MarketoからHubSpotへの移行を決めたものの、Marketoの中には何年分ものプログラムとスマートキャンペーンが積み上がり、どれが今も動いていてどれを移せばよいのか、担当者本人にも分からない。そのうえ契約の更新日は動かせず、Salesforceとの同期も止めるわけにはいかない。
Marketoの設定をHubSpotに写し取ろうとすると、移行は終わりません。移行は「そのまま移すもの」「HubSpotの機能で作り直すもの」「移さずに捨てるもの」を仕分ける作業で、仕分けの基準は直近で実際に動いているかどうかです。移すデータのうち、配信停止の情報だけは他より先に、欠けなく持ち込みます。
更新日から逆算して移行を決めたばかりの時期は、Marketoの中で直近に実際に動いているプログラムとフォームの量が、移行の範囲と並行稼働の長さを左右します。動いていないものは、移さずに捨てる側に回せます。
目次
移行前の棚卸し|Marketoから書き出す9項目
棚卸しは、Marketoの資産を全部記録する作業ではありません。稼働しているものを特定し、移行範囲を決めるための作業です。
Marketoを数年使った環境には、終了したイベントのプログラムや誰も通らなくなったトリガーキャンペーンが大量に残っています。これらを1件ずつHubSpotで再現しても、移行後には使われません。棚卸しで記録するのは「何が動いているか」と「止めたら誰が困るか」です。
書き出す項目は次の9つです。表の右端の列が、移すかどうかを判断する基準になります。
| Marketoの項目 | 記録すること | 移すかどうかの判断基準 |
|---|---|---|
| プログラム | 種類(イベント・エンゲージメント・メール・デフォルト)、チャネル、期間 | 現在進行中か、今後も同じ型で繰り返すか |
| スマートキャンペーン | トリガー/バッチの別、スマートリストの条件、フローの手順、直近の実行件数 | 過去90日に実行されたか。止めると営業通知や配信が止まるか |
| スコアリング | 「スコアの変更」を使っているキャンペーンと加点値、使っているスコア項目 | 営業がそのスコアを見て行動しているか |
| フォーム | 設置しているページのURL、項目、送信後の処理 | 直近で送信があるか |
| ランディングページ | URL、流入元(広告・メール)、使っているフォーム | 広告やメールから今もリンクされているか |
| メールテンプレート | テンプレート名、使っているトークン、スクリプトの有無 | 定常配信で使っているか |
| マイトークン | トークン名、値、ローカル/継承の別、使っているメールやページ | 移すテンプレートやページが参照しているか |
| リスト | スマートリスト・静的リストの名前と条件、使っている施策 | 配信対象やキャンペーンの条件として参照されているか |
| Salesforce同期 | 同期しているオブジェクト、Marketoが書き込んでいる項目、同期ユーザー | Salesforce側のレポートや自動処理がその項目を使っているか |
マイトークンは見落とされやすい項目です。Marketoのマイトークンはプログラムやフォルダ単位で作るカスタム変数で、メールやランディングページの中には「{{my.トークン名}}」の形で埋め込まれています。テンプレートだけを移してトークンの値を記録していないと、HubSpotで開いたときに差し込み部分が空になり、何が入っていたのかを誰も覚えていない状態になります。継承されたトークンは親のフォルダに値があるため、プログラムを開いただけでは中身が見えない点も確認してください。
Salesforce同期の欄は、マーケティング担当だけで埋めないでください。Salesforce管理者に「Marketoが書き込んでいる項目を、どのレポートとどの自動処理が使っているか」を確認してもらいます。この欄が空のまま進めると、切り替えの当日に営業のダッシュボードが崩れます。
棚卸しの結果、移す対象が想定の半分以下になることは珍しくありません。移行対象を絞る判断そのものに迷う場合は、移行範囲の仕分けについてご相談いただければ、一覧を一緒に確認します。
Marketoの機能はHubSpotの何に置き換わるか
名前が対応していても、中の仕組みは同じではありません。プログラムはキャンペーンに、スマートキャンペーンはワークフローに置き換わりますが、どちらも組み直しが前提です。
