HubSpotを入れて営業にGmailやOutlookをつないでもらおうとしたら、「つないだら自分のメールが全部上司に見えるんですよね」と言われて話が止まった。あるいは、Chromeの拡張機能を入れたのに、顧客のタイムラインにメールが1通も残っていない。HubSpotのメール連携の相談で多いのはこの2つです。どちらも、受信トレイの接続と拡張機能の違い、記録とトラッキングの違いを分けないまま設定を始めたことから起きています。
HubSpotとGmail・Outlookの連携は、管理者が「どの相手とのメールを記録するか」を先に決め、そのあとで各営業が受信トレイを接続する順番で進めると、営業の抵抗も記録漏れも減ります。受信トレイを接続すると、既定の設定では登録済みのコンタクトとのメールが、スマートフォンから送ったものも含めて記録されるためです。
営業が数名で、まだ誰も受信トレイを接続していない段階なら、進め方を左右するのは、記録する相手の範囲と、記録したメールを社内の誰が見られるかの2つです。開封通知を使わない、拡張機能を入れないという選択も、この2つが決まっていれば迷わずに判断できます。
目次
- 1 HubSpotとGmail・Outlookをつなぐ仕組みは受信トレイの接続とHubSpot Salesの2つ
- 2 記録とトラッキングは別の機能で、残るものと見る人が違う
- 3 受信トレイを接続する手順と、接続した時点から記録される範囲
- 4 GmailにHubSpot Sales拡張機能を入れる手順
- 5 OutlookにHubSpot Salesアドインを入れる手順
- 6 社内ドメインと個人的な相手はログに記録しないリストで除外する
- 7 記録したメールが誰に見えるかは、レコードの閲覧範囲で決まる
- 8 全部見られるのではという営業の不安には、記録される範囲を画面で見せて答える
- 9 無料版と有料版で変わるのは、クリックの記録と通知の件数
- 10 つながらない・記録されないときは、権限、接続、相手、ルールの順に確かめる
- 11 拡張機能を入れない、トラッキングを使わないという判断
- 12 まとめ
- 13 よくある質問
HubSpotとGmail・Outlookをつなぐ仕組みは受信トレイの接続とHubSpot Salesの2つ
受信トレイの接続は、HubSpotの画面からメールを送り、顧客とのメールをCRMに残すための接続です。HubSpot Salesは、GmailやOutlookの画面の中でメールを記録・トラッキングするための拡張機能とアドインで、受信トレイの接続とは別に入れます。
HubSpotのGmail連携とは、営業担当者個人の仕事用メールアカウントをHubSpotに接続し、顧客とのメールをコンタクトや取引のタイムラインに残せる状態にすることです。公式ヘルプでは、受信トレイを接続するとできることは、CRMからの1対1のメール送信、返信のCRMへの記録、シーケンスのメール送信、HubSpot Salesの導入の4つです。対応しているのはGoogle(Gmail)、Microsoft Outlook(365)、Microsoft Exchange(2010 SP2以降)、IMAPで接続するその他のメールサービスです。
HubSpot Salesは、Gmail用のChrome拡張機能と、Outlook用のアドインの総称です。メールを書く画面に「ログ」と「トラッキング」のチェックボックスが加わり、受信トレイの横で相手のコンタクト情報を確認できるようになります。
| 項目 | 受信トレイの接続 | HubSpot Sales(拡張機能・アドイン) |
|---|---|---|
| 設定する場所 | HubSpotの設定画面 | ChromeウェブストアまたはMicrosoft AppSource |
| 主な役割 | CRMからの送信、返信と既存コンタクトとのメールの記録 | Gmail・Outlookで送るときに記録とトラッキングを選ぶ、受信トレイの横でレコードを見る |
| Gmailでの位置づけ | 拡張機能だけでも記録とトラッキングはできる | Chromeで使う |
| Outlookでの位置づけ | Office 365アドインを使う前提として必要 | Office 365アドインを入れる |
| 設定する人 | 各ユーザー(「個人用メールへのアクセス」権限が必要) | 各ユーザー、または管理者が一括で配布 |
