SDRとBDRの違い|インバウンドとアウトバウンドの役割・KPIと、自社はどちらを置くべきか

SDRとは・BDRとは?違い・KPI・導入順を実務目線で解説

インサイドセールスの採用を始めると、求人票や提案書に「SDR」「BDR」という言葉が並びます。どちらもインサイドセールスの職種名なので同じ仕事に見えますが、相手にする企業も、1日の時間の使い方も、評価する数字も違います。違いを曖昧にしたまま人を置くと、問い合わせ対応に追われて新規開拓が止まる、両者を同じ架電件数で評価する、といったずれが起きます。

SDRとBDRの違いは、見込み顧客との接点をマーケティングが作ったか、担当者自身が作ったかの1点です。対象企業の規模、KPI、成果が出るまでの期間は、この起点の違いから決まります。

インサイドセールスを新しく置く会社や、兼務の担当者を分けようとしている会社にとって、SDRとBDRのどちらを先に置くかは、毎月入ってくるインバウンドのリードの量と、狙いたい顧客の受注単価の釣り合いで見えてきます。問い合わせへの対応も新規開拓も滞っていないうちは、急いで分業に移らなくてかまいません。

SDRとBDRの違いは「インバウンドかアウトバウンドか」

SDRは問い合わせや資料請求など自社に接触してきた見込み顧客に対応するインバウンド型、BDRはまだ接点のない企業に自分から連絡するアウトバウンド型のインサイドセールスです。対象企業、目的、KPIの違いは次の表のとおりです。

比較項目SDR(反響型)BDR(新規開拓型)
営業スタイルインバウンドアウトバウンド
接点を作るのは誰かマーケティング(広告・SEO・展示会・資料ダウンロード)BDR本人(リスト作成・電話・メール・手紙)
対象MQL(すでに接点のあるリード)未接触のターゲット企業
相手の状態課題や商材を調べ始めている商材を知らない、または検討していない
主なターゲット規模中堅・中小企業が多い大手・エンタープライズが多い
目的確度の高いリードを選んで商談にする狙った企業との最初の商談を作る
1件あたりの工数小さい大きい(企業と担当者の下調べが要る)
成果が出るまでの期間数日〜数週間数か月
主なKPI初回接触までの時間、MQL→SQL転換率接触率・返信率、初回商談設定数
置く前提マーケティングからリードが毎月来ている狙う企業の条件(ICP)が社内で決まっている

SDR(Sales Development Representative)とは

SDRとは、マーケティング施策を通じて自社に接触してきた見込み顧客に対応する、インバウンド型のインサイドセールスです。広告、SEO、ウェビナー、ホワイトペーパーのダウンロード、展示会の名刺交換から入ってきたリードに連絡し、課題・予算・決裁者・導入時期を聞き取って、条件を満たした相手をフィールドセールスに引き渡します。

SDRの仕事は問い合わせの受付係ではありません。資料をダウンロードしただけの担当者に電話をかけ、今期中に検討する理由があるかを確かめ、まだ早い相手はナーチャリングに戻すという選別が中心です。

BDR(Business Development Representative)とは

BDRとは、自社にまだ接触していない企業に対して、担当者自身がリストを作って連絡するアウトバウンド型のインサイドセールスです。業種・従業員規模・事業の状況などで決めた理想顧客プロファイル(ICP)に合う企業を選び、電話・メール・手紙・SNSで最初の接点を作ります。

BDRの成果は、相手が検索して問い合わせてくるのを待たずに商談を作れるかで決まります。ICPの決め方はBtoBのICP(理想顧客プロファイル)設定方法で手順を示しています。

SDRとBDR:起点・対象・ゴールの違い SDR(インバウンド/反響型) 起点:マーケ施策(広告・SEO・展示会・資料DL) 対象:MQL(すでに接点のあるリード) アクション:温度確認・BANT整理 ゴール:SQL化してフィールドへ渡す BDR(アウトバウンド/新規開拓型) 起点:ICP定義とターゲットリスト作成 対象:未接触の大手・エンタープライズ アクション:リサーチ・仮説提示・接点創出 ゴール:初回商談を自ら作り出す 共通前提:SQLの定義とSLAを全社で統一する
図1:SDRとBDRの起点・対象・ゴールの違い。SDRはマーケティングが作ったリードを見極めて渡し、BDRは未接触の企業との商談を自分で作ります。分業しても、引き渡し基準であるSQLの定義は共通です。

