HubSpotの画面を開くたびに、Breezeアシスタントのボタンやエージェントの案内が増えています。営業からは見込み客の下調べをAIに任せたいと言われ、経営者からは人を増やさずに回せないかと聞かれる。一方で「HubSpotクレジット」という単位がよく分からず、使い過ぎると機能が止まるのか、請求が増えるのかも判断できないので、案内のボタンはまだ一度も押していない。
HubSpotのAI機能は、機能の多さで選ぶと費用も手間も読めなくなります。クレジットを消費しないBreezeアシスタントとレコード要約から始め、クレジットを使うエージェント類は、データを整えて対象と月の上限を決めてから1つずつ有効にします。判断の基準は、月に何件の作業をAIに任せるかです。
AIを使うかどうかを決める立場の管理者にとって、判断材料になるのはクレジットを消費する機能かどうかと、月にどれだけの作業をAIに任せたいかです。CRMのデータが整うまでは、クレジットを使わない機能だけで様子を見る選択もあります。
目次
HubSpotのAI機能はクレジットを使うかどうかで2種類に分かれる
HubSpotのAI機能は、人が呼び出して使うBreezeアシスタントと、決めた条件で作業を実行してクレジットを消費するエージェント類に分かれます。使い始める順番も費用の管理も、この2つで分けて考えます。
HubSpotのAI機能とは、CRMに入っている顧客データや活動履歴を材料にして、文章の下書き、記録の要約、データの補完、見込み客への連絡、問い合わせへの回答を行う、HubSpotに組み込まれた機能群のことです。HubSpotは自社のAIを「Breeze」と呼んでおり、会話形式で使うBreezeアシスタントや、ワークフローの中で動くAIアクションにもこの名前が使われています。
機能名、プラン条件、クレジットの扱いは、2026年9月21日時点でHubSpotの公式ナレッジベース(knowledge.hubspot.com)と公式サイトの製品ページ・製品カタログに書かれている内容です。同じ時点で、公式サイトとナレッジベースはエージェントを有効化・管理する場所を「Agent Hub」という名前で案内しています。この領域は更新の間隔が短いため、設定や契約の前には同じページで最新の記載を確認してください。
| 区分 | 主な機能 | 動き方 | HubSpotクレジット |
|---|---|---|---|
| Breezeアシスタント | 下書き、要約、会議の準備、CRMデータへの質問 | 人がその場で呼び出し、結果を人が使う | 公式の導入ガイドでは、クレジットを使わずに日常業務に使える機能として案内 |
| エージェント・AIアクション | Customer Agent、Prospecting Agent、Data Agent(スマートプロパティ)、ワークフローのAIアクションなど | 設定した対象や条件に沿って、HubSpotが作業を実行する | 作業が実行されるたびに消費 |
2つの違いは費用だけではありません。Breezeアシスタントの出力は、担当者が読んでから使うので、誤りがあってもその場で止まります。エージェントは、送信や記録の書き込みまでHubSpotが進めるため、設定を誤ると誤った内容が顧客やCRMに届きます。公式の導入ガイドも、Breezeアシスタントは全員に使わせ、エージェントは意図しない業務の変更やクレジット消費を避けるために使う人を限るよう勧めています。
業務のどこで使うか|書く・まとめる・補う・任せるの4場面
使う機能は、機能名からではなく業務の場面から選びます。中小企業のマーケと営業で出番が多いのは、書く、まとめる、データを補う、作業を任せるの4場面です。
| 業務の場面 | 使う機能 | 必要なプラン(2026年9月時点) | クレジット |
|---|---|---|---|
| メール・ブログ・SNS投稿の下書き | Breezeアシスタント(各エディター内の生成を含む) | 全製品・全プラン。エディター内で使うには、そのツール自体の利用権限も必要 | 消費しない |
| ブログ記事をSNS投稿などに作り替える | コンテンツリミックス(製品カタログではベータ表記) | Content Hub Professional以上 | クレジット消費量の一覧に記載なし |
| 商談前にコンタクトや取引の経緯を読む | レコード要約(Breezeアシスタントのレコード要約カード) | 全製品・全プラン | Breezeアシスタントの機能として提供 |