| 使えるプラン | すべての製品とプラン | すべての製品とプラン |
実務では両方を入れる会社がほとんどですが、役割は重なっていません。営業がHubSpotの画面からメールを送る運用に切り替えられるなら、受信トレイの接続だけで記録は残ります。営業が慣れたGmailやOutlookの画面でメールを書き続けるなら、送信時にトラッキングを付けたり、未登録の相手とのメールを残したりするために拡張機能が必要になります。どちらに寄せるかは、営業部長が「メールはどの画面で書くか」を決めた時点で決まります。
記録とトラッキングは別の機能で、残るものと見る人が違う
記録(ログ)は、メールの本文をコンタクト・会社・取引のタイムラインに残すことです。トラッキングは、相手がメールを開いたか、リンクをクリックしたかを送信者に知らせる機能で、本文を残すかどうかとは関係しません。
HubSpot Salesのメール作成画面では、「ログ」と「トラッキング」が別々のチェックボックスになっています。ログだけを付ければ本文がCRMに残り、開封は通知されません。トラッキングだけを付ければ、開封の通知は届きますが、本文はタイムラインに残りません。2つの機能を同じものと思っていると、「開封通知が来ているのにタイムラインにメールがない」という相談になります。
| 項目 | 記録(ログ) | トラッキング |
|---|---|---|
| 残るもの | メールの本文と添付ファイル(拡張機能・アドインでは50MBを超える添付は残らない) | 開封・クリックの通知と、その履歴 |
| 残る場所 | コンタクト、会社、取引、チケットのタイムライン | 送信者へのポップアップ通知とアクティビティフィード |
| 主に見る人 | そのレコードを閲覧できるユーザー | 送信した本人 |
| プランによる差 | なし | クリックの記録はSales Hubのシートが必要、無料では通知が月200件まで |
開封の記録は、受信側のメールソフトが画像を自動で読み込むかどうかや、セキュリティ製品がメールを事前に開くかどうかで、実際に読んだかどうかと一致しないことがあります。プレーンテキストで送ったメールはトラッキングできないと公式ヘルプにも書かれています。開封通知は「今電話をかけてもよさそうか」を判断する目安として使い、営業の評価や商談の見込み判定には使わないほうが、数字の読み違いで判断を誤らずに済みます。
営業が1対1で送るメールと、マーケティング部門が一斉に配信するメールは、HubSpotでは別の機能です。展示会のお礼メールを営業のGmailから数百件送るような運用は、個人の送信枠と到達率の両方に負担がかかるため、マーケティングEメールの配信ルールに沿って配信側の機能で送ります。
受信トレイを接続する手順と、接続した時点から記録される範囲
受信トレイは、各ユーザーが[設定]>[一般]>[Eメール]タブの[メールアカウントを接続]から接続します。接続した時点から、既定の設定では登録済みのコンタクトとのメールが、CRMの外から送ったものも含めて記録されます。
接続の手順は次のとおりです。
- 管理者が、接続するユーザーに「個人用メールへのアクセス」権限が付いているかを確認します。表示のみのシートのユーザーは接続できません。
- ユーザーがHubSpot右上の設定アイコンを開き、左のメニューの[一般]から[Eメール]タブに進み、[メールアカウントを接続]をクリックします。
- メールサービス(Gmail、Outlook、Exchange、IMAP)を選び、HubSpotからのアクセスを許可します。
- 登録済みのテスト用コンタクトとメールをやり取りし、コンタクトのタイムラインに残るかを確認します。
接続の前に決めておくのが、アカウント全体の記録ルールです。[設定]>[オブジェクト]>[アクティビティー]の[Eメールのログ記録と追跡]タブで、コンタクトとのメールをどこまで記録するかを選びます。変更できるのは「アカウントアクセス」権限を持つユーザーです。
| 記録ルール | 記録されるメール | 向く会社 |
|---|---|---|
| すべてのメールを記録する(既知のコンタクトから) | 登録済みのコンタクトとの送受信すべて。メールソフトやスマートフォンのアプリから送ったものも含む。すべてのアカウントの既定値 | 顧客とのやり取りを漏れなく残し、担当交代や休暇中の対応に使いたい会社 |