The Modelの分業の中でSDRとBDRが置かれる場所

SDRとBDRは、マーケティング/インサイドセールス/フィールドセールス/カスタマーサクセスに分ける分業体制(The Model)のうち、インサイドセールスを起点で2つに分けた呼び方です。インサイドセールス全体を指す職種名としてはISR(Inside Sales Representative)という言葉も使われます。

SDRはマーケティングとフィールドセールスの間に入り、マーケティングが集めたリードを営業に渡します。BDRはマーケティングを通らずに商談を作るため、流れの上ではマーケティングと並ぶ位置にいます。組織図でBDRをマーケティングの下流に書くと、BDRが作った商談がマーケティング経由の数字に混ざり、施策ごとの商談数が正しく出なくなります。BDRを置く前に、マーケティングとインサイドセールスの線引きを決め、商談の経路をCRMで分けて記録できるようにします。

SDRかBDRかは、担当者のスキルではなく、商談の元になった接点を誰が作ったかで分けます。同じ担当者が問い合わせ対応と新規開拓の両方をしている場合も、案件ごとにどちらの起点かを記録しておくと後で数字を分けられます。

仕事の中身の違い:SDRは来たリードの見極め、BDRは接点づくり

SDRの1日は、前日から今朝までに入ったリードを順番に連絡するところから始まります。BDRの1日は、今日どの企業に当たるかを決めて下調べするところから始まります。

SDRの1日

  1. 問い合わせ・資料ダウンロードなど新しく入ったリードを確認する
  2. スコアや閲覧ページをもとに連絡する順番を決める
  3. メールと電話で最初の連絡を取る
  4. 課題・予算・決裁者・導入時期を聞き取る
  5. 条件を満たした相手をSQLとしてフィールドセールスに渡す
  6. 条件を満たさない相手をナーチャリングに戻す

SDRは連絡の早さで成果が変わります。料金ページを見てから問い合わせてきた相手は、同時に他社にも問い合わせていることが多く、翌営業日に電話したときには他社の商談が入っている、ということが起こります。そのためSDRは、リードが入ってから最初に連絡するまでの時間を毎週確認します。1日に入るリードが担当者の対応できる数を超えたら、リードスコアの高い順に連絡し、まだ検討段階にないと判断したリードはナーチャリングのシナリオに戻します。

BDRの1日

  1. ICPに合う企業をリストから選び、今日連絡する先を決める
  2. 企業の決算資料・採用情報・プレスリリースを読み、課題の仮説を立てる
  3. 相手に合わせて書いたメール・手紙・SNSメッセージを送る
  4. 電話で担当者につないでもらい、話を聞く時間をもらう
  5. 反応があった企業に追いかけの連絡を続ける
  6. 初回商談を設定し、フィールドセールスに渡す

BDRは1社あたりの下調べに時間がかかります。「この会社はいま営業拠点を増やしているので、新しい拠点の営業管理に困っているはずだ」という仮説を持たずに送ったメールは、開封されても返信されません。1日の連絡件数がSDRより少なくなるのは、BDRの仕事の性質です。

SDRとBDRを同じ「架電件数」で管理すると、BDRは下調べを省いて件数を稼ぐようになり、返信率が下がります。活動量の比較は同じ役割の中だけで行ってください。

狙う企業と目的の違い:BDRが大手向けになるのは単価と工数の関係

SDRは問い合わせてきた企業を相手にするため中堅・中小企業の比率が高くなり、BDRは1社あたりの工数を回収できる単価の大きい大手企業が中心になります。目的もSDRは「選んで渡す」、BDRは「最初の商談を作る」で異なります。

SDRが相手にするのは、自分で情報を集めて問い合わせてきた企業です。問い合わせの母数は中堅・中小企業のほうが多く、検討もある程度進んでいるので、1件あたりの対応時間は短く、受注までの期間も短めです。SDRのKPIを件数と転換率で組めるのは、この構造があるからです。

BDRは、1社と接点を持つまでに下調べと個別の文面作成が必要です。担当者が1社に2〜3時間かけても採算が合うのは、受注単価が大きい商材だけです。「BDRは大手向け」は定義ではなく、単価と工数の釣り合いから出てくる結果です。中小企業向けでも、年間契約額が大きく対象企業を列挙できる商材であれば、BDRが成り立ちます。

