「マーケの担当者はまだ採れないのか」「当面は営業で集客も回すしかない」——営業とカスタマーサクセスはいてもマーケティングの席が空いたままの、従業員50名以下のBtoB企業の経営会議です。マーケティング担当がいない会社でやることは、決める人を置く、現状を数字にする、既存の問い合わせ導線の取りこぼしを直す、の順で、採用や外注はそのあとに判断します。何も決めないまま時間が過ぎると、インバウンドのリードはほぼゼロ、新規接点は紹介と既存顧客経由に頼り、営業が集客まで抱え込んで疲弊していきます。
ただし、担当者がいないことと、施策が打てないことは同義ではありません。最初の一手は施策を始めることではなく、社内に責任者を1人決めて、30日で現状を数字にすることです。順番を間違えると、限られた時間と予算が最も効果の薄い場所に流れていきます。
営業が集客まで抱えたままマーケの専任が空席になっている会社で、判断の土台になるのは、問い合わせと商談がいまどの経路から来ているかという事実です。その数字が出る前に施策や採用を決めてしまうと、時間と予算がどこに流れたのかを後から確かめられません。
目次
先に結論:担当がいない会社が最初にやる3つのこと
マーケティング担当がいない状態とは、集客から商談化までの施策を決めて動かす人が社内におらず、営業や経営者が本業の合間に担っている状態のことです。この状態で最初にやることは広告でもSNSでもなく、責任者を決める、現状を数字にする、既存流入の取りこぼしを潰すの3つで、この順に着手します。
「担当がいないなら、まず何をすればいいのか」への答えを先に示します。以下の3つは、専任のマーケターがいなくても、経営者・事業責任者・営業リーダーが今週から実行できる内容です。
- 社内のマーケティング責任者を1人決める:実行者ではなく、決める人を置きます。外注しても採用しても、社内に判断者がいなければ機能しません。
- 30日で現状を数字にする:過去12ヶ月のリード流入経路、Webの流入状況、顧客が検討時に何を調べたか。この3点を把握するまで新規施策は増やしません。
- 既存流入の取りこぼしを先に潰す:サービスページとフォーム導線の改善は、新規集客より費用が安く、成果が見えるまでの期間も短いためです。
自社がどの状態にあるかで、この3つのうちどこに時間を割くかが変わります。次の表で当てはまるものを確認してください。
| 自社の状態 | 最初に着手すること | まだやらなくてよいこと |
|---|---|---|
| リードがどこから来ているか説明できない | 流入経路の棚卸しとGA4・Search Consoleの設置 | 広告出稿、SNS運用、展示会の追加出展 |
| 流入はあるが問い合わせにつながらない | サービスページとフォーム導線の改善 | 新規コンテンツの量産 |
| 数字は見えているが、動かす人がいない | 社内責任者の任命と、外部リソースの発注設計 | いきなりの専任採用 |
以降の各章では、この3つを具体的な手順に落とし込んでいきます。まず、担当不在を放置したときに何が起きるかを確認します。
まず理解すべき「マーケ担当不在」が引き起こす構造的リスク
担当者不在の問題は「施策が回らない」ことではなく、リード構造そのものが将来にわたって脆弱になることです。
マーケティング担当者がいない会社では、三つのリスクが同時進行します。それぞれは独立して発生しますが、放置すると相互に悪化していく点が厄介です。
- リード獲得の属人化:営業個人の人脈や紹介に依存したリード構造は、その担当者の退職や市況の変化で一気に機能しなくなります。会社の資産ではなく個人の資産で売上が立っている状態です。
- 競合との情報格差の拡大:競合が検索流入やコンテンツで認知を広げている間、自社は検討リストに載らない「見えない存在」になっていきます。
- 営業コストの高止まり:マーケティングが機能しない分、営業がリード獲得から情報提供まで担うことになり、1件あたりの受注コストが上がります。