対応表は、移行の設計書の目次として使います。左の列の項目ごとに、HubSpot側で何を作り、どこで作業量が増えるかを右の列で確認してください。HubSpotの機能にはプランによる制限があり、キャンペーン、ワークフロー、コンタクトのリードスコア、Salesforce連携は、いずれもMarketing Hub Professional以上が前提です(ワークフローとSalesforce連携は他のHubのProfessional以上でも使えます)。
| Marketo | HubSpot | 置き換えで変わること |
|---|---|---|
| リード(人物)データベース | コンタクト+会社 | 会社は別オブジェクトとして関連付ける。会社名の表記揺れを移行前にそろえる |
| プログラム | キャンペーン | メール・ページ・ワークフロー・リストを束ねる単位。ワークフローとリスト以外のアセットは1つのキャンペーンにしか属さない |
| スマートキャンペーン(トリガー) | ワークフロー(フィルター/イベントベースの登録トリガー) | 再登録の可否をワークフローごとに設定する。既定では1回しか登録されない |
| スマートキャンペーン(バッチ) | ワークフロー(スケジュール型の登録トリガー)、またはセグメントへの一斉配信 | 定期実行か一度きりかで作り方を分ける |
| エンゲージメントプログラム | ワークフロー(遅延・分岐)+マーケティングメール | 配信間隔と分岐条件をワークフローの中で組み直す |
| スマートリスト | アクティブセグメント | 条件を満たすレコードが自動で出入りする |
| 静的リスト | 静的セグメント | 作成時点のレコードで固定される |
| スコア(「スコアの変更」フロー) | リードスコア(エンゲージメント・適合度・組み合わせ) | キャンペーンに分散していた加点がスコアツールの1か所に集まる。スコアの値は移さず作り直す |
| マイトークン | パーソナライズトークン(プロパティの差し込み) | 値をメール本文に直接書くか、プロパティに持たせて差し込むかに振り分ける |
| フォーム | HubSpotフォーム | 埋め込みコードごと差し替える。送信後の処理はワークフロー側に移す |
| ランディングページ | ランディングページ | 作り直し。URLが変わる場合は広告やメールのリンク先も差し替える |
| メールテンプレート | Eメールテンプレート | Smart Transferの転送対象に含まれるが、トークンの記法は置き換えが必要 |
| Salesforce同期 | HubSpot-Salesforce連携 | 項目ごとに同期ルールを4種類から選ぶ。接続できるSalesforce環境は1つ |
スマートキャンペーンは1対1で移さない
Marketoでは、1つの目的のために小さなスマートキャンペーンを何本も連結する作り方がよく見られます。フォーム送信で1本、スコア加算で1本、営業通知で1本、Salesforceのキャンペーン追加で1本、という具合です。これをHubSpotで同じ本数のワークフローに写すと、どのワークフローが何をしているかを追えなくなります。移行するときは「このフォームが送信されたら何が起きるべきか」という目的の単位でまとめ直し、1本のワークフローの中に分岐として収めます。組み直しの手順と命名のルールは、HubSpotワークフローの設計の手順に沿って決めておくと、移行後に本数が増えても管理できます。
スコアは移さずに作り直す
Marketoのスコアの値をHubSpotに数値として持ち込んでも、その後の加点ルールが変われば、移行前と移行後で同じ数字が別の意味を持ちます。HubSpotのリードスコアはエンゲージメント(行動)と適合度(属性)を分けて設計でき、加点の上限や時間経過による減点も設定できます。移行時はMarketoのスコアを「参考値」として別のプロパティに保存し、営業に渡す基準はHubSpotのリードスコア設定でゼロから作ります。営業への引き渡し基準をスコアに連動させているなら、ライフサイクルステージを更新するワークフローも同時に作り直します。
データ移行|コンタクト・活動履歴・配信停止の引き継ぎ方
データは配信停止、コンタクト、リストの順に移します。活動履歴はHubSpotに全部は入らないため、Marketoの契約が切れる前に社外へ退避します。
移す手段は2つ:Smart TransferとCSVインポート
HubSpotには、他のツールからデータを移すSmart Transferという機能があり、対応アプリにMarketoが含まれています。HubSpotの公式ヘルプによると、Marketoから転送できるのはコンタクト、Eメールテンプレート、ユーザーで、同期後の1回限りの転送としてリストも対象です。利用できるのはスーパー管理者だけで、転送はMarketoからHubSpotへの一方向です。項目のマッピングを自分で細かく設定したい場合はData Hubのサブスクリプションが必要と記載されています。
