BtoBリード獲得施策一覧|17の手法の比較と、自社に合う施策の選び方・優先順位

BtoBリード獲得施策一覧|成果につながる手法と優先順位の決め方

「来期はリードを今の倍にしてほしい」。経営会議でそう言われたマーケ担当者が施策の一覧を広げると、SEO、ウェビナー、展示会、広告、比較サイトと、どの施策にも「BtoBで成果が出た」という事例が付いています。予算と人員は今期と同じまま、どれを足してどれを見送るかを、来週までに決めなければなりません。

BtoBのリード獲得施策は17種ほどに分けられますが、並べて良し悪しを比べても選べません。自社の商材が検索されているか、対象企業を社名で書き出せるか、受注単価で獲得費用を回収できるか、獲得後に誰がフォローするかの4条件で外す施策を先に決めると、残る候補は数えるほどになります。

少人数でリード獲得を任されているなら、どの施策に予算を置くかは、施策の評判より、自社の商材と体制がその施策の前提を満たしているかで決まります。前提を満たさない施策は今期やらないと決めてよく、その理由は上司にも数字で示せます。

目次

BtoBのリード獲得施策17種の一覧:成果までの期間・手間・リードの温度感

BtoBのリード獲得施策は、オンライン11種とオフライン・アウトバウンド6種の計17種に分けられ、成果が出始めるまでの期間、社内で要る手間、獲得できるリードの温度感が施策ごとに違います。一覧で違いを確かめてから、自社の条件に合わない施策を外します。

BtoBのリード獲得とは、自社の商材に関心を持ちうる企業の担当者について、連絡先と関心の中身を得て、営業やインサイドセールスが接触できる状態にすることです。目的はリードの件数ではなく商談の数で、獲得したリードを商談まで育てるナーチャリングのシナリオとは工程を分けて組み立てます。

リード獲得施策は、見込み顧客が検索や告知を見て自分から来る「来てもらう施策(インバウンド)」と、企業側が電話・郵送・広告配信で接触する「こちらから届ける施策(アウトバウンド)」に分かれます。来てもらう施策は検討の進んだリードが集まる代わりに立ち上がりに時間がかかり、こちらから届ける施策は数週間で接点を作れる代わりに、相手の関心が固まっていない段階で接触することになります。

施策接点の作り方成果が出始めるまで(目安)リードの温度感社内で要る手間
SEO・オウンドメディア記事来てもらう半年以上中〜高(検索語による)記事の制作を毎月続ける
ホワイトペーパー・資料ダウンロード来てもらう3か月〜(流入量による)低〜中資料の企画・制作と、置くページへの流入
自社ウェビナー来てもらう1〜2か月中企画・登壇・集客・当日運営
共催ウェビナー他社のリストに届ける1〜3か月中共催先との企画とリード分配の取り決め
検索広告(リスティング広告)来てもらう数週間高キーワードと除外の管理、入札の調整
SNS広告・ディスプレイ広告こちらから届ける数週間低〜中広告素材の制作と配信条件の設計
SNS・個人の発信来てもらう半年以上低〜中担当者が発信を続ける
比較サイト・レビューサイト掲載来てもらう1〜3か月中〜高掲載情報の更新と口コミの依頼
資料掲載型の外部メディア他社の会員に届ける数週間低〜中資料の用意と、受け取ったリードの選別
既存リスト・休眠リードへのメールこちらから届ける数週間中配信内容の作成とリストの整備
サイトの問い合わせ導線の改善来てもらう(既存の流入)1〜2か月高ページとフォームの改修
展示会会場で会う会期直後低〜中出展準備、ブースの人員、会期後のフォロー
自社セミナー(会場開催)来てもらう1〜2か月中〜高会場手配・集客・運営
テレアポ・メール・フォームでのアウトバウンドこちらから届ける数週間低〜中リスト作成、架電、トークの改善
DM・手紙こちらから届ける数週間〜1か月低〜中宛先の選定、制作、発送後の電話
既存顧客からの紹介紹介してもらう不定期高依頼する場面づくりと顧客との関係
販売パートナー・アライアンス他社の顧客網に届ける半年以上中〜高パートナーの教育と案件分配の取り決め

