「HubSpotとPardot、中小企業の自分たちにはどちらが合うのか」——MAツール選定でこの2つが最終候補に残るケースは少なくありません。ところが世に出ている比較記事の多くは、料金体系が古いまま更新されていません。2026年に入り、両製品は価格の「構造」そのものが変わりました。
先に結論を述べると、Salesforceを本格運用していない中小企業にとって、この比較は依然としてHubSpot優位のままです。ただしその理由は「月額が安いから」ではなく、初年度に発生する費用の内訳と、そのツールを動かせる人員が社内にいるかどうかにあります。
本記事では2026年8月時点の両社公式の価格情報をもとに、中小企業の実務視点で費用・機能・運用負荷・体制を整理します。ツール選定の意思決定者と、稟議を書くマーケティング担当者の双方を想定した内容です。
目次
HubSpotとPardotの基本設計の違いを理解する
この2つは同じ「MAツール」に分類されますが、誰のために設計されたかが根本的に違います。設計思想の差を押さえることが、正しい選定の出発点になります。
HubSpotは2006年に創業し、「インバウンドマーケティング」の概念を広めながら成長してきたプラットフォームです。マーケティング・営業・カスタマーサービス・コンテンツ管理を1つの基盤に統合する設計を持ち、中小〜中堅企業が単体で運用できることを前提に作られています。CRM機能がはじめから内包されているため、別途CRMを用意しなくても動きます。
Pardot(正式名称はMarketing Cloud Account Engagement)は2007年創業、2012年にSalesforceが買収したBtoB向けマーケティングオートメーションツールです。Salesforce CRMとのネイティブ統合を前提に構築されており、すでにSalesforceをCRMとして運用している企業が、その上にマーケティング機能を追加する形で導入するのが典型です。
この設計差は中小企業の選定に直接効いてきます。Salesforceを使っていない、あるいは今後も使う予定がない企業にとって、Pardot最大の強みであるネイティブ統合の恩恵は享受できません。それでいてライセンス費用は同額かかり続けます。MAとCRMの役割分担そのものが曖昧な段階であれば、まずCRMとMAの違いを整理してから比較に入ったほうが判断がぶれません。
どちらを選ぶ場合も、導入後に回す運用の姿を先に描いておく必要があります。HubSpotでの運用像はHubSpotの運用設計の全体像で確認してください。
中小企業が最初に確認すべき費用の実態
両製品とも、公式サイトに載っている月額だけでは実際の支出は読めません。中小企業がつまずくのは、月額ではなく「初年度に一括で出ていく費用」と「従量課金される単位」の2点です。
HubSpotの料金体系
HubSpotは2024年以降、料金を「プラン × シート数 × マーケティングコンタクト数」で決まるシート制に刷新しました。2026年8月時点のMarketing Hubの公式価格(日本円)は次のとおりです。
| プラン | 月額(年間契約) | 含まれるシート | マーケティングコンタクト | 導入支援(1回のみ) |
|---|---|---|---|---|
| Free | 0円 | 2ユーザーまで | — | 不要 |
| Starter | 840円/シート | シート単位課金 | 1,000件 | 不要 |
| Professional | 96,000円 | コアシート3件 | 2,000件 | 360,000円 |
| Enterprise | 432,000円 | コアシート5件 | 10,000件 | 840,000円 |
月額払いを選ぶとStarterは1シート2,400円、Professionalは106,800円に上がります。追加のコアシートはProfessionalで月5,400円から、Enterpriseで月9,000円からです。
中小企業がここで見落としやすいのが、ProfessionalとEnterpriseでは導入支援(オンボーディング)の購入が必須であり、契約時に自動的に請求されるという点です。Professionalで360,000円、Enterpriseで840,000円。月額だけを見て稟議を書くと、初回請求で説明がつかなくなります。プラン別の細かい機能差はHubSpotの料金プラン比較で個別に整理しています。
Marketing Hub Professionalの初年度実費は、月額96,000円×12か月に導入支援360,000円を加えた1,512,000円です。2年目以降は1,152,000円に下がるため、単年ではなく3年で見積もってください。
もう1つの変動要因がマーケティングコンタクトです。メール配信や広告連携の対象にするコンタクトだけが課金対象で、対象外にしたコンタクトは1,500万件まで無料でCRMに保存できます。裏を返せば、対象・対象外の運用ルールを決めずに全件を対象にしていると、更新のたびに費用が膨らみます。