Smart Transferを使わない場合は、MarketoからCSVで書き出し、HubSpotのインポートツールで取り込みます。Marketoの手動エクスポートにはファイルサイズの上限があり、表示している列の数とレコード数によって一度に出せる量が変わるため、件数が多い環境ではリストを分けて書き出します。どちらの手段でも、取り込む前に重複と無効アドレスを除いておきます。重複の扱いを決めていない場合は、リードの名寄せと重複管理の基準で先に決めてから取り込んでください。
配信停止は最初に、欠けなく入れる
データ移行で最も避けたい事故は、Marketoで配信停止していた人にHubSpotからメールが届くことです。Marketoには配信を止める項目が複数あり、Unsubscribed(配信停止)、Marketing Suspended、Email Invalid、Blocklistedのどれかが立っている人物には、Marketoのプログラムやキャンペーンからメールが送られません。Unsubscribedだけを見て移すと、他の項目で止まっていた人が配信対象に戻ります。
手順は次の順番です。まずMarketoでUnsubscribedがtrueの人物をすべて書き出し、HubSpotの「オプトアウトリストのインポート」で取り込みます。HubSpotの公式ヘルプでは、オプトアウトリストでインポートしたアドレスはマーケティングEメールとシーケンスの送信対象から外れ、HubSpotにまだ存在しないアドレスはコンタクトとして作成されず、請求対象のコンタクト数にも数えられないとされています。コンタクト本体より先にこのインポートを済ませておけば、後から取り込んだコンタクトにも配信停止が反映された状態で始められます。Email Invalidの人物は、コンタクトとして移す対象から外します。
Marketing SuspendedとBlocklistedは、社内でなぜその状態にしたかを確認してから扱いを決めます。競合企業や取引停止先を意図的に止めている場合は、オプトアウトリストに含めます。
購読タイプを複数に分けて運用するつもりなら、オプトアウトのインポートはすべてのマーケティングEメールから外す処理になる点を理解したうえで使ってください。購読タイプ単位で状態を引き継ぐ方法は、移行を始める前にHubSpotのサポートかパートナーに確認します。
コンタクトは「マーケティングコンタクト」を分けて入れる
HubSpotでは、マーケティングメールの送信対象にするコンタクトを「マーケティングコンタクト」として指定し、その数が契約上の上限に数えられます。インポート時の詳細オプションでマーケティングコンタクトに設定するかどうかを選べるため、ファイルを2つに分けます。直近1〜2年で反応があった人物はマーケティングコンタクトとして、それ以外は非マーケティングコンタクトとして取り込みます。休眠層を全員マーケティングコンタクトにすると、送らない人の分まで上限を使います。休眠層をどう掘り起こすかは、移行が落ち着いてから決めても遅くありません。
項目は、棚卸しで「使っている」と判定したものだけを移します。Marketoにある項目をすべてHubSpotのプロパティとして作ると、移行直後から使われないプロパティが数百並びます。作る基準はHubSpotプロパティ設計の作成基準に合わせてください。
活動履歴は全部は入らない前提で退避する
メールの開封・クリック、Webページの閲覧、プログラムへの参加といったMarketoの活動履歴は、Smart Transferの転送対象に含まれていません。HubSpotのインポートツールが扱える活動は、電話、Eメール、ミーティング、メモ、タスクで、Marketoの行動ログとは形が異なります。
そのため活動履歴は、HubSpotに移すものと社外に保存するものに分けます。HubSpotには、営業が見て判断に使う要約だけをプロパティとして入れます。例として「Marketo最終クリック日」「Marketo時代の参加イベント」「移行時スコア(参考)」の3つ程度です。明細は、Marketoの契約が終わる前にBulk Extract APIなどで書き出して保存します。Adobeの公式情報では、Marketoの活動データとプログラムメンバーの履歴は活動日から25か月、Webページの閲覧のような件数の多い活動は既定で90日の保持期間とされています。解約日より後に「去年の展示会に来た人を出したい」と言われても取り出せないため、退避は移行作業の最初に行います。