| ワークフローの中で記録を要約し、次の処理に使う | ワークフローの要約アクション | Marketing・Sales・Service・Data HubのProfessional以上 | 消費する |
| 企業情報や商談メモから項目を埋める | スマートプロパティ(Data Agent) | 各HubのStarter以上(Smart CRM単体はProfessional以上) | 消費する(値が埋まらなくても消費) |
| 狙う企業を見張り、連絡文を用意する | Prospecting Agent | 各HubのStarter以上(Smart CRM単体はProfessional以上) | 消費する |
| サイトやチャットの問い合わせに回答する | Customer Agent | Professional以上 | 消費する(解決1件ごと) |
| サポート担当の返信文の候補を出す | 返信の推奨 | Service Hub Professional以上 | 消費しない |
書く作業:外に出す前に人が読む前提で使う
Breezeアシスタントは、マーケティングメール、ブログ記事、営業メール、テンプレートなどのエディターの中から呼び出せます。たとえば展示会の翌日にマーケ担当がお礼メールを作るとき、来場者の業種と展示していた製品を渡して下書きを出させ、日程や価格など事実の部分だけを自分で書き直す、という使い方です。
出力の質は、指示の書き方よりも渡す材料で決まります。HubSpotの公式ガイドは、ブランドキット(ロゴ・配色・ブランドボイス)、会社プロフィール、理想顧客のプロファイル、製品とサービスの情報を先に登録しておくよう勧めています。これらが空のままだと、どの会社にも当てはまる文章が出てきます。自社の訴求や数字の解釈までAIに書かせてよいかは、生成AIに任せてよい工程と任せない工程の線引きに沿って、HubSpotの中でも同じ基準で分けてください。
まとめる作業:商談前の読み込み時間を減らす
レコード要約カードは、コンタクト・会社・取引・チケットの画面を開いたときに、活動、メモ、担当者の情報から要約を自動で表示します。営業が週に10件の初回商談に入るなら、1件ごとに過去のメールとメモをさかのぼる時間がこのカードで短くなります。使うには、AI設定で「CRMデータ」と「顧客との会話データ」へのアクセスをオンにしておく必要があります。
ワークフローの要約アクションはProfessional以上で使え、実行ごとにクレジットを消費します。公式ヘルプには、クレジットを使い切るとこのアクションは失敗し、出力を使う箇所は空の値になると書かれています。要約結果を営業への通知文に差し込むような設計では、クレジット切れの月に中身のない通知が届くので、ワークフローにAIアクションを入れる条件を満たすかを先に確認します。
データを補う作業:対象を絞って実行する
スマートプロパティは、Data Agentを使って、コンタクト・会社・取引・チケットなどの項目をAIの回答で埋める機能です。回答の元にするデータは、Web上の調査、会社のWebサイト、同じレコードの別の項目、記録された通話・メール・議事録から選べます。たとえばインサイドセールスが「この会社は現在どの業務システムを使っているか」を会社ごとに調べているなら、その質問をスマートプロパティにして、重点企業の一覧だけに実行します。
公式ヘルプには、スマートプロパティは値が埋まらなかった場合でもクレジットを消費すると書かれています。Web上の調査は会社のドメイン名を手がかりにするため、ドメインが空欄の会社に実行すると、何も得られないままクレジットだけが減ります。
任せる作業:最初は人の承認を挟む
Prospecting Agentは、資金調達や新製品の発表などの兆候を手がかりに、条件に合う企業を見つけ、その企業の担当者を探し、個別の連絡文を作ります。送信のしかたは「送信前に確認」と「自動で送信」から選べます。導入から少なくとも1か月は「送信前に確認」にして、営業責任者が下書きを読み、手直しの量を記録してください。
Customer Agentは、ナレッジベースの記事やWebサイトのページなど既存のコンテンツを元に、顧客の質問へ回答します。クレジットは回答のやりとりの回数ではなく、解決1件ごとに消費されます。回答の元になるコンテンツが少ない状態で公開すると、答えられない質問が担当者へ回り、手間は減りません。
クレジットを使わずに問い合わせの一次受けを自動化したい場合は、用件とメールアドレスを聞いて担当者に渡すルールベースのチャットボットの設定から始める方法があります。