| 返信のみを記録 | CRMから送ったメール、または拡張機能・アドインで「ログ」を付けて送ったメールへの返信だけ | 営業の抵抗が強い会社、私的なやり取りが顧客とのメールに混ざりやすい会社 |
| 受信メールから新しいコンタクトを作成(ベータ) | 上の2つに加え、未登録の相手から届いたメールからコンタクトを自動で作る | BtoBの営業の受信トレイでは使わない判断を勧める |
既定の「すべてのメールを記録する」は、営業が何も操作しなくても顧客とのメールが残る反面、営業本人が接続したことを忘れていても記録が続きます。接続の説明会で「登録済みの顧客とのメールは、スマートフォンから送っても残る」と先に伝えておかないと、あとから気づいた営業が不信感を持ちます。新しいコンタクトを作るベータの設定は、営業メールや採用の応募、請求書の通知までコンタクトになり、名寄せの手間が増えるため、重複を作らない登録ルールを決める前には使いません。
接続にはいくつか制約があります。1つのメールアドレスを、個人の受信トレイとチームの共有アドレスの両方として接続することはできません。Microsoft 365の共有メールボックスや、Googleの高度な保護機能プログラムに登録したアカウントも個人の受信トレイとしては接続できません。カレンダーの接続は同じ[設定]>[一般]の画面から行いますが、日程調整リンクと空き時間の決め方まで含めて、GoogleカレンダーとOutlookの連携手順に沿って進めます。
記録ルールと除外する相手の決め方で迷う場合は、営業の人数とメールの使い方に合わせた設定をご相談ください。
GmailにHubSpot Sales拡張機能を入れる手順
Gmailでは、ChromeウェブストアからHubSpot Salesの拡張機能を追加し、HubSpotにログインすれば使えます。記録とトラッキングは初期状態ではオフなので、入れた直後に拡張機能の設定で既定値を決めます。
拡張機能はChromeで開いたGmail(Google Workspaceを含む)で動きます。手順は次のとおりです。
- Chromeで、HubSpotとつなぐGmailアカウントにログインしていることを確認します。
- ChromeウェブストアでHubSpot Salesを開き、[Chromeに追加]、続いて[拡張機能を追加]をクリックします。
- 表示に従ってHubSpotにログインします。複数のHubSpotアカウントに招待されている人は、接続先のアカウントを確かめます。
- Gmailを開き、受信トレイにHubSpotのアイコンが表示されているかを確認します。
- アイコンから記録とトラッキングの設定を開き、「ログ」と「トラッキング」を既定でオンにするか、「新しいコンタクトを作成」をオンにするかを決めます。
メールの作成画面では、送る前に「ログ」と「トラッキング」のチェックを付けます。「ログ」の横のメニューを開くと、記録先のコンタクト、会社、取引、チケットを1件ずつ選べます。受注前の取引が2件並行している顧客なら、どちらの取引にメールを残すかをここで選ばないと、関係ない取引のタイムラインにもメールが並びます。
「新しいコンタクトを作成」をオンにすると、未登録の相手にログ付きで送ったときにコンタクトが自動で作られます。見積の依頼先の購買担当や、請求の窓口の経理担当まで営業のコンタクトとして増えていくため、既定はオフにして、営業がその都度判断する運用のほうがデータは荒れません。スーパー管理者がアカウント全体で決めた設定は、各自の拡張機能の設定より優先されます。
営業が10名を超えるなど1人ずつ入れてもらうのが手間な会社では、Google Workspaceの管理者が管理コンソールから拡張機能を一括でインストールできます。一括で入れた場合でも、各自のHubSpotへのログインは必要です。
OutlookにHubSpot Salesアドインを入れる手順
Microsoft 365のメールを使っているなら、OutlookにはOffice 365アドインを入れます。アドインを使う前に受信トレイの接続が必要で、Windowsのクラシック版Outlook向けのデスクトップアドインは新しい開発が止まっています。
| アドイン | 使える環境 | 受信トレイの接続 | 現在の扱い |
|---|---|---|---|