Smart Transferの対象外のデータをCSVで移す場合は、CSVでHubSpotにインポートするときの仕様と試験インポートの確認項目を確認し、照合キーと関連付けの列を用意してから取り込みます。
並行稼働と切り替えの順番
受信側(フォーム)から切り替え、送信側(メール)、自動化、Salesforce同期の順に移します。同じ人に2つのツールから同時にメールを送らないことが、並行稼働中の唯一の絶対条件です。
並行稼働は、MarketoとHubSpotの両方が動いている期間です。この期間を短くしようとして全部を同じ日に切り替えると、問題が起きたときにどこが原因かを切り分けられません。逆に長く取りすぎると、2つのツールの配信停止やデータがずれていきます。実務上の目安は、棚卸しから停止まで3か月前後、フォームの切り替えからMarketoの停止までを4〜6週間で見ておくと、各段階で1週間ずつ様子を見る余裕が残ります。
準備段階でHubSpotの送信環境を整える
フォームやメールを切り替える前に、HubSpotで送信ドメインの認証を済ませます。認証がないまま切り替えると、Marketoでは届いていたメールが迷惑メールに振り分けられ、原因がツールの移行なのかコンテンツなのか判断できなくなります。設定の順番はHubSpot初期設定チェックリストのドメイン認証の手順に沿って進めてください。購読タイプも、この段階で「ニュースレター」「イベント案内」のように実際に分けて送る単位で作っておきます。
フォームは受信側から1ページずつ
最初に切り替えるのはフォームです。フォームは受信するだけなので、切り替えに失敗しても誰かに誤ったメールが届くことはありません。送信の少ない資料請求ページから始め、HubSpotでコンタクトが作成され、営業への通知が届くことを確認してから、問い合わせフォームのような件数の多いページに広げます。1つのページにMarketoとHubSpotの両方のフォームを置いたり、両方にデータを送ったりする構成は、重複レコードの原因になるので取りません。
メール配信は「送信元を1つ」にして切り替える
メール配信は、ニュースレターのような定常配信から切り替え、ナーチャリングのような自動配信を最後にします。ある配信をHubSpotから送り始めた日に、Marketo側の同じ配信は止めます。並行稼働中に配信停止の依頼が来た場合は、どちらのツールで受け付けても、もう一方にも同じ日のうちに反映する運用を決めておきます。担当者が週に1回、両ツールの配信停止者を突き合わせるだけでも、ずれは防げます。
Salesforceと連携している場合に先に決めること
並行稼働中は、MarketoとHubSpotの両方がSalesforceとつながります。項目ごとに「どちらが書き込むか」を1つに決めてから接続してください。
MarketoのSalesforce同期は、リード、取引先責任者、Salesforceキャンペーンについて双方向で、同期は数分おきに繰り返し実行されます。HubSpotのSalesforce連携も、コンタクトの作成・更新やプロパティの同期を行います。何も決めずに両方を接続すると、同じ項目を2つのツールが書き換え、Salesforce上の値が最後に同期したほうで上書きされます。営業から見ると、昨日あった値が今日消えている状態です。
HubSpotの連携では、プロパティごとに同期ルールを4種類から選べます。「空白でない限りSalesforceを優先」「常にSalesforceを使用」「双方向」「同期しない」です。並行稼働中は、Marketoが書き込んでいる項目を「常にSalesforceを使用」にしておくと、HubSpotがその項目を読み取るだけになり、Marketoの値を上書きしません。切り替えの日にMarketo側の書き込みを止め、HubSpot側のルールを必要な項目だけ変更します。
| 項目の例 | 並行稼働中 | 切り替え後 |
|---|---|---|
| 氏名・会社名・電話番号 | HubSpotは「空白でない限りSalesforceを優先」 | そのまま |
| Marketoのスコア項目 | HubSpotは「常にSalesforceを使用」で読み取りのみ | Marketoの書き込み停止後、値を凍結して参考値として残す |
| HubSpotのリードスコア | Salesforceに新しい項目を作り、HubSpotだけが書き込む | 営業のレポートを新しい項目に付け替える |
