リードナーチャリングの失敗事例と原因|商談が増えない理由を5か所で切り分ける

リードナーチャリングが失敗する7つの原因と改善策【BtoB担当者向け】

MAを入れてシナリオも組み、毎月メールは届いている。それでも営業からは「ナーチャリング経由の商談がほとんどない」と言われ、月次報告では開封率とクリック率を並べるしかない。リードナーチャリングがうまくいかない会社の多くは、こうした状態で半年から1年を過ごしています。

ナーチャリングの失敗は、メールの出来より手前で起きています。リードを獲得してから商談になるまでの流れのうち、入口・基準・配信・引き渡し・振り返りの5か所のどこかで止まっており、止まっている場所によって直す順番が変わります。症状だけを見て件名や配信頻度をいじっても、商談は増えません。

ナーチャリングを回しているのに商談が出ていない場合、手を入れる場所は、対象のリード数・MQL数・商談数・受注数を並べたときにどこで件数が落ちているかで見えてきます。立て直しを判断する責任者にとっては、その落ち方が、仕組みを直して続けるか、ナーチャリングをやめて営業の個別フォローに切り替えるかの材料になります。

リードナーチャリングの失敗はどこで起きているか

リードナーチャリングの失敗とは、配信は続いているのに、ナーチャリング経由の商談が増えていない状態です。原因はリードが商談になるまでの流れの5か所に分かれ、どこで止まっているかを先に特定します。

リードナーチャリングとは、獲得したリードに検討が進むまで接点を持ち続け、営業が商談にできる状態で渡すための活動のことです。メールはその手段の1つにすぎず、流れは「育てる対象を決める」「営業に渡す条件を決める」「状態に合わせて送る」「渡したあとに営業が動く」「商談になったかを数えて見直す」の5段階でできています。

失敗の相談を受けたとき、最初に確認するのは配信の数字ではありません。マーケ担当者に「先月、ナーチャリングから営業に渡したリードは何件で、そのうち何件が商談になりましたか」と聞きます。この問いに数字で答えられない場合、止まっている場所は配信ではなく、基準か振り返りのどちらかです。

入口 育てる対象のリード 失敗:数が少ない・対象外が多い 見る数字:月の新規リード数と属性 基準 営業に渡す条件 失敗:MQLの定義が決まっていない 見る数字:MQLからの商談化率 配信 送る内容と時期 失敗:全員に同じメールを送る 見る数字:配信停止率と反応の偏り 引き渡し 渡したあとの営業対応 失敗:誰がいつ連絡するか未定 見る数字:初回接触までの時間 振り返り 成果の測り方と見直し 失敗:開封率だけで評価している 見る数字:ナーチャリング経由の商談数
図1:リードナーチャリングで失敗が起きる5か所と、それぞれで見る数字

5か所は上から順に影響します。入口のリードが足りなければ、基準をどれだけ整えても渡す件数は増えません。基準が決まっていなければ、配信を細かく分けても「何を目指して送っているのか」が決まらないままです。

育てるリードが足りない:入口で止まっている失敗事例

月の新規リードが少ない、または自社の顧客にならない属性が大半を占めている場合、ナーチャリングの設計を直しても商談は増えません。先にリードの数と属性を確認します。

よくある場面は次のようなものです。展示会で集めた名刺と過去の資料ダウンロードをすべてMAに登録し、全件にメルマガを送り始めた。半年後にリストを見直すと、競合他社の社員、学生、代理店、すでに取引のある顧客が混ざっており、実際に導入を検討しうる会社はリストの一部だけだった。配信数は多いのに商談が出ないのは、育てる対象がそもそも少なかったからです。

入口で止まっているかどうかは、2つの数字で判断できます。1つは月の新規リード数、もう1つはそのうち自社のICP(理想顧客像)に当てはまる会社の割合です。営業が1人で全件に電話できる程度の件数しかない場合は、ナーチャリングの仕組みを作るより、営業が個別にフォローするほうが早く商談になります。ICPに当てはまる割合が低いなら、BtoBのICP設定方法に沿って、対象にする会社の条件を営業とそろえるところから始めます。

リストの中身が荒れている場合は、配信の前に対象外の属性を除外します。競合・学生・既存顧客・退職者を配信対象から外すだけで、開封率やクリック率の数字は実態に近づきます。リードの数そのものが足りない場合は、ナーチャリングではなく獲得施策の見直しが先で、BtoBリード獲得施策一覧から自社の商材に合う経路を選び直します。