| Office 365アドイン | Outlook on the web、Mac版Outlook(15.33以降)、Windows版Outlook(1603以降) | 必要 | 公式が推奨する方式 |
| Outlookデスクトップアドイン | Windowsのクラシック版Outlookのみ | 別途インストーラーで導入 | 保守のみで新しい開発はなく、Office 365アドインへの移行が案内されている |
個人で入れる場合は、先に受信トレイを接続したうえで、Microsoft AppSourceでHubSpot Salesを開き、[今すぐ入手]からHubSpotにログインして[追加]をクリックします。2つのアドインを同時に入れることはできません。Microsoft Storeから入れたOutlookには対応しておらず、Apple Mailも対象外です。
会社のMicrosoft 365を情報システム部門が管理している場合は、個人ではアドインを追加できない設定になっていることがあります。その場合はMicrosoft 365の管理者に一括での展開を依頼します。公式ヘルプでは、一括展開したアドインが各自のOutlookに表示されるまで24〜72時間かかることがあるとされているため、営業向けの説明会の日程は展開の数日後に置きます。
Outlookのアドインで記録とトラッキングを確実に残すには、メールを送るときにアドインのタスクペインが開いている必要があります。公式ヘルプはタスクペインのピン留めを勧めています。作成画面のチェックボックスは「ログ」と、開封を追う「Eメールの開封をトラッキング」で、Sales Hubのシートがあるユーザーには開封とクリックの両方を追う選択肢が表示されます。
拡張機能もアドインも使えない環境、たとえば外出先のスマートフォンのメールアプリから送るメールは、BCCアドレスで記録できます。BCCアドレスは[設定]>[オブジェクト]>[アクティビティー]の[Eメールのログ記録と追跡]タブの手動記録の欄で確認できます。BCCで記録したメールは、受信者のコンタクト、その主な会社、直近の取引5件に残りますが、開封やクリックのトラッキングはされません。
社内ドメインと個人的な相手はログに記録しないリストで除外する
記録から外したい相手は「ログに記録しない」リストに登録します。自社のドメインは自動では除外されないため、営業が受信トレイを接続する前に、スーパー管理者がアカウント全体のリストに登録しておきます。
「ログに記録しない」リストに登録した相手には、接続した受信トレイ、拡張機能・アドイン、チームの共有アドレスのどこから送っても、次の扱いになります。新しいコンタクトは作られず、メールは関連するレコードに記録されず、トラッキングの結果もコンタクトのタイムラインには残りません。CRMの画面から送った場合もメールは送信されますが、タイムラインには残りません。
リストはアカウント全体用と個人用の2つです。アカウント全体用は、スーパー管理者が[設定]>[データ管理]>[オブジェクト]>[アクティビティー]の[Eメールのログ記録と追跡]タブの「ログに記録しない」欄で登録します。個人用は、各ユーザーが[設定]>[一般]>[Eメール]タブの「ログに記録しない」欄で登録します。どちらも1件ずつのメールアドレスか、*@example.co.jp の形式でドメイン全体を登録でき、上限は500件です。
| 除外する相手 | 登録するリスト | 除外する理由 |
|---|---|---|
| 自社のドメイン(旧ドメインや別ブランドのドメインも含む) | アカウント全体 | 同僚がコンタクトとして登録されると、社内の相談メールが顧客のメールと同じ扱いで残る |
| 親会社・グループ会社のドメイン | アカウント全体 | グループ内の調整メールが顧客の記録に混ざる |
| 顧問弁護士、税理士、社労士など | アカウント全体 | 契約や人事の相談が、閲覧権限のある社員全員に見える |
| 家族、友人、個人的な知人 | 各自の個人用 | 本人しか相手を判断できない |
自社のドメインは「ログに記録しない」リストに自動では入りません。テスト用に社員をコンタクトとして登録している会社では、接続した直後から社内のメールが記録されることがあります。
Gmailの拡張機能の設定画面からも登録でき、アカウントアクセス権限を持つユーザーには「すべてのユーザーをブロック」と「自分だけをブロック」の選択肢が出ます。営業が自分の判断で登録するのは個人用に限り、アカウント全体に入れる相手は管理者が一覧で持っておくと、誰がどの相手を外したのかを後から説明できます。