| リードソース・流入元 | 書き込み元を1つに決める(通常はMarketo) | 書き込み元をHubSpotに移す |
接続の前に確認する条件もあります。HubSpotのSalesforce連携は、HubSpotアカウント1つにつき接続できるSalesforce環境が1つで、Salesforce側はAPIアクセスが可能なエディションが必要です。また1レコードの同期に最大4回のAPIコールを使うと公式ヘルプに記載があり、並行稼働中はMarketoの同期と同じSalesforceのAPI上限を分け合います。移行初日にHubSpotへ全件を同期させると、上限に達してMarketo側の同期まで止まることがあるため、HubSpotのインクルージョンセグメントで同期するコンタクトを絞り、段階的に対象を広げます。
Salesforce上のMarketoのスコアや流入元の項目は、削除せずに凍結します。過去の商談の分析や、移行前後の比較で使うためです。新しい値はHubSpot用の別項目に書き込みます。
HubSpotとSalesforceをどう役割分担させるか自体に迷いがある場合は、移行作業に入る前に決めておきます。Salesforceを残す前提で設計を進めたい場合は、同期設計についてのご相談もお受けしています。
HubSpotとSalesforceを初めて接続する場合は、HubSpotのSalesforce連携の前提条件と同期対象リストの設定を先に確認します。
切り替え後の最初の1か月で確認すること
切り替え後の1か月は、施策の成果ではなく「仕組みが想定どおり動いているか」を週ごとに確認します。Marketoの解約はこの確認が終わってからにします。
移行直後に見るべきなのは開封率やリード数の増減ではありません。フォームからコンタクトが作られ、ワークフローに入り、営業に届き、Salesforceに同期されるという流れが一度も途切れていないかです。週ごとに次の項目を確認します。
| 時期 | 確認すること | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 1週目 | フォーム送信からコンタクト作成、営業通知までが届いているか | 自分で各フォームに送信し、通知とレコードを確認する |
| 1週目 | 配信停止リンクが機能し、オプトアウト済みの人に送っていないか | テスト用アドレスで配信停止し、次の配信の送信対象から外れるかを見る |
| 2週目 | ワークフローの登録数が想定と合っているか | 各ワークフローの登録数を、Marketo時代の同じキャンペーンの実行件数と比べる |
| 2週目 | リードスコアの分布が偏っていないか | スコア帯ごとの人数を見て、ほぼ全員が同じ帯に集まっていないかを確認する |
| 3週目 | Salesforceとの同期エラーが増えていないか | 連携設定画面でエラーの種類ごとの件数と、過去24時間のAPIコール数を確認する |
| 4週目 | 営業が使うレポートとダッシュボードの数字が移行前と連続しているか | 営業責任者と一緒に、移行前後の月の数字を並べて確認する |
月に数十人が通っていたキャンペーンに相当するワークフローに、2週間で1人も登録されていなければ、トリガー条件の移し替えに漏れがあります。
4週目の確認を営業責任者と一緒に行うのは、移行の完了を判断する人をマーケティングの外に置くためです。営業が毎週見ている数字が移行の前後でつながっていれば、Marketoを解約してよい状態です。データの欠けや重複が見つかった場合は、HubSpotデータ整備の手順で直してから解約に進みます。
MarketoからHubSpotへ移行しないほうがよい場合
移行の理由が「Marketoを使いこなせていない」だけなら、ツールを変えても同じことが起きます。次の条件に当てはまる場合は、移行を見送るか時期をずらします。
1つ目は、HubSpotのStarterプランで移行しようとしている場合です。Marketoのスマートキャンペーンに相当するワークフロー、プログラムに相当するキャンペーン、コンタクトのリードスコア、Salesforce連携は、いずれもProfessional以上が前提です。費用を下げる目的でStarterに移ると、Marketoで自動化していた処理が手作業に戻ります。プランごとの機能差はHubSpotの料金プラン比較で確認し、自動化を何本残すかから必要なプランを決めてください。
2つ目は、契約更新日までの残り期間が短い場合です。棚卸し、活動履歴の退避、並行稼働を含めると、実務上は3か月前後が必要です。残りが2か月を切っているなら、無理に切り替えるより、Marketoを1期更新して移行を計画どおりに進めるほうが、配信停止の漏れやSalesforceの数字の断絶を避けられます。