表の期間は実務上の目安で、商材の検討期間の長さと、自社サイトにすでにある流入の量で前後します。温度感は、問い合わせや商談の打診につながりやすいかを施策どうしで比べた相対的な目安です。

営業部長から「今月は商談が足りない」と言われた担当者が、ホワイトペーパーを1本足し、展示会にも出展してリード数を倍にしたとします。インサイドセールスが電話をかけると、相手は情報収集中の担当者や同業他社ばかりで、架電の時間だけが増えます。温度感の列を見ずに件数の出やすい施策を足すと、商談の数は変わらないまま営業の工数だけが増えます。

リード獲得施策17種の位置づけ 短期/こちらから届ける SNS・ディスプレイ広告 既存リストへのメール 展示会 テレアポ・メール営業 DM・手紙 資料掲載型の外部メディア 共催ウェビナー 中長期/こちらから届ける 販売パートナー 既存顧客からの紹介 短期/来てもらう 検索広告 問い合わせ導線の改善 比較・レビューサイト掲載 自社ウェビナー 自社セミナー(会場) 中長期/来てもらう SEO・オウンドメディア記事 ホワイトペーパー・資料DL SNS・個人の発信 短期:数週間〜数か月 中長期:半年以上(実務上の目安)
図1:リード獲得施策17種の位置づけ。他社のリストや顧客網を通じて届ける施策も「こちらから届ける」に含めています。

オンラインのリード獲得施策11種:検索・広告・外部サイトで接点を作る

オンライン施策は、検索や広告で見込み顧客を自社サイトに呼ぶものと、比較サイトや外部メディアなど他社の場で接点を作るものに分かれます。自社サイトに呼ぶ施策は、来た人が資料請求や問い合わせに進むページがなければリードにならないため、サイトの導線もあわせて確かめます。

SEO・オウンドメディア記事

対象企業の担当者が検索する言葉に合わせて記事を作り、検索から来た読者を資料請求や問い合わせにつなげる施策です。広告費はかからない代わりに、記事の制作を毎月続ける人手が要り、リードが出始めるまで半年以上かかるのが実務上の目安です。

商材のカテゴリ名や、対象企業が抱える課題の言葉が検索されている商材なら主軸の候補になり、ほとんど検索されない新しい領域の商材なら今期は外します。やるかどうかはSEOをやるべき会社とやらない会社の判断基準で決め、狙う言葉は商談から逆算するキーワード選定の手順で選びます。

生成AIの要約が検索結果に表示されるようになり、順位を保っていてもクリックが減る記事が出ています。SEOを主軸にするなら、評価の指標を順位ではなく記事経由の商談数に置き、AI検索への対応はBtoBのLLMO対策として切り分けて判断します。

ホワイトペーパー・資料ダウンロード

調査データ、チェックリスト、比較表などの資料を用意し、フォームへの入力と引き換えにダウンロードしてもらう施策です。連絡先と「何の資料を読んだか」が同時に取れるため、その後のメールや電話で何を話すかを決めやすくなります。

資料を置くページに来る人がいて初めて機能する施策なので、記事や広告からの流入がない段階で資料を何本作っても、ダウンロードは増えません。ダウンロードした人の多くは情報収集の段階にいるため、翌日に電話する相手の条件(例:従業員数と役職が対象企業に合う人だけ)を公開前に営業と決めておきます。企画の立て方は商談につながるホワイトペーパーの作り方の手順で進めます。

自社ウェビナー

対象企業の課題をテーマにしたオンラインセミナーを開き、参加登録でリードを得る施策です。登録者が自分でテーマを選んで申し込むため、資料ダウンロードより関心の中身がはっきりしたリードが集まり、視聴時間や質問の内容から営業が先に連絡する相手を選べます。

企画・登壇・集客・当日運営を毎回こなす人手が要るため、登壇できる社員がいない会社や、告知できる自社リストがほとんどない会社は、次の共催ウェビナーから始めます。テーマは集客できて商談につながるテーマの決め方で選び、告知の段取りは商談から逆算するウェビナー集客に沿って組みます。