Pardot(Account Engagement)の料金体系
Account Engagementは2026年時点で、Growth+・Plus+・Advanced+・Premium+の4エディション構成です。従来のGrowth/Plus/Advanced/Premiumから「+」付きに刷新され、後述するMarketing Cloud Nextへのアクセス権が全エディションに含まれる形になりました。公式の国内定価(組織あたり月額・年間契約)は次のとおりです。
| エディション | 月額(組織単位) | プロスペクト | フォーム/LP | 自動化ルール |
|---|---|---|---|---|
| Growth+ | 150,000円 | 10,000件 | 各50件 | 50件 |
| Plus+ | 330,000円 | 10,000件 | 無制限 | 100件 |
| Advanced+ | 528,000円 | 10,000件 | 無制限 | 150件 |
| Premium+ | 1,800,000円 | 75,000件 | 無制限 | 150件 |
加えて、実務で必要になりやすいアドオンが別建てになっています。営業側がSalesforce画面からホットリード通知やパーソナライズメールを使うための「セールスメールと通知」は1ユーザー月50米ドル、追加プロスペクトは10,000件あたり月100米ドル、Growth+で専用IPアドレスを使う場合は月500米ドルです。手厚いサポートを求めてPremier Success Planを付ける場合は、該当ライセンス料の30%が上乗せされます。
そして最大の前提として、Account EngagementはSalesforceの組織上で動く製品であり、Sales CloudなどのCRMライセンスが別途必要です。Salesforce未導入の中小企業がゼロから始める場合、合計費用は月額15万円では収まりません。正確な金額は構成・オプション・契約条件で変わるため、必ずSalesforceの担当者から正式見積もりを取ってください。
隠れたコスト:運用工数と人件費
ライセンス費用と同じかそれ以上に効いてくるのが人的コストです。Account EngagementはSalesforceのオブジェクト設計と権限設計の理解が前提になるため、専任担当者を置くか、Salesforceパートナーへ委託するかのどちらかが実質的に必要になります。HubSpotも高度な活用には知識が要りますが、UIの学習コストが相対的に低く、マーケティング担当者が兼務で回している例は珍しくありません。
MAツール全体の費用構造をまだ把握していない段階であれば、MAツール導入費用の内訳を先に押さえておくと、見積もりの読み方が変わります。自社の条件で概算を出したい場合は、費用試算の相談も承っています。
機能比較:中小企業の「実務」で使う機能に絞って見る
カタログスペックの網羅ではなく、BtoBの中小企業が実際に触る5領域——リード管理、メール配信・自動化、スコアリング、フォーム/LP、レポート——に絞って比較します。
リード管理・CRM連携
HubSpotはCRMを内包しているため、獲得したリードを営業に引き渡す流れが1つのプラットフォーム内で完結します。商談への転換、活動履歴、パイプライン管理まで同じ画面で扱えます。AccountEngagementはプロスペクトをSalesforce CRMへ同期して管理する構造です。すでにSalesforceを使っているチームにとってこの連携は非常にシームレスですが、Salesforceがなければ連携の土台そのものを別途構築する必要があります。
メール配信・ワークフロー自動化
シナリオ設計はどちらも標準機能です。HubSpotのワークフローはProfessional以上で利用でき、10チームで最大300件、Enterpriseでは300チームで最大1,000件まで作成できます。ドラッグ&ドロップ中心のUIで、非エンジニアでも複雑な分岐を組めます。Account EngagementのEngagement Studioも視覚的にシナリオを設計できますが、Salesforce側のオブジェクト設計を理解していないと初期構築で手が止まりやすい領域です。設計の型そのものはワークフロー設計の考え方で解説しています。
メール送信の上限にも差があります。HubSpotは月間送信数がマーケティングコンタクト契約数に連動し、Starterで5倍、Professionalで10倍、Enterpriseで20倍が上限です。Account Engagementはエディションを問わずメール配信数の上限が設けられていません。大量配信を前提とする運用では、この違いが効いてきます。
リードスコアリング