記録したメールが誰に見えるかは、レコードの閲覧範囲で決まる
記録したメールは、コンタクトや会社、取引のタイムラインにアクティビティとして並びます。そのため誰に見えるかはメール1通ごとではなく、そのレコードを誰が閲覧できるかで決まるものとして設計します。
HubSpotのユーザー権限では、コンタクトや会社を「すべて」「チームが担当するもの」「自分が担当するもの」のどの範囲まで閲覧できるかを役割ごとに決めます。マーケティング担当に全コンタクトの閲覧を許していれば、営業がそのコンタクトに記録したメールもマーケティング担当の画面に表示されます。閲覧範囲の決め方と役割別の型は、役割別の権限設計とレコードの閲覧範囲に合わせます。
メールを記録する側の権限は、公式のユーザー権限ガイドでは「コミュニケーション」として別に用意されています。どのレコードにメール・通話・ミーティングを記録できるかを、すべて、チームが担当するもの、自分が担当するもの、なしの4段階で選べます。営業が他の担当者の顧客にメールを残せないようにしたい会社は、ここを「自分が担当するもの」にします。
1通だけを特定の人にしか見えないようにする設定には頼らず、見せたくないメールはそもそも記録しない運用に寄せます。たとえば営業部長が取引先の社長と資本提携の相談をしている場合、そのやり取りは相手を個人用の「ログに記録しない」リストに入れるか、拡張機能で「ログ」を外して送ります。記録してから隠す方法を探すより、記録しない判断のほうが確実です。
全部見られるのではという営業の不安には、記録される範囲を画面で見せて答える
営業の不安には、記録されるのは登録済みの顧客とのメールで、社内や個人的な相手は除外していることを、設定画面と実際のタイムラインで見せて答えます。開封の通知を行動の監視に使わないことも、同じ場で約束します。
接続の説明会で営業から出る質問は、ほぼ「どこまで見えるのか」「何に使われるのか」の2つです。口頭で「顧客とのメールだけです」と答えても信用されにくいため、管理者が自分の受信トレイで、社内の同僚とのメールと顧客とのメールをそれぞれ送り、顧客とのメールだけがタイムラインに残る様子を画面で見せます。そのうえで、次の4つを文書にして配ります。
- 記録されるもの:登録済みのコンタクトとのメール(記録ルールが「すべてのメールを記録する」の場合)
- 記録されないもの:自社ドメイン、グループ会社、顧問先など、アカウント全体の「ログに記録しない」リストに入れた相手と、各自が個人用リストに入れた相手
- 見られる人:そのコンタクトを閲覧できる権限を持つ社員(役割ごとの範囲を一覧で示す)
- 使わない目的:開封の件数やメールの送信数で個人を評価しない
営業にとっての利点も、具体的な場面で伝えます。休暇中に顧客から問い合わせが来たとき、代わりに対応する同僚が過去のやり取りをタイムラインで確認できる。商談の前に上司から経緯を聞かれても、画面を見せれば説明が済む。担当が替わるときに、メールを転送してまとめる作業がなくなる。入力を習慣にしてもらうための運用ルールやマネージャーの関わり方は、営業がCRMに入力しない理由の見分け方と合わせて決めます。
個人の人脈で案件を取ってくる営業が多く、顧客とのメールに私的な話が混ざりやすい会社では、記録ルールを「返信のみを記録」にして始めます。営業が「ログ」を付けたメールと、CRMから送ったメールのスレッドだけが残るため、何が記録されるかを営業自身が選べます。
無料版と有料版で変わるのは、クリックの記録と通知の件数
受信トレイの接続、拡張機能・アドイン、メールの記録、開封のトラッキングは、無料版を含むすべてのプランで使えます。有料のシートで変わるのは、リンクのクリックの記録と、開封・クリックの通知の件数です。
| 機能 | 無料ツール・シート未割り当て | 有料シートを割り当てたユーザー |
|---|---|---|
| 受信トレイの接続 | 使える | 使える |
| HubSpot Sales拡張機能・アドイン | 使える | 使える |
| メールの記録 | 使える | 使える |
| 開封のトラッキング | 使える | 使える |
| リンクのクリックのトラッキング | 使えない | Sales Hubのシートで使える |
