HubSpotのインポートでは、空欄のセルで既存の値を消すことができず、ライフサイクルステージを前の段階に戻すこともできません。インポートで新しく作られたレコードは後から削除できますが、既存のレコードを上書きした変更は、削除しても元に戻りません。
ExcelやほかのCRMからHubSpotへデータを移すときに先に決めるのは、ファイルの作り方ではなく、何を移さないか、どの列で既存のレコードと照合するか、会社・コンタクト・取引をどの順番でつなぐかの3つです。ここが決まっていれば、インポートの操作は画面の案内に沿って進められます。
顧客リストや商談の管理表がExcelやスプレッドシート、あるいは使い慣れた別のCRMにあり、HubSpotへの切り替えを任されたなら、自社でインポートまで進められるかは、移すデータの量と、会社・コンタクト・取引のつながりが元データにどれだけ残っているかが分かれ目です。過去の商談履歴は移さず、旧システム側に残して参照するほうが合う場合もあります。
目次
- 1 移すデータの範囲は、HubSpotで何を判断したいかから決める
- 2 移行の方法は、インポート・移行ツール・連携のどれを使うかで手間が変わる
- 3 項目の対応表を作り、足りないプロパティはインポートの前に作る
- 4 HubSpotのインポート機能で確認しておく仕様(2026年9月時点)
- 5 重複と名寄せは、照合キーを決めてからインポートする
- 6 会社・コンタクト・取引は、会社から順に取り込んで関連付ける
- 7 所有者・ライフサイクルステージ・流入元・マーケティングコンタクトの値を決めておく
- 8 試験インポートで確かめることと、本番の前に残しておくもの
- 9 移行後は、旧システムへの入力を止める日を先に決める
- 10 自社で移すか、移行ツールや外部の支援に頼むかの判断
- 11 まとめ
- 12 よくある質問
移すデータの範囲は、HubSpotで何を判断したいかから決める
データ移行で最初に決めるのは範囲です。移行後にHubSpotで見たいレポートと、営業が毎日開く画面に要るデータだけを移し、それ以外は旧システムかファイルに退避して参照できる状態にします。
HubSpotへのデータ移行とは、Excel・スプレッドシートや他のCRM・SFAにある会社、コンタクト、取引、活動の記録を、HubSpotのオブジェクトとプロパティに置き換えて取り込み、以後の入力先をHubSpotに一本化する作業のことです。
移行を任された担当者が旧システムの全項目を書き出すと、誰も入力していない項目、担当者の退職後に更新が止まった項目、同じ意味の項目が部署ごとに作られたものが多く見つかります。全部を移すと、HubSpotのプロパティが最初から散らかり、営業は旧システムと同じく入力しない画面を開くことになります。移す範囲は「移行後の最初の月次会議で見る数字」から逆算して決めます。
| データ | 扱いの目安 | 判断の基準 |
|---|---|---|
| 取引中・商談中の会社とコンタクト | 移す | 退職者、連絡先のない行、重複は整えてから入れる |
| 接点が途絶えた見込み客 | 条件で絞って移す | 今後メールを送るか、営業が再度連絡するかで決める |
| 進行中の商談 | 移す | ステージをHubSpotのパイプラインに合わせて置き換える |
| 過去の受注・失注 | 比べたい期間だけ移す | 受注率や受注額を前年と比べる期間。それより前はファイルで保管 |
| 商談メモ・対応履歴 | 要約して移すか退避 | 形式がそろっていない、件数が多い場合は退避 |
| 配信停止・受信拒否の記録 | 必ず移す | 漏れると停止を求めた相手に送ってしまう |
| 旧システムの独自項目 | 使っているものだけ | 入力率と、レポートや抽出条件で使っているか |
| 添付ファイル・見積書 | 退避 | 必要な取引だけ後から手で添付する |
移さない判断が合うのは、進行中の商談が営業1人あたり数件で、過去の受注を分析する予定もない場合です。取引はインポートせず、担当者が画面から登録し直すほうが、ステージの置き換えや関連付けの確認より早く終わります。旧CRMから取引の履歴まで移すと、テストと修正の工程が延びるため、HubSpotの導入期間と週ごとの工程表に移行の工程を組み込んでから日程を決めます。
移行の方法は、インポート・移行ツール・連携のどれを使うかで手間が変わる
Excelやスプレッドシートからなら、HubSpot標準のインポートで足ります。他のCRMから移すなら、HubSpotの移行ツール(スマート転送)が移行元の製品に対応しているかを確かめ、対応していなければCSVかExcelに書き出してインポートします。
