BtoBマーケティングのフローをHubSpotで組む|ワークフロー設計の6工程と最初の4本

HubSpotワークフロー設計の基本|BtoBマーケが押さえるべき構築手順と実務ポイント

BtoBマーケティングのフローをHubSpotで組むときに最初に決めるのは、ワークフローの設定ではなく、リードが獲得から商談、差し戻しまでどの順に流れるかです。ワークフロー自体は設定画面を触れば誰でも1本作れるため、資料DL後のメール、MQLの通知、担当者の割り当てを別々の人が作ると、1年後には数十本が並び、同じ相手へのメールの二重送信や、商談中の相手へのナーチャリング配信が起き始めます。

ワークフローは1本ずつ作るものではなく、獲得から商談、差し戻しまでのBtoBマーケティングのフローを先に1枚に描き、その工程ごとに1本ずつ割り当てるものです。フローの図がないまま作ると、自動化の抜けと重複を後から見つける手段がありません。

ワークフローが増えすぎて誰も全体を説明できない会社でも、これから組み始める会社でも、見直しの拠り所になるのは獲得から商談、差し戻しまでのリードの流れ図です。流れ図のどの工程にも当てはまらないワークフローは、新しく作り足すより、止めるかどうかを考える対象になります。

稼働中のワークフローを自社のリードの流れに当てはめる作業は、HubSpotアカウントを見ながら獲得から差し戻しまでの工程表を一緒に描く相談として受けています。

HubSpotワークフローでできることと、使えるプランの条件

HubSpotのワークフローは、条件を満たしたレコードに決めたアクションを自動で実行する機能です。分岐や遅延を含む通常のワークフローは各HubのProfessional以上で使え、無料版とStarterではフォーム単位の簡易版に限られます。

HubSpotのワークフローとは、登録トリガー(条件)を満たしたコンタクト・会社・取引などのレコードに対して、メール送信、プロパティの更新、タスク作成、社内通知といったアクションを順番に自動実行する機能です。BtoBでは、資料DL後のフォロー、MQLへの昇格、営業担当の割り当て、商談の停滞検知の4つに使う場面が大半を占めます。

契約プランによって、使える自動化の範囲がはっきり分かれます。2026年9月時点のHubSpotナレッジベースの記載をもとに整理すると次のとおりです。

契約使える自動化上限
無料ツールフォームごとのシンプルなワークフロー(フォーム送信後のメール送信)フォームごとに1本、アクション1つ
Starter(Marketing Hub以外)フォームごとのシンプルなワークフローフォームごとに1本、アクション3つまで
Marketing Hub Starterフォームごとのシンプルなワークフローフォームごとに1本、アクション10個まで
各HubのProfessionalワークフロー(分岐、遅延、再登録、登録解除、実行時間の指定)最大300本(Data Hubは400本)
各HubのEnterprise同上最大1,000本(Data Hubは1,100本)

プラン選びで見落とされやすいのが、アクションごとの条件です。ワークフローからマーケティングメールを送るアクションはMarketing HubかService HubのProfessional以上が必要で、Sales Hub Professionalだけの契約ではワークフローを作れてもナーチャリングメールは送れません。資料DL後のメール配信まで自動化したい会社が、営業部門の予算でSales Hubだけを契約して困るのはこのためです。契約前に、自動化したい工程ごとに必要なアクションを書き出し、料金プランごとの機能と照らし合わせます。まだ無料版を使っているなら、無料版と有料版の違いで、ワークフローが使えるプランを先に確かめます。

「ワークフローを使いたい」だけを理由に上位プランへ上げると、コンタクト数やシート数の費用を見落とします。自動化したい業務を5本ほど書き出し、フォーム送信を起点とする単発処理で足りる本数を数えてから判断してください。

BtoBマーケティングのフローをHubSpotのワークフローに置き換える

BtoBマーケティングのフローは、獲得・育成・判定・引き渡し・商談・差し戻しの6工程に分けると、HubSpotのワークフロー1本ずつに対応させられます。工程ごとに起点となるプロパティと、結果に責任を持つ部署を先に決めます。

HubSpotで最初に描くべきものは、ワークフローの画面ではなく、リードが社内をどう流れるかの図です。月曜の定例でマーケ責任者と営業マネージャーが「資料DLしたリードはいつ、誰の手元に届くのか」を説明できないなら、その空白がそのまま自動化の抜けになります。図がまだない会社は、先にBtoBのファネルを描いて各段階の定義を決め、その段階の境目をHubSpotの工程として切り出します。