ABMとBDRの関係

ABM(Account Based Marketing)は、獲得したい企業を先に決めて、その企業にマーケティングと営業の時間を集中させる考え方です。ABMが「どの企業を狙うか」を決め、BDRが「その企業にどう最初の接点を作るか」を担います。ABMで狙う企業のリストを決めずにBDRだけを置くと、担当者が自分の感覚でリストを作ることになり、成果が担当者ごとの当たり外れで決まります。狙う企業のリストがまだないなら、BDRの採用より先にABMの対象企業を営業と選びます。

KPIの違い:同じ指標で並べて評価しない

SDRはリードを速く正しく選べたかを、BDRは狙った企業と商談を作れたかを測ります。成果が出るまでの期間も違うので、評価する期間も分けます。

見るものSDRのKPIBDRのKPI
行動の量連絡したリード数連絡した企業数(電話・メール・手紙)
行動の質初回接触までの時間、聞き取り完了数接触率・返信率
成果MQL→SQL転換率、月次SQL数初回商談設定数
その先の確認渡したSQLの商談化率BDR経由の商談の受注率
評価の期間月次四半期以上

BDRのKPIを連絡件数だけにすると、リストの質を問わずに件数を増やす動きになります。件数と返信率を必ず組にして見てください。BDRは連絡を始めてから商談が出るまで数か月かかるため、月次で成果を判定すると、商談が出始める前に「アウトバウンドは成果が出ない」と止めてしまいます。

SDRのKPIでは、MQL→SQL転換率が下がったときに、SDRの聞き取りの問題か、マーケティングが渡すリードの問題かを分けて見ます。転換率が下がったら、まずMQLとSQLの定義が営業と食い違っていないかを確かめ、そのうえでマーケティング全体のKPIのどの数字に影響しているかを見ます。

自社にSDRとBDRのどちらが必要か

毎月マーケティングからリードが来ていて対応が追いついていないならSDR、リードがほとんど来ないが狙う企業を列挙でき、受注単価が大きいならBDRを置きます。どちらの条件も満たさない場合は、インサイドセールスを置く前にリード獲得か商材の見直しが先です。

自社の状況置くべき役割理由
MQLが毎月安定して来ていて、営業が対応しきれず放置が出ているSDR来ているリードの取りこぼしを止めるほうが、新規開拓より早く商談が増える
リードはほぼ来ないが、受注単価が大きく、狙う企業を数百社程度に絞れるBDR問い合わせを待つより、狙った企業に直接当たるほうが商談までが早い
リードは来ているが、中小企業ばかりで大手との取引を増やしたいSDRを維持し、BDRを追加大手はインバウンドでは増えにくく、別の担当と別のKPIが要る
リードが少なく、受注単価も小さいどちらも置かないBDRの工数を回収できず、SDRが対応するリードもない。先にリード獲得施策を増やす

SDRを置くかどうかは、営業責任者が月曜の朝にCRMを開いて、先週入ったリードのうち誰も連絡していないものが何件あるかを数えると判断できます。未対応が毎週出ているなら、SDRを置く理由があります。月のMQLが20件前後を超えると営業の片手間では連絡が遅れやすくなる、というのが実務上の目安です(商材と営業の人数で変わります)。

BDRを置かない判断もあります。受注単価が年数十万円程度で、対象企業が数万社ある商材では、1社ずつ下調べする時間を回収できません。その場合はBDRを採用するより、リード獲得施策を増やしてSDRで対応するほうが費用に対する商談数が多くなります。BDRを置くと決めたら、アウトバウンド営業の手法を電話・手紙・SNSから選び、狙う企業のリストを作ります。

導入判断フロー:SDR先行かBDR先行か インサイドセールスを立ち上げたい 月次MQLが20件以上発生しているか? (マーケからリードが来ているか) YES NO SDRを先行 来ているMQLを 取りこぼさない体制 主な相手:中堅・中小 BDRを先行 ICPを決めて自分から 商談を作りにいく 主な相手:大手・エンプラ SQLの定義とSLAを統一して フィールドセールスへ連携する
図2:SDRとBDRのどちらから置くかの判断フロー。月20件は実務上の目安で、商材と営業の人数で変わります。どちらから始めても、SQLの定義を揃えることが分業の前提です。

どちらを置くか決まったら、インサイドセールスの立ち上げとして、1人目を社内から出すか採用するかと、最初の3か月で決めることを営業責任者と合わせます。自社の単価とリード数でどちらに寄せるか決めきれない場合は、SDRとBDRのどちらを置くかの相談から整理できます。

SDRとBDRは分けるべきか:兼務から分業に移る条件

インサイドセールスが1〜2名のうちは1人が両方を兼ねてかまいません。インバウンドのリードが毎月安定して来ていて、かつ大手への新規開拓を続けたいなら、担当者を分けます。