共催ウェビナー

対象企業が重なる他社と一緒にウェビナーを開き、双方のリストに告知する施策です。自社のリストが小さい段階でも、相手の顧客や会員に届けられます。

申込者の情報を誰がどの範囲で使えるか、申込フォームでどう同意を取るかを企画の最初に決めておかないと、終了後にリードの分け方で揉めます。共催先の選び方と分配の取り決めは共催ウェビナーの進め方を下敷きにします。

検索広告(リスティング広告)

Googleなどの検索結果に広告を出し、「〇〇 導入」「〇〇 比較」のように導入を検討している人の検索に接点を作る施策です。出稿した週から問い合わせが入りうるため、今期のリードが足りないときの短期施策になります。

BtoBは検索の数そのものが少なく、予算を増やしても表示回数が頭打ちになります。検索されていない商材ではそもそも広告を出す場所がないため、需要の有無はBtoBリスティング広告のキーワード選定の手順で確かめ、予算はGoogle広告の最低予算の考え方で、判断に必要なクリック数から逆算します。

SNS広告・ディスプレイ広告

Meta、LinkedIn、ディスプレイ広告などで、業種・役職・自社サイトの訪問履歴などを条件に広告を配信する施策です。検索していない人にも届けられる一方で、今すぐ探している人を狙っては出せないため、広告の着地点は問い合わせより手前の、資料ダウンロードやウェビナー申込に置きます。

LinkedIn広告は役職や業種で配信先を絞れますが、国内の利用者はFacebookやInstagramと比べて少ないとされ、1件あたりの獲得費用は高くなりがちです。受注単価が高く、1件あたりの費用が高くても回収できる商材なら試す価値があり、そうでなければBtoBのMeta広告や、サイト訪問者に絞ったリターゲティング広告から始めます。LinkedIn自体を使うかどうかは日本市場でのLinkedIn活用の判断で決めます。

SNS・個人の発信

X、LinkedIn、noteなどで、会社や担当者個人が専門分野の情報を発信する施策です。投稿そのものからの問い合わせは少なく、成果が見えるのは「前から投稿を読んでいた」という商談が出てきてからなので、半年以上続けられる発信者がいる会社に向きます。

発信を続けられる人が社内にいない会社や、担当者の名前が知られていることが受注に関係しない商材なら、リード獲得の施策としては今期見送ります。続けるかどうかはBtoBのSNS運用の判断と商談への見方で判断します。

比較サイト・レビューサイトへの掲載

製品カテゴリごとの比較サイトやレビューサイトに製品を掲載し、導入先を比べている人との接点を作る施策です。比べている段階の人が来るため温度感は高く、掲載から数か月で問い合わせが入ることがあります。

掲載料がかかるサイトでは、送られてくるリードの商談化率を見ないと費用に見合うかが分かりません。「〇〇 おすすめ」の検索で自社サイトが上位に出られない商材ほど掲載を検討する価値があります。掲載するかはBtoB比較サイトへの掲載の判断で決め、口コミの集め方はレビューサイトの活用の手順で進めます。

資料掲載型の外部メディア

業界メディアや資料掲載サイトに自社の資料を載せ、ダウンロードした読者の情報を受け取る施策です。自社サイトに流入がない段階でも、相手のメディアの会員にすぐ届けられます。

複数社の資料をまとめてダウンロードできる形式のサイトでは、翌日に電話をかけても「資料を見ただけ」と言われるリードが混ざります。受け取ったリードを営業に渡す前に、対象企業の条件で選別する担当と基準を決めてから契約します。

既存リスト・休眠リードへのメール

過去の名刺交換や資料請求で得たものの、商談にならずに止まっているリードに、事例やウェビナーの案内などのメールを送り、改めて問い合わせや申込を得る施策です。新しい接点を作る施策ではありませんが、手元に数千件のリストが眠っている会社なら、新しい施策に費用をかける前に試せます。

配信先はBtoBで最初に作るセグメントの分け方で区切り、反応の戻し方は休眠リードの掘り起こしの手順で組みます。リストが数百件以下なら、一斉配信より営業からの個別連絡のほうが早く反応を確かめられます。