2026年9月時点のHubSpotナレッジベースでは、スマート転送は主要なCRM・MA・問い合わせ管理ツールの一部に対応し、すべての製品とプランで使えると案内されています。操作できるのはスーパー管理者だけで、独自項目の対応づけにはData Hubの契約が必要です。移行元の設定をもとにプロパティとパイプラインを作り、会社・コンタクト・取引、ユーザー、メモや通話などの活動を移します。転送は移行元からHubSpotへの一方向で、同期の後に一度だけ転送するデータは、以後自動では更新されません。
| 方法 | 向く場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| インポート(CSV・Excel) | Excelやスプレッドシートから移す。移行ツールが対応していないCRMから移す | 照合キーと関連付けの列を自分で用意する |
| スマート転送 | 対応している製品から、項目と活動の履歴をまとめて移す | 移行元の項目がそのままプロパティになるため、不要な項目を対応表で外す |
| 連携アプリ・API | 旧システムをしばらく使い続け、両方に同じデータを置く | 同期の向きと、どちらの値を正とするかを項目ごとに決める |
移行元がMAツールで、メールの配信停止やSFAとの同期まで切り替える場合は、データを移す前に配信とフォームの切り替え順を決めておく必要があります。移行元がMarketoならMarketoからHubSpotへ移すときの機能の対応と切り替え順に沿って進め、そもそも乗り換えるかどうかから検討している段階なら、MAツールを乗り換える判断と並行運用の期間を先に決めます。
項目の対応表を作り、足りないプロパティはインポートの前に作る
対応表は、旧データの列ごとに、HubSpotのどのオブジェクトのどのプロパティへ入れるか、値をどう変換するか、移さないかを1行ずつ書いた表です。HubSpotにない項目はインポートの途中でも作れますが、型と選択肢を決めてから先に作っておきます。
対応表に書く列
対応表は、移行作業の手順書と、移行後に「この項目はどこから来たのか」を確かめる記録を兼ねます。旧データの列名、入れ先のオブジェクト、入れ先のプロパティ、値の変換ルール、照合キーかどうか、移さない理由を列にします。Excelの顧客管理表から移す場合の例は次のとおりです。
| 旧データの列 | 入れ先 | プロパティ | 変換・備考 |
|---|---|---|---|
| 顧客コード | 会社 | 旧システムID(新規・一意の値) | 会社の照合キーにする |
| 会社名 | 会社 | 名前 | 株式会社の位置と全角・半角をそろえる |
| URL | 会社 | 会社ドメイン名 | https://とパス部分を除き、ドメインだけにする |
| 担当者メール | コンタクト | Eメール | 前後の空白を除く。コンタクトの照合キー |
| 営業担当 | 会社・コンタクト・取引 | 所有者 | HubSpotユーザーのメールアドレスに置き換える |
| 顧客ランク | 会社 | 顧客ランク(新規・ドロップダウン) | 選択肢を先に作る |
| 案件フェーズ | 取引 | 取引ステージ | HubSpotのステージ名に置き換える |
| 獲得経路 | コンタクト | 旧システムの流入元(新規) | HubSpotの流入元プロパティには入れない |
| 備考欄 | 移さない | - | 必要な取引だけメモとして入れる |
選択肢の値は、HubSpot側の定義に合わせて変換する
ドロップダウンやラジオボタンなど選択肢のあるプロパティは、インポートファイルの値がHubSpotの選択肢のラベルか内部値と一致しないと取り込めません。複数チェックボックスは値をセミコロンで区切り、日付は日・月・年の並びが分かる形式にします。旧データの「A」「Aランク」「A(重点)」のような表記の揺れは、HubSpotに3つの選択肢を作って受け止めるのではなく、ファイルの側で1つの値に寄せます。どの選択肢を作るかは、プロパティを作る前に答える3つの問いと選択肢の切り方に照らして決めます。
取引ステージも同じ考え方です。取引は取引名、パイプライン、取引ステージの3つがそろわないと作れず、HubSpotに存在しないステージ名はエラーになります。旧システムのフェーズを1対1で写すと、誰も使っていない段階まで引き継いでしまうため、買い手側の出来事で区切った取引パイプラインを先に作り、旧フェーズからの置き換え表を対応表の別シートに書きます。
旧システムのIDを、一意の値のプロパティとして持たせる
