BtoBサイトリニューアルの進め方|デザイン刷新で終わらせない設計手順

サイトが5年前のままで古い、同業と比べて見劣りする、問い合わせが月に数件しかない。BtoB企業がサイトリニューアルを検討し始めるきっかけは、だいたいこの3つに集約されます。ところが見積もりを取る段階になると、何を頼めばいいのかが急にわからなくなります。

デザインを新しくすることを目的にしたリニューアルは、公開しても成果がほとんど変わりません。先に決めるべきは、サイトに誰のどの意思決定を担わせるかです。ここが空白のまま進むと、提案は必ずデザインの話に寄っていきます。

この記事では、リニューアルすべきかの判断から、目的とKPIの置き方、要件定義とRFP、コンテンツ移行とURL設計、公開後の検索順位への影響と計測の準備まで、実務で踏む順番どおりに整理します。マーケティング責任者と、決裁する立場の方に向けた内容です。

「デザインが古い」は着手の理由にはなるが、目的にはならない

リニューアルで成果が変わるかどうかは、公開前に「サイトに何を担わせるか」を言葉にできたかどうかでほぼ決まります。

古い、見劣りする、問い合わせが少ない。これらはすべて事実の観察であって、目的ではありません。理由のまま制作会社に持ち込むと、返ってくる提案がデザイン案になるのは当然です。渡した情報がデザインの話だけだからです。

そして、古いから問い合わせが来ないケースは実は多くありません。多いのは、買い手が判断するための材料が置かれていないケースです。何の会社かは書いてある。サービス名も書いてある。しかし「自社の状況で使えるのか」「いくらぐらいの規模の話なのか」「誰が担当するのか」に答えるページがない。この状態でデザインだけ新しくしても、判断が進まないので問い合わせは増えません。

失敗パターン1:目的がいつのまにかデザイン刷新にすり替わる

キックオフでは「問い合わせを増やす」と言っていたのに、2回目以降の打ち合わせがトップページの配色とキービジュアルの議論で埋まっていく。これは進行として最も起きやすい崩れ方です。デザインは全員が意見を言えるため、議題として強い引力を持ちます。目的が文章で共有されていないと、議論は必ず言いやすい話題に流れます。

失敗パターン2:全部署の要望を足し算する

営業は事例を増やしたい、採用は社員紹介を載せたい、経営は理念を前に出したい。すべて正当な要望ですが、足し算した結果できるのは「何のページなのかわからないトップページ」です。要望は集めてよいのですが、集めた後に優先順位をつける役が必要です。この役を置かないまま進むと、リニューアルは調整作業になります。

失敗パターン3:目的の定義ごと制作会社に預ける

「プロなので任せます」は一見スマートですが、自社の顧客が何で迷って何で決めているかは、外部が短期のヒアリングで掘り切れる情報ではありません。制作会社が持っているのは設計と実装の力であって、自社の商談の中身ではありません。ここを預けると、業界の一般解に寄ったサイトができあがります。

全面リニューアルか、部分改修で足りるかを先に切り分ける

出ている症状の原因が「サイトの構造」にあるのか「特定のページ」にあるのかで、打ち手はまったく変わります。

リニューアルは、決めることが多く、期間も長く、公開までの数ヶ月は改善が止まります。だからこそ、部分改修で解ける症状にリニューアルを充てるのは、直る速度を落とすだけの選択になります。最初にやるのは、症状の切り分けです。

出ている症状原因の所在妥当な打ち手着手までの目安
特定ページの直帰が突出して高いページ単位そのページの構成と見出しを書き直す2〜4週間
フォームに到達してから離脱するページ単位入力項目と送信後の導線を直す2〜4週間
価格の問い合わせばかりで商談にならないページ単位価格の考え方を示すページを作る1〜2ヶ月
何の会社か、何を売っているのかが伝わらないサイト全体の情報設計全面リニューアル3〜6ヶ月
探している情報にたどり着けない、階層が破綻しているサイト構造とサイトマップ全面リニューアル3〜6ヶ月
更新のたびに制作会社への依頼が必要運用基盤基盤の入れ替えを含む再構築3〜6ヶ月
事業が変わり、載っている内容が実態と違うコンテンツ全体全面リニューアル3〜6ヶ月

上の3行は、リニューアルを待たずに今週から着手できます。BtoBの問い合わせフォーム改善BtoBの料金ページの作り方BtoBのランディングページ改善は、いずれもページ単位で完結する改善です。ここで数字が動くなら、そもそもリニューアルの優先度は下がります。