サイトの問い合わせ導線の改善

すでにあるサイトの流入のうち、問い合わせや資料請求に進む割合を上げる施策です。新しい流入を増やさないので施策の一覧から漏れがちですが、サービスページ、料金ページ、フォームのどこかで離脱が多いなら、新しい施策より少ない費用でリードが増えます。

フォームの表示回数と送信回数を並べたとき、表示の割に送信が少なければフォームの入力項目を削り、そもそもフォームまで来ていないなら検討段階ごとのCTAとサービスサイトのページ構成を見直します。月の流入が少なすぎて比べる数字が出ない段階なら、導線を直す前に流入を作る施策を選びます。

資料請求サイトや比較サイトのように外部のサービスにお金を払ってリードを集める場合は、リード獲得サービスの種類と、課金方式ごとのリード獲得単価の見方を確認してから、商談1件あたりの費用で候補を比べます。

オフライン・アウトバウンドのリード獲得施策6種:会う・連絡する・紹介を受ける

オフラインとアウトバウンドの施策は、数週間で対象企業との接点を作れる代わりに、1件あたりの費用か人の稼働が大きくなります。獲得した相手を誰が何日以内にフォローするかを決められる場合に選びます。

展示会

業界の展示会にブースを出し、来場者と名刺交換をする施策です。会期の数日で数百枚の名刺が集まることもありますが(件数は展示会と小間の大きさで大きく変わります)、多くは情報収集中の来場者で、会期後のフォローが遅れるほど商談になりにくくなります。

出展を申し込む前に、会期後2週間で何件に電話できるかを数えておきます。例として、インサイドセールス2人が1日30件ずつかけるなら、10営業日で約600件が上限で、それを超える名刺は連絡されないまま反応が落ちていきます。費用は展示会の出展費用の内訳で見積もり、出展判断から当日までは展示会の出展準備、会期後の動きは展示会リードのフォロー設計の順で決めます。

自社セミナー(会場開催)

自社で会場を借りてセミナーや勉強会を開く施策です。オンラインより申込は集まりにくい一方で、来場した人とは講演のあとに直接話せるため、少人数でも商談の打診につながりやすくなります。

会場費と運営の手間がかかるので、対象企業が特定の地域に集まっている商材や、実物を見せたい商材に向きます。オンラインで伝わる内容なら会場は使いません。会場で開く判断と少人数での組み方は自社セミナーの開催方法を下敷きにします。

テレアポ・メール・フォームでのアウトバウンド

対象企業のリストを作り、電話、メール、問い合わせフォームから接触する施策です。狙う企業を自分で選べるため、対象企業が限られる商材や、市場にまだ知られていない新しい商材でも接点を作れます。

リスト作成、架電、トークの改善を続ける人手が要り、受注単価が低い商材では工数を回収できません。着手するかどうかはBtoBのアウトバウンド営業の判断とリスト設計で決め、始めるなら聞く順番と分岐を決めたトークスクリプトを先に用意します。問い合わせフォームからの送信は相手の受付担当の手間を増やすため、送る先と回数を絞ります。

広告や宣伝のためのメールは特定電子メール法の対象で、同意のない相手に送れるのは、名刺などの書面でアドレスを知らされた場合、取引関係にある場合、Webサイトでアドレスを公表している企業などに限られます。公表しているページに広告メールを断る旨が書かれていれば例外に当たらず、どの場合も送信者の名称と配信停止の連絡先をメールに表示する必要があります。

DM・手紙

対象企業の決裁者や部門責任者あてに、パンフレットや手紙を郵送する施策です。メールのように他の配信に埋もれにくい一方で、1通ごとに印刷と郵送の費用がかかるため、宛先を社名と部署まで絞れる場合に向きます。

送るだけでは反応を測れないので、手紙に専用のURLや連絡先を載せ、送付から1〜2週間以内に電話でフォローする段取りまで決めてから発送します。

既存顧客からの紹介

既存顧客に、同業の知人や取引先を紹介してもらう施策です。紹介元が商材の良さを先に伝えてくれるため受注率は高くなりやすい一方で、件数を自社の都合で増やしにくい施策です。