BtoBの流れとワークフローの対応 マーケ主導 営業主導 共同 獲得 WF-A 受付と担当通知 起点:フォーム送信 育成 WF-B ナーチャリング配信 起点:資料DL・ステージがリード 判定 WF-C MQL昇格 起点:スコアのしきい値ラベル 引き渡し WF-D 担当割当とSLA監視 起点:ステージがMQLに変化 商談 WF-E 商談停滞の検知 起点:取引ステージの滞留日数 差し戻し WF-F リサイクル 起点:差し戻し理由の入力 差し戻したリードは育成(WF-B)へ戻す
図1:BtoBマーケティングの6工程と、それぞれを担うワークフローの対応。1工程に1本を割り当て、起点のプロパティを重ねない。

工程ごとの設計内容は、次の表の粒度で書き出しておくと、ワークフローの作成とレビューの両方にそのまま使えます。

工程対象オブジェクト登録トリガーの例主なアクション結果に責任を持つ部署
獲得コンタクト特定フォームの送信リードソースの記録、受付メール、担当への通知マーケ
育成コンタクト資料DLかつライフサイクルステージがリードナーチャリングメール、遅延、反応による分岐マーケ
判定コンタクトスコアのしきい値ラベルが「高」に変化ライフサイクルステージをMQLに更新マーケ
引き渡しコンタクトライフサイクルステージがMQLに変化担当者の割り当て、判定根拠つきの通知、期限つきタスク営業
商談取引同じステージに14日以上とどまる担当者へのタスクと通知、マネージャーへの共有営業
差し戻しコンタクト差し戻し理由のプロパティに値が入るステージを戻す、育成ワークフローへの再登録マーケと営業

6工程のうち、ワークフローにしない判断もあります。商談に進めるかどうかの見極めや、個別の返信・電話は人が行い、営業担当が1対1で送る連続メールはワークフローではなくSales Hubのシーケンスで扱います。営業が個別フォローを始めた相手はSales Hubのシーケンスに移し、営業から差し戻されたリードは、差し戻しの理由コードと戻し先を営業と決めてからワークフローに戻します。

Marketoのスマートキャンペーンをワークフローに移すときは、キャンペーンを1対1で写さず、フォーム送信などの目的の単位で1本にまとめ直します。

画面を開く前に、1本ごとの目的・対象・評価指標を書く

ワークフロー1本ごとに、達成したい結果・登録する対象・成否を見る指標を1行ずつ書いてから作成画面を開きます。3行が書けないワークフローは、作っても止める判断ができません。

目的は「ナーチャリングする」ではなく、「資料DLから30日以内にMQLになるコンタクトを月10件から15件にする」のように、数字と期限で書きます。数字は自社の現状値から置く例であり、業界の標準値ではありません。目的の数字がないと、四半期の見直しで残すか止めるかを決める材料がなくなります。

対象は、ライフサイクルステージ、業種や従業員規模などの属性、フォーム送信やページ閲覧などの行動の組み合わせで書きます。条件が粗いと関係のないリードが入り、細かすぎると誰も登録されません。公開前に「いま条件を満たすコンタクトが何件あるか」を確認し、想定と1桁違えば条件かデータのどちらかを疑います。

評価指標は、ナーチャリング系ならMQL化率や商談化率、通知系なら通知から初回接触までの時間を使います。開封率やクリック率はメールの改善に使う数字で、ワークフローを残すかどうかの判断には使いません。どの数字を追うかは、部門全体のKPIと同じ定義にそろえます。

ワークフローの作成手順:作成方法と公開前の設定

ワークフローは[自動化]→[ワークフロー]から作成し、作り方はゼロから・AI・テンプレートの3通りです。公開時に「既存レコードを登録するか」を必ず選び直してください。

HubSpotのナレッジベースに沿った作成の流れは、①作成方法を選ぶ、②登録トリガーを設定する、③再登録と登録解除を設定する、④アクションを追加する、⑤実行時間などの設定を確認する、⑥[確認して公開]でオンにする、の順です。作成方法ごとの向き不向きは次のとおりです。

  • ゼロから作成:対象オブジェクトを選び、トリガーから自分で組みます。自社の工程表を実装するときはこの方法を使います
  • AIで作成:自動化したい内容を文章で指示すると、トリガーとアクションの下書きが生成されます。生成された条件はそのまま公開せず、後述のテストを通してください
  • テンプレートから作成:用意された定型から選び、条件を自社用に書き換えます。初めての1本や、フォーム送信後の通知のような定型処理に向きます