最初の1か月はクレジットを使わない機能で試す
使い始める順番は、クレジットを使わない機能、対象を絞ったクレジット利用、エージェント1つの3段階です。前の段階で作業時間が減ったことを確かめてから次に進みます。
1段階目で試すのは、Breezeアシスタントとレコード要約だけです。マーケ担当はメールの下書きに、営業は商談前の読み込みに使い、2週間後に「1件あたりの作業時間が減ったか」を本人に聞きます。Breezeアシスタントのコンテンツ生成には1分あたり30回、1日あたり1,000回の上限がありますが、少人数の会社が日常業務で使う範囲では問題になりにくい回数です。
2段階目で初めてクレジットを使います。スマートプロパティを全コンタクトに実行するのではなく、今期に商談を狙う重点企業50社など、結果を実際に営業が読む範囲に限ります。実行前に、その機能の月間上限をクレジット設定で入れておきます。
3段階目で、エージェントを1つだけ有効にします。Prospecting AgentとCustomer Agentを同時に始めると、どちらの設定が原因で成果が出ていないのかを切り分けられません。Customer Agentには14日間の無料利用を申し込める仕組みがあり、その期間中はクレジットを消費しないと公式ヘルプに書かれています。本番の前に、この期間で回答の精度を確かめられます。
どの業務から使うかを、自社の営業体制とHubSpotの契約内容を踏まえて決めたい場合は、AI機能の使い始め方についての相談もお受けしています。
使う前に整えるデータ|AIの出力はCRMの中身で決まる
HubSpotのAIは、CRMのデータを読んで回答や文章を作ります。重複した会社、空欄の多い項目、記録されていない商談があると、AIの出力もその分だけ不正確になります。
HubSpotの公式ガイドは、AI機能を使う前の準備として、項目の値を埋めて表記をそろえること、重複レコードを統合すること、顧客とのメールや通話をHubSpotに記録することを挙げています。同じ会社のレコードが2つあると、AIが古い方や不完全な方の情報を参照する可能性があるとも書かれています。
中小企業で最初から全データを整える必要はありません。AIに読ませる範囲について、次の最低ラインを満たしてから使い始めます。
| 整えるもの | 整っていないと起きること | 始める前の最低ライン |
|---|---|---|
| 会社レコードの重複 | 要約やスマートプロパティが古い方のレコードを参照する | 重点企業だけでも重複を統合しておく |
| 会社のドメイン名 | Web上の調査を使うスマートプロパティが手がかりを持てず、クレジットだけ減る | AIを実行する会社はドメインが入っている |
| 業種・従業員規模などの選択項目 | 表記揺れで絞り込みができず、実行対象を正しく選べない | 自由入力ではなく選択式にそろえる |
| 商談メモ・メール・通話の記録 | レコード要約が「活動なし」に近い内容になる | 営業がメールと商談メモをHubSpotに残している |
| 自社情報(ブランドキット・会社プロフィール・理想顧客) | 下書きがどの会社にも当てはまる内容になる | 製品の説明と理想顧客の条件を登録する |
重複の統合と表記の統一は、AIのためだけでなく配信やレポートの精度にも関わる作業です。手順はHubSpotのデータ整備の進め方に沿って進め、会社名の揺れで同じ企業が複数できている場合は、リードの名寄せをどこまでやるかを先に決めます。スマートプロパティを増やす前に、プロパティを作る基準に照らして、その項目を誰が何の判断に使うのかを1行で書き出してください。使い道のない項目をAIで埋めても、クレジットが減るだけです。
HubSpotクレジットの消費と上限|月に何件任せられるかで見積もる
HubSpotクレジットは、エージェントやAIアクションが作業を実行するたびに減る月単位の枠です。含まれる量はプランで決まり、毎月リセットされて繰り越されません。
公式ナレッジベースと製品カタログで確認できた、クレジットの基本的な扱いは次のとおりです(2026年9月21日時点)。
- 含まれるクレジットの量は、契約している中で最も上位のプランで決まり、複数の製品を契約していても合算されない
- クレジットは利用期間の開始日に合わせて毎月リセットされ、使わなかった分は翌月に繰り越されない
- クレジットを使えるのは有料シートを持つユーザーだけで、無料ユーザーと閲覧のみのシートのユーザーは使えない