| 営業アクティビティの通知 | 月200件まで。超えるとアクティビティフィードの通知がぼかし表示になり、翌月1日に戻る | SalesまたはServiceのシートで上限なし |
通知の件数には、トラッキングしたメールの開封とクリックのほか、見込み客のサイト再訪問、共有したドキュメントの閲覧、ミーティングの予約も含まれます。無料のまま複数の営業がトラッキングを既定でオンにすると、月の途中で上限に達し、通知が見えなくなることがあります。表示のみのシートのユーザーは、受信トレイの接続もメールの記録もできません。
開封の通知を増やすためだけに有料シートを買う判断はしません。開封の記録は、受信側の環境によって実際に読んだかどうかと一致しないことがあるためです。有料シートを検討するなら、通知の件数ではなく、営業の他の機能を含めたStarterとProfessionalの違いや、無料のままで足りる条件で判断します。
つながらない・記録されないときは、権限、接続、相手、ルールの順に確かめる
メールが記録されないときは、ユーザーの権限、受信トレイと拡張機能の接続状態、相手がコンタクトとして登録されているか、「ログに記録しない」リストと記録ルールの順に確かめます。トラッキングだけが動かない場合は、ブラウザの設定とメールの形式を先に見ます。
営業から「昨日のメールが残っていない」と言われたら、管理者は次の表を上から順に確かめます。上の段ほど、1つの原因で複数のメールがまとめて記録されない状態になります。
| 順 | 確かめること | 見る場所と原因の例 |
|---|---|---|
| 1 | ユーザーの権限 | [設定]>[ユーザーとチーム]で「個人用メールへのアクセス」が付いているか、表示のみのシートになっていないか |
| 2 | 受信トレイの接続 | [設定]>[一般]>[Eメール]で接続が切れていないか。メールサービスの種類を誤って接続すると記録されない |
| 3 | 拡張機能・アドインの状態 | 拡張機能がオンか、正しいHubSpotアカウントとChromeのプロファイルでログインしているか。Outlookは送信時にタスクペインを開いていたか |
| 4 | 相手の登録 | 相手のメールアドレスがコンタクトとして登録されているか。既定のルールでは未登録の相手とのメールは記録されない |
| 5 | 除外の設定 | 相手のアドレスかドメインが、アカウント全体か本人の「ログに記録しない」リストに入っていないか |
| 6 | 記録ルール | 「返信のみを記録」の場合、元のメールをCRMか「ログ」付きで送ったか、返信で件名が変わっていないか、途中で送信元のアドレスを変えていないか |
| 7 | 添付ファイル | 拡張機能・アドインで50MBを超える添付は残らない。返信の記録では添付の合計が20MBまで |
記録はされているのに開封の通知が来ない場合は、原因がブラウザとメールの形式にあります。公式ヘルプのトラブルシューティングでは、広告ブロックや他社のメールトラッキングの拡張機能を止める、VPNを切る、Cookieをすべてブロックする設定をやめる、シークレットモードで使わない、Gmailをプレーンテキストではなく通常の形式で送る、といった確認が案内されています。送る前に「トラッキング」のチェックが付いていたかも見ます。
表の7項目をすべて確かめても記録されない場合は、記録されなかったコンタクトの具体例と、該当メールのヘッダー情報を用意してHubSpotのサポートに問い合わせます。社内で原因を推測して設定を変え続けるより、例とヘッダーを渡したほうが早く原因が分かります。
拡張機能を入れない、トラッキングを使わないという判断
受信トレイを接続して既定の記録ルールのままにしておけば、Gmailに拡張機能を入れなくても、登録済みの顧客とのメールは記録されます。開封通知を見て動く営業スタイルでない会社では、トラッキングを既定でオフにしておくほうが、営業の抵抗も通知の上限も気にせずに済みます。
Gmailの場合、拡張機能が担うのは、送信時のトラッキング、未登録の相手とのメールの記録、受信トレイの横でのコンタクト情報の表示です。顧客のコンタクトを先にHubSpotへ登録する運用ができていて、開封通知も使わないなら、拡張機能は入れなくても困りません。反対に、展示会で名刺を交換した相手にその場でメールを送るなど、未登録の相手とのやり取りが多い営業には拡張機能が要ります。