公開時には、いまトリガー条件を満たしている既存レコードを登録するか、今後条件を満たすレコードだけを登録するかを選びます。既存レコードを登録する設定でメール送信を含むワークフローを公開すると、過去の該当者全員に同じメールが一斉に届きます。新しく作るナーチャリング系は原則として「今後のみ」を選び、既存レコードに流したい場合は件数を確認したうえで別の判断として扱います。

ワークフローが正しく動くかは、フォームやプロパティの整備状況で決まります。業種の表記ゆれや重複コンタクトが残っていると、条件に合うはずのリードが漏れます。アカウント開設直後に最初の2本を作る段階であればHubSpot初期設定チェックリスト、既存データの整え方はHubSpotのデータクレンジングを先に確認してください。

トリガー・アクション・タイミング・除外をどう設計するか

ワークフローの設計は、登録トリガー、アクション、実行タイミング、登録解除と除外の4つを順に決め、最後にテストで確かめます。どれか1つを決めずに公開すると、数週間後に誤送信や通知漏れとして表に出ます。

登録トリガー:イベントか条件かで再登録の扱いが変わる

登録トリガーには、フォーム送信などの出来事で登録するイベント型、「業種が製造業」のようにプロパティの条件で登録するフィルター型、日付を基準にするスケジュール型、外部からのWebhookで登録するWebhook型、手動登録の5種類があります。Webhook型はData HubのProfessional以上が必要です。

再登録を許可するかは、トリガーの型ごとに決めます。許可しないと、2回目の資料DLでもアクションが走りません。許可しても、ワークフローを完了していないレコードは同じワークフローに再登録されません。また、関連付けられた別オブジェクトのプロパティを条件に使った場合は、再登録を設定できません。取引側の情報でコンタクトを繰り返し動かしたいときは、取引を対象にしたワークフローに分けて組みます。

アクション:プランの条件を先に確認する

同じワークフローでも、アクションによって必要なプランが異なります。BtoBでよく使うアクションと必要なプランは、2026年9月時点のナレッジベースの記載で次のとおりです。

アクションBtoBでの使いどころ必要なプランの条件
レコードの編集ライフサイクルステージの更新、リードソースの記録ワークフローが使える全プラン
社内メール通知・アプリ内通知MQL発生時の担当者への通知ワークフローが使える全プラン
タスクの作成初回接触の期限つきタスクワークフローが使える全プラン
メールの送信資料DL後のナーチャリングメールMarketing HubまたはService HubのProfessional以上
担当者のローテーション新規リードを営業担当へ順番に割り当てるSales HubまたはService HubのProfessional以上
Slack通知インサイドセールスのチャンネルへの即時通知Professional以上(Slack連携が必要)
静的リストへの追加ウェビナー招待リストの作成Marketing Hub Professional以上
シーケンスへの登録MQLを営業の個別フォローに乗せるSales HubまたはService HubのEnterprise
Webhookの送信・カスタムコード外部システムへの連携Data Hub Professional以上
AIアクションレコードの要約、独自プロンプトによる処理HubSpotクレジットを消費。多くがベータ提供

分岐は、1つのプロパティの値で分ける方法と、AND/ORの条件で分ける方法が基本です。割合でランダムに振り分ける分岐はMarketing Hub Professional以上で使え、件名のテストなどに向きます。スコアの加点と減点はワークフローで行わず、リードスコアリングツールが出したしきい値のラベルをトリガーとして受け取る形にします。しきい値のラベルは、リードスコアリングツール側で点数を決めた段階で作っておきます。

実行タイミング:営業時間内に動かす

ワークフローのアクションは、初期設定ではレコードが到達した時点ですぐに実行されます。設定画面で実行する曜日と時間帯を指定すると、時間外に到達したレコードは次の実行可能な時間まで待ちます。時間帯はアカウントのタイムゾーンが基準です。土曜の夜に資料DLしたリードへの営業通知が、担当者の不在中に埋もれるのを防げます。

メール同士の間隔は遅延アクションで決めます。1通目から3〜5日後に2通目を送る設計はよく使われますが、出発点の目安であり、開封と商談化の実績を見て調整します。配信停止が増えたら配信頻度の上限を見直し、通数と各回の内容はステップメールの設計で先に決めてから遅延を入れます。