- 含まれるクレジットがあるのは現行のシート型の料金体系の契約で、旧料金体系の契約は、シート型に移行してから含まれるクレジットが使えるようになる
- ベータの機能も、将来クレジットを消費するようになる可能性がある
| 契約(最上位のプラン) | Starter | Professional | Enterprise |
|---|---|---|---|
| Smart CRM・Marketing Hub・Sales Hub・Service Hub・Content Hub・Revenue Hub | 500 | 3,000 | 5,000 |
| Data Hub・Customer Platform | 500 | 5,000 | 10,000 |
毎月含まれるクレジット数は上の表のとおりです(出典:HubSpot製品・サービスカタログ)。作業1回あたりの消費量は、同じカタログのクレジット消費量の一覧に機能ごとに載っています。中小企業で使う可能性が高い機能を抜き出すと次のとおりです。
| 機能 | 消費の単位 | クレジット |
|---|---|---|
| Prospecting Agent | リード1件への連絡の推奨 | 100 |
| Data Agent(スマートプロパティなど) | 1レコードで1つの質問に回答 | 10 |
| ワークフローのAIアクション | 1回の実行 | 10 |
| Customer Agent | テキストの会話1件の解決 | 50 |
この数字で月の作業量に置き換えると、判断がしやすくなります。Starterの500クレジットは、Prospecting Agentならリード5件分、スマートプロパティなら1つの質問を50社に実行する分です。Professionalの3,000クレジットでも、Prospecting Agentはリード30件分です。Prospecting Agentは、設定した連絡の手順によって1件あたりの消費が増えることもあります。営業の新規開拓をエージェント中心に切り替えるつもりなら、月に何件を任せるかを先に決め、含まれるクレジットで足りるかを計算してから始めてください。
使い切ったときの扱いは、追加購入の有無で変わる
公式ナレッジベースの記載では、クレジットを追加購入していないアカウントは、含まれるクレジットを使い切ると、クレジットを使う機能が次のリセット日まで一時停止します(追加を購入すれば再開)。上限を超えて自動で請求が増えることはありません。
クレジットを追加購入したアカウントは、上限を超えたときの扱いを2つから選べます。1つは、使用量に合わせて上位のクレジット枠へ自動で引き上げる方式で、引き上げた枠は契約期間の残りずっと続きます。もう1つは、超えた分だけを翌月に請求する従量課金の方式で、リセット日に元の枠へ戻ります。ナレッジベースでは自動引き上げが既定と説明されていますが、製品ページには従量課金が既定とする記載もあるため、自社のアカウントの設定画面でどちらになっているかを確かめてください。変更はスーパー管理者か請求管理者が行います。
停止したときの影響は機能ごとに違います。ワークフローのAIアクションは失敗して出力が空になり、Customer Agentは新しい会話に割り当てられなくなって、設定した引き継ぎ先に回ります。AIの出力を顧客対応の流れに組み込んでいる場合は、月末にクレジットが尽きたときの流れを先に確かめておきます。
上限はアカウント全体と機能ごとの2段で入れる
アカウント全体の月間上限と、機能ごとの月間上限を設定できます。通知は利用率75%、85%、90%と上限到達の時点で、スーパー管理者と請求担当者に届きます。
機能ごとの上限は、その機能用にクレジットを取り置く設定ではありません。ある機能が上限まで使っていなくても、別の機能がアカウント全体の枠を使い切れば、どの機能も止まります。また、追加購入した容量パックの解約や縮小は、契約期間の終わりにしかできません。
契約中のプランでクレジットがどれだけ含まれ、ほかの費用とどう積み上がるかは、HubSpotの無料と有料の違いで費用の全体像と並べて確認します。
同じクレジットの枠は、購入者の興味関心で訪問企業を絞り込むときの会社の追加と追跡にも使われるため、AIとの配分を月初に決めておきます。
プランで変わること|無料・Starter・Professionalの境目
Breezeアシスタントとレコード要約は無料プランを含む全プランで使えます。スマートプロパティとProspecting AgentはStarterから、Customer Agentとワークフローの要約アクションはProfessionalからです。