BtoBでは、購買検討が始まった瞬間に「すでに知っている会社」へ問い合わせが集中する傾向があります。認知形成はリードタイムが長く、今動かないことが半年から1年後のパイプラインに直接跳ね返ります。「担当者がいないから後回し」ではなく、「担当者がいないからこそ、今できることを確実にやる」という発想の転換が必要です。まずはBtoBのリード獲得施策にどんな選択肢があるかを俯瞰し、自社が使えていないチャネルを把握するところから始めてください。
最初の30日でやるべき「現状の可視化」4ステップ
施策を走らせる前に、自社の現状を数字で把握してください。ここを飛ばすと、打ち手がズレたまま時間と予算を消費します。
マーケティング担当がいない状態で最も起きやすい失敗は、「とりあえずSNSを始める」「とりあえずブログを書く」という施策先行の動き方です。最初の30日は施策ではなく、現状把握に充ててください。以下の4ステップは、いずれも専門ツールなしで実施できます。
ステップ0:社内のマーケティング責任者を1人決める
4つのステップに入る前に、誰がこの30日を回すのかを決めてください。専任である必要も、マーケティング経験がある必要もありません。必要なのは、施策を止める・続ける・発注するを決める権限と、週2〜3時間の可処分時間です。多くの会社ではこの役割を経営者自身が担うことになりますが、その場合も「どこまで自分で判断し、どこから任せるか」の線引きは先に決めておいてください。線引きは、経営者のマーケティングへの関わり方を目安に、自分で承認する項目と任せる項目を書き出す形にします。責任者が空席のまま外注や採用に進むと、成果が出ない原因を誰も特定できない状態になります。
ステップ1:リードの流入経路を洗い出す
過去12ヶ月の商談・受注データを確認し、リードがどこから来たかを「紹介」「展示会」「検索」「広告」「問い合わせフォーム」などに分類します。経路別に件数と受注率を記録すると、自社が実際に何で売れているのかが見えます。CRMがない場合でも、営業担当者へのヒアリングと請求書・契約書の遡り確認で代替できます。この段階で何をどう測るかの基本的な考え方を押さえておくと、後の施策評価がぶれません。
ステップ2:自社サイトの流入データを確認する
Google Search ConsoleとGoogle Analytics 4を使い、月間セッション数・主要な流入キーワード・問い合わせ件数を確認します。どちらも無料です。未導入であれば、その設置自体が最初の施策になります。設置コストはほぼゼロで、以降の意思決定の精度が大きく変わります。
ステップ3:競合3社のコンテンツ・検索状況を調べる
競合3社のWebサイトを開き、どんなコンテンツを出しているか、自社が取りたいキーワードで誰が上位に出ているかを手動で確認します。有料の分析ツールがなくても、主要キーワードを検索して上位10件を目視するだけで、市場の情報供給量と自社の位置は把握できます。
ステップ4:顧客インタビューを2〜3件実施する
既存顧客に「なぜ自社を選んだか」「検討時に何を調べたか」「どの情報が意思決定を後押ししたか」を聞きます。1件30分で構いません。このインタビューは、後のコンテンツテーマ選定・訴求軸の設定・FAQ作成の一次素材になります。ここで得た情報は、ICP(理想的な顧客像)の定義にそのまま流用できます。マーケティング担当がいなくても、経営者や営業リーダーが実施できる作業です。
現状把握に必要なデータの大半は無料ツールで揃います。着手を遅らせている要因は予算ではなく、誰がいつやるかを決めていないことです。
担当者不在でも実行できる施策:優先順位の付け方
施策は「即効性はあるが費用がかかるもの」と「時間はかかるが資産として残るもの」に分かれます。担当者不在の会社は後者を軸に据えてください。
リソースが限られているからこそ、効果とコストのバランスで優先順位をつける必要があります。以下は、専任担当者がいない前提での現実的な優先度です。
| 施策 | 想定コスト(月) | 成果が見え始めるまで | 優先度 |