HubSpotでは、一意の値を必須にする独自プロパティを10個まで作れ、インポートの照合キーとして使えます。会社には旧システムの顧客コード、取引には旧システムの案件番号を「旧システムID」として入れておくと、再インポートで値を直したいとき、既存のレコードを更新でき、取引と会社を関連付けるときの共通の列にもなります。
HubSpotのインポート機能で確認しておく仕様(2026年9月時点)
インポートできるファイルは.csv・.xlsx・.xlsで、シートは1つだけです。ファイルの大きさと1日に取り込める件数には上限があり、無料ツールと有料プランで異なります。
| 項目 | 無料ツール | 有料プラン(Starter以上など) |
|---|---|---|
| 1ファイルの大きさ | 20MBまで | 512MBまで |
| 1日のインポート回数 | 50回 | 500回 |
| 1日の行数 | 500,000行 | 10,000,000行 |
| 1ファイルの行数 | - | 1,048,576行まで |
| 同時に実行できる数 | 3件(10,000行超は2件まで) | 3件(10,000行超は2件まで) |
出典はHubSpotナレッジベースのインポートファイルの形式に関する記事です。有料プランの欄はSmart CRM、Starter、Professional、Enterpriseに共通の値として案内されています。ほかに、実務で引っかかりやすい仕様は次のとおりです。
- ファイルには見出し行が必要で、列は1,000列未満にします。見出しの列ごとに、取り込みの画面で対応させるHubSpotのプロパティを選びます。
- 日本語を含むCSVはUTF-8で保存します。UTF-8以外で保存したCSVは日本語が崩れることがあるため、Excelで作ったファイルは.xlsxのままアップロードするほうが確実です。複数のシートがあるブックは、会社・コンタクト・取引ごとにファイルを分けます。
- 取り込み方は、新規作成と更新、新規作成のみ、既存レコードの更新のみの3つから選びます。
- 空欄のセルは無視され、既存の値は消えません。既存の値を残したい列は、上書きしない設定にできます。
- インポートには、インポートの権限と、対象オブジェクトの編集権限が要ります。
- メール、ミーティング、メモ、タスクの活動は、複数オブジェクトのインポートで作成だけができ、更新はできません。メール・ミーティング・メモは、会社やコンタクトなどとの関連付けが必須です。
- 関連付けにラベル(「決裁者」など)を付けるには、ProfessionalかEnterpriseが必要です。
インポートは、会社やコンタクトなど各オブジェクトの一覧画面にある「インポート」から始められます。単一オブジェクトのインポートは1種類のレコードだけを取り込み、複数オブジェクトのインポートは会社とコンタクトのように2種類以上を関連付けて取り込みます。
重複と名寄せは、照合キーを決めてからインポートする
HubSpotはインポートの際、コンタクトはメールアドレス、会社は会社ドメイン名、すべてのオブジェクトはレコードIDか一意の値のプロパティで既存のレコードと照合し、一致すれば更新、一致しなければ新規に作ります。照合キーが空の行はインポートのたびに新しいレコードになるため、ファイルの中の重複はインポートの前に消しておきます。
Excelの顧客リストで重複が生まれやすいのは、メールアドレスのない行と、同じ会社が別の表記で並んでいる行です。メールアドレスのないコンタクトは照合できないため、同じファイルを2回取り込むと同じ人が2人になります。会社名は照合キーにならないので、「株式会社サンプル」と「(株)サンプル」は、会社ドメイン名か旧システムIDがなければ別の会社として作られます。名寄せをどこまでやるかは、メールアドレスの重複の解消を最優先にし、表記の揺れは名寄せの作業の進め方と、どこまでやるかの決め方に沿って、判断が要るものだけ人が確認します。
会社ドメイン名で照合すると困るのが、グループ会社や事業部が同じドメインを使っている場合です。子会社を別々の会社として管理したいのに、同じドメインで照合すると1つの会社に更新が重なります。こうした会社が含まれるなら、会社の照合キーは旧システムIDにそろえます。
会社は旧システムID、コンタクトはメールアドレス、取引は旧システムの案件番号で照合すると決め、対応表の備考に書いておきます。再インポートのたびに照合キーが変わると、同じ会社が2つできる原因になります。