スコアリングはどちらも標準搭載ですが、思想が異なります。HubSpotはProfessionalで最大5個、Enterpriseで最大50個のスコアを設定でき、Enterpriseでは推奨がAIから提示されます。Account Engagementの特徴は、行動を評価する「スコア」と企業属性を評価する「グレード」を組み合わせた二軸評価で、加えてEinsteinによるリードスコアリング・行動スコアリングも利用できます。属性情報でのふるい分けを重視するABM寄りの運用では、この二軸が効きます。
ただし、どちらのツールを使うにせよ、スコアの前にMQL・SQLの定義が言語化されていなければ機能しません。設定手順はリードスコアリングの設定方法にまとめています。
フォーム・LP作成
HubSpotはフォーム・LP作成を標準で持ち、WordPressなど外部CMSへの埋め込みも容易です。Account EngagementのGrowth+はフォーム50件・フォームハンドラー50件・ランディングページ50件が上限で、無制限になるのはPlus+以上です。年間で数十本のLPを回す運用を想定しているなら、Growth+の上限は早期に問題になります。
レポーティング・分析
ここは一般的な比較記事の評価が実態とずれやすい領域です。HubSpotのカスタムレポートはProfessionalで最大100件作成でき、ファネル各段階の転換率やリードソース別の成果を可視化できます。一方でマルチタッチ収益アトリビューションはEnterprise(月額432,000円)でのみ利用可能です。Account Engagementはマルチタッチアトリビューションモデルを全エディションで提供し、B2BマーケティングアナリティクスはPlus+以上に5ライセンスが付属します。
つまり「アトリビューションまで含めた分析基盤」を必須要件に置くと、価格帯の比較地点はHubSpot Professionalではなく、HubSpot EnterpriseとAccount Engagement Plus+の間に移動します。アトリビューションの実装イメージはHubSpotのアトリビューションレポートで確認できます。
「HubSpotは分析も安く強い」という説明はProfessionalの範囲では正確ではありません。要件定義でアトリビューションを必須にすると、想定より2階層上のプランが必要になります。
| 機能領域 | HubSpot(Professional基準) | Account Engagement(Growth+基準) |
|---|---|---|
| CRM内包 | 標準で内包(追加費用なし) | Salesforceライセンスが別途必要 |
| ワークフロー設計 | 10チームで最大300件・直感的UI | Engagement Studio・SF知識が前提 |
| メール送信上限 | コンタクト契約数の10倍/月 | 上限なし |
| スコアリング | 最大5スコア(Enterpriseは50) | スコア+グレードの二軸+Einstein |
| フォーム・LP | 実質的な件数制限なし | 各50件(無制限はPlus+以上) |
| カスタムレポート | 最大100件 | エンゲージメント履歴ダッシュボード5件 |
| マルチタッチアトリビューション | Enterpriseのみ | 全エディションで利用可 |
| 導入の初期難易度 | 比較的低い(無料から段階導入可) | 高い(Salesforce設計が前提) |
導入・運用の難易度:「動かせる体制があるか」を正直に問う
機能が足りていても、運用する人がいなければツールは止まります。ここでは人・スキル・時間の3軸で、両製品の運用難易度を整理します。
HubSpotの運用に必要な体制
Marketing Hub Professionalを適切に運用するには、週に一定時間を確保できる担当者が最低1名必要です。コンテンツ更新、ワークフローの点検、レポート確認といった定常業務が発生します。学習面ではHubSpot Academyの日本語コンテンツが充実しており、独学でのキャッチアップが成立しやすい設計になっています。それでも導入直後の初期設定を誤ると後から効いてくるため、初期設定のチェックリストで抜けを潰しておくことを勧めます。
Pardot(Account Engagement)の運用に必要な体制
Account EngagementはSalesforceの管理者権限とオブジェクト設計の理解が前提です。マーケティング担当者がAccount Engagementを操作するだけでは完結せず、Salesforce側の設定を管理する役割との連携が必要になります。中小企業では「その役割を誰が担うのか」が最初の障壁になりがちです。結果としてSalesforceパートナーや認定コンサルタントへの委託が前提になるケースが多く、その分の費用も見積もりに含めておく必要があります。
外部パートナーへの依存度の違い