3つ目は、使いこなせない原因がツールではなく体制にある場合です。Marketoの設定を管理できる人がいない、施策を考える時間がない、という状態は、HubSpotに移っても続きます。移行するかどうか自体をまだ比べている段階なら、HubSpotとMarketoの比較で運用人数とCRM連携の軸から判断し、Marketoが自社の規模に合っているかはMarketoが中小企業に向かない理由にある縮退運用という選択肢と合わせて検討してください。移行先がHubSpotと決まっていない場合の計画の立て方と社内稟議の進め方は、MAツール乗り換えの手順の工程に沿って進めます。
まとめ
MarketoからHubSpotへの移行は、直近で動いているものだけを仕分けて移し、配信停止を最初に、Marketoの停止を最後に行う作業です。
移す範囲は、過去90日に動いたスマートキャンペーンと送信のあったフォームで決まります。プログラムはキャンペーンに、スマートキャンペーンはワークフローに置き換わりますが、1対1で写さず目的の単位で組み直し、スコアは値を移さずにHubSpotのリードスコアで作り直します。データは配信停止、コンタクト、リストの順に入れ、活動履歴の明細はMarketoの契約が切れる前に社外へ保存します。Salesforceと連携しているなら、項目ごとの書き込み元を先に決めてから接続します。
次にやることは、Marketoの管理画面でスマートキャンペーンを実行日順に並べ、過去90日に実行されたものを書き出すことです。同時にSalesforce管理者へ、Marketoが書き込んでいる項目を使っているレポートの洗い出しを依頼してください。この2つの一覧がそろえば、移行の範囲と期間を決められます。
Marketoからの移行のご相談
移す・作り直す・捨てるの仕分けから、Salesforce同期の切り替え順まで一緒に決めます
Marketoの棚卸し一覧をもとに、HubSpotで作り直すワークフローとスコアの範囲、配信停止の引き継ぎ方、並行稼働の期間を整理します。移行するかどうかをまだ決めていない段階でもご相談いただけます。
よくある質問
- MarketoからHubSpotへの移行にはどれくらいの期間がかかりますか。
- 棚卸しからMarketoの停止まで、実務上の目安は3か月前後です。内訳は、棚卸しと活動履歴の退避、HubSpotの土台づくりとデータ移行で1〜1.5か月、フォームの切り替えからMarketoの停止までの並行稼働で4〜6週間です。稼働中のスマートキャンペーンが多い場合や、Salesforceとの同期項目が多い場合は長くなります。
- Marketoのデータはどこまで自動で移せますか。
- HubSpotのSmart Transferを使うと、コンタクト、Eメールテンプレート、ユーザーを転送でき、同期後の1回限りの転送でリストも対象になります。利用できるのはスーパー管理者だけです。メールの開封やWeb閲覧などの活動履歴は転送対象に含まれていないため、要約をプロパティとして移し、明細はMarketoから書き出して保存します。
- Marketoで配信停止した人の情報はHubSpotに引き継げますか。
- 引き継げます。Marketoで配信停止になっている人物を書き出し、HubSpotの「オプトアウトリストのインポート」で取り込みます。取り込んだアドレスはマーケティングEメールとシーケンスの送信対象から外れます。Marketoでは配信停止以外にMarketing SuspendedやBlocklistedでも配信が止まるため、それらの人物の扱いも決めてから取り込んでください。
- Marketoのエンゲージメントプログラムはどう移しますか。
- HubSpotのワークフローで、遅延と分岐を使って組み直します。Marketoで配信していたコンテンツの順番と間隔を書き出し、目的ごとに1本のワークフローにまとめます。移行を機に、直近で開封やクリックがほとんどないメールは移さずに外すと、組み直す本数が減ります。
- 移行中もSalesforceとの同期は止めずに済みますか。
- 止めずに済みます。並行稼働中はMarketoとHubSpotの両方をSalesforceに接続し、Marketoが書き込んでいる項目はHubSpot側を「常にSalesforceを使用」にして読み取りだけにします。同期するコンタクトはインクルージョンセグメントで絞り、APIコールの上限を超えないように段階的に広げます。