ページ単位で直せる症状にリニューアル予算を使うと、改善が数ヶ月遅れるだけで終わります。切り分けを先に済ませてください。

サイトに担わせる役割を決める:誰の、どの意思決定を進めるのか

リニューアルで最初に決めるのは、デザインでも構成でもなく、サイトが買い手のどの意思決定を前に進めるかです。

BtoBの購買は、複数人が数週間から数ヶ月かけて進みます。サイトが1回の訪問で受注を決めることはありません。サイトが担えるのは、その長い意思決定のうちの「いくつかの段階」を前に進めることだけです。ここを段階に分けて定義すると、必要なページが自動的に決まります。

買い手の意思決定と、それを進めるページ ① 課題の言語化 自社の問題をまだ説明できない → 課題起点の解説記事・調査記事 ② 解決手段の比較 手段が複数あり選び方がわからない → サービス紹介・比較の判断軸 ③ 発注先としての信頼 任せて大丈夫かの確信が持てない → 導入事例・実績・担当者の情報 ④ 社内稟議の通過 上長に説明する材料が手元にない → 費用の考え方・資料ダウンロード この4行が埋まらない段階が、主戦場になる
図1:サイトに担わせる役割は「誰のどの意思決定を進めるか」で定義する

実務としては、現行サイトの全ページをこの4段階に割り当てる作業から始めます。だいたいの企業で、②と③に集中していて①と④が空白になります。トップページとサービス紹介と会社概要はあるのに、課題起点の情報も、稟議を通すための材料もない。この空白が、リニューアルで作るべきものです。

誰の意思決定なのかを詰めるには、ICP(理想顧客プロファイル)の設定カスタマージャーニーマップの作成が土台になります。何を言うかについてはBtoBの訴求設計で整理した内容をそのまま持ち込めます。逆に言えば、この3つが手元にない状態でサイトの構成を議論しても、根拠のない好みの話にしかなりません。

この段階の整理は、社外の視点を一度入れたほうが早く終わります。自社だけで議論すると、どうしても既存の組織図どおりのサイトになりがちです。リニューアルの目的整理から相談したい方はこちらから、現状のサイトと商談の状況をお聞かせください。

目的をKPIに落とす:何をもって成功と判定するか

リニューアルのKPIは「問い合わせ数」だけにせず、担わせた役割ごとに指標を分けて置きます。

問い合わせ数を単独のKPIにすると、公開直後の変動に振り回されます。しかもBtoBは母数が小さいため、月10件が月8件になっても、それが施策の影響なのか単なるばらつきなのか判別できません。役割ごとに前段の指標を持っておくと、どこで止まっているかが読めるようになります。

担わせた役割主に見る指標補助的に見る指標判定の目安
課題の言語化を進める該当ページの自然検索セッションスクロール到達率、サイト内回遊4〜6ヶ月
比較の判断軸を渡すサービスページへの到達率滞在時間、資料ダウンロード数3ヶ月
発注先として信頼される事例ページ経由の問い合わせ率事例の閲覧数、複数事例の閲覧3ヶ月
社内稟議を通す材料を渡す問い合わせからの商談化率資料ダウンロード後の返信率6ヶ月

指標の階層の組み方そのものはBtoBマーケのKPI設計で扱っています。数字が合わない、そもそも計測できていないという状態なら、BtoBマーケの効果測定を先に読んでから、リニューアルの要件に計測を組み込んでください。計測設計をリニューアル後に回すと、比較する材料そのものが失われます。

公開直後1ヶ月の数字でリニューアルの成否を判定しないでください。この期間は検索エンジンの再評価と流入構成の入れ替わりが同時に起きており、施策の効果とノイズを分離できません。

要件定義で決めること:情報設計・URL・運用基盤・計測

要件定義は仕様を細かく決める作業ではなく、後で揉める論点を先に潰す作業です。

発注側が要件定義でやるべきことは、実装の詳細を書くことではありません。制作会社が判断できない事項、つまり自社の事情に依存する部分を確定させることです。実装方法は相手のほうが詳しいので、そちらに委ねてかまいません。

領域発注側が決めること決め忘れると起きること
情報設計サイトマップの第2階層まで、各ページが担う意思決定の段階デザイン工程でページが増減し、スケジュールが崩れる
URL設計既存URLを変えるか維持するか、変える場合の新旧対応公開後に検索流入が戻らず、原因も特定できない
運用基盤公開後に誰がどこを更新するか、更新権限の範囲更新のたびに外注が必要になり、更新が止まる
計測計測ツールの移植、コンバージョンの定義、顧客管理側との接続公開前後の比較ができず、成否を議論できない
コンテンツ原稿を誰が書くか、既存原稿の流用範囲、撮影の有無制作は終わったのに原稿待ちで公開できない
承認フロー誰が何段階で承認するか、最終決裁者は誰か手戻りが繰り返され、公開が数ヶ月遅れる