登録解除と除外:商談中の相手に配信しない

コンタクトを対象にしたワークフローでは、登録条件を満たさなくなったとき、ワークフローのゴールを達成したとき、除外用のセグメントに入ったときに登録を解除できます。除外セグメントには、既存顧客、商談中の会社の担当者、競合他社を入れておきます。インサイドセールスが電話で日程を詰めている相手に、翌朝ナーチャリングメールが届く事態は、この設定の漏れで起きます。

テスト:公開前に確かめる5項目

  • テスト用コンタクトで、トリガーから最後のアクションまで通しで動くか
  • 遅延と実行時間の設定が意図どおりの日時にアクションを動かすか
  • 分岐のAND/ORが意図どおりに評価されているか
  • メールの差し込み項目が空欄のときに不自然な文面にならないか
  • 公開時点で登録されるコンタクトの件数が想定の範囲か

ワークフローで送るマーケティングメールは、自動化用として保存したメールしか選べず、マーケティングコンタクトに設定されていない相手には送信されません。「公開したのにメールが出ない」ときは、まずこの2点を確認します。社内でテストとレビューの体制を組めない場合は、ワークフロー設計のレビューをご相談ください。

BtoBで最初に組む4本のワークフロー

フローの図ができたら、資料DL後のフォロー、MQL判定と引き渡し、商談停滞の検知、ウェビナー後のフォローの4本から着手します。この4本で、獲得から商談までの工程のうち手作業で漏れやすい部分がふさがります。

資料DL後のフォロー

トリガーは特定の資料DLフォームの送信です。当日に資料のURLを送り、3日後に関連する事例、7日後に比較検討向けのコンテンツを送り、クリックの有無で次の内容を分岐させます。どの段階の読者に何を送るかというシナリオそのものは、BtoBリードナーチャリングのシナリオ設計で決めてから、ワークフローには決まった順番を実装するだけにします。

MQL判定と営業への引き渡し

スコアのしきい値ラベルが「高」になったらライフサイクルステージをMQLに更新し、ステージの変化を起点にした別のワークフローで担当者の割り当てと通知を行います。判定と引き渡しを2本に分けると、営業の担当ルールが変わっても判定側を触らずに済みます。

通知には、判定の根拠を含めます。閲覧したページ、DLした資料、会社の従業員規模が書かれていない通知は、SDRが優先度を判断できないまま後回しにされます。さらに、通知から24時間後に初回接触の記録がなければマネージャーに通知する分岐を加えると、MQLの放置が数字で見えるようになります。24時間は例であり、営業と合意した時間を入れます。通知を作る前にMQLの定義を営業と合意し、初回接触までの時間は問い合わせへの対応スピードの目標から決めます。

商談停滞の検知

取引を対象にしたワークフローで、同じステージに14日以上とどまっている取引を検知し、担当者にタスクと通知を出します。営業マネージャーが週次の会議でパイプラインを1件ずつ見る前に、止まっている取引が一覧で上がってくる状態を作ります。14日は目安で、自社の商談期間の中央値から決めます。ステージの区切りがあいまいだと滞留の判定もぶれるため、先に取引パイプラインのステージ定義を営業と合わせます。

ウェビナー後のフォロー

参加者と申込後の不参加者を分岐させ、参加者には登壇資料とアンケート、不参加者には録画のURLを送ります。どちらの経路も、反応があればスコアに反映され、MQL判定のワークフローに合流させます。同じ構造は、来場者と名刺交換だけの相手を分ける展示会後のフォローにも使えます。

ウェビナー後フォローの分岐設計 トリガー ウェビナー申込フォーム送信 If/Then 分岐 参加ステータス = 参加済み? YES NO 参加者ルート ・登壇資料を送付 ・アンケートCTA ・視聴時間で加点 ・7日後に事例配信 ・商談打診へ接続 不参加ルート ・録画URLを送付 ・クリックで加点 ・未開封は再送1回 ・反応なしは  通常育成へ戻す リードスコアの再計算 エンゲージメント評価を更新 MQL判定フローへ接続
図2:ウェビナー後フォローの分岐構成例。参加・不参加でコンテンツを分けつつ、双方をスコアリングとMQL判定に合流させる。

