BtoBのリスティング広告で「クリックは増えているのに商談につながらない」「予算が月の半ばで尽きる」といった悩みは、多くの場合、出稿キーワードの選定よりも除外キーワード(ネガティブキーワード)の設計不足が原因です。検索ニーズが多様なBtoB領域では、自社サービスを本気で探している層と同じ語句で、求職者・学生・個人ユーザー・情報収集だけの層・競合調査が大量に流入します。
求職者や学生、無料ツールを探す個人のクリックを放置すると、限られた広告予算が成約見込みのないクリックに使われます。
予算が月の半ばで尽きるのに商談が増えない広告アカウントでは、出稿キーワードを増やすかどうかより、求職者・学生・無料ツールを探す個人のクリックにどれだけ費用が流れているかが問題になります。ただし除外を広げすぎると発注を検討している人の検索まで止まるため、どこまで除外するかは、その語句から商談が生まれているかどうかで線を引きます。
目次
BtoBで除外キーワード設定が「最優先の守り」になる理由
BtoBではクリック単価が高く、求職者・無料ツール探し・学習目的など成約しない検索が商材の検索語句と重なりやすいため、除外キーワードを入れないと予算の多くが商談にならないクリックに使われます。出稿キーワードの調整より先に除外を設計する理由はそこにあります。
リスティング広告の費用対効果は、突き詰めると「成約につながらないクリックにいくら払ったか」で決まります。出稿キーワードをどれだけ磨いても、検索する人の意図まではキーワード単体では制御できません。たとえば「CRM 使い方」という語句には、導入を検討している決裁者もいれば、操作方法を無料で調べたい既存ユーザーや学習中の個人も含まれます。BtoBは1クリックあたりの単価(CPC)が高くなりやすく(実務上の目安で数百円〜数千円)、成約しないクリックが積み上がると、予算は消化されているのに商談が増えない状態になります。
BtoB特有の「漏れやすい無駄クリック源」は、おおむね次の5つに分類できます。自社の見込み客と検索語句が重なりやすいため、出稿時に何も対策しないと相当数が混入します。
- 求人・採用目的:「(サービス名)求人」「(業界)転職」など。採用関連の検索は商材検索と語幹が近く、混入しやすい代表格です。
- 無料・個人利用目的:「無料」「フリーソフト」「個人向け」など。法人導入の検討層ではなく、コストをかけない手段を探す層です。
- やり方・学習目的:「やり方」「とは」「自分で」など。情報収集段階で、外部発注の検討に至っていない層が多く含まれます。
- 個人・toC文脈:BtoB商材でも一般語と被ると、家庭用・個人事業の文脈で検索する層が流入します。
- 競合・他社調査:競合名や「比較」周辺。比較検討中の見込み客も含まれるため、すべて除外すべきとは限らず、判断が分かれる領域です。
除外キーワードは「節約」ではなく「予算の集中投下」の手段です。無駄クリックを削った分だけ、成約候補のクエリに入札を厚くできます。たとえば月予算30万円のアカウントで、運用担当が検索語句レポートを見て「求人」「年収」を含む語句に月4万円使っていたと分かれば、その4万円を「(商材名)料金」「(商材名)比較」の入札に回せます(数値は例)。なぜ成果が出ないのかを総合的に切り分けたい場合はリスティング広告で成果が出ない原因もあわせて確認してください。
除外する語句の線は、何を商談と数えるかと、リード1件にいくらまで払えるかが決まっていないと引けません。BtoBのリスティング広告で配信前に決めることを先にそろえてから、除外リストを作ります。
除外キーワードの3つのマッチタイプを正しく使い分ける
除外キーワードは、部分一致なら指定した語がすべて含まれる検索、フレーズ一致なら同じ語順の語句を含む検索、完全一致ならその語句だけの検索を止めます。出稿キーワードと違い、除外側は類似パターンや表記ゆれに広がらないため、明確なノイズ語は部分一致で広く、見込み客を巻き込む語は完全一致で狭く切ります。