1人で兼務すると、ほぼ必ず問い合わせ対応が優先されます。問い合わせは今日連絡しないと失われ、新規開拓は明日に回しても誰も困らないからです。月初にBDRの目標を立てても、月末に振り返ると連絡した企業が数社しかない、という状態が3か月続いたら、兼務が限界に来ています。

分けるかどうかは、次の3つがそろったかで判断します。

  • インバウンドのリードだけで1人の担当者の時間が埋まる
  • BDRで狙う企業のリスト(ICP)を経営・マーケティング・営業で合意している
  • BDRの成果を四半期以上待てる計画になっている

3つのうち2つ目か3つ目が欠けているなら、分けてもBDRは成果を出せません。分ける前に、兼務のまま曜日や時間帯でBDRの時間を固定し(例:火曜と木曜の午前は新規開拓だけをする)、その時間の連絡件数と返信率を別に記録してください。記録があれば、分けたときにBDRに何を期待できるかを事前に見積もれます。

分業した後も、SDR経由とBDR経由でSQLの基準を変えてはいけません。基準が違うとフィールドセールスの対応がばらつき、どちらの経路の商談が受注につながっているかを比べられなくなります。SQLの基準をそろえるには、電話で聞く項目をトークスクリプトに書き込み、SDRとBDRで同じものを使います。すでに分業しているのに商談が増えないなら、インサイドセールスが機能しない理由のどれに当たるかを切り分けます。

SDRとBDRを分ける時期は人数だけでは決まりません。インバウンドだけで1人の時間が埋まり、狙う企業のリストが合意できた時点が分ける時期です。

兼務の時間配分や分業後のKPIを自社の数字で決めたい場合は、インサイドセールスの役割分担の相談をご利用ください。

SDRかBDRの一方を先に外部に任せる場合は、インサイドセールス代行から内製に切り替える条件を契約の段階で決め、移管する時期と受け取る記録を納品物に入れておきます。

まとめ

SDRはマーケティングが作った接点を受けて商談にする役割、BDRは未接触の企業との接点を自分で作る役割です。自社に必要なのは、毎月のリードが対応しきれていないならSDR、リードは少ないが単価が大きく狙う企業を列挙できるならBDRです。どちらの条件も満たさないなら、インサイドセールスを置く前にリード獲得を増やします。

次にやることは、先週入ったリードのうち未対応の件数を数えることと、BDRで狙う企業の条件を営業と一緒に書き出すことです。この2つの結果で、SDRを置くか、BDRを置くか、兼務のまま時間を分けるかが決まります。

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月のリード数、受注単価、狙う企業の数から、SDRを置くか、BDRを置くか、兼務のまま時間を分けるかを判断します。役割ごとのKPIとSQLの基準まで、BtoBの実務の視点で整理します。

よくある質問(FAQ)

SDRとBDRの違いを簡単に言うと何ですか?
SDRは問い合わせや資料請求をしてきた相手に対応するインバウンド型、BDRはまだ接点のない企業に自分から連絡するアウトバウンド型のインサイドセールスです。そのためSDRは中堅・中小企業、BDRは大手企業を相手にすることが多く、KPIも成果が出るまでの期間も異なります。
SDRとBDRは必ず分けなければいけませんか?
必須ではありません。インサイドセールスが1〜2名のうちは兼務が現実的です。インバウンドのリードだけで1人の時間が埋まり、BDRで狙う企業のリストが社内で合意できた時点で担当者を分けます。
ISRとSDR・BDRは何が違いますか?
ISR(Inside Sales Representative)はインサイドセールスの担当者全体を指す呼び方で、SDRとBDRはISRを接点の起点で分けた呼び方です。会社によってはSDRとISRを同じ意味で使っているため、求人票や提案書では対象がインバウンドかアウトバウンドかを確認してください。
BDRとテレアポは何が違いますか?
BDRは狙う企業を先に決め、1社ごとに下調べして連絡するのに対し、テレアポは広いリストに同じ台本で電話をかけて件数を積み上げます。BDRは電話以外にメールや手紙も組み合わせ、最初の商談を作るところまでを担当します。
SDRとBDR、どちらのほうが立ち上げが難しいですか?
立ち上げはBDRのほうが難しくなります。狙う企業の条件決め、リスト作成、企業ごとの仮説づくりが先に要り、成果が出るまで数か月かかるためです。SDRはマーケティングからリードが来ていれば、初日から連絡する相手がいる状態で始められます。

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