BtoBのランディングページ改善|稟議に持ち込める構成の作り方

BtoBのランディングページ改善|稟議に持ち込める構成の作り方

広告を出しているのにLPからの問い合わせが伸びない。デザインを作り直しても数字が動かない。BtoBのLP改善では、コピーやデザインを何度作り替えても成果が変わらないという状況がよく起こります。

原因は多くの場合、読者を1人だと想定していることにあります。BtoBの購買は複数人で決まるため、LPを読んだ本人が納得しただけでは進みません。その人が社内で説明できる状態にならなければ、検討は止まります。個人を口説くための構成では、この壁を越えられません。

この記事では、そもそもLPを新設すべきかの判定から、社内で共有される状態から逆算した構成、ファーストビューの設計、持ち帰り用の材料、改善の優先順位までを扱います。広告やコンテンツからの流入を商談につなげたい方を想定しています。

まず、LPを新設すべきかを判定する

既存のサービスページで足りるケースは多く、安易な新設は評価とリソースの分散を招きます。

LP改善の相談で最初に確認するのは、そのLPが本当に必要かどうかです。サービスページとは別にLPを立てると、内容が重複してどちらも中途半端になることがあります。判定の軸は次のとおりです。

状況判定理由
広告の受け皿が必要LPを作る訴求と検索語に合わせて内容を絞る必要がある
特定業界・特定課題に絞って訴求したいLPを作るサービスページでは対象が広すぎる
自然検索からの流入を増やしたい作らない記事とサービスページで対応する
サービス紹介を新しくしたい作らない既存ページの改修で足りる

自然検索からの流入を狙う目的でLPを新設するのは避けてください。LPは単独ページのため内部リンクが集まりにくく、検索評価が積み上がりにくい構造です。検索からの獲得は記事とサービスページで受け、LPは広告や特定訴求の受け皿に用途を限定するほうが機能します。

広告の受け皿として作る場合は、広告側の設計と一体で考えます。チャネルごとの役割と予算配分はBtoB広告運用ガイドで整理しています。

BtoBのLPは「読んだ人が社内で説明する」ための資料

読者が納得しても、社内で説明できなければ検討は止まります。LPの読者は2人以上いると想定します。

BtoCであれば、読んだ本人が納得すればその場で購入まで進みます。BtoBはそうなりません。読んだ担当者は、上長や関連部署に「こういうサービスがある」と説明する必要があります。ここを通過して初めて検討が前に進みます。

段階1 閲覧者本人の納得 自分の課題に効きそうだ ここまでは一般的なLPの設計で 到達できる 段階2 社内への説明 最も落ちる 上長に一言で説明できるか 何屋で、いくらで、何が変わるかを 読者が要約できる状態にする 段階3 稟議・比較検討 他社と並べても選ばれるか 価格の目安・導入の流れ・実績が 材料として必要になる 段階1だけを設計したLPは、 問い合わせは来ても検討が止まる
図1:BtoBのLPが通過すべき3段階

多くのLPは段階1だけを設計しています。感情に訴えるコピー、印象的なビジュアル、限定感の演出。これらは本人の関心を引くには機能しますが、上長への説明材料にはなりません。「この会社は何をしてくれるのか」を読者が自分の言葉で要約できないLPは、そこで止まります。

設計の起点は「読者が上長に言う一文」です。「マーケの人手が足りない件、外部で見てくれる会社があった。月◯十万で戦略から実行まで見てくれるらしい」。この一文が成立するようにLPを組みます。

ファーストビューで「誰の何を解決するか」を確定させる

読者は数秒で自分向けかを判断します。抽象的なコピーではその判定を通過できません。

ファーストビューで伝えるべきは3点です。誰向けか、何を解決するか、何をする会社か。この3つが揃っていないと、読者は自分に関係あるかを判断できず離脱します。

よくある失敗は、抽象度の高いキャッチコピーを置くことです。「ビジネスを、次のステージへ」といった表現は、どの業界のどんなサービスにも当てはまるため、読者は自分向けかを判定できません。具体を入れます。