営業に渡す基準がない:MQLの定義で止まっている失敗事例

どの状態になったら営業に渡すかが決まっていないと、ナーチャリングは「送り続けること」が目的になります。MQLの定義とスコアの基準を、受注したリードの実績から決め直します。

典型的な場面です。MA導入時に「スコアが50点を超えたらMQL」という設定を入れたが、点数の根拠は誰も説明できない。メールを数回開いただけの担当者がMQLとして営業に通知され、電話をかけると「資料は見たが検討はしていない」と返される。これが何度か続くと、営業はMQLの通知を開かなくなります。

スコアの基準が形だけになっている会社には共通点があります。導入時に一度設定したきり見直していない、メールの開封に高い点数を付けている、競合や学生を減点する設定がない、ICPが変わったのに配点が昔のまま、のいずれかです。MQLからの商談化率が低いまま下がり続けている場合、止まっているのはこの基準です。

直し方は、直近で受注したリードを10〜20件(実務上の目安)さかのぼり、受注前にどの属性で、どのページを見て、どの行動をしていたかを営業と一緒に確認することです。共通していた条件をMQLの定義に書き、スコアの配点をその条件に合わせます。条件はMQL・SQLの定義と設計方法の形式で書き、HubSpotならHubSpotリードスコアリング設定方法の手順で配点に反映します。

MQLの定義は、マーケが「育った」と判断する条件ではなく、営業が「この状態なら電話する」と合意した条件で書きます。営業が合意していない定義は、どれだけ精度を上げても通知を開いてもらえません。

全員に同じメールを送っている:配信で止まっている失敗事例

リードの獲得経路や検討段階に関係なく同じ内容を同じ間隔で送ると、配信停止が増え、反応するリードが一部に偏ります。最初は分け方を3つ程度に絞り、送る内容と間隔をそれぞれに合わせます。

よくある場面は、ウェビナー参加者、展示会の名刺、資料ダウンロードのリードをすべて1つのリストにまとめ、週1回のメルマガを送っているケースです。課題を調べ始めたばかりのリードに導入事例と料金案内が届き、比較検討まで進んだリードには入門記事が届く。担当者はネタ切れを心配しながら毎週の配信を回していますが、どの内容が誰の検討を進めたのかは誰にも分かりません。

配信で止まっているかどうかは、配信停止率の推移と、クリックしているリードの顔ぶれで判断します。配信停止が毎回同じ獲得経路のリードから出ている場合や、クリックするのがいつも同じ数十人だけの場合は、分け方が粗すぎます。

分け方を増やしすぎると、今度は送る内容を用意できずに運用が止まります。最初に作る分け方は3つ程度にとどめ、送る間隔は「週1回」のような固定ではなく、料金ページを見た、資料をダウンロードした、といった行動をきっかけに変えます。3つの分け方はメール配信のセグメント分け方を見ながら決め、配信停止が増え始めたらBtoBメールの配信頻度を見直します。行動による分岐が増えてきたら、BtoBリードナーチャリングのシナリオ設計に沿って全体を組み直します。

開封率が急に下がった場合は、内容の前に受信箱に届いているかを確認してください。迷惑メールに振り分けられていると、どれだけ分け方を見直しても数字は戻りません。数字が戻らないときは、BtoBメールが届かない原因と到達率の確かめ方の順に、届いていない原因を1つずつ消していきます。

渡したあと誰も動かない:営業への引き渡しで止まっている失敗事例

MQLを営業に渡しても、誰がいつまでに連絡するかが決まっていなければ、リードは通知の中で止まります。初回接触までの期限と、商談にならなかったリードの戻し方を営業と取り決めます。

場面はこうです。MQLになったリードの通知が営業全員のメールに届くが、担当者は決まっていない。営業は自分で見つけた案件を優先し、MQLへの連絡は数日から数週間後になる。電話がつながったときには、相手はすでに他社と話を進めていた。マーケ側は「MQLは渡している」と報告し、営業側は「質が低い」と報告し、どちらも数字で反論できません。

引き渡しで止まっているかは、MQLになってから営業が最初に接触するまでの時間と、接触されないまま残っているMQLの件数で分かります。CRM上でMQLごとの担当者と最初の活動日が記録されていない場合、この2つの数字は出せません。その場合は、記録する項目を決めるところから始めます。