除外キーワードでつまずく最大の原因は、「出稿キーワードのマッチタイプと同じ感覚で設定してしまう」ことです。除外側のマッチタイプには、出稿側にはない独特の挙動があります。誤解したまま広い除外を設定すると、出したい検索まで止めてしまいます。
Google広告の除外キーワードの挙動は次のとおりです(Google広告ヘルプ「除外キーワードについて」の記載に基づく)。仕様は変わることがあるため、設定前にヘルプで最新の記載を確認してください。
| マッチタイプ | 表記例 | 広告が表示されなくなる検索 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|
| 部分一致(除外) | 無料 | その語をすべて含む検索(語順は問わない) | 除外側の部分一致は、出稿側のような類義語・関連語への拡張はされず、単数形・複数形などの類似パターンにも一致しません。指定した語がすべて含まれる場合のみ除外され、一部の語だけを含む検索には広告が表示されることがあります。 |
| フレーズ一致(除外) | “無料 ツール” | その語順のフレーズを含む検索 | 語順を保った組み合わせを除外。前後に別の語が付いた検索も止まります。複数語の組み合わせを狙って切るときに使います。 |
| 完全一致(除外) | [無料] | その語句と完全に一致する検索のみ | 誤爆が最も少ない一方、表記ゆれや前後に語が付くクエリは除外されません。 |
実務上の使い分けの原則はシンプルです。「絶対に出したくない明確なノイズ語」は部分一致で広く、「除外しすぎると本来の見込み客も巻き込む語」は完全一致で狭く切ります。たとえば「採用」は、採用管理システムのように採用そのものが商材でない限り、部分一致で広く除外しても問題が起きにくい一方、「料金」のような語は「(自社サービス)料金」という有望なクエリも含むため、安易に部分一致で除外すると機会損失になります。
もう一つ失敗しやすいのは、スペースなしでつながった日本語の検索です。「無料」を部分一致で除外したとき、「無料相談」のような語句が止まるかどうかは、検索語句の区切られ方によって変わります。「無料相談」からの問い合わせを残したい場合は、「無料」を部分一致で除外する前に検索語句レポートで「無料」を含む語句を一覧にし、止めたい語句だけを完全一致かフレーズ一致で個別に除外してください。また除外キーワードは類似パターンに一致しないため、「無料」と「フリー」のような言い換えはそれぞれ登録が必要です。マッチタイプの粒度は、出稿側のキーワード選定と合わせて決めると、出稿語と除外語が矛盾しません。
BtoB向け除外キーワードリストの作り方(4ステップ)
BtoB向けの除外リストは、配信前の仮説リスト作成、検索語句レポートからの追加、共有リスト化、商談データとの突合の4ステップで作ります。配信が続く間は、2〜4つ目のステップを繰り返します。
除外キーワードは「一度設定して終わり」ではなく、検索語句の実データを見ながら継続的に更新する運用業務です。次の4ステップを回すことで、無駄クリックを段階的に削り込めます。
ステップ1:ローンチ前に「事前除外リスト」を仮説で用意する
出稿開始直後から無駄クリックが発生するため、配信前に明らかなノイズ語を除外しておきます。前章の5カテゴリ(採用・無料・学習・toC・競合)をベースに、自社商材で確実に不要な語を登録します。語数は実務上の目安として30〜100語で、配信前に網羅する必要はありません。配信初日から採用・無料目的のクリックに予算が流れるのを止められれば十分です。
ステップ2:検索語句レポートから継続的に除外する
配信が始まったら、Google広告の検索語句レポートを定期的に確認します。検索語句レポートには、広告が表示・クリックされた実際の検索語句が一覧で出ます。たとえば運用担当が毎週月曜に過去7日分を費用の多い順に並べ、クリックは発生しているのにコンバージョンにつながっていない語句、明らかに意図がずれている語句を拾い、マッチタイプを決めて除外します。確認の頻度は、実務上の目安として立ち上げ初期は週1回、安定後は月1〜2回です。