|---|---|---|---|
| サービスページ・フォーム導線の改善 | 0〜20万円 | 1〜2ヶ月 | 最優先 |
| 検討段階キーワードのSEO記事 | 5〜20万円 | 4〜8ヶ月 | 第2優先 |
| 既存リストへのメール配信 | 0〜5万円 | 1〜3ヶ月 | 第3優先 |
| 検索連動型広告 | 20〜50万円 | 1〜2ヶ月 | 体制が整ってから |
| 展示会・ウェビナー | 30〜100万円 | 3〜6ヶ月 | 体制が整ってから |
| SNS運用・動画制作 | 10〜50万円 | 6〜12ヶ月 | 現段階では後回し |
金額と期間は一般的な目安であり、業種・単価・既存の流入量によって変動します。判断の軸は「今ある流入を取りこぼしていないか」を先に潰すことです。
最優先:Webサイトのコンバージョン導線を直す
既存の流入を取りこぼしたまま新規流入に投資するのは非効率です。まずお問い合わせフォームまでの導線、CTAの文言、サービス説明ページの情報量を見直します。特に「料金の目安」「導入事例」「導入前の疑問に答えるQ&A」は検討段階の訪問者が必ず探す情報で、これらが欠けているとコンバージョン率は上がりません。フォーム項目が10個以上ある場合は、まず削れるものを削ってください。
第2優先:検討段階キーワードのコンテンツを積む
顧客が検討段階で調べるキーワード——「◯◯ 導入 費用」「◯◯ 比較」「◯◯ 選び方」——に対応した記事を、月1〜2本のペースで制作します。この層は購買意図が明確なため、記事本数が少なくても問い合わせにつながりやすい傾向があります。制作は外部ライターに委託できますが、内容の正確性チェックは社内に残す必要があります。どのキーワードから書くかは、SEOコンテンツ戦略で顧客の検討段階ごとにテーマを並べてから決めます。
第3優先:既存リストへのメール配信を定常化する
名刺・過去の失注案件・展示会で獲得した連絡先に対し、月1回程度の配信を始めます。BtoBは検討期間が長いため、「検討が始まったタイミングで思い出してもらう」ことに価値があります。まずはステップメールの設計から着手し、余力が出た段階でシナリオ設計に広げるのが現実的です。
後回しにしてよいもの
SNSの更新頻度向上、動画コンテンツへの本格参入、展示会の多数出展は、専任担当者がいない段階では費用対効果が読みにくくなります。これらは「やらない」のではなく「体制が整ってから本格化する」という優先順位の問題として整理してください。体制が整って予算を広げる段階になったら、マーケティング予算の配分を見直し、後回しにした施策の枠をそこで取ります。
外部リソースの活用:判断軸と使い分け
外部活用の成否は、発注先の質よりも「発注前に何を決めたか」で決まります。丸投げが失敗の最大要因です。
マーケティング担当が不在の会社が外部リソースを使うとき、最も多い失敗は丸投げです。任せたが何をやっているか分からない、成果が見えない、という状況は、社内に判断できる人間がいないことで生じます。発注前に「何をKPIにするか」「どのレポートを、どの頻度で受け取るか」「社内の最終判断者は誰か」の3点を決めてください。この3点が決まっていれば、発注先の形態はあとから選べます。
| 選択肢 | 月額の目安 | 任せやすい領域 | 向くケース |
|---|---|---|---|
| フリーランスマーケター | 10〜40万円 | SEO・広告運用・MA設定など特定領域の実行 | 領域が特定できており、社内に判断者がいる |
| 副業人材 | 5〜20万円 | 週数時間の実行支援・壁打ち | 予算が限られ、まず動き出したい |
| マーケ支援会社・代理店 | 50万円〜 | 広告・コンテンツ・分析の統合運用 | 複数施策を同時に走らせたい |
| 外部CMO・アドバイザー | 20〜60万円 | 戦略設計・KPI設計・外注先の管理 | 社内に判断できる人間がいない |