メール連携そのものを急がなくてよい会社もあります。顧客とのやり取りが電話と対面、チャットツールで大半が済み、メールは見積書を送るときだけという会社では、受信トレイを接続しても記録される量が少なく、営業に説明する手間のほうが大きくなります。問い合わせ窓口を1つの共有アドレスで受けている会社は、個人の受信トレイではなく、チームのアドレスをHubSpotの受信トレイにつなぐ別の設定から検討します。どこから連携を始めるかは、HubSpotの初期設定チェックリストの順番の中で決めると、ほかの設定と手戻りが出ません。
自社の営業の人数とメールの使い方で、拡張機能やトラッキングまで入れるかを決めきれない場合は、現在の設定を見ながら一緒に判断します。
まとめ
HubSpotとGmail・Outlookの連携は、受信トレイを接続した時点で登録済みの顧客とのメールが記録され始めます。営業に接続を頼む前に、管理者が記録ルール、除外する相手、閲覧範囲の3つを決めます。
受信トレイの接続はCRMから送り、顧客とのメールを残すための接続で、HubSpot SalesはGmailやOutlookの画面で記録とトラッキングを選ぶための拡張機能・アドインです。記録は本文を残す機能、トラッキングは開封とクリックを知らせる機能で、トラッキングを使わない選択もできます。
次にやることは3つです。スーパー管理者が自社ドメインとグループ会社、顧問先をアカウント全体の「ログに記録しない」リストに登録する。記録ルールを「すべてのメールを記録する」のままにするか「返信のみを記録」にするかを営業部長と決める。そのうえで説明会を開き、記録される範囲と見られる人を画面で見せてから、各営業に受信トレイを接続してもらいます。
無料相談
営業のメールをHubSpotに残す範囲を、接続の前に一緒に決めます
「つないだら全部見られる」と営業が接続をためらっている、拡張機能を入れたのにメールが記録されない、社内のメールまでタイムラインに残っている。こうした状態の多くは、記録ルール、「ログに記録しない」リスト、閲覧権限の3つを決めることで解消できます。Ampelは外部CMOとして、現在のHubSpotの設定と営業のメールの使い方を確認し、記録する範囲の決定から営業向けの説明まで担当者の方と一緒に進めます。
よくある質問
- HubSpotとGmailの連携は無料でできますか?
- できます。HubSpotの公式ヘルプでは、受信トレイの接続、HubSpot Salesの拡張機能・アドイン、メールの記録と開封のトラッキングはすべての製品とプランで使えるとされています。リンクのクリックの記録にはSales Hubのシートが必要で、無料ツールでは営業アクティビティの通知が月200件までになります。
- Chromeの拡張機能を入れなくてもGmailのメールは記録されますか?
- 受信トレイを接続していれば記録されます。既定の記録ルール「すべてのメールを記録する」では、登録済みのコンタクトとのメールが、Gmailの画面やスマートフォンから送ったものも含めて記録されます。未登録の相手とのメールを残したい場合や、開封のトラッキングを使う場合は拡張機能が必要です。
- 社内の同僚とのメールがHubSpotに記録されないようにするには?
- スーパー管理者が、自社のドメインを
*@自社ドメインの形式でアカウント全体の「ログに記録しない」リストに登録します。自社のドメインは自動では除外されないため、営業が受信トレイを接続する前に登録しておきます。 - HubSpotのメール記録とトラッキングは何が違いますか?
- 記録は、メールの本文をコンタクトや取引のタイムラインに残す機能です。トラッキングは、相手がメールを開いたか、リンクをクリックしたかを送信者に通知する機能で、本文は残しません。拡張機能・アドインではそれぞれ別のチェックボックスで選びます。
- Outlookのデスクトップ版でもHubSpotと連携できますか?
- Microsoft 365のメールなら、Windows版Outlook(1603以降)やMac版Outlook(15.33以降)でOffice 365アドインを使えます。Windowsのクラシック版Outlook向けのデスクトップアドインは保守のみの扱いで、公式はOffice 365アドインへの移行を案内しています。どちらのアドインも同時には入れられません。