「紹介してください」と頼むだけでは件数は増えないため、導入後に成果が出た時期に依頼する、紹介先に渡しやすい資料を用意するなど、依頼する場面を先に決めておきます。既存顧客との接点の作り方はBtoBの既存顧客マーケティングの中で組み立てます。

販売パートナー・アライアンス

販売代理店や、同じ顧客に別の商材を売っている会社と組み、相手の顧客網で自社の商材を紹介してもらう施策です。自社だけでは届かない業界や地域に接点を広げられますが、パートナーが商材を説明できるようになるまでの教育と、案件の分け方の取り決めが要り、成果が出るまで半年以上かかるのが実務上の目安です。

契約しても売れないまま止まる事態を避けるには、パートナー営業の立ち上げ設計に沿って、最初の打診先を既存顧客の紹介元から選びます。

自社に合う施策の選び方:4つの条件で候補から外す

施策は評判や他社の事例ではなく、自社がその施策の前提条件を満たしているかで選びます。検索需要、対象企業の数、受注単価、獲得後のフォロー体制の4つで外す施策を決めると、候補は少数に絞られます。

前提:足りないのはリードか、リードのあとか

施策を選ぶ前に、今あるリードがどこで止まっているかを確かめます。直近の問い合わせと資料請求を並べ、営業やインサイドセールスが連絡した割合と、そのうち商談になった割合を出します。

連絡した割合が半分に満たない、あるいは問い合わせから初回の連絡まで数日空いているなら、足りないのはリードではなくフォローです。その場合はリード獲得施策を足すより、問い合わせへの初動と営業に渡すリードの定義を先に直します。手元のリードが商談にならない理由を施策のせいにすると、施策を入れ替えても結果は変わりません。

候補:リード獲得施策17種 条件1:商材や課題が検索されているか されていない → SEO記事・検索広告・比較サイトを外す 条件2:対象企業を社名で書き出せる数か 書き出せる → 個別に届ける施策を優先して残す 条件3:受注単価で獲得費用を回収できるか 回収できない → 展示会・会場セミナーを外す 条件4:獲得後すぐにフォローできるか できない → 名刺や申込が一度に集まる施策を外す 残った候補から主軸1つ+短期1つ
図2:4つの条件で外す施策を決め、残った候補から始める施策を選ぶ流れ

条件1:自社の商材や課題が検索されているか

SEO記事、検索広告、比較サイト掲載は、どれも検索している人がいることが前提の施策です。Google広告のキーワードプランナーなどで、商材のカテゴリ名と、対象企業が抱える課題の言葉の両方を調べ、どちらもほとんど検索されていなければ3つとも今期の候補から外します。

新しい領域の商材で検索がない場合は、検索されるのを待つより、対象企業に届けるアウトバウンドやDM、課題をテーマにした共催ウェビナーで接点を作ります。

条件2:対象企業を社名で書き出せる数か

対象になる企業が業種や規模の条件で数百社程度(実務上の目安)に収まり、社名で書き出せるなら、数を集める施策より、企業を指定して接触する施策が合います。展示会や広く配信する広告で集めた名刺の大半が、対象外の企業になるためです。

その場合はABMの始め方に沿って企業リストを作り、アウトバウンド、DM、共催ウェビナーで同じ企業に複数の経路から接触します。対象企業が数千社以上あり、業種や規模でしか絞れないなら、SEOや広告のように広く集めてから選別する施策が候補に残ります。

条件3:受注単価で獲得費用を回収できるか

展示会、会場セミナー、LinkedIn広告のように1件あたりの費用が高い施策は、受注単価で回収できるかを先に計算します。リード1件にかけてよい費用の上限は、次の順で出します。

  1. 受注1件で得られる粗利に、獲得費用に回してよい割合を掛けて、受注1件あたりにかけてよい費用を出す
  2. 受注1件あたりの費用に、商談から受注に至る割合を掛けて、商談1件あたりの上限を出す
  3. 商談1件あたりの上限に、リードから商談になる割合を掛けて、リード1件あたりの上限を出す