金額は一般的な相場感であり、稼働日数と業務範囲で変わります。実行を委託するのか、判断まで含めて委ねるのかを決めないと、選ぶべき形態が決まりません。まず外注で任せられる範囲から委託する業務を選び、一人目を採用するか外注で始めるかと、内製と外注の線引きを決めます。個人に頼むならフリーランスマーケターへの依頼と副業マーケターの活用を比べ、判断まで委ねるならマーケティングコンサルの費用相場と見積もりを突き合わせます。
KPIとレポート頻度を決めずに委託を始めると、方向性のズレが判明するのは3〜4ヶ月後になります。その時点で失うのは費用だけでなく、市場での時間です。
すでに委託していて成果が出ていない場合は、発注先を変える前に外注が失敗する典型パターンを確認し、原因が委託先側なのか自社の指示設計側なのかを切り分けてください。ディレクション業務ごと任せる選択肢もありますが、その場合も何をどこまで任せるかの線引きは社内で決める必要があります。
ツールは施策ではなく、実行の器
担当者がいない分をツールで補う発想は有効ですが、導入それ自体は施策ではありません。少人数で運用する前提なら、まず無料または低価格帯で始め、運用が回り始めてから拡張するのが安全です。CRMとMAの役割の違いが曖昧なまま比較すると選定を誤るため、CRMとMAの違いを先に整理してください。HubSpotを検討する場合は無料版と有料版の違い、費用全体の見積もりはMAツール導入費用が判断材料になります。
専任がいない状態でコンテンツを回すなら、本数より先に工程の分担を決めてください。兼務で回すなら、兼務担当でも月2本が成立する条件に沿って、工程ごとの担当と時間を割り振ります。
AIで「担当者1人分の業務量」を下げる
AIが代替できるのは作業量であって、判断の質ではありません。ただし作業量を下げれば、兼任でも回せる範囲は確実に広がります。
2026年時点で、マーケティング業務の相当部分は生成AIで工数を圧縮できます。担当者不在の会社にとって重要なのは、「AIが人の代わりになるか」ではなく「兼任担当者が週何時間で回せる水準まで作業を減らせるか」という観点です。以下は、業務ごとの現実的な線引きです。
| 業務 | AIで圧縮できる部分 | 人が担う必要がある部分 |
|---|---|---|
| コンテンツ制作 | 構成案の作成、初稿の下書き、リライト案の生成 | テーマ選定、事実確認、自社の実務経験の反映 |
| 広告運用 | 広告文の量産、検索語句の分類、レポートの要約 | 予算配分の決定、停止・拡大の判断 |
| メール配信 | 件名案の作成、配信文面の作成 | 配信対象の設計、頻度と目的の設定 |
| データ集計 | 数値の集計、傾向の要約、レポート原稿化 | 指標の定義、異常値の解釈 |
| 顧客理解 | インタビュー文字起こし、発言の分類 | 誰に何を聞くかの設計、示唆の抽出 |
実務上の効果が大きいのは、コンテンツ制作の初稿とレポート作成の2領域です。この2つは作業時間の占有率が高く、かつ品質のばらつきが成果に直結しにくいため、AIに寄せる価値があります。逆に、テーマ選定と指標定義をAIに委ねると、汎用的で誰にでも当てはまる内容になり、検討段階の読者が問い合わせる理由がなくなります。
AIは作業量を下げますが、何をやらないかの判断は下げてくれません。施策を絞る意思決定は、引き続き社内に残す必要があります。
あわせて、検索行動そのものの変化も踏まえておく価値があります。生成AIを介した情報収集が自社の顧客にも広がっているなら、記事を作る段階からLLMO対策を組み込んでおきます。ツール運用まで1人で回すなら、一人マーケティングでの運用設計に沿って、自動化する作業を先に決めます。担当者不在の状態でどこまでAIに寄せられるかを一緒に整理したい場合は、現状を前提にした相談も受け付けています。
「とりあえず採用」では解決しない:採用前に整えるべきこと
採用は解決策の一つですが、順番を誤ると「採用したのに機能しない」という最も損失の大きい失敗になります。
マーケティング担当者を採用すれば問題が解決すると考える経営者は多いものの、機能しないケースには共通のパターンがあります。採用に踏み切る前に、次の3つの問いに答えられるかを確認してください。