  • 誰向けか:「マーケティング専任者がいないBtoB企業へ」のように対象を名指しする
  • 何を解決するか:読者が自分の言葉で言いそうな課題をそのまま書く
  • 何をする会社か:何をする会社かを一言で示す。「BtoBマーケティングの伴走支援」など
  • 信頼の担保:実績数・導入企業のロゴ・受賞歴などを1つ

ファーストビューの高さを画面いっぱいに取らないでください。少しスクロールすれば次の情報が見える状態にすると、読み進める読者が増えます。

対象を名指しするには、ターゲットの解像度が必要です。曖昧なまま書くと抽象的なコピーに戻ります。ICPの設定方法ペルソナの設計を先に済ませてください。

本文の構成順|課題から入り、価格の目安まで出す

課題の言語化から始め、解決策・実績・価格・流れの順に並べます。価格を隠すと検討が止まります。

1. ファーストビュー 誰の何を解決するか+信頼の担保 2. 課題の言語化 最も重要 読者が自分の状況だと認識する 3. 提供内容 何をどこまでやるかを具体的に 4. 実績・事例 業種と規模を明示して自分ごと化 5. 価格の目安 省略しない 帯でよい。無いと社内で話せない 6. 導入までの流れ 問い合わせ後に何が起きるか 7. FAQ 断る理由を先に潰す 8. フォーム 5〜7項目。課題の自由記述を入れる ※ CTAは2〜3か所に分散させ、最後だけに置かない ※ 5と6が抜けているLPは社内説明で止まる
図2:BtoBランディングページの構成

特に抜けやすいのが5の価格と6の導入までの流れです。価格を出さない方針の企業は多いのですが、読者が社内で説明するとき「いくらか分からない」では話が進みません。正確な金額でなくて構わないので、「月額◯十万円〜」「初期費用◯十万円〜」といった帯を出します。

6の導入までの流れは、問い合わせのハードルを下げる効果があります。「問い合わせたら営業が来るのではないか」という不安が離脱の理由になるため、初回は打ち合わせのみであること、提案までに何日かかるかを書いておきます。

7のFAQは、読者が断る理由を先に潰す場所です。実際に商談で聞かれる質問をそのまま置きます。ここに何を書くべきかは、営業に「いつも聞かれることは何か」を確認するのが最も早い方法です。

料金の出し方そのものに迷う場合はBtoBの料金ページを参照してください。案件ごとに金額が変わる商材での提示方法も扱っています。

持ち帰れる材料を用意する

社内共有はURLの転送か資料の添付で行われます。どちらでも通る形を用意します。

段階2の「社内への説明」を通すには、読者が何かを持ち帰れる必要があります。用意するのは次の3つです。

  • サービス紹介資料のPDF:LPの内容を10ページ程度にまとめたもの。メール添付で共有されます
  • 共有しやすいURL構造:LPが1ページで完結していれば、URLを送るだけで伝わります。複数ページに分かれていると転送しにくくなります
  • 導入事例:自社と近い業種・規模の事例があると、上長への説明材料になります

サービス紹介資料をダウンロードさせる場合、フォームの項目を増やしすぎないでください。この段階の読者はまだ商談を望んでいません。資料請求と問い合わせのフォームは分けて設計します。

資料の作り方はホワイトペーパーの作り方で扱っています。導入事例をどう集めるかは、社名を出せない場合の設計も含めて別途整理しています。

改善の優先順位

チェックリストを上から順に潰すのではなく、影響の大きい順に手を付けます。

LP改善のチェックリストは各所にありますが、項目数が多いと何から着手すべきか分かりません。効果と工数の比で並べると次の順になります。

順位着手する箇所工数
1ファーストビューのコピーを具体化する
2価格の目安と導入の流れを追加する
3フォームの項目を見直す
4CTAを2〜3か所に分散させる
5課題セクションを読者の言葉に書き直す
6実績・事例を業種と規模つきで追加する
7デザイン全体の作り直し