計測と顧客管理の接続は、要件定義の段階で決めておかないと後付けが高くつく領域です。フォームの送信データをどこに溜め、どの単位で商談と紐づけるかは、サイトの実装方式に影響します。ツール側の設計はHubSpotの活用ガイドのような運用設計の記事も参考になりますが、少なくとも「フォーム送信後のデータの行き先」だけはRFPを出す前に決めてください。

制作会社への渡し方:RFPに何を書くか

RFPの価値は、良い提案を引き出すこと以上に、社内の判断軸をそろえることにあります。

RFPというと大がかりに聞こえますが、A4で5〜10ページあれば十分に機能します。重要なのは分量ではなく、複数社の提案を同じ物差しで比較できる状態を作ることです。何も渡さずに「提案してください」と言うと、各社が別々の前提で見積もりを出してくるため、金額の比較すらできなくなります。

RFPの項目書くこと不足しがちな点
背景と課題今の商談で起きていること、失注理由の傾向「デザインが古い」で止まり、商談の話が入っていない
目的と評価指標サイトに担わせる役割と、判定に使う指標目的が抽象的で、提案の良し悪しを判定できない
対象範囲対象ドメイン、対象ページ数、含めない領域採用ページや既存ブログの扱いが曖昧なまま
移行とURL既存ページ数、URL変更の方針、リダイレクトの責任範囲移行作業が見積もりから抜け、後で追加費用になる
体制と役割分担自社側の担当者、原稿の執筆主体、承認者原稿を誰が書くか未定のまま発注してしまう
スケジュール公開希望日と、その日付が動かせるかどうか動かせない事情(展示会など)を伝えていない
予算の考え方予算枠、または優先順位の高い要件予算を伏せた結果、比較不能な提案が集まる

逆に、書かないほうがよいものもあります。デザインの具体的な指定、使用するプログラムの指定、ページごとの細かなレイアウト指示です。これらを固めて渡すと、提案の幅が消えて「言われたとおりに作る見積もり」しか返ってきません。制作会社を選ぶ意味は、自社にない設計の視点を得ることにあります。外注全般の切り分けはBtoBマーケティング代行で何を頼めるかでも整理しています。

声をかける社数は3社前後が現実的です。5社を超えると比較の工数のほうが重くなり、判断が鈍ります。RFPの内容を第三者の目で確認したい場合はこちらから、下書きの段階でご相談ください。

コンテンツ移行とURL設計・301リダイレクト

URLは、変える理由が説明できないなら変えないのが原則です。

リニューアルで最も技術的に事故が起きやすいのがここです。しかも事故は公開の瞬間ではなく、公開から2〜3週間後に検索流入が減る形で表れるため、原因の特定が遅れます。

残す・統合する・捨てるを実データで決める

既存ページは、感覚で取捨選択しないでください。Search Consoleの表示回数とクリック数、解析ツールのセッション数、そして営業が商談で使っているかどうか。この3つで分類します。「見た目が古いから捨てる」と判断したページが、実は特定のキーワードで安定的に流入を生んでいた、というのはよくある事故です。統合する場合も、統合先に元のページの情報を実際に載せることが前提になります。器だけ作って中身を捨てると、リダイレクトを正しく設定しても評価は戻りません。

URLは維持を基本にし、変えるなら1対1で対応させる

階層を整理したい、命名規則をそろえたいという理由でURLを一新したくなりますが、それだけの理由なら変えないほうが安全です。変える必要がある場合は、旧URLと新URLを1対1で対応させた表を作ります。行き先が決まらないページをまとめてトップページや上位カテゴリに飛ばす設計は、評価が引き継がれにくく、訪問者の体験としても悪くなります。数が多い場合ほど、この表を作る工数を見積もりに入れておいてください。

301を使い、転送の連鎖を作らない

恒久的な移転には301を使います。一時的な転送を意味する302では、旧URLに蓄積された評価が新URLに引き継がれません。加えて、旧URLから中間URLを経て新URLへ、という多段の転送を作らないこと。過去のリニューアルで設定した転送設定が残っていると、意図せず連鎖が発生します。公開前に、旧URLの一覧を機械的に叩いて、1回の転送で200が返ることを全件確認してください。