| 機能 | 無料 | Starter | Professional以上 |
|---|---|---|---|
| Breezeアシスタント・レコード要約 | 使える | 使える | 使える |
| HubSpotクレジット | 使えない(無料ユーザーは対象外) | 含まれる | 含まれる |
| スマートプロパティ(Data Agent) | 使えない | 使える | 使える |
| Prospecting Agent | 使えない | 使える | 使える |
| ワークフローの要約アクション | 使えない | 使えない | 使える |
| Customer Agent | 使えない | 使えない | 使える |
表の「Starter」「Professional」はMarketing Hub、Sales Hub、Service Hub、Data Hub、Content Hubの各エディションを指します。Smart CRMだけを契約している場合、スマートプロパティとProspecting AgentはProfessional以上が条件です。返信の推奨はService Hub Professional以上、コンテンツリミックスはContent Hub Professional以上で使えます。
AI機能を理由にプランを上げる判断は、後回しにしてください。Professionalへ上げる理由になるのは、条件分岐のあるワークフローやカスタムレポートが業務に要るかどうかで、AIはその上に乗る機能です。Starterで500クレジットを使い切る月が3か月続き、その作業が商談につながっていると確認できてから、追加購入かプランの見直しを検討します。StarterとProfessionalの境目そのものは、StarterとProfessionalの機能差から、自社で組みたいワークフローを書き出して判断します。
社内ルールは公開前の確認・顧客データ・権限の3つを決める
AI機能を全員に開放する前に、外に出す文章を誰が確認するか、どの顧客データをAIに渡すか、クレジットを使う機能を誰が動かせるかを決めます。
| ルール | 決めること | 中小企業での決め方の例 |
|---|---|---|
| 公開前の確認 | AIが作った文章を、誰が読んでから外に出すか | メール・ブログ・見込み客への連絡は、書いた本人と別の1人が価格・実績・機能の記述を一次資料と照合する |
| 顧客データの扱い | AIに渡すデータの範囲と、AIへの指示に書かない情報 | AI設定のデータアクセスと学習の設定を管理者が決め、指示文に契約金額や個人の連絡先を書かない |
| 権限 | クレジットを使う機能を誰が設定・実行できるか | エージェントとスマートプロパティの権限はマーケ責任者と営業責任者の2人に限る |
公開前の確認:送信前の承認を外すのは実績を見てから
AIが書いた文章は自然に読めるため、誤った価格や存在しない導入実績が混ざっていても見落とします。社外に出る文章は、人が一次資料と照合してから出すことを全員のルールにします。Prospecting Agentは「送信前に確認」の設定で始め、1か月分の下書きで手直しがほとんど要らなかったことを確かめてから「自動で送信」を検討します。
顧客データ:AI設定の既定値を確認する
AI設定では、生成AI機能の利用、CRMデータへのアクセス、顧客との会話データへのアクセスが既定でオン、ファイルデータへのアクセスが既定でオフになっています。さらに、アカウントの顧客データをHubSpotのAIモデルの学習に使うかどうかの設定があり、既定ではオンです。オフにしてもAI機能は使えると公式ヘルプに書かれています。顧客との契約で、預かった情報を外部のAIで処理することに制限がないかを確認し、そのうえで管理者がオンとオフを決めます。Data Agentの公式ヘルプも、AIへの入力や指示に機微な情報を含めないよう注意しています。
AI設定と学習の設定は、使い始める前にスーパー管理者が1回確認すれば済みます。既定値のまま運用を始めると、後から誰がいつ決めたのかを社内で説明できなくなります。
権限:クレジットを使う機能は人を限る
HubSpotの権限設定には、エージェントの作成・編集、Prospecting Agentへの割り当て、Data Agentの利用など、AI機能ごとの項目があり、クレジットを使う権限かどうかも公式ガイドに一覧で載っています。担当者が善意でスマートプロパティを全コンタクトに実行すると、その月のクレジットが数日でなくなることもあります。使う人を2人程度に限り、実行前に対象件数とクレジット消費量を掛け算してから動かすルールにします。