ステップ3:除外リストを共有し、アカウント横断で運用する
Google広告では複数のキャンペーンに適用できる「除外キーワードリスト」を作成できます。Google広告ヘルプによると、1つのリストに最大5,000語、1アカウントで最大20リストまで作れます。採用系・無料系などどの商材でも不要なノイズ語は共有リストにしておくと、新規キャンペーンを立ち上げるたびに同じ作業を繰り返さずに済みます。検索・ショッピングの対象キャンペーンすべてに自動で適用される「アカウント単位の除外キーワード」(最大1,000語)もありますが、適用範囲が広いぶん、自社名や商材名を含む語を入れないよう注意してください。一方、キャンペーン固有の除外(特定LPに合わない語など)は個別設定にして、共有リストと個別リストを役割で分けるのが管理しやすい構成です。
ステップ4:商談データと突合して「成果ベース」で除外を判断する
最終的に削るべきは「コンバージョンしない語」ではなく「商談・受注につながらない語」です。BtoBはフォーム送信から受注までのリードタイムが長く、フォームCV数だけで判断すると、見かけ上CVしていても商談化しない語句を見逃します。商談・受注の実績を広告データに戻すことで、はじめて「質の悪い流入源」を特定できます。HubSpotなどのCRMで商談・受注を管理しているなら、その結果をオフラインコンバージョンとしてGoogle広告にアップロードし、HubSpotとGoogle広告を連携させて語句ごとの商談数を見られる状態にします。
除外の4ステップを毎週回すには、工数と判断基準が必要です。社内に運用担当が不足している場合の体制論は広告運用の内製と外注の使い分けを参考にしつつ、運用設計から見直したい場合は、除外の判断基準と確認の担当を決めるところからご相談いただけます。
BtoBでまず登録すべき除外キーワードのカテゴリ一覧
BtoBで最初に登録するのは、採用・転職系と無料・低コスト系の語です。学習・情報収集系と個人向けの語は商材と商談化データを見て判断し、評判・口コミ系は一律には除外しません。
除外する語は商材ごとに変わりますが、BtoB全般で無駄クリックの出どころになりやすいカテゴリは共通しています。すべてを部分一致で切る必要はなく、除外しすぎによる取りこぼし(次のセクション)を踏まえてマッチタイプを選びます。
- 採用・転職系(優先度:高):「求人」「採用」「転職」「年収」「面接」「中途」など。商材検索との混入が多く、部分一致で広めに切っても弊害が少ない代表カテゴリです。ただし採用管理システムや採用支援サービスなど、採用そのものが商材の場合は除外しません。
- 無料・低コスト系(優先度:高):「無料」「フリー」「タダ」「格安」など。ただし「無料相談」「無料デモ」など、自社が獲得したい語と重なる場合は完全一致での個別除外に切り替えます。
- 学習・情報収集系(優先度:中):「とは」「やり方」「方法」「自分で」「独学」など。発注検討に至っていない層が中心ですが、認知目的で意図的に拾う戦略もあるため、商談化データを見て判断します。
- 個人・toC文脈系(優先度:中):「個人」「家庭用」「自宅」など。法人向け商材の名称が一般語と重なるときに登録します。
- 事例・口コミの一部(優先度:低〜要判断):「評判」「口コミ」「2ch」など。比較検討層が含まれる場合もあるため、一律除外は避けます。
除外語のリストアップ時は、「この語で来た人に、自社は何を売れるか」を一語ずつ問い直すのが確実です。売るものがないなら除外、売れる可能性が少しでもあるなら残してデータで判断、という基準で迷いが減ります。
よくある失敗:除外のやりすぎが機会損失を生む
除外のやりすぎで起きる失敗は、広すぎる部分一致で有望な検索を止める、共有リスト経由で指名検索を止める、表記ゆれを考慮せずに取りこぼす、の3つです。除外を追加するたびに、止まる検索の中に見込み客がいないかを確認すれば防げます。
除外キーワードは効果が見えやすいため、慣れてくると「とにかく削る」方向に偏りがちです。しかし行き過ぎた除外は、無駄クリック削減以上に大きな機会損失を生みます。代表的な失敗は次の3つです。