インポートの前には、会社とコンタクトの自動関連付けの設定も確かめます。この設定がオンだと、コンタクトのメールアドレスのドメインと会社ドメイン名が一致する会社に自動で関連付けられ、該当する会社がなければ作られます。フリーメールのアドレスや、取引先と共通のドメインを使う相手が多い場合は、除外するドメインを登録するか、設定をオフにして関連付けをファイルで指定します。移行前から重複が多い既存のHubSpotに追加で入れる場合は、HubSpotのデータ整備の手順で先に既存側の重複を統合しておきます。
会社・コンタクト・取引は、会社から順に取り込んで関連付ける
関連付けは、1つのファイルに両方の照合キーを並べる方法と、共通の列を持つ2つのファイルに分ける方法で設定できます。配信停止、会社、コンタクト、取引、活動の順に取り込むと、関連付けの相手が先にHubSpotに存在する状態で進められ、失敗した行の原因も追えます。
Excelの案件管理表は、1行に会社名、担当者、金額、フェーズが並んでいる形が多く、そのままではHubSpotに入りません。会社のシート、コンタクトのシート、取引のシートに分け、コンタクトのシートには所属する会社の旧システムIDを、取引のシートには会社の旧システムIDと担当者のメールアドレスを列として残します。1つの取引に複数のコンタクトを関連付ける場合は、取引の旧システムIDを同じにした行をコンタクトの数だけ並べます。
会社とコンタクトを1つのファイルで同時に取り込むこともできます。ただし、複数オブジェクトのインポートで作ったコンタクトはマーケティングコンタクトに設定できないため、メール配信の対象をインポートの時点で決めたい場合は、会社を先に取り込み、コンタクトは別の回に分けます。過去の受注・失注を取引として入れる場合は、成約日の列も入れておきます。月別の受注額を前年と比べるレポートは、成約日が旧システムの日付で入っていないと組めません。
商談メモや対応履歴を活動として入れるのは、すべての取り込みが終わった最後にします。活動はインポートで更新できないため、関連付けの誤りに後から気づくと、削除して入れ直すことになります。
所有者・ライフサイクルステージ・流入元・マーケティングコンタクトの値を決めておく
この4つは、インポートの結果が営業への割り当て、配信の対象、請求の件数に直結します。どれも旧データの値をそのまま入れず、HubSpotでの定義に合わせて入れる値を決めてから取り込みます。
所有者は、HubSpotのユーザーとして招待してから入れる
所有者の列には、ユーザーの名前、メールアドレス、所有者プロパティの内部値のいずれかを入れます。有効なユーザーと一致しない値はエラーになり、同姓同名のユーザーがいると特定できないため、メールアドレスで入れるのが確実です。インポートで所有者に割り当てられたユーザーには通知が届かないので、移行の翌日に営業へ「自分が担当の会社」の一覧を見てもらう時間を取ります。退職した担当者の顧客は、移行前に後任を決めて置き換えます。
ライフサイクルステージは、前の段階に戻せない前提で入れる
標準のライフサイクルステージは、インポートでは先の段階にしか進められません。誤って「顧客」で入れた見込み客を「リード」に戻すには、値を手で消すかワークフローで消してから入れ直す必要があります。受注履歴のある会社のコンタクトは「顧客」、商談中は「商談」、それ以外は自社の定義に沿って入れる、というルールを対応表に書いてから取り込みます。ステージの定義と会社の関連付けのルールがまだなければ、初期設定で先に決めるライフサイクルステージと会社の関連付けを決めてから進めます。
旧システムの流入元は、独自のプロパティに残す
HubSpotの初回の流入元(Original Traffic Source)は手で変更できますが、変更すると詳細を示すドリルダウンの値は消えます。レコードがインポートで作られたことは、作成方法を記録するレコードソース(Record Source)のプロパティで確認できます。旧システムの「展示会」「紹介」「Web問い合わせ」のような獲得経路は、HubSpotの流入元に無理に当てはめず、「旧システムの流入元」という独自のプロパティに入れておくと、移行前と移行後の流入を混ぜずに集計できます。
配信停止を最初に入れ、マーケティングコンタクトは絞って設定する
配信停止の記録は、コンタクトより先に、メールをオプトアウトするコンタクトのリストとしてインポートします。CSVでメールアドレスの列を用意して取り込むと、そのアドレスは今後のマーケティングメールとシーケンスの送信対象から外れます。この方法で入れたアドレスはコンタクトとして作られず、請求の件数にも入りません。