公開前後にやることの時間軸 公開の4週間前まで 旧サイトの全URLを書き出す 新旧URLの対応表を1対1で作る 計測ツールの設定を先に用意する 公開当日 301の転送設定を一斉に反映する 検証環境用の制御が残っていないか確認 サイトマップを再送信する 公開後1〜4週間 転送漏れをログと管理画面で検証 主要クエリの掲載順位を毎週記録 戻らないときは移行の抜けを疑う 計測の設定は公開後ではなく公開前に終える
図2:移行と計測は公開日を挟んだ3つの区間で管理する

既存の記事コンテンツをどう扱うかは、リニューアル後の集客設計そのものです。方針の立て方はBtoB SEOコンテンツ戦略に、信頼の材料になる事例ページの作り方はBtoB導入事例の作り方にまとめています。

リニューアルを伴わない記事単位の統合でも、URLの扱いは同じ考え方になります。スラッグを変える場面と変えない場面の線引きは記事統合とスラッグ変更の判断で解説しています。

URLを動かすときは、カテゴリー構造と内部リンクの張り直しも同時に発生します。カテゴリー設計とトピッククラスタの切り分け方を先に決めておくと、移行後に分類がぶれません。

公開後の検索順位への影響と、計測を切らさない準備

公開直後に順位が動くのは前提です。準備すべきなのは、動いた理由を後から説明できる状態を作ることです。

URLを変えれば当然として、URLを維持した場合でも順位は動きます。ページの本文量、内部リンクの構造、見出しの文言、表示速度が同時に変わるためです。「リダイレクトさえ正しければ影響はない」という説明は、実務としては正確ではありません。

公開前に済ませておく5つの準備

  • 解析ツールと検索管理ツールを新サイトでも動く状態にしておく。新しいドメインに移る場合は、所有権の確認と住所変更の申告を公開直後にできるよう準備しておく
  • 公開前の実測値をスナップショットとして保存する。主要ページのセッション、主要クエリの表示回数と平均掲載順位、問い合わせ数。公開後にツール上で遡れなくなる指標があるため、書き出して残します
  • 計測タグの移植リストを作る。解析、広告のコンバージョン、チャットツール、フォームの計測。1つでも移植漏れがあると、公開後の数字が説明できなくなります
  • コンバージョンの定義を再確認する。フォームのURLや送信完了の判定方法が変わると、同じ名前のコンバージョンでも中身が別物になります
  • 順位の定点観測を公開前から始める。公開後だけ測っても、比較する基準がありません

公開後4週間の見方

数週間で戻ることもあれば、数ヶ月かかることもあります。期間を断定するより、判断の基準を持っておくほうが実務では役に立ちます。目安として、公開から4週間が経っても主要クエリが元の水準に近づく気配がない場合、それは「一時的な変動」ではなく移行の抜けか、ページから情報が減ったことによる評価の低下だと考えて調査に入ります。

順位が戻らない原因として実際に多いのは、転送設定そのものより、ページから消えた情報量です。デザインを整える過程で本文が削られ、見出しが抽象的なコピーに差し替えられ、内部リンクが減る。この3つが重なると、リダイレクトが完璧でも元の順位には戻りません。移行時に本文量が大きく減ったページの一覧を作っておくと、調査が一気に速くなります。

デザインの都合で本文を削るときは、削る前に文字数と内部リンク数を記録してください。公開後に順位が戻らない原因の切り分けが、これだけで大きく変わります。

公開後にどの数字を毎週見るかは、事前にダッシュボードの形で決めておくと運用が続きます。組み方はBtoBマーケKPIダッシュボードの作り方を参考にしてください。

社内の進行体制と工数:決める人を1人に寄せる

リニューアルが遅れる原因のほとんどは、制作会社側ではなく発注側の意思決定と原稿にあります。

体制で必要なのは4つの役割です。最終決裁者、日々の推進担当、原稿の責任者、そして情報システムやドメイン管理の担当。このうち最終決裁者は必ず1人にしてください。委員会形式で決めると、デザイン案が3回、構成が2回と手戻りし、公開が数ヶ月単位で遅れます。

見落とされやすいのが、発注側の工数です。制作会社は設計と実装を担いますが、自社の顧客が何に困っていて、自社の提供価値が何なのかは書けません。原稿の確認、事例取材の依頼と調整、素材の用意、社内の関係部署との合意形成。これらは外注できないうえに、まとまった時間を必要とします。プロジェクト期間中は、推進担当の業務時間の一定割合をあらかじめ空けておくのが現実的です。