例として、受注1件の粗利が300万円で、その3割を獲得費用に回せるなら、受注1件あたり90万円です。商談からの受注率が20%なら商談1件あたり18万円、リードからの商談化率が10%ならリード1件あたり1万8,000円が上限になります。出展費用と人件費を合わせて600万円かかる展示会なら、商談化率10%の前提で約330件のリードを集めないと上限に収まりません(数字は計算の例)。

顧客が長く契約を続ける商材なら、1回の受注の粗利ではなく契約期間全体の粗利で上限を出せます。考え方はLTVとCACから投資上限を決める方法の手順で確かめます。

条件4:獲得後に誰が何日以内にフォローできるか

リードは獲得した直後がもっとも反応がよく、連絡が遅れるほど商談になりにくくなります。名刺や申込が一度に大量に集まる施策では、フォローする人の上限を超えた分がそのまま使われずに終わります。

施策を選ぶ段階で、獲得したリードに最初に連絡する担当と、連絡までの日数を決めます。インサイドセールスがいない会社で、営業が商談の合間に電話するしかないなら、展示会で数百枚の名刺を集めるより、月に数十件の申込を確実に追える自社ウェビナーや検索広告のほうが、商談の数は多くなりやすくなります。

条件当てはまるとき候補から外す施策候補に残す施策
検索需要商材名も課題の言葉もほとんど検索されないSEO記事、検索広告、比較サイト掲載アウトバウンド、DM、共催ウェビナー
対象企業の数対象を社名で書き出せる(数百社程度まで)展示会、広く配信する広告アウトバウンド、DM、紹介、共催ウェビナー
受注単価計算したリード1件の上限が低い展示会、会場セミナー、LinkedIn広告SEO記事、既存リストへのメール、導線の改善
フォロー体制獲得から数日以内に連絡できる人がいない展示会、資料掲載型の外部メディア検索広告、導線の改善、自社ウェビナー

4つの条件で外した施策は「やらない」ではなく「今期はやらない」と理由つきで記録しておきます。検索需要が出てきた、インサイドセールスを採用したといった変化があれば、外した施策が候補に戻ります。

製造業では技術者が名乗らずに資料で候補を絞るため、製造業のBtoBマーケティングの進め方に沿って、資料のダウンロードや図面での見積依頼も引き合いの入口として数えてから施策を比べます。

優先順位の決め方:主軸1つと短期施策1つから始める

候補が絞れたら、半年以上かけてリードの獲得単価を下げる主軸の施策を1つと、今期の商談を補う短期の施策を1つ選び、同時に動かすのは2つまでにします。3か月ごとに商談の数を見て、続けるか入れ替えるかを決めます。

担当が1〜2人の会社で施策を5つも6つも並行すると、どれも準備が中途半端なまま動き、どの施策から商談が生まれたかも分からなくなります。主軸1つと短期1つに絞るのは、施策ごとの商談数を比べられる状態を保つためです。2つという数は実務上の目安で、担当が増えるか、1つ目の施策が手を離れて回るようになってから3つ目を足します。

必要なリード数を商談目標から逆算する

優先順位を決める前に、今期に要るリードの数を出します。月の商談目標が10件で、リードから商談になる割合が10%なら、月に100件のリードが要ります。今のリードが月40件なら、差の60件を短期施策と主軸のどちらでどれだけ埋めるかが、優先順位を決める出発点になります。

受注目標から見てどれだけの商談を抱えておけばよいかは、パイプラインカバレッジを自社の受注率とサイクルから出すと決まります。

事業フェーズ別の組み合わせ

事業フェーズ主軸の候補短期施策の候補まだやらない施策
創業期・PMF前既存顧客からの紹介、経営者自身の発信アウトバウンド、少人数の会場セミナーSEO記事、展示会、MAを使ったメール配信
初期スケール期SEO記事、ホワイトペーパー検索広告、自社ウェビナー、展示会販売パートナー(売り方が固まるまで)
成長・安定期SEO記事、比較サイト掲載、販売パートナー既存リストへのメール、共催ウェビナー商談が出ていない施策の継続