- 何をKGI・KPIとして求めるか:「売上を上げてほしい」は指示ではありません。「Webからの問い合わせを月5件以上にする」「商談化数を四半期で1.5倍にする」といった具体的な数値目標が必要です。数値目標は、KGIからKPIへの分解で受注目標から逆算して決めます。
- マーケが機能する前提が整っているか:ターゲット顧客が明確か、競合との差別化が言語化されているか、過去の受注パターンが分析されているか。ここが空白だと、入社した担当者は最初の3ヶ月を調査に費やすことになります。
- 予算と権限を与えられるか:施策には費用がかかります。「予算ゼロで成果を出してほしい」という環境では担当者は動けません。最低でも月30〜50万円の施策予算を確保できる見通しが必要です。
この3つに答えられない状態での採用は、候補者にとってもリスクが高く、結果として採用競争力も下がります。逆に、現状の可視化とCV導線の改善を先に済ませておけば、「ここまで整理されている会社」として候補者に映り、採用後の立ち上がりも速くなります。
外から採用せず、営業メンバーが兼務で引き受ける形を選ぶ会社も少なくありません。その場合は、営業からの兼務で始めるときの進め方に沿って、営業経験が活きる業務と、最初の90日で優先することを決めます。採用に踏み切るべきか、もう少し外部で凌ぐべきかの判断に迷う段階でも、自社の数字を前提にした整理からご相談いただけます。
よくある失敗パターンと、その回避方法
担当者不在の会社が陥る失敗には再現性があります。事前に知っておくだけで回避できるものがほとんどです。
失敗1:施策を絞れず、全てが中途半端になる
ブログも書き、SNSも運用し、広告も試し、展示会にも出る——同時並行の結果、どれも成果判定できる水準に届かないケースです。担当者がいない状況では、施策を絞ることが唯一の合理的判断になります。四半期ごとに「今期はこれに集中する」と決め、それ以外は意図的に止めてください。
失敗2:成果の定義を決めないまま走らせる
「3ヶ月やったが成果が出なかった」という判断の多くは、そもそも何を成果とするかを定義していないことに起因します。SEOなら「対象キーワードでの掲載順位と流入数」、メール配信なら「開封率と返信・問い合わせ件数」というように、施策ごとの評価指標を着手前に決めます。指標の粒度に迷う場合はメール開封率の考え方のように、施策単位の基準値から逆算するのが実務的です。
失敗3:営業とマーケの役割分担が曖昧なまま進める
マーケが獲得したリードを営業が「質が低い」と判断してフォローしない、あるいは営業が自力で獲得した案件とマーケ経由の案件を区別する、といった摩擦が起きます。MQLとSQLの定義と、営業が何営業日以内に着手するかの取り決めを、担当者不在の段階から経営者と営業リーダーで合意しておいてください。合意した内容は、マーケとセールスの連携のルールとして文書に残し、四半期ごとに見直します。
失敗4:外部委託先の管理を怠る
発注後に「お任せ」にしてしまうと、方向性がズレたまま費用だけが発生します。月1回の定例と、KPIに基づくレポート確認は必ず実施してください。この管理工数(月2〜4時間程度)を見越して予算と時間を確保することが、外部活用を機能させる前提条件です。
体制設計:段階別ロードマップ
体制は一度に作るものではありません。フェーズごとに移行条件を決め、条件を満たしてから次に進んでください。
担当者不在の会社が目指すべき体制は、規模・フェーズ・予算によって異なります。段階は、現状整理・施策実行・内製化の3つに分けます。重要なのは各フェーズの作業内容ではなく、次のフェーズに進む条件を先に決めておくことです。
フェーズ3の採用に進む際、既にデータと施策の型が存在していれば、採用した人材がゼロから設計する必要がなくなり、立ち上がりが大きく速くなります。採用後の体制はマーケティング組織の作り方に沿って組み、採用の前に判断機能だけを外に置くなら外部CMO・マーケティングアドバイザーを検討します。自社が今どのフェーズにいるかの判断に迷う場合は、現状を共有いただければ整理をお手伝いします。