HubSpotは国内のパートナーエコシステムが整備されており、設定代行から月額の運用支援まで選択肢の幅が広いのが特徴です。スポット支援とフリーランスへの委託という軽い選択肢も現実的に取れます。Account Engagementの認定パートナーも存在しますが、Salesforce全体の導入・運用支援とセットになることが多く、費用規模は大きくなりやすい傾向です。委託先の選び方はHubSpotパートナーの選定基準と運用代行に頼めることで整理しています。
「Salesforceあり」と「Salesforceなし」で答えが変わる選定ロジック
この比較における分岐点は、機能でも価格でもなく「現在Salesforceを本格運用しているかどうか」です。この条件が変われば、推奨は明確に反転します。
Salesforceをすでに使っている場合
SalesforceをCRMとして本格運用しており、管理者またはそれに準ずる人材が社内にいる場合は、Account Engagementの統合メリットを享受できる可能性があります。プロスペクトのマーケティングデータと商談データが1つのデータモデル上で扱えるため、マーケティングと営業の分断が構造的に解消されます。ただしこの場合も「Account Engagementを使いこなすだけのマーケティング要件が実際にあるか」は冷静に評価してください。CRMは使っているがメール配信しかしない、という状態なら過剰投資になります。
Salesforceを使っていない・または別のCRMを使っている場合
SalesforceなしでAccount Engagementのみを契約する構成は、本来の強みの大半を捨てながら費用だけを負担することになります。この条件下ではHubSpotのほうが費用対効果でも運用のしやすさでも優位です。HubSpotはCRMを内包しており、営業とマーケティングのデータを1つの基盤で管理する土台として機能します。
これから初めてMAツールを導入する中小企業の場合
CRMもMAも持っていない状態から始めるのであれば、HubSpotの無料CRMで運用の型を作り、施策の成熟に合わせてMarketing Hubへ上げていく段階導入が、費用・リスク・学習コストのバランスとして現実的です。無料版と有料版の線引きは無料版と有料版の違いで詳述しています。このシナリオで初手からAccount Engagementを選ぶ合理的な理由は、見つけにくいのが実情です。
よくある失敗パターン:ツール選定で陥りがちな罠
機能比較だけで選んで後悔するケースには共通の型があります。実務の現場で繰り返し観察される3パターンを整理します。
失敗1:「将来の拡張性」を優先して選び、現在の体制で動かせない
「将来的にはSalesforceも入れるかもしれないから」という想定でAccount Engagementを先行導入し、Salesforce環境が整わないまま高額なライセンスだけが発生し続けるケースです。ツール選定は現時点の体制・予算・要件を基準にするのが原則で、不確かな将来像に引っ張られると判断がぶれます。18か月先の構想より、6か月以内に実行する施策から逆算してください。
失敗2:機能数で比較して上位プランを選び、大半を使わない
HubSpot Enterpriseにも、Account Engagement Advanced+にも、豊富な機能が含まれています。しかし中小企業の初期フェーズでその多くは使い切れません。判断基準は機能数ではなく「今使う機能」と「6か月以内に使う機能」です。逆に、アトリビューションのように必須要件が上位プランにしか存在しない場合は、そこを起点に価格帯を再設定する必要があります。
失敗3:担当者が不在のまま導入し、初期設定で止まる
担当者が明確でないままツールを契約すると、初期設定が終わった段階で実質的な活用が止まります。契約前に「誰が主担当か」「週に何時間割けるか」を確定させ、体制が整っていないなら外部委託分を予算に組み込んでください。導入後に機能しなくなる構造的な要因はHubSpot導入が失敗する7つの理由で分解しています。すでに導入済みで止まっている場合は、使いこなせない原因の切り分けから着手するのが早道です。
2026年のMA選定で変わった前提|HubSpotクレジットとAccount Engagement+
2026年の両製品には、従来の比較軸に載っていなかった共通点があります。どちらもAI機能を消費型のクレジット課金で提供する構造に移行しました。月額定額だけを比較しても、実支出は読めません。
HubSpotは有料プランに「HubSpotクレジット」を同梱する形を採っています。Starterに500クレジット、Professionalに3,000クレジット、Enterpriseに5,000クレジットが追加費用なしで含まれ、顧客対応エージェントやデータエージェントといったAI機能の実行時に消費されます。追加購入は年払いで1,000クレジットあたり1,080円です。重要なのはクレジットが毎月リセットされ、未使用分は翌月に繰り越されない点です。使わなければ消え、使いすぎれば追加購入が発生します。