マーケティングコンタクトに設定できるのは、Marketing HubのStarter以上で、単一オブジェクトのコンタクトのインポートで、マーケティングコンタクトに設定するチェックボックスを選んだ場合だけです。チェックを入れずに取り込んだコンタクトと、複数オブジェクトのインポートで作ったコンタクトは、非マーケティングになります。請求の段階はマーケティングコンタクトの件数で決まるため、全員にチェックを入れず、直近で接点のある相手だけを後から条件で切り替えます。切り替えが請求に反映される時期はマーケティングコンタクトの設定方法と請求に反映されるタイミングで確かめてから決めます。
配信停止の記録を後回しにしてコンタクトを先に入れ、マーケティングコンタクトに設定すると、停止を求めた相手が送信対象に入った状態がしばらく続きます。配信停止のインポートが終わるまでは、HubSpotからマーケティングメールを送らないでください。
試験インポートで確かめることと、本番の前に残しておくもの
本番の前に、会社・コンタクト・取引それぞれ少ない行数の試験ファイルで一度取り込み、関連付けと値の変換を画面で確かめます。インポートで作られたレコードは削除できますが、既存レコードの更新は削除では戻らないため、更新を含む取り込みの前には対象のデータを書き出して残します。
試験ファイルには、きれいな行だけでなく、つまずきそうな行を意図して入れます。メールアドレスのないコンタクト、同じドメインを使うグループ会社、1社に複数のコンタクトがいる会社、受注済みの過去の取引、退職した担当者が所有者の行です。取り込み後は、インポートの履歴から概要を開き、取り込んだ行数、新しく作られたレコード数、更新されたレコード数がファイルの行数と合うかを見ます。エラーのあった行はエラーファイルとしてダウンロードでき、主な原因は次の5つです。
| エラーの内容 | 主な原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 所有者が見つからない | 有効なユーザーでない、名前の表記が違う | ユーザーを招待し、メールアドレスで入れ直す |
| 選択肢が無効 | 選択肢のラベル・内部値と一致しない | ファイルの値を変換するか、選択肢を追加する |
| 取引ステージ・パイプラインの検証に失敗 | HubSpotにないステージ名 | 置き換え表で変換するか、ステージを作る |
| 日付・数値を読み取れない | 形式の違い、数値の列に文字が入っている | 形式をそろえ、単位や記号を除く |
| 一意の値が重複している | ファイル内で同じ旧システムIDが複数ある | 重複行を1つにまとめる |
試験の取り込みでは、有効なワークフローも確かめます。プロパティの値やセグメントの条件で登録するワークフローは、インポートで条件を満たしたレコードが対象になり得るため、お礼メールや営業への通知を送るワークフローは、本番のインポートが終わるまで止めておきます。
本番のインポート後は、次の数字を元データと突き合わせます。会社とコンタクトの件数、関連付けのないコンタクトの件数、所有者が空欄のレコードの件数、進行中の取引の金額合計、マーケティングコンタクトの件数です。取引の金額合計は、Excelの管理表の合計とHubSpotのパイプラインの合計を並べると、取り込み漏れと二重登録がまとめて見つかります。試験の結果、重複や関連付けの誤りが想定より多く出た場合は、対応表と照合キーの決め方から相談することもできます。
移行後は、旧システムへの入力を止める日を先に決める
移行が終わっても旧システムやExcelへの入力が続くと、どちらが最新か分からないデータが両方に増えます。入力を止める日、閲覧だけ残す期間、契約の終了とデータ書き出しの期限を、移行の計画の中で決めます。
入力を止める日は、本番インポートの直前に置きます。その日以降に旧システムへ入った変更は、差分として書き出してもう一度取り込むことになり、件数が多いと移行の検証をやり直すことになります。本番インポートの前日の夕方に営業へ旧システムへの入力を止めてもらい、翌朝からHubSpotに入力する、という区切りを事前に全員へ伝えます。
旧システムは、閲覧だけできる状態で一定期間残すと、移さなかった過去の履歴を営業が確かめられます。他のCRMやMAを解約する場合は、契約の解約申し出の期限と、解約後にデータを書き出せる期限の両方を確認し、添付ファイルを含めた全データの書き出しを保管してから止めます。Excelの管理表は、共有フォルダの中で閲覧専用の場所に移し、ファイル名に移行日を付けて編集の権限を外します。Webサイトのフォームやメール配信が旧システムにつながったままになっていないかも、切り替えの日に確かめます。
自社で移すか、移行ツールや外部の支援に頼むかの判断