- 広すぎる部分一致で有望クエリを巻き込む:「料金」を部分一致で除外した結果、「(自社サービス)料金」という最も成約に近いクエリまで止めてしまうケース。コスト系の語は完全一致での限定除外が原則です。
- 自社ブランド・指名語を誤って除外する:共有除外リストを別キャンペーンに流用した際、自社名を含む語が除外対象に入っていて指名検索が止まる事故。共有リストの内容は適用前に必ず点検します。
- 完全一致のつもりが取りこぼしを誘発する:除外キーワードは類似パターンに一致しないため、表記ゆれ(カタカナ・英字、言い換え)を考慮せず完全一致で除外すると、ノイズ語のバリエーションを取りこぼすケース。逆に、残したい語の表記ゆれまで部分一致で巻き込む逆パターンもあります。
回避策はシンプルで、除外を追加するたびに「この除外で止まる検索の中に、見込み客はいないか」を一度確認することです。判断に迷う語は、いきなり除外せず2〜4週間(実務上の目安)データを取り、CRM上でその語句から来たリードが商談になったかを見て決めます。除外が成果に与える影響を測るには、広告のKPI設計そのものを整えておく必要があります。除外を増やし始める前に、広告のKPIを商談数と商談単価で置いておくと、除外の前後を同じ物差しで比べられます。除外を整えても商談が増えないなら、クリックの先のリスティング広告の商談化で落ちている箇所を確かめます。
除外をどこまで広げるかは、失っている商談と消えている無駄クリックの両方を見ないと判断できません。現在の検索語句レポートを前提に、除外の範囲をご相談いただけます。
まとめ
BtoBのリスティング広告の除外キーワードは、コスト削減ではなく、成約候補の検索に予算を集中させるために設定します。明確なノイズ語は部分一致で広く、見込み客を巻き込む語は完全一致で狭く切り、除外を足すたびに止まる検索を確認してください。
次にやることは、過去30日分の検索語句レポートを費用の多い順に並べ、上位50語を「採用・無料・学習・個人・競合・自社の見込み客」に分けることです。見込み客以外に使っていた費用の合計が、除外で入札に回せる予算の上限になります。
無料相談受付中
検索語句レポートから、止める語と残す語の線を引きます
直近の検索語句レポートと、CRMに残っている語句ごとの商談の記録を見せていただき、除外する語とマッチタイプ、判断を保留する語を分けたリストをお返しします。Ampelは外部CMOとして、BtoBマーケティングの戦略から施策の実行まで支援しています。
よくある質問(FAQ)
- 除外キーワードは最初に何語くらい登録すればよいですか?
- 配信前は、採用・無料・学習などの明確なノイズ語を30〜100語程度登録すれば十分です。配信前に網羅しようとするより、配信後に検索語句レポートを見て毎週追加するほうが、実際に費用が出ている語句から順に止められます。
- 検索語句レポートはどのくらいの頻度で確認すべきですか?
- 立ち上げ初期は週1回、配信が安定してからは月1〜2回が目安です。クリックは発生しているのにコンバージョンや商談につながらない語句を中心に確認します。
- 競合名は除外すべきですか?
- 一律に除外すべきとは限りません。競合名で検索する層には比較検討中の有望な見込み客も含まれるため、自社の戦略(比較訴求のLPがあるか等)と商談化データを見て判断します。
- 除外キーワードのマッチタイプは何を選べばよいですか?
- 絶対に出したくない明確なノイズ語は部分一致で広く、除外しすぎると本来の見込み客も巻き込む語(料金・相談など)は完全一致で狭く設定します。除外キーワードは類似パターンに一致しないため、言い換えや表記ゆれは個別に登録してください。
- 除外をしているのに無駄クリックが減りません。なぜですか?
- 除外語の表記ゆれを取りこぼしている、マッチタイプが狭すぎる、あるいはフォームCVは出ていても商談化しない流入を見逃している可能性があります。商談・受注データを広告に戻して、成果ベースで質の悪い流入源を特定することをおすすめします。