ホワイトペーパーを1本作ったものの、ダウンロードが月に数件で止まっている。あるいはダウンロードは取れているのに、営業に渡しても商談にならない。BtoBのリード獲得でホワイトペーパーを扱うとき、この2つのどちらかで止まっているケースがほとんどです。
ダウンロード数は目的ではありません。ホワイトペーパーの成否は、誰に向けた何の資料かを決める段階と、ダウンロードした人にその後どう接触するかの設計でほぼ決まります。資料そのものの完成度は3番目の要素です。制作に時間をかける前に、この2つを先に決める必要があります。
ホワイトペーパーを企画する担当者が見直す対象は、資料の出来栄えよりも、誰に向けた資料かと、ダウンロードした人に営業がどう接触するかの2つです。ダウンロード後に追いかける体制がまだ整っていない会社なら、手間のかかる資料より軽い形式から作り始めるほうが釣り合います。
目次
ホワイトペーパーが機能しない2つの典型パターン
ホワイトペーパーが機能しないときは、「ダウンロードが増えない」か「ダウンロードは取れるが商談にならない」のどちらかで止まっています。原因も対処もまったく違います。
パターン1:ダウンロードが増えない
資料は完成したのに、月のダウンロードが数件しかない状態です。この場合、原因は資料の中身ではなく設置と導線にあります。サイトのどこからも導線が張られていない、資料ページが検索で拾われない、記事の本文中に自然な誘導がない。資料の質を上げても解決しません。
パターン2:ダウンロードは取れるが商談にならない
より多いのがこちらです。ダウンロード数は月に数十件あるのに、営業に渡すと「まだ検討段階ではない」と返ってくる。あるいは連絡が取れない。この場合、資料の種類と対象層がズレているか、ダウンロード後のフォロー設計が存在しないかのどちらかです。
ダウンロード数と商談数は別の問題です。どちらで詰まっているかを先に切り分けないと、資料の作り直しという最もコストの高い対処に向かってしまいます。
パターン1なら資料には手を付けず、記事と資料ページの導線から直します。パターン2なら、資料の種類と対象層の見直しと、ダウンロード後のフォローの設計が先です。ホワイトペーパーでは届かない層がいると分かったら、展示会やウェビナーなど他のリード獲得施策と組み合わせます。
6種類のホワイトペーパーと、最初に作るべきものの決め方
最初に作る種類は、営業がすぐ追える体制があれば顕在層向けの導入事例集や比較資料、体制がまだなければ準顕在層向けのチェックリスト・テンプレート型です。
ホワイトペーパーは大きく6種類に分けられます。重要なのは種類の一覧ではなく、それぞれが接触する検討段階が違うことです。
| 種類 | 対象層 | 制作の重さ | 商談化までの距離 |
|---|---|---|---|
| 導入事例集 | 顕在層 | 中 | 近い |
| 製品・サービス比較 | 顕在層 | 中 | 近い |
| 課題解決ガイド | 準顕在層 | 重い | 中 |
| チェックリスト・テンプレート | 準顕在層 | 軽い | 中 |
| 入門ガイド・用語集 | 潜在層 | 中 | 遠い |
| 調査レポート | 潜在層 | 重い | 遠い |
選び方の基準はシンプルです。インサイドセールスや営業がすぐに追える体制があるなら顕在層向け、まだ体制がなくリストを育てる段階なら準顕在層向けから始めます。潜在層向けの調査レポートは、リードの量を作るには有効ですが、商談化までの距離が遠いため、フォローの仕組みがない状態で作ると在庫が積み上がるだけになります。
最初の1本としてはチェックリスト・テンプレート型を推奨します。制作が軽く、実務で使われるため保存され、その後の接触で話の糸口になります。導入事例集は成果が読みやすい一方で、掲載許諾の取得に時間がかかるため2本目以降が現実的です。
誰に向けた資料かを決めないまま種類を選ぶと、どの層もダウンロード後に商談へ進まない資料になります。先にICPの設定とペルソナの設計を済ませてください。
導入事例集を作る場合、取材の依頼と掲載許諾が先行工程になります。候補の顧客には、導入事例の取材の依頼を資料の企画と同時に出し、許諾を待つ間に他の章を作ります。
企画のネタは既存資産から取り出す
企画のネタは、商談で繰り返し聞かれる質問・失注理由・反応の良い既存記事・社内の実務フォーマットの4つから取り出します。ゼロから考えると2本目で止まります。
ホワイトペーパーが続かない最大の理由は、毎回ゼロから企画しようとすることです。1本目は気合いで作れても、2本目3本目のネタが出てこない。この問題は、企画の出所を既存資産に固定することで解決します。取り出し先は次の4つです。