Salesforce側の変化はさらに構造的です。Account Engagementの全エディション契約者は、権限セットライセンスを介してMarketing Cloud NextのGrowth EditionまたはAdvanced Editionにアクセスできるようになりました(Growth+はNext Growth、Plus+以上はNext Advancedが対象)。新しいSKUを購入し直す必要はありません。Agentforceによるキャンペーン作成、ネイティブのSMS・WhatsApp配信、Data 360を用いたセグメント構築といった機能が使えます。
Marketing Cloud Nextは消費ベースの課金モデルです。利用にはSalesforce Foundationsの有効化とData 360のプロビジョニングに加え、Einsteinリクエストクレジット・メッセージングクレジット・Data 360クレジットの購入が必要になります。
この2つを並べると、比較の論点が「月額いくらか」から「どのAI機能を、月にどれだけ実行するか」に移動していることがわかります。中小企業の実務としては、まず定額部分だけで運用が成立する構成を組み、AI機能は効果を確認しながら段階的に消費量を増やすのが安全です。契約前に、年間のクレジット消費見込みを営業担当に試算してもらってください。
なお、名称変更が続いたことでAccount Engagementの将来性を不安視する声もありますが、Salesforceは公式に、Marketing Cloud Account Engagementのサポート終了(EOL)・販売終了(EOS)・ロードマップ終了(EOR)の予定はないと明言しています。「Pardotはなくなるから乗り換えるべき」という前提での判断は、少なくとも2026年8月時点では事実に基づいていません。乗り換え自体を検討する場合の手順はMAツール乗り換えの進め方にまとめています。
初年度TCOで比較する|3年総額シミュレーション
月額の比較では実態が見えないため、公表されている定価をもとに3年間の総額を並べます。ただし条件は完全には揃わないため、その非対称性も含めて提示します。
HubSpot Marketing Hub Professional(年間契約・コアシート3件・マーケティングコンタクト2,000件)と、Account Engagement Growth+(年間契約・プロスペクト10,000件)を比較します。
| 項目 | HubSpot Marketing Hub Professional | Account Engagement Growth+ |
|---|---|---|
| 年間ライセンス | 1,152,000円 | 1,800,000円 |
| 初回導入支援 | 360,000円(必須) | 定価設定なし(パートナー委託時は要見積もり) |
| 初年度合計 | 1,512,000円 | 1,800,000円+α |
| 2年目以降(年) | 1,152,000円 | 1,800,000円+α |
| 3年合計(ライセンス部分) | 3,816,000円 | 5,400,000円+α |
| 別途必要なもの | 追加コアシート(月5,400円〜)、コンタクト追加分 | Salesforce CRMライセンス、AI利用時のクレジット、アドオン |
ライセンス部分だけで3年158万円程度の差が出ますが、この表をそのまま結論に使うのは正確ではありません。両者はコンタクト数の前提が揃っていないからです。HubSpot Professionalに含まれるのは2,000件、Growth+は10,000件です。管理対象が5,000件、10,000件と増えていくシナリオでは、HubSpot側にもマーケティングコンタクトの追加購入が発生し、差は縮まります。逆にリスト規模が2,000件前後で安定している中小企業なら、表の差がほぼそのまま実支出の差になります。
Salesforce側に「+α」が残るのは、Sales CloudなどCRMライセンスの費用とMarketing Cloud Next利用時のクレジット費用が、企業ごとの構成に依存して公開定価から算出できないためです。ここを推測値で埋めた比較表は当てにならないので、実際の判断では必ず正式見積もりを取り、同じ土俵に乗せてから比較してください。自社のリスト規模と体制を前提にした試算が必要であれば、個別のご相談を承ります。
また、TCOの議論はライセンス費用だけでは片手落ちです。運用工数を人件費に換算した投資対効果の考え方は、マーケティングオートメーション導入の全体像で整理しています。ツール比較の前段として一読しておくと、要件定義の粒度が上がります。
まとめ