HubSpotのAIを使わない方がよい場面
対象の件数が少ない作業、データが整っていない作業、自社の判断が必要な作業は、HubSpotのAIに任せない方が速く正確に終わります。
次の場面では、AI機能を使わずに人が進めることを勧めます。
- 対象が月に10件程度しかない調査:重点企業が10社なら、営業が自分で各社のサイトを読む方が早く、クレジットの管理も要りません。スマートプロパティは、同じ質問を数十件以上に繰り返すときに使います。
- 重複や空欄が多いデータへの実行:統合前のレコードに実行すると、誤った結果がCRMに残り、後で人が直す作業が増えます。
- 回答の元になる記事がない状態でのCustomer Agent:問い合わせの多い質問への回答をナレッジベースやWebページに書き終えるまでは、公開しません。
- Starterの含まれるクレジットだけでの新規開拓:リード5件分では、営業の新規開拓の主力にはなりません。手作業の下調べをBreezeアシスタントで短くする方が現実的です。
- 訴求の決定、施策の優先順位、数字の解釈:自社の中にしか材料がない判断は、HubSpotの中でも人が行います。
マーケを1人で回しているなら、AIで削れる時間は限られています。一人マーケのHubSpot運用で決めた優先順位の中で、時間を食っている作業に限ってAIを当ててください。
まとめ
HubSpotのAI機能は、クレジットを使わないBreezeアシスタントとレコード要約から始め、作業時間が減ったことを確かめてから、対象を絞ってクレジットを使う機能、最後にエージェントを1つだけ有効にする順番で広げます。判断の単位は機能の数ではなく、月に何件をAIに任せ、それが含まれるクレジットで足りるかです。
次にやることは3つです。管理者がAI設定のデータアクセスと学習の設定を確認して社内で決めること。Breezeアシスタントに任せる業務を1つ選んで2週間試すこと。クレジットを使う機能を始める前に、その機能の月間上限を入れ、権限を持つ人を2人程度に限ることです。
HubSpotのAI活用のご相談
どの業務からAIを使うかと、クレジットの上限・社内ルールを一緒に決めます
現在のHubSpotの契約とデータの状態を確認し、Breezeアシスタントで始める業務、先に整えるデータ、クレジットを使う機能の対象件数と月間上限、公開前の確認手順を整理します。AIを使うかどうかを決めていない段階でもご相談いただけます。
よくある質問
- HubSpotのAI機能は無料プランでも使えますか?
- Breezeアシスタントとレコード要約は、無料プランを含む全プランで使えます。一方、HubSpotクレジットを使えるのは有料シートを持つユーザーだけなので、エージェントやスマートプロパティのようにクレジットを消費する機能は無料プランでは使えません(2026年9月時点の公式ナレッジベースの記載)。
- Breezeアシスタントを使うとクレジットは減りますか?
- HubSpotの公式の導入ガイドでは、Breezeアシスタントはクレジットを使わずに日常業務に使える機能として案内されています。クレジットを消費する機能には、HubSpotの画面上にクレジットのアイコンが表示されるので、アイコンの有無で見分けます。
- HubSpotクレジットを使い切るとどうなりますか?
- クレジットを追加購入していない場合、クレジットを使う機能は次のリセット日まで一時停止し、追加購入すると再開します。追加購入済みの場合は、上位の枠への自動引き上げか、超過分の従量課金のどちらかになり、どちらにするかは設定で選べます。
- HubSpotのAIに入れた顧客データは学習に使われますか?
- AI設定にある「AIモデルの学習」の項目で制御します。既定ではオンで、オフにするとアカウントのデータはHubSpotのAIモデルの学習に使われず、AI機能はそのまま使えます。使い始める前にスーパー管理者が設定を確認してください。
- StarterプランでBreezeのエージェントは使えますか?
- Prospecting AgentとData Agentのスマートプロパティは、各HubのStarterから使えます。Customer AgentはProfessional以上が必要です。Starterに含まれるクレジットは月500で、Prospecting Agentならリード5件分にあたるため、試験的な利用の範囲と考えてください。