- 商談で繰り返し聞かれる質問:営業が毎回同じ説明をしている論点は、そのまま資料になります。議事録か営業への15分のヒアリングで抽出できます
- 失注理由:検討が止まった理由の上位3つは、見込み客が越えられなかった壁です。それを越えるための資料には需要があります
- 反応が良かった既存記事:すでに検索から人が来ている記事のテーマは、需要が実証済みです。記事を深掘りして資料にします
- 社内で使っている実務フォーマット:自社の管理シートや設計テンプレートは、そのままチェックリスト型の資料になります
4つ目の実務フォーマットは最も早く作れますが、社外に出せない情報が混ざっていないかの確認を必ず挟んでください。顧客名や単価が残ったまま公開する事故が起こりやすい箇所です。
記事を資料にする流れを毎月の制作計画に入れるなら、コンテンツマーケ戦略の中で、どの検討段階の記事から資料を作るかを決めておきます。
過去に開催したウェビナーの録画も、そのまま眠らせておくには惜しい素材です。録画の質疑応答を書き起こして章立てにすれば、録画を資料に組み替えるだけで1本分の原稿ができます。
どの記事に資料ダウンロードを置き、どの記事には置かないかは、記事の役割ごとに出口を変える設計で判断できます。課題認識前の読者と実行フェーズの読者では、受け取られる出口が異なります。
構成テンプレートと分量の目安
課題解決型は「課題の整理→原因→解決策→自社の関与」の順で組み、10〜15ページに収めます。
構成で迷う必要はありません。BtoBのホワイトペーパーは型が決まっています。
分量は10〜15ページを基準にします。多くの企業が「せっかく作るなら」と厚くしますが、20ページを超えると最後まで読まれにくくなり(実務上の傾向)、何より制作が続きません。1本を厚くするより、毎月か隔月で出し続けられる分量に収めてください。
最後の「自社の関与」を1ページに留めるのは、資料全体が営業資料に見えると次回のダウンロードが起きなくなるためです。読者にとっての有用性を優先し、売り込みは最後の1ページだけにします。
ダウンロードを増やす設置と導線
ダウンロードを増やすには、テーマが一致する記事の本文中・資料一覧ページ・既存リストへのメールの3か所に導線を置きます。
資料ページを1枚作って終わりにすると、ダウンロードはほぼ発生しません。次の3つの導線を用意します。
- 関連記事の本文中:テーマが一致する既存記事の、該当セクションの末尾に自然な文脈で置く。最も反応が取れる導線です
- 資料一覧ページ:資料が複数になった時点で作る。単体の資料ページより検索で拾われやすくなります
- メール配信:既存リストへの案内。新規獲得ではありませんが、休眠リードの反応を見る手段として機能します
フォームの入力項目は3〜5項目に絞ります。会社名・氏名・メールアドレスがあれば、その後の接触には足ります。役職や課題の選択肢を増やすほど離脱します。属性はダウンロード後のフォローで聞くほうが精度も上がります。
既存リストへの案内で開封が取れない場合は、資料の問題ではなくメール側の問題です。BtoBメールマーケの開封率を上げる7つの改善施策と休眠リードの掘り起こし方法を先に確認してください。
自社サイトのどこに導線を置くべきか整理したい場合は、現在の記事構成を前提にした設計をご相談いただけます。
資料ページの訪問数に対してダウンロードが少ないなら、フォームの項目を1つずつ減らし、通過率がどう変わるかを見ます。
設置場所を増やす前に、その記事へ読者が到達できているかを確認してください。記事への流入を作る内部リンクの設計で、どの記事から送るべきかの決め方を整理しています。
資料を置く前に、そのページの読者が資料を求める段階にいるかを確かめてください。比較検討の段階にいる読者が多いページなら、資料ではなく相談を差し出すほうが商談に近づくので、検討段階ごとのオファーを見直します。
作ったあとが本番|ダウンロードしたリードを商談に変える
ダウンロード直後の分岐設計がないまま営業に渡すと、確度の低い接触が積み上がって現場が疲弊します。
ダウンロード後の振り分けは、最も抜けやすく、商談数への影響が最も大きい工程です。ダウンロードした人を全員同じ扱いで営業に渡すと、「まだ検討段階ではない」という反応が続き、やがて営業がリードを見なくなります。温度で分けます。
判定の材料は、企業規模・役職・ダウンロードされた資料の種類の3つで足ります。顕在層向けの資料をICP合致企業の決裁層がダウンロードしていれば、それは強い信号です。逆に潜在層向けの入門ガイドを情報収集段階の担当者が取っただけであれば、その時点で営業が動く根拠にはなりません。