もう1つ決めておきたいのが、決定のログです。「この構成にした理由」「この文言を採用した理由」を短くても残しておくと、途中で参加した関係者から同じ議論が蒸し返されるのを防げます。公開後に効果を検証するときにも、何を意図した設計だったかが分かる状態は役に立ちます。公開後の更新を止めない体制の作り方はBtoBオウンドメディアの運用体制で扱っています。

費用が変わる要因:見積もりの差はどこから生まれるか

相場を先に調べるより、範囲を固定してから複数社に出させるほうが、金額の判断は正確になります。

リニューアルの費用は、同じ「コーポレートサイト」という言葉でも数倍の開きが出ます。開きの理由は品質の差というより、見積もりに含まれている作業範囲の差であることが大半です。金額を比較する前に、次の要因が各社の見積もりでどう扱われているかを揃えてください。

  • ページ数と、そのうち新規に設計するページの割合
  • 原稿を誰が書くか。取材と執筆が含まれるかどうかで大きく変わります
  • デザインの制作方式。全ページ個別に作るのか、型を作って展開するのか
  • 運用基盤の構築範囲。更新画面をどこまで自社で触れるようにするか
  • 既存コンテンツの移行作業と、リダイレクト設定の作業量
  • 撮影、図版、翻訳などの素材制作の有無
  • 公開後の運用・保守契約が含まれているかどうか

特に移行作業と原稿は、見積もりから抜けたまま発注され、後から追加費用として出てくる代表格です。RFPの段階で「既存ページ数」と「原稿の執筆主体」を明記しておけば、この2つはほぼ防げます。内製と外注の線引き自体を検討している場合は、マーケティング内製化の進め方もあわせて確認してください。

まとめ

サイトリニューアルは制作プロジェクトではなく、意思決定を前に進める仕組みを作り直すプロジェクトです。

順番を整理すると、こうなります。症状を切り分けて、そもそもリニューアルが必要かを判断する。必要なら、サイトに担わせる役割を意思決定の段階で定義する。役割ごとにKPIを置く。要件定義で自社にしか決められないことを固める。RFPで判断軸をそろえて発注する。移行とURL設計を1対1で作り込む。計測を公開前に準備し、公開後4週間を定点観測する。

この順番のうち、外部に委ねられるのは後半だけです。前半、つまり誰のどの意思決定を進めるのかを決める部分を空白にしたまま制作に入ると、どれだけ良い制作会社を選んでも、出来上がるのは「きれいになった、けれど問い合わせは変わらないサイト」になります。デザインの話は、役割が決まってからで遅くありません。

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よくある質問

BtoBサイトのリニューアルはどのくらいの期間がかかりますか
制作期間だけを見れば数ヶ月ですが、実際に長くなるのは制作会社を選ぶ前の期間と、原稿を用意する期間です。目的の整理と要件定義に1〜2ヶ月、選定に1ヶ月、制作に3〜4ヶ月というのが一つの目安になります。公開希望日から逆算するときは、原稿と素材の準備期間を厚めに確保してください。
リニューアルでURLは変えないほうがよいですか
変える理由が説明できないなら、変えないほうが安全です。階層をきれいにしたい、命名規則をそろえたいという理由だけでは、失うもののほうが大きくなります。ドメインを移す、サイトを分割・統合するなど構造上の必然がある場合に限り、新旧を1対1で対応させた表を作ったうえで変更してください。
公開後にどのくらい検索順位が下がりますか
下がり幅も戻るまでの期間も、移行の精度とページ内容の変化量によって大きく変わるため、一律の数字は言えません。実務上の基準としては、公開から4週間で回復の気配がない場合は自然な変動ではなく、リダイレクトの抜けか、ページから情報が減ったことが原因だと考えて調査に入ります。
制作会社は何社に声をかけるべきですか
3社前後が現実的です。それ以上になると比較の工数が増え、判断が鈍ります。重要なのは社数より、全社に同じRFPを渡して同じ前提で見積もらせることです。前提が揃っていない見積もりは、金額の比較すら成立しません。
リニューアルとコンテンツの追加は、どちらを先にやるべきですか
サイトの構造や情報設計が壊れていないなら、コンテンツの追加とページ単位の改善が先です。リニューアルは公開までの数ヶ月間、改善が止まります。逆に、何の会社か伝わらない、探している情報にたどり着けないという構造の問題があるなら、そこにコンテンツを足しても効きにくいため、リニューアルが先になります。

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