PMF前は、誰に何が売れるかがまだ固まっていないため、リードの数より、商談で顧客の反応を直接聞ける接点を優先します。売れる相手が見えてきたらPMF後のマーケティングの着手順で施策を広げ、マーケティングの担当者がまだいない段階ならマーケティング担当がいない会社の最初の30日から手を付けます。

止める基準を始める前に決める

施策を始める前に、何か月後に何の数字を見て止めるかを決めておきます。例として、短期施策は3か月でリードから商談が1件も出なければ止め、主軸の施策は半年の時点で記事や資料経由の問い合わせが増え始めているかで続けるかを決める、といった基準です。

基準がないまま始めると、商談が出ていない施策にも「もう少し続ければ」と予算が残り続けます。施策ごとの費用と商談数はマーケティングの予実管理表で月ごとに並べ、止めた施策の予算を残した施策に回します。今動いている施策のどれを止めるかで社内の意見が割れているなら、施策ごとの商談数から止める施策を決める相談も受けています。

施策を増やしても商談が増えない4つの原因

施策を増やしても商談が増えないときは、施策の選び方より、リードの定義、獲得からフォローまでの間隔、評価の指標、対象企業の広さのどれかに原因があります。施策を足す前に4つを順に確かめます。

リードの定義が営業と合っていない

MQLとSQLの条件が決まらないまま施策を動かすと、営業から「このリードは受け取れない」と差し戻され、施策の良し悪しを判断する基準もなくなります。営業責任者との会議で、MQLの条件と差し戻しの理由を同じ表に書き込み、営業とマーケティングの連携の手順で合意します。差し戻されたリードの戻し先はリードリサイクルのルールで決めておきます。

獲得からフォローまでの間隔が空いている

展示会の名刺が翌週にExcelで共有され、インサイドセールスが電話をかけたのは2週間後、という状態では、相手は出展社の名前も覚えていません。獲得施策と同時に、リードが入ってから48〜72時間以内(実務上の目安)に誰が何をするかを決めます。すでに反応が落ちたリストを抱えているなら、新規獲得より先に掘り起こしを試し、反応がなければリードナーチャリングが失敗する原因と照らして、どこで接点が途切れたかを確かめます。

リード数だけで施策を評価している

月間リード数をKPIにすると、件数の出やすい施策に予算が寄り、営業の工数だけが増えます。リード数に加えて商談化率と商談1件あたりの費用を施策ごとに並べ、どの施策が商談を生んでいるかで予算を決めます。リードの質を営業とどう測るかは、リードの質の評価指標を使って営業と数字で合意します。

対象企業が広すぎて、誰に向けた訴求か伝わらない

「中小企業向け」のような広い定義のまま広告や記事を作ると、従業員20名の商社と300名のSaaS企業が同じ広告を見ることになり、どちらも自社の話だと受け取れません。業種、従業員規模、役職、課題の深刻さでICP(理想顧客プロファイル)を決め、役職ごとに何を訴えるかをペルソナで分けてから、施策の中身を作ります。

自社サイトの問い合わせで同じことが起きている場合は、件数だけ増えて商談が増えないときに見直すことに沿って、問い合わせ件数・商談の相談・商談の3列を経路とオファーごとに並べます。

施策を比べる指標:リード数ではなく商談1件あたりの費用で並べる

リード獲得施策を1件あたりの獲得費用(CPL)だけで比べると、件数の出やすい施策を高く評価してしまいます。施策ごとに商談化率と商談1件あたりの費用まで出し、同じ表に並べて比べます。

指標計算分かること
CPL(リード獲得単価)施策の費用 ÷ リード数施策ごとのリードの集めやすさ
MQL率MQL数 ÷ リード数集めたリードのうち営業に渡せる割合
商談化率商談数 ÷ リード数施策が商談を生んでいるか
商談単価施策の費用 ÷ 商談数施策どうしを比べる主な指標
受注率・CPA受注数 ÷ 商談数、費用 ÷ 受注数最終的に売上に結びついたか
リードタイム獲得から受注までの日数成果を判断するまで待つ期間