取り決める項目は、MQLの担当者を誰がどう割り当てるか、初回接触の期限、商談にならなかったときに理由を選んでマーケに戻すルールの3つです。初回接触の期限はBtoBの問い合わせ対応スピードを目安に決め、差し戻しの理由と戻し先はリードリサイクルの設計に沿って選択肢にします。3つを決める場がなければ、マーケ・セールス連携の仕組み作りとして合同の定例を先に作ります。

引き渡しのルールを決めないままスコアの精度だけを上げると、質の高いMQLほど放置されたときの機会損失が大きくなります。基準を直すときは、引き渡しの期限も同じ打ち合わせで決めてください。

自社の営業体制でどこまでの期限が現実的か判断がつかない場合は、営業の人数とリード数を前提に引き渡しの設計をご相談いただけます。

開封率しか見ていない:振り返りで止まっている失敗事例

開封率やクリック率だけで評価していると、ナーチャリングが商談を生んだかどうかが分からず、何を直すべきかも決められません。ナーチャリング経由の商談数を数えられる状態を先に作ります。

場面は、半年ほど運用したあとの経営会議です。マーケ担当者が開封率とクリック率の推移を報告すると、経営者から「それで商談はいくつ増えたのか」と聞かれ、答えられない。MAとCRMがつながっておらず、ナーチャリングの対象だったリードが商談になったかどうかを突き合わせる手段がない。予算の継続が決まらないまま、次の四半期も同じ報告が続きます。

振り返りで止まる原因は、仕組みと体制の2つです。仕組みの面では、MAの配信データとCRMの商談データが別々に管理されていて、リード単位でつながっていない。体制の面では、ナーチャリングを兼務で担当しており、配信作業で手一杯になって数字を見直す時間がない。後者は、急ぎの仕事に押されやすいナーチャリングで特に起きやすい失敗です。

最低限そろえる数字は、ナーチャリング対象のリード数、そこから出たMQL数、MQLから商談になった数、商談から受注した数の4つです。この4つを月に1回並べるだけで、5か所のどこで件数が落ちているかが見えます。4つの数字は数える時点がずれると比べられないため、BtoBマーケの効果測定の考え方で時点をそろえ、HubSpotならHubSpotレポート設計の手順で1枚のレポートにします。

症状から原因を切り分ける

目に見える症状が同じでも、止まっている場所は1つとは限りません。症状ごとに最初に疑う場所と、確認に使うデータを決めておくと、直す場所を間違えずに済みます。

マーケ担当者が月次の数字を見て「商談が増えていない」と気づいたとき、次の表の左の列から当てはまる症状を探し、右の列のデータを先に確認します。複数の症状が当てはまる場合は、表の上にある場所ほど先に確認します。

目に見える症状先に疑う場所最初に確認するデータ
配信しても反応するリードが毎月ほぼ同じ人入口リスト内のICPに当てはまる会社の割合
営業から「このリードは何のために来たのか」と言われる基準MQLの定義文と、直近のMQLからの商談化率
MQLは出ているのに商談化率が下がり続けている基準スコアの配点と、最後に見直した日付
配信停止が特定の獲得経路のリードに偏っている配信獲得経路別の配信停止率
開封率が急に下がった配信(到達)送信ドメインの認証状況と迷惑メール判定
MQLになったリードへの連絡が数日以上後になる引き渡しMQLから初回接触までの日数
営業とマーケでリードの質の評価が食い違う引き渡し商談にならなかったMQLの理由の記録
経営からナーチャリングの成果を聞かれて答えられない振り返りナーチャリング対象のリードと商談の突き合わせ

リードの質をめぐって営業とマーケの意見が割れているときは、どちらの感覚が正しいかを議論しても決着しません。先にリードの質の評価指標を1つ決め、翌月からはその数字で話します。

直す順番と、ナーチャリングをやめる判断

直す順番は、商談を数える仕組み、営業に渡す基準、引き渡しのルール、配信の分け方の順です。リードが少ない、検討期間が短いといった条件では、ナーチャリングを縮小して別の手段に切り替えます。

5か所を同時に直そうとすると、兼務の担当者では手が回らず、どれも途中で止まります。立て直しを任された担当者が最初の3か月で進める順番は次のとおりです。

  1. ナーチャリング対象のリード、MQL、商談、受注の4つを月に1回並べられるようにする。どこで件数が落ちているかを確認するためです。
  2. 受注したリードの実績をもとに、営業と一緒にMQLの定義とスコアの配点を決め直す。
  3. MQLの担当者の割り当て、初回接触の期限、商談にならなかったときの戻し方を営業と取り決める。
  4. ここまで整ってから、配信の分け方と送る内容を見直す。