渡す基準を営業と事前に合意しておかないと、この分岐は運用されません。営業に渡す基準はMQLとSQLの定義として書き、マーケと営業の定例で合意します。Bに振り分けた人には、ステップメールで事例や比較資料を順に送り、反応した人をナーチャリングのシナリオに沿って営業に戻します。
振り分けを始めても商談化率が上がらないなら、ホワイトペーパー以外の原因も含めて商談化率を上げる施策から当てはまるものを選びます。
資料請求の受け皿を自社で用意するなら、HubSpotで資料請求のランディングページを作る手順で、フォームを先に作ってからページに置きます。
内製で回すか、外注するか
企画と構成は社内に残し、デザインと清書だけを外に出すのが現実的な分担です。
ホワイトペーパーの制作代行は多数ありますが、丸ごと任せると継続が難しくなります。企画のネタは商談と失注理由から取り出すものなので、社外の制作会社はその情報にアクセスできないためです。
| 工程 | 社内 | 外注 |
|---|---|---|
| 企画・テーマ決め | 必須 | 不可 |
| 構成の設計 | 必須 | 補助のみ |
| 本文の執筆 | 望ましい | 可能 |
| デザイン・清書 | 不要 | 任せてよい |
| フォロー設計 | 必須 | 不可 |
制作に慣れていない段階では、デザインを外に出すだけでも制作サイクルは大きく短縮します。まずチェックリスト型を社内で1本作り、型ができてから分担を検討するのが順序として無理がありません。
まとめ
ホワイトペーパーは、誰に向けた資料かとダウンロード後の接触を先に決めてから作ります。判断の基準は次のとおりです。
- つまずきは「ダウンロードが増えない」と「商談にならない」のどちらか。先に切り分ける
- 種類は対象層で決まる。すぐ追える営業体制があるなら顕在層向け、リストを育てる段階なら準顕在層向けから
- 最初の1本はチェックリスト・テンプレート型。制作が軽く、実務で使われるため接触の糸口になる
- 企画のネタは商談での質問・失注理由・反応の良い記事・社内フォーマットの4つから取り出す
- 課題解決型は10〜15ページ。自社の売り込みは最後の1ページに留める
- ダウンロード後は企業規模・役職・資料の種類で3つに分岐させる。全員を営業に渡さない
- 企画と構成とフォロー設計は社内に残す。外注できるのはデザインと清書
1本目から完璧な資料を目指す必要はありません。軽い型で1本出し、ダウンロード後の分岐を回してみることで、次に作るべき資料が見えてきます。
資料設計のご相談
何を作るかと、作ったあとの導線までまとめてご相談いただけます
「資料は作ったがダウンロードされない」「ダウンロードは取れるが商談にならない」という状態を、対象層の定義とフォロー設計から具体化します。まだ1本も作っていない段階でも問題ありません。
よくある質問
- ホワイトペーパーは何ページくらいが適切ですか。
- 課題解決型で10〜15ページが基準です。20ページを超えると最後まで読まれにくくなり(実務上の傾向)、制作の負荷も上がって継続できなくなります。チェックリスト型であれば3〜5ページでも成立します。ページ数より、継続して出せる分量に収めることを優先してください。
- 最初の1本は何を作るべきですか。
- チェックリスト・テンプレート型を推奨します。制作が軽く、実務で使われるため保存され、その後の接触で話の糸口になります。導入事例集は成果が読みやすい一方、掲載許諾の取得に時間がかかるため2本目以降が現実的です。
- ダウンロードフォームの入力項目はどこまで必要ですか。
- 会社名・氏名・メールアドレスの3項目があれば、その後の接触には足ります。役職や課題の選択肢を増やすほど離脱率が上がります。属性はダウンロード後のフォローで聞くほうが、回答の精度も上がります。
- ダウンロードされたリードはすぐ営業に渡すべきですか。
- 全員を渡すべきではありません。企業規模・役職・ダウンロードされた資料の種類で3つに分けます。ICPに合致し顕在層向けの資料を取った層は当日中に個別連絡、ICP合致でも潜在層向け資料であればステップメールで育ててから、ICP外はリストに残すだけにします。全員を渡すと確度の低い接触が積み上がり、営業がリードを見なくなります。
- ホワイトペーパーの制作は外注してもよいですか。
- デザインと清書は任せて構いません。ただし企画・構成・フォロー設計は社内に残してください。企画のネタは商談での質問や失注理由から取り出すもので、外部の制作会社はその情報にアクセスできません。ここを渡すと、当たり障りのない資料が量産されることになります。