創業から間もない会社の場合は、PMFの前か後かで最初にやることが変わります。PMFの前か後かを先に判定し、スタートアップのマーケティングの始め方の段階に当てはめて最初の施策を選びます。
まとめ
マーケティング担当者がいない会社が取り組むべきことを、着手順に整理すると次の9ステップになります。
- 社内のマーケティング責任者を1人決め、判断の権限と週2〜3時間を確保する
- 過去12ヶ月の流入経路を棚卸しし、何で売れているかを数字にする
- Google Search ConsoleとGA4を設置し、Webの現状を可視化する
- 既存顧客インタビューを2〜3件実施し、検討時の判断材料を把握する
- サービスページとフォーム導線のコンバージョン改善を最優先で行う
- 検討段階キーワードのコンテンツを月1〜2本のペースで積む
- 既存リストへのメール配信を定常化する
- 外部リソースはKPI・レポート頻度・社内判断者を決めてから発注する
- AIで作業量を下げ、施策を絞る判断は社内に残す
この順番には理由があります。1で決める人がいなければ2〜4は誰も着手せず、2〜4で現状が見えていなければ5以降の優先順位を決められず、5〜7を回した実績がなければ、外部委託も採用も評価軸を持てないからです。「担当者がいないからマーケティングはできない」のではなく、「担当者がいないからこそ、正しい順番で動く」ことが、限られたリソースで成果を出す条件になります。
無料相談
「担当者がいない状態」で、次に何をやるかを一緒に決めます
現状の可視化から施策の優先順位づけ、外部リソースとAIの使い分け、採用の判断タイミングまで。BtoBマーケティングの実務家が、御社の数字と体制を前提に整理します。採用や発注を決める前の段階からご相談いただけます。
よくある質問(FAQ)
- マーケティング担当がいない会社は、どうすればいいですか?
- 最初にやることは3つです。社内のマーケティング責任者を1人決めること、過去12ヶ月のリード流入経路とWebの流入状況を数字にすること、既存流入の取りこぼしを潰すためにサービスページとフォーム導線を直すこと。広告やSNSはこの3つが終わってからで問題ありません。順番を逆にすると、効果の薄い施策に予算が流れます。
- マーケティング担当がいない状態で、最初の30日は何をすればよいですか?
- 現状の可視化に充ててください。Google Search ConsoleとGA4の設置、リード流入経路の経路別分類、競合3社の検索状況の目視確認、既存顧客へのインタビュー2〜3件。いずれも無料または低コストで、専門ツールなしに実施できます。週2〜3時間の確保で30日以内に終わる分量です。
- 予算が月10万円以下でも、有効な施策はありますか?
- あります。Google Search ConsoleとGA4は無料で、顧客インタビューと既存サイトのCV導線改善はほぼコストゼロで実施できます。SEOコンテンツも外部ライターへの委託であれば月5〜10万円の範囲で開始可能です。この予算帯では「今ある流入を取りこぼさない」ことに集中してください。
- 営業担当者がマーケティングを兼務するのは現実的ですか?
- 短期的な補完としては機能しますが、持続性には限界があります。営業とマーケティングは時間軸と評価指標が異なるため、兼務が長期化すると両方が中途半端になります。兼務する場合は「週に何時間をマーケティングに使うか」を明示し、担当する施策を1〜2本に絞ることが条件です。
- マーケティング担当者を採用するタイミングはいつが適切ですか?
- 施策の型と評価指標が整い、「何をやれば成果が出るか」の仮説がある状態が理想です。ゼロの状態で採用すると、担当者は調査と設計から始めることになり、成果が出るまでの期間が長くなります。施策実行フェーズで一定の再現性が確認できた段階が、検討の一つの目安になります。