中小企業がHubSpotとPardot(Account Engagement)を選ぶ際の判断基準を、条件ごとに整理します。
結論として、Salesforceを使っていない、または本格運用していない中小企業であればHubSpotが現実的な選択肢です。費用・運用負荷・学習コスト・段階導入の柔軟性のいずれの観点でも、中小企業の実態に合っています。一方でSalesforceをすでに活用し、マーケティングと営業のデータ統合を深めたい明確な要件があるなら、Account Engagementを検討する価値があります。
- Salesforce未導入・初のMA導入 → HubSpot(無料CRMから段階導入)
- Salesforce運用中・管理者が社内にいる → Account Engagementを検討
- 予算が限られる・少人数チーム → HubSpotが実質的な選択肢
- 属性軸の分析と高度なBIレポートが必須 → Account Engagement Plus+以上
- アトリビューションを必須要件にする場合 → HubSpotはEnterpriseまで上がる点に注意
2026年の選定で追加すべき視点は、AI機能の消費型課金です。HubSpotクレジットもMarketing Cloud Nextのクレジットも、月額定価の外側で費用が動きます。定額部分だけで運用が成立する構成を先に確定させ、AI機能は効果を測りながら段階的に広げる進め方を勧めます。
そしてどちらを選んでも、導入がゴールではありません。MAツールは戦略・コンテンツ・体制が揃って初めて機能します。「導入したが使いこなせていない」「どちらを選べばいいか決めきれない」という状態であれば、ツール選定より先に自社の運用体制とマーケティングの目標を整理することを優先してください。他社ツールも含めた横断比較が必要な場合は、MAツール比較、Marketoとの比較検討中であればHubSpotとMarketoの比較もあわせてご覧ください。
MAツール選定のご相談
HubSpotとAccount Engagement、自社の条件ではどちらか
リスト規模・社内体制・Salesforceの利用状況をうかがったうえで、初年度から3年のTCOと運用負荷を整理し、要件に対して過不足のない構成をご提案します。ツール選定から初期設定、運用改善までフリーランスのBtoBマーケターが支援します。
よくある質問(FAQ)
- Pardotという名称はもう使われていないのですか?
- 2022年4月にMarketing Cloud Account Engagementへ名称変更されており、現在の公式名称はそちらです。ただし国内の実務現場では今もPardotという呼称が広く使われています。2026年時点のエディション名はGrowth+・Plus+・Advanced+・Premium+の4種類です。なおSalesforceは、Account Engagementのサポート終了・販売終了・ロードマップ終了の予定はないと公式に明言しています。
- 中小企業がPardotを導入するとき、Salesforceは必須ですか?
- Account EngagementはSalesforceの組織上で動作する製品のため、Sales CloudなどのCRMライセンスが別途必要です。技術的に契約すること自体は可能でも、CRMとのネイティブ統合という最大の価値が使えない構成になります。その状況であればHubSpotを選ぶほうが合理的です。
- HubSpot Marketing Hub Professionalの初年度費用はいくらですか?
- 2026年8月時点の公式価格では、年間契約で月額96,000円(コアシート3件・マーケティングコンタクト2,000件を含む)です。これに必須の導入支援360,000円が1回のみ加わるため、初年度は約1,512,000円、2年目以降は約1,152,000円になります。シート追加やコンタクト追加購入で変動するため、正確な金額は公式または認定パートナーにご確認ください。
- HubSpotクレジットとは何ですか。使い切ったらどうなりますか?
- AIエージェントやAI機能を実行する際に消費される単位で、有料プランに一定数が同梱されています(Professionalは3,000クレジット)。毎月リセットされ、未使用分は翌月へ繰り越されません。不足する場合は追加購入(年払いで1,000クレジットあたり1,080円)か、従量課金の有効化で対応します。
- MAツールの運用を外注することはできますか?
- 可能です。HubSpotは国内にSolutions Partnerが多数おり、初期設定の代行から運用支援、コンサルティングまで委託できます。フリーランスのMAコンサルタントへ依頼する選択肢もあり、支援範囲を絞って柔軟に依頼したい場合に向いています。Account Engagementの場合はSalesforce全体の支援とセットになることが多く、費用規模は大きくなりやすい傾向です。