Excelから会社とコンタクトを移すだけなら、自社でインポートまで進められます。取引や活動の履歴を関連付けて移す場合や、旧システムの項目が多く対応表を作れる人が社内にいない場合は、移行ツールか外部の支援を使います。
| 状況 | 向く進め方 |
|---|---|
| Excelの顧客リストと見込み客を移す。取引は少ない | 自社でインポート。取引は画面から登録し直す |
| スマート転送が対応しているCRMから、項目と履歴を移す | スマート転送を使い、対応表で不要な項目を外す |
| 対応していないCRMや、複数のExcelに散らばったデータを関連付けて移す | 対応表の作成と試験インポートまで外部に頼む |
| 旧システムをしばらく使い続ける | 移行ではなく連携として同期の設計から始める |
外部に頼む場合でも、移す範囲、ライフサイクルステージと取引ステージの定義、所有者の割り当てのルールは社内で決めます。この3つは移行後の運用で毎日使う判断で、外部の担当者は元データを見ても決められません。頼むなら、MA導入支援の費用の内訳と頼める範囲を見比べ、対応表の作成まで任せるか、試験インポートと検証まで任せるかを決めます。
移行そのものを見送る判断もあります。HubSpotを当面は問い合わせフォームとメール配信だけに使い、営業の管理はExcelのまま続けるなら、過去の顧客データを移さず、新しく入る問い合わせだけをHubSpotにためる形で始められます。営業が入力する場所をHubSpotに移す準備が整ったところで、改めて会社と取引を移します。
まとめ
HubSpotへのデータ移行は、移す範囲、照合キー、取り込む順番の3つを先に決めると、インポートの操作で迷う場面が減ります。インポートは空欄で値を消せず、ステージを戻せず、更新を削除で取り消せないため、試験インポートで変換と関連付けを確かめてから本番に進みます。
次にやることは、移行後の月次会議で見る数字から移すデータを決めること、旧データの列ごとの対応表を作り、旧システムIDを一意の値のプロパティとして用意すること、配信停止の記録を最初に取り込む段取りを決めることの3つです。取引が少なく営業の管理をExcelに残すなら、過去のデータは移さず、新しい問い合わせからHubSpotに入れる形でも始められます。
無料相談
移すデータの範囲と対応表を決め、試験インポートまでの段取りを一緒に組みます
「Excelの案件管理表をどう分ければ会社と取引がつながるか分からない」「旧CRMの項目を全部移すべきか決められない」「インポートしたら同じ会社が2つできた」。Ampelは外部CMOとして、元データと移行後に見たい数字を伺い、移す範囲の判断、項目の対応表と照合キーの設計、試験インポートの確認項目、旧システムを止める日程までを担当者の方と一緒に決めます。
よくある質問
- ExcelのファイルをそのままHubSpotにインポートできますか?
- できます。HubSpotのインポートは.xlsxと.xlsに対応していますが、シートは1つだけで、1行目に見出しが必要です。会社・コンタクト・取引が1つのシートに混ざっている管理表は、オブジェクトごとのファイルに分け、関連付けに使う旧システムIDやメールアドレスの列を残してから取り込みます。
- HubSpotのインポートに件数の上限はありますか?
- あります。2026年9月時点のナレッジベースでは、無料ツールは1ファイル20MBまで、1日50回・500,000行まで、有料プランは1ファイル512MB・1,048,576行まで、1日500回・10,000,000行までと案内されています。列は1,000列未満にします。
- 無料版のHubSpotでもデータ移行はできますか?
- できます。インポートとスマート転送はすべての製品とプランで使えます。ただし、関連付けにラベルを付けるにはProfessional以上、インポート時にマーケティングコンタクトに設定するにはMarketing HubのStarter以上、スマート転送で独自項目を対応づけるにはData Hubの契約が必要です。
- インポートを間違えたときは元に戻せますか?
- 新しく作られたレコードは、インポートの履歴から対象を選んで削除できます。既存のレコードを更新した変更は削除では戻らないため、正しい値で再インポートするか、手で直します。更新を含む取り込みの前には、対象のデータを書き出して残しておきます。
- 過去のメールや商談メモも移行できますか?
- メール、ミーティング、メモ、タスクは、複数オブジェクトのインポートで作成できます。メール・ミーティング・メモは会社やコンタクトなどとの関連付けが必須で、取り込んだ後は更新できません。形式がそろっていない履歴は、要約をメモとして入れるか、旧システム側に残して参照するほうが手間がかかりません。