応表づくりから相談窓口で一緒に整理できます。
SlackやTeamsとの連携は値を同期しない通知中心の連携なので、SlackやTeamsへの通知の経路と条件の決め方を先に決めてから入れます。通知を受けた人が何をするかが決まらないうちは、連携を足さない判断もできます。
連携が止まったとき、データがおかしいときの確認順
連携の不具合は、接続が切れているか、特定のレコードだけ失敗しているか、同期はしているが値が想定と違うかの3つに分けて確認します。接続の状態から順に見れば、多くは設定画面の中で原因が分かります。
最初に見るのは、設定の「連携」にある「接続アプリ」の画面です。接続の概要には、接続の有効期限が切れたアプリ、切断されたアプリ、接続エラーのあるアプリが表示されます。インストールした担当者が退職してアカウントが無効になった、相手側ツールのパスワードやAPIキーを変えた、といった理由で切れていることが多く、再接続すれば同期が戻ります。
接続が生きているのに一部のデータが入らない場合は、データ同期の同期状況を確認します。HubSpotのナレッジベースによると、同期の状況は同期中・失敗・除外の件数で表示され、件数をクリックすると個別のレコードの状態と失敗の理由を確認できます。一部のレコードだけ失敗している場合は、そのレコードだけ再同期できます。Salesforceとの連携では、同期の状態を確認するタブで、エラーの種類ごとの件数と影響を受けたレコードを確認できます。
| 症状 | 最初に確認する箇所 | よくある原因 |
|---|---|---|
| 何も同期されない | 接続アプリの接続状況 | 接続の期限切れ、インストールした人のアカウント停止、相手側の認証情報の変更 |
| 一部のコンタクトだけ入らない | 同期状況の「除外」「失敗」の内訳 | メールアドレスがない(既定ではメールアドレスのあるコンタクトだけ同期)、相手側の必須項目が空 |
| 同じ人・会社が2件できる | 照合に使う項目 | コンタクトはメールアドレス、会社は会社名かドメインで照合するため、表記やドメインが違うと別レコードになる |
| 直した値が元に戻る | その項目の向きと優先側 | 正でない側で編集している。双方向で相手側の更新が後に来ている |
| 選択肢の項目だけ空欄になる | ドロップダウンの選択肢の値 | 片方にだけ選択肢を追加した |
大量のレコードで初めて同期を始めた場合は、初回の同期に数日かかることがあるとHubSpotのナレッジベースに書かれています。初回の同期が終わるまでは、件数が合わなくても設定を変えずに待ちます。途中で対応づけを変えると、どの時点の設定で同期された値なのかを後から追えなくなります。
同期を一時的に止めたいときは、接続アプリの画面からオブジェクトごとに同期をオフにできます。設定は残るので、原因を直した後に再開できます。重複が大量にできてしまった後の整理は、HubSpotのデータ整備の手順に沿って、統合する基準を決めてから進めます。
アプリをインストールした担当者の退職や異動で、接続が切れたまま数か月気づかれないことがあります。連携ごとに管理者を2人決め、接続アプリの通知を両方が受け取れるようにしておきます。
まとめ
HubSpot連携の成否は、アプリを選ぶ前の準備で決まります。流したい項目を書き出し、項目ごとに向きと正の側を決め、その条件を満たす方法をアプリ、データ同期、汎用連携、APIの順に当てはめます。どれにも当たらない、または使い道の決まっていない連携は作りません。
次にやることは、いま最もつなぎたいツールを1つ選び、対応表の5列(HubSpotのプロパティ、相手側の項目、向き、優先側、入力する人)を埋めることです。表が埋まらない項目があれば、その項目は連携の前に社内で決めることが残っています。すでに連携が動いているなら、接続アプリの画面で接続エラーと、同じオブジェクトを更新しているアプリの数を確認してください。
複数のツールがすでにつながっていて、どの値がどこから来ているのか分からなくなっている場合は、現状の連携の棚卸しからご相談ください。
HubSpot連携のご相談
つなぐ項目・向き・正のデータを決めてから、連携方法を選びます
名刺管理、Web会議、SFA、kintoneなど、つなぎたいツールと現在のデータの持ち方を伺い、項目の対応表と同期ルールを一緒に作ります。すでに連携していて値が合わない、重複が増えているといった状態からのご相談も受け付けています。
よくある質問
- HubSpotの連携アプリは無料プランでも使えますか。
- 使えるアプリと使えないアプリがあります。Slack、Zoom、SansanのアプリはHubSpotのナレッジベースで全プラン対象と案内されていますが、Salesforceとの連携はProfessional以上のプランが必要です。データ同期で独自の項目を対応づけるにはData HubのStarter以上が必要です。インストール前に、掲載ページの対応プランを確認してください。
- kintoneとHubSpotはどうやって連携しますか。
- App Marketplaceに、HubSpotが提供するkintoneのデータ同期アプリがあります。片方向か双方向かを選び、kintoneのアプリを会社・コンタクト・取引などに同期します。掲載ページではData Hub(旧Operations Hub)のStarter以上とkintoneのスタンダードコースが前提とされ、コンタクトの同期にはkintone側でメールアドレス型の項目が必要です。
- SansanとHubSpotを連携すると何が同期されますか。
- HubSpotが提供するSansanのアプリでは、名刺の情報がHubSpotのコンタクトとして同期されます。掲載ページではSansanからHubSpotへの一方向と説明されています。同期できるタグは公開・共有タグで上限300、既定ではメールアドレスのある名刺だけが対象です。
- Zoomウェビナーの参加者をHubSpotに入れるには何が必要ですか。
- HubSpotのZoomアプリを接続し、ウェビナーのデータ同期をオンにします。Zoom側にウェビナーの追加契約が必要で、登録フォームの必須項目は姓・名・メールアドレスの3つにとどめます。それ以外の必須項目を足すと登録が失敗します。
- 連携アプリがない場合はどうすればよいですか。
- 出来事ごとに少量のデータを片方向で流すならZapierなどの汎用連携、独自の項目や大量データの同期が必要ならAPIで開発します。更新が月に数回なら、連携を作らずにCSVを定期的に取り込むほうが、管理する設定が増えません。