4本が動き始めたら、展示会リードの出典記録や配信停止後の処理など、2本目以降に組むワークフローの事例から、毎週手でやっている操作に当たるものを選びます。

運用開始から数か月後に出る不具合と、設計段階での防ぎ方

ワークフローの不具合は、公開直後ではなく本数が増えた数か月後に出ます。多いのは、トリガーが広すぎる、同じ相手が複数のワークフローに入る、一括配信と重なる、の3つです。

トリガーが広すぎて関係のない相手が入る

「コンタクトが作成されたとき」「いずれかのフォームを送信したとき」をトリガーにすると、採用応募や問い合わせ窓口の誤送信まで登録され、見込み客向けのメールが届きます。業種、従業員規模、ライフサイクルステージのいずれかで必ず絞り込み、公開前に件数を確認して条件の強さを調整します。

同じコンタクトが複数のワークフローに入る

資料DL後のフォローとウェビナー後のフォローが別々の担当者によって作られると、両方に該当する人へ1週間で6通のメールが届くことがあります。工程表のどの行に属するワークフローかを名前で分かるようにし、同じ工程に2本目を作るときは既存の1本に分岐を足せないかを先に検討します。除外セグメントに「別のナーチャリング系ワークフローに登録中」の条件を入れる方法もあります。

ワークフローのメールと一括配信が重なる

毎月のメールマガジンとワークフローのメールが同じ週に届くと、配信停止が増えます。一括配信とワークフロー配信の予定を1枚のカレンダーで管理し、配信の多い週はワークフロー側の遅延を延ばします。コンタクトごとの受信数に上限をかける送信頻度の設定もありますが、これはMarketing Hub Enterpriseの機能です。Enterpriseでない場合は、マーケティングメールの運用ルールに、同じ相手へ送る週あたりの通数を書いておきます。

3つの不具合はいずれも、公開時のテストでは見つかりません。工程表と命名規則を先に決め、四半期ごとに登録条件の重なりを点検する前提で設計してください。

ワークフローを誰も点検しなくなった会社では、やがてHubSpot全体が使われなくなります。点検が止まっていると気づいたら、HubSpotが使われなくなる原因のどれに当てはまるかを先に確かめます。

ワークフローの棚卸しと命名規則

命名規則とオーナーは1本目を作る前に決め、四半期ごとに全ワークフローを「維持・統合・停止」のどれかに振り分けます。判定基準を先に数字で決めておかないと、棚卸しは担当者の迷いで止まります。

運用が1年を超えたアカウントでは、稼働中のワークフローが数十本になることは珍しくありません。問題は本数ではなく、作った人が異動したあとに、止めてよいかを誰も判断できないワークフローが動き続けることです。

命名規則は1本目の前に決める

名前には次の4要素を入れ、アンダースコアでつなぎます。例は「NUR_資料DL_フォーム送信_v2」です。

  • 用途:NUR(育成)、NOTIF(通知)、DATA(プロパティ更新)、SLA(監視)など、工程表の行に対応させる
  • 対象:セグメントやキャンペーン名(資料DL、ウェビナー202609など)
  • 起点:フォーム送信、しきい値、ステージ変更など
  • 版:v1、v2。旧版を停止して残す場合の区別に使う

説明欄には、目的、オーナー、関連するメールとリストを1行ずつ書きます。命名規則は後から全件に当てはめ直すと手間が大きいため、本数が少ないうちに決めます。

四半期ごとの棚卸し

棚卸しでは、全ワークフローを一覧に書き出し、目的、対象、最終更新日、直近90日の登録数を並べます。そのうえで、下の図の順に停止・統合・維持を振り分けます。

四半期棚卸しの判定フロー 稼働中の全ワークフローを一覧化 判定1:直近90日の登録は0件か かつ最終更新から3か月以上経過 該当 → 停止候補としてオーナーに確認 判定2:登録条件が他と重複しているか 同一コンタクトが複数に入っていないか 該当 → 1本に統合し、旧版は停止 残ったものは維持:KPIを再確認 目的・オーナー・関連メールを更新 判定基準は棚卸しの前に数字で決めておく
図3:四半期棚卸しの判定フロー。停止・統合・維持を基準で振り分け、判断を担当者任せにしない。

一人マーケターの体制なら、棚卸しは四半期に半日の固定枠として予定に入れます。その半日も確保できない月が続くなら、一人マーケでの運用の回し方を見直すか、点検だけを運用の外注に出します。ワークフローの条件に使っているプロパティも同じ日に見直すと、使われていない条件が見つかります。使われていないプロパティは、プロパティの棚卸しのルールに沿って廃止予定のグループに移します。