配信の見直しを最後に置くのは、基準と引き渡しが決まっていない状態で配信を改善しても、反応したリードが商談にならないからです。件名や頻度の改善は手を付けやすい作業ですが、商談が増えない会社ほど先にそこへ時間を使っています。

ナーチャリングそのものを縮小したほうがよい条件もあります。問い合わせから数週間で導入が決まる商材では、育てる期間がほとんどないため、ナーチャリングより問い合わせ直後の対応速度を上げるほうが商談は増えます。営業が全件に個別連絡できる程度のリード数なら、仕組みを作るより営業のフォローに任せます。送る内容を継続して用意できる担当者がいない場合は、シナリオを組まずに月1回の情報提供だけに絞ります。

逆に、検討期間が1年を超える商材では、ナーチャリングをやめるのではなく、行動スコアではなく予算期や契約更新時期を起点に接点を設計し直します。予算期を起点にした接点は検討期間が長いBtoBのナーチャリングに沿って組み、長く反応のないリードは休眠リードの掘り起こしとして別の配信に分けます。

運用を回す人手が足りないことが原因の場合は、社内で持つ作業と外部に任せる作業を分けます。外に出す作業は、HubSpot運用で社内リソースが足りないときの目安と照らし、月に何時間足りないかを数えてから決めます。

MAを入れたのにナーチャリングが止まっているなら、配信を足す前にシナリオと使っている機能を棚卸しします。活用できていないMAを立て直す順番に沿うと、目的の絞り直しから営業との引き渡しの合意まで順に進められます。

まとめ

ナーチャリングで商談が増えないとき、最初に直すべきは配信ではなく、商談を数える仕組みと営業に渡す基準です。この2つが決まるまでは、件名や頻度をいくら改善しても、成果を確かめることができません。

次にやることは、先月ナーチャリングから営業に渡したリードの件数と、そのうち商談になった件数を出してみることです。数字が出なければ振り返りから、数字は出るが商談化率が低ければ基準から、渡した件数自体が少なければ入口から着手してください。

どこで止まっているかの切り分けや、営業と合意する基準づくりを外部の目で進めたい場合は、現在の数字をもとに立て直しの順番をご相談ください。

ナーチャリング立て直しのご相談

商談が増えない原因がどこにあるか、一緒に切り分けます

Ampelは、BtoB企業のナーチャリング設計とHubSpotの導入・運用を支援しています。月のリード数、MQLの定義、営業への引き渡し方をお聞きし、5か所のどこで止まっているか、何から直すかを具体的にお伝えします。

よくある質問(FAQ)

リードナーチャリングが失敗しているかどうかは、何を見て判断しますか?
ナーチャリング対象のリードから出た商談数で判断します。開封率やクリック率が上がっていても、MQLから商談になった件数が増えていなければ、ナーチャリングは成果を出していません。商談数が出せない場合は、MAとCRMのデータがつながっていないこと自体が最初の課題です。
リードナーチャリングの成果が出るまで、どのくらい待てばよいですか?
自社の商材の平均的な検討期間を1周分は見てから判断します。検討に半年かかる商材で、立て直しから1〜2か月で受注の増減を判断するのは早すぎます。その間は、MQL数と初回接触までの日数のように、先に動く数字で途中経過を確認します。
MAツールを入れ替えれば、ナーチャリングの失敗は解消しますか?
多くの場合は解消しません。失敗の原因が営業に渡す基準や引き渡しのルールにある場合、ツールを替えても同じ場所で止まります。ツールの入れ替えを検討するのは、商談データとの連携やスコアの設定など、必要な機能が今のツールでは実装できないと確認できたときだけです。
配信停止が増えている場合、配信をやめるべきですか?
やめる前に、配信停止がどの獲得経路のリードから出ているかを確認します。特定の経路に偏っている場合は、その経路のリードに合わない内容を送っているので、分け方と内容を見直せば止まります。全体で増えている場合は、配信頻度を下げたうえで、反応のない期間が長いリードを配信対象から外します。
一人でマーケを担当していても、ナーチャリングは立て直せますか?
立て直せますが、5か所を同時に直そうとしないことが条件です。最初の1か月は商談を数える仕組みづくりだけに使い、次に営業と基準を決め直すところまで進めれば、配信の見直しは後回しでも商談の数は変わり始めます。

BtoBマーケティングの戦略設計から施策実行、運用定着までを一気通貫で支援します。