1から4はいずれも工数が小さく、数日で着手できます。多くの企業が最初に検討する7のデザイン刷新は、最も工数が大きい割に効果が読みにくいため最後に置いています。文言と情報の不足を先に潰してから判断してください。

改善の効果を測るには、LPの表示数とフォーム送信数を分けて取得する必要があります。計測が整っていない場合はBtoBマーケの効果測定を参照してください。広告からの流入で評価する場合は、商談化率まで見ないと判断を誤ります。リスティング広告の商談化率を改善する設計もあわせて確認してください。

自社のLPをどこから直すべきか整理したい場合は、現状のページと流入構成を前提にご相談いただけます

フォーム自体の設計はBtoBの問い合わせフォーム改善で詳しく扱っています。項目数と商談数の関係を押さえてから着手してください。

スマートフォンでの見え方と、広告との訴求一致

BtoBでもスマートフォンからの閲覧は一定あり、広告経由では特に多くなります。

BtoBは業務時間中にパソコンで見られるという前提でLPを作ると、実際の閲覧環境とずれます。通勤時間や移動中に情報収集する担当者は珍しくなく、広告からの流入では特にスマートフォンの比率が上がります。パソコンで作り込んだLPが、スマートフォンでは読めない状態になっていることがあります。

実機で確認すべき4点

  • ファーストビューで何の会社か分かるか:横幅が狭いため、パソコンでは1行に収まっていたコピーが3行になり、印象が変わります。3行になっても意味が通るかを確認します
  • 表が横にはみ出していないか:比較表を置いている場合、画面幅を超えてページ全体が横スクロールする状態になっていないかを確認します。表だけが横スクロールする形に収めます
  • フォームまでの距離:パソコンでは1画面に収まる情報が、スマートフォンでは何度もスクロールが必要になります。最下部だけにCTAを置くと、そこまで到達しません。中間にも配置します
  • 電話番号がタップできるか:BtoBでは電話での問い合わせも一定あります。テキストで書いてあるだけだと、番号を控えて掛け直す手間が発生します

確認は実機で行ってください。ブラウザの開発者ツールでの表示確認では、実際のスクロール量や指での操作感が分かりません。自分の端末で最初から最後まで読み通してみると、パソコンでは気づかなかった問題が見つかります。

広告とLPの訴求がずれていないか

広告経由のLPでよく起きるのが、広告文とLPの内容が噛み合っていない状態です。広告では「費用相場が分かる」と訴求しているのに、LPには価格の記載がない。この場合、クリックした人は求めていた情報がないと判断して離脱します。クリック単価だけが消費され、問い合わせは発生しません。

広告の運用担当とLPの制作担当が分かれていると、この不一致は起こりやすくなります。制作時点では整合していても、その後の広告文の変更がLPに反映されないまま運用が続くこともあります。

防ぐには、広告の見出しに使っている表現を、LPのファーストビューにもそのまま使ってください。同じ言葉が見えることで、来た場所が合っているという確認になります。多少表現が硬くなっても、一致していることのほうが優先されます。

検索キーワードとの対応

検索広告の場合は、検索キーワードとの一致も確認します。「BtoB マーケティング 外注 費用」で検索した人が来るLPに費用の情報がなければ、内容がどれだけ良くても離脱します。

キーワードごとにLPを分けるのが理想ですが、運用の負荷が上がります。現実的には、主要なキーワード群を3〜4つに分類し、それぞれに対応する情報がページ内にあることを確認する形で足ります。費用を調べている人、やり方を調べている人、事例を探している人。この3者が同じLPに来ても、それぞれが求める情報にたどり着ける構造にしておきます。