ホワイトペーパーAとウェビナーBを比べた例で、CPLと商談単価の違いを確かめます。

施策費用リード数CPL商談数商談単価
ホワイトペーパーA50万円100件5,000円2件25万円
ウェビナーB60万円30件2万円5件12万円

リード数とCPLだけを見るとホワイトペーパーAに予算を寄せたくなりますが、商談1件あたりではウェビナーBのほうが半分以下の費用で済んでいます(数字は例)。施策の予算は、CPLではなく商談単価の低い順に配ります。

施策ごとの商談数を出すには、リードがどの施策から来たかをCRMに記録し、商談まで追える状態にしておく必要があります。計測はBtoBマーケの効果測定の手順で組み、複数の施策に接触した商談をどう数えるかはアトリビューション設計で決めます。HubSpotを使っているなら、アトリビューションレポートで接点ごとの貢献を比べられます。週次で見る数字はKPIダッシュボードに載せ、定例で確認します。

指標は決めたものの、CRMの設定が追いつかず施策別の商談数が出せていないなら、計測の組み方から相談できます。

まとめ

リード獲得施策は、17種を比べて良いものを選ぶのではなく、自社の条件に合わない施策を外し、残った中から主軸1つと短期1つを選んで始めます。

外す条件は、自社の商材が検索されているか、対象企業を社名で書き出せるか、受注単価で獲得費用を回収できるか、獲得後に誰が何日以内にフォローできるかの4つです。今動いている施策を一覧にして施策ごとの費用・リード数・商談数を並べ、4つの条件に合わない施策と、直近3か月で商談が出ていない施策を「今期はやらない」候補にします。

残した施策は、始める前に止める基準を決め、3か月ごとに商談1件あたりの費用で入れ替えを判断します。リードの定義やフォローの体制が決まっていない会社は、施策を増やす前に獲得から商談までの流れをファネルとして組み直すほうが、商談は早く増えます。

リード獲得の設計やMAの運用、ファネル全体の組み立ては、いま動かしている施策の一覧を見ながら、どこから手を付けるかを決めるところからご相談いただけます。

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よくある質問(FAQ)

BtoBのリード獲得で費用対効果が高い施策はどれですか?
商材が検索されているかと受注単価で変わるため、どの会社にも当てはまる1つの施策はありません。検索されている商材なら、半年以上かけて獲得単価を下げられるSEO記事が主軸の候補になり、検索されていない商材なら、対象企業に直接届けるアウトバウンドや共催ウェビナーのほうが早く商談を作れます。比べるときは、リード1件ではなく商談1件あたりの費用で並べます。
リード獲得の施策はいくつ同時に進めればよいですか?
担当が1〜2人なら、主軸の施策1つと短期の施策1つの計2つまでが実務上の目安です。3つ以上を並行すると準備が中途半端になり、どの施策から商談が出たかも判断しにくくなります。担当者が増えるか、1つ目の施策が手を離れて回るようになってから3つ目を足します。
リード獲得とリードナーチャリングの違いは何ですか?
リード獲得はまだ接点のない見込み顧客の連絡先と関心を得る工程で、ナーチャリングは獲得したリードの検討を進めて商談につなげる工程です。目的は別ですが、獲得施策を決めた時点で、獲得したリードに何を送るかをナーチャリングシナリオとして決めておきます。
展示会で名刺交換した相手に営業メールを送ってもよいですか?
名刺で電子メールアドレスを受け取った相手には、特定電子メール法のオプトイン規制の例外として、広告や宣伝のメールを送れます。ただし送信者の名称と配信停止の連絡先をメールに表示し、停止を求められたらそれ以降は送らないことが法律で義務づけられています。名刺の取り込みから初回のメールまでの段取りは、HubSpotを使っているなら展示会の名刺をHubSpotに取り込む手順で組めます。
MAがなくてもリード獲得施策は始められますか?
始められます。月のリードが数十件まで(実務上の目安)なら、無料のCRMか表計算で、リードの獲得元・担当者・連絡日を記録するだけでもフォローの漏れは防げます。リードが増えて手作業の配信や振り分けが追いつかなくなった時点で、MAツールの導入費用を月額と初期費用に分けて見積もり、導入を判断します。

BtoBマーケティングの戦略設計から施策実行、運用定着までを一気通貫で支援します。