AIアクションをワークフローに入れる条件

HubSpotのAIは、ワークフローの下書き作成と、実行中の要約・独自プロンプト処理の2か所に入っています。AIの出力が誤っていたときに人が気づける位置にだけ置きます。

現在のHubSpotでは、自動化したい内容を文章で指示してワークフローの下書きを作れるほか、レコードの要約や独自プロンプトによる処理、外部のLLMの呼び出しをアクションとして組み込めます。これらのAIアクションはHubSpotクレジットを消費し、多くがベータとして提供されています。

置いてよいかの判断は、AIの出力が誤っていたときに、誰かが気づける設計になっているかで決めます。問い合わせ内容を要約してSDRへの通知に添える使い方なら、原文も併記しておけば誤りに気づけます。AIの分類結果でライフサイクルステージを直接書き換える使い方は、誤りが後工程に紛れて見えなくなるため採用しません。

AIアクションの名称、提供範囲、クレジットの消費量は短い周期で変わります。設計に組み込む前に、契約中のプランでの提供状況をHubSpotの公式情報で確認してください。

AIアクションを入れても、プロパティが空欄だらけなら出力の質は上がりません。工程表、プロパティの整備、スコアリングの設計を先に済ませ、AIはその後に足します。現状のワークフローがどの工程を担っているか整理できていない場合は、既存ワークフローの棚卸しからご相談ください。

AIアクションを入れたワークフローは、クレジットを使い切ったときの扱いを確認し、出力が空になった場合の通知先を決めてから公開します。

HubSpotワークフロー設計のまとめ

ワークフローは1本ずつ作るのではなく、BtoBマーケティングのフローを工程表にしてから1工程1本で割り当てます。次にやることは、工程表の作成と既存ワークフローとの突き合わせです。

判断の結論は3つです。ナーチャリングメールまで自動化するならMarketing Hub Professional以上が必要で、Sales Hubだけでは足りません。スコアの計算はリードスコアリングツールに任せ、ワークフローはしきい値のラベルを受け取るだけにします。商談に進めるかの見極めと1対1の連絡は、ワークフローにしません。

次にやることは、図1の6工程を自社の言葉で書き直し、いま稼働しているワークフローをすべて工程表のどこかの行に当てはめることです。どの行にも入らないワークフローは停止候補、1つの行に2本以上あるものは統合候補、空いている行が次に作る1本です。

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よくある質問(FAQ)

BtoBマーケティングのフローをHubSpotで組むとき、最初に作るワークフローはどれですか?
最初に作るのは、資料DL後のフォローと、MQL判定から営業への通知の2本です。この2本で、獲得したリードが放置される工程と、温まったリードが営業に届かない工程の両方がふさがります。商談停滞の検知とウェビナー後のフォローは、その2本が安定してから足します。
HubSpotのワークフローは無料版やStarterプランでも使えますか?
分岐や遅延を含む通常のワークフローは、各HubのProfessional以上が必要です。無料版とStarterでは、フォームごとに1本のシンプルなワークフローが使え、アクション数の上限は無料版が1つ、Starterが3つ、Marketing Hub Starterが10個です。提供範囲は改定されるため、契約前にHubSpotの公式情報で確認してください。
ワークフローとシーケンスの違いは何ですか?
ワークフローは条件を満たしたレコードに自動で処理を行う機能で、シーケンスは営業担当が1対1で送る連続メールとタスクを自動化するSales Hubの機能です。ナーチャリングやMQL判定はワークフロー、商談化前後の個別フォローはシーケンスで扱います。ワークフローからシーケンスに登録するアクションは、Sales HubかService HubのEnterpriseが必要です。
ワークフローを公開したのにメールが送信されません。何を確認すべきですか?
確認する順番は、対象がマーケティングコンタクトに設定されているか、メールが自動化用として保存されているか、登録条件を満たすコンタクトがいるか、除外セグメントや登録解除の条件で外れていないか、配信停止やバウンスの状態でないか、の5つです。前の2つが原因であることが多く、どちらも設定画面ですぐに確かめられます。
既存顧客や商談中の相手にワークフローのメールが届かないようにするには?
ワークフローの設定で、既存顧客と商談中の会社の担当者を含むセグメントを除外に指定します。あわせて登録条件に「ライフサイクルステージが顧客ではない」を加えると、二重に防げます。商談中の判定には、取引が進行中であることを示すプロパティを使います。

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