広告側の設計はBtoB広告運用ガイド、キーワードとの対応はBtoBリスティング広告のキーワード選定で扱っています。

公開後にまず見る数字

LPを公開したら、最初に見るのは問い合わせ件数ではありません。件数は母数が小さく、月に数件の変動では判断できないためです。先に見るのは、ページに到達した人がどこまで読んだかです。

多くの解析ツールでスクロール率が取得できます。ファーストビューで離脱している割合が高ければ、コピーが対象を捉えられていません。中盤で止まっているなら、その手前のセクションで納得が作れていない可能性があります。最後まで到達しているのにフォームに進まないのであれば、価格や導入の流れといった判断材料が不足しています。

どこで止まっているかが分かれば、直す箇所が特定できます。全体を作り直す前に、この1点を確認してください。

スクロール率と並べて確認したいのが、流入元ごとの違いです。広告からの流入と自然検索からの流入では、同じLPでも読まれ方が変わります。広告経由だけ極端に離脱が早いのであれば、原因はLPではなく広告文との不一致にあります。流入元を分けずに全体の平均だけを見ていると、この差が消えてしまいます。

改善を入れた後は、少なくとも1ヶ月は数字を見続けてください。BtoBのLPは母数が小さく、1週間の変動では判断できません。

まとめ

BtoBのLP改善で押さえるべき点を整理します。

  • 自然検索狙いでLPを新設しない。LPは広告や特定訴求の受け皿に用途を限定する
  • 読者は1人ではない。閲覧者本人の納得・社内への説明・稟議の3段階を通す設計にする
  • ファーストビューで誰向けか・何を解決するか・何をする会社かを確定させる
  • 価格の目安と導入までの流れを省略しない。無いと社内で話せない
  • PDF資料と共有しやすいURLを用意する。持ち帰れないLPは検討が止まる
  • 改善はコピーと情報の不足から着手する。デザイン刷新は最後

LPは作って終わりではなく、商談で聞かれた質問を反映して育てるページです。営業が商談で使った説明が、そのまま次のLPの改善材料になります。

LP改善のご相談

どこから直すべきかの優先順位からご相談いただけます

「デザインを変えても数字が動かない」「問い合わせは来るが検討が止まる」といった状態を、流入構成と商談の実態から具体化します。現状のページを拝見したうえで、着手順をご提案します。

よくある質問

LPに価格を載せるべきですか。
目安の帯で構わないので載せてください。BtoBでは読んだ担当者が社内で説明する必要があり、価格が分からないと話が進みません。「月額◯十万円〜」「初期費用◯十万円〜」といった記載があれば、上長への説明が成立します。個別見積が前提の商材でも、レンジは示せます。
ファーストビューはどのくらいの高さにすべきですか。
画面いっぱいに取らないでください。少しスクロールすれば次のセクションが見える状態にすると、読み進める読者が増えます。ファーストビューだけで完結させようとして情報を詰め込むと、かえって判断されにくくなります。
LPとサービスページは分けるべきですか。
用途で分けます。広告の受け皿や特定業界向けの訴求はLP、自然検索からの流入はサービスページと記事で受けます。自然検索を狙ってLPを新設すると、内部リンクが集まらず検索評価が積み上がりにくいため避けてください。
デザインを作り直せばCVRは上がりますか。
優先順位としては最後です。ファーストビューのコピー具体化、価格と導入フローの追加、フォーム項目の見直し、CTAの分散はいずれも工数が小さく効果が読みやすい施策です。これらを終えても数字が動かない場合に、デザイン刷新を検討してください。
問い合わせは来るのに商談が進みません。
LPが閲覧者本人の納得までしか設計されていない可能性があります。読者が上長に説明する材料、具体的には価格の目安・導入までの流れ・自社と近い業種の事例が揃っているかを確認してください。あわせて、問い合わせ後の初回接触が遅れていないかも見直す価値があります。