BtoBメルマガの開封率を上げる方法|件名・差出人・送信時間の直し方と数字の読み方

BtoBメールマーケの開封率を上げる7つの改善施策と検証方法

メルマガの開封率が先月より下がった、件名を変えても数字が動かない、上司から「業界平均はどのくらいなのか」と聞かれて答えに詰まる。BtoBのメール担当者が開封率で困る場面は、たいていこの3つのどれかです。

開封率は、受信者が本当に読んだ割合ではありません。Appleのメールアプリには、受信した時点でメール内の画像を先に読み込む仕組みがあり、本人が開いていなくても開封として記録されます。開封率を上げる作業は、受信箱に表示される差出人・件名・プレビューテキストと、送る時刻と、送る相手のリストを直すことで、その成果はクリックと商談で確かめます。

開封率の低下に気づいた担当者が陥りやすいのは、原因を件名に決めてかかることです。メールが届いていないのか、届いたうえで開かれていないのかを到達率とクリック率で見分けると、直す場所が受信箱に表示される3行の側か、リストの側かに絞れます。

開封率は「開封として記録された数」で、実際に読んだ数より多くも少なくもなる

開封率とは、届いたメールのうち開封が記録された割合のことです。記録の仕組み上、読んでいない人が数に入り、読んだ人が数から漏れるため、単独の数字として信じすぎないでください。

計算式と、開封が記録される条件

開封率は「開封数÷配信成功数×100」で計算します。分母は送った数ではなく、エラーで戻らずに届いた数です。同じ人が3回開いても1件と数える「ユニーク開封」で出すツールが多く、管理画面の開封率も通常はユニーク開封の割合です。

開封は、メールに埋め込まれた小さな画像が読み込まれたときに記録されます。HubSpotのナレッジベースは、画像が読み込まれたとき、または受信者がメール内のリンクをクリックしたときに開封を数えると説明しています。画像を表示しない設定のメールソフトで本文だけ読んだ人は、リンクをクリックしない限り開封に入りません。

Appleのメールプライバシー保護で、開封が実際より多く記録される

Appleのメールアプリには「メールプライバシー保護(Mail Privacy Protection、MPP)」という機能があります。Appleのサポートページによると、この機能を有効にした受信者は送信者からIPアドレスが隠され、メール内の画像などは、受信者がメールを表示したときではなく、受信したときにバックグラウンドで読み込まれます。開封を記録する画像も受信時に読み込まれるため、受信者が一度も開いていないメールが開封として記録されます。

影響の大きさは、リストのうちAppleのメールアプリで受信している人の割合で決まります。iPhoneの標準メールアプリで会社のメールを読む人が多い業種ほど、開封率は実際より高く出ます。同じ理由で、MPPが有効な受信者の開封時刻は読んだ時刻ではなく届いた時刻に近くなります。

開封が記録される3つの経路 経路1 本人が本文を表示する 受信者がメールを開く ↓ 本文の画像が読み込まれる 開封として記録(読んだ) 経路2 メールプライバシー保護 Appleのメールアプリが受信する ↓ 受信した時点で画像を先に取得 開封として記録(読んだかは不明) 経路3 画像を表示しない設定 受信者が本文を読む ↓ 画像は読み込まれない 記録されない(クリックで記録) 開封率は「読んだ人の割合」ではない
図1:開封が記録される3つの経路。経路2は開封を多く、経路3は少なく記録します。

ツールの集計設定で、同じ配信の開封率が変わる

配信ツールによっては、機械的な開封を集計から外す設定があります。HubSpotのナレッジベースは、マーケティングEメールの分析でボットによる操作を除外する機能を既定で有効にしており、AppleのMPPのようなプライバシー保護の仕組みも除外の対象に含むと説明しています。この設定を切り替えると、同じ配信でも表示される開封率が変わります。

ツールを乗り換えた月や、集計の設定を変えた月の前後で開封率を比べると、施策と関係のない変化を成果と読み違えます。月次の報告で開封率を出すときは、どのツールのどの設定で数えた数字かを表の注記に書いておいてください。

BtoBメルマガの開封率の平均は、自社の数字の比較相手にならない

業界平均と比べるより、自社の同じ種類のメールの過去の数字を基準にしてください。開封の数え方もリストの作り方も会社ごとに違い、平均値との差から原因を特定できないためです。

「BtoBメルマガの開封率の平均」を調べると、配信ツールの提供会社が公開している業種別の数字が見つかります。ただし、公開されている平均値は、集計した会社の顧客の配信を元にしていて、MPPによる開封を除外しているかどうか、ユニーク開封かどうか、どんなリストに送った配信か、が数字ごとに異なります。自社の開封率と並べても、差がリストの違いなのか、集計方法の違いなのか、件名の違いなのかを切り分けられません。

上司に「うちの開封率は高いのか低いのか」と聞かれたときに答えられる形は、次の比較です。

比べる相手比べてよい条件読み取れること
自社の同じ種類のメールの過去の配信同じツール・同じ集計設定で、直近の数回分がそろっている今回の件名や送信時刻が、いつもより開かれたかどうか
自社の別の種類のメールメルマガ、セミナー案内、個別フォローなど種類を分けて比べるどの種類のメールが開かれにくいか
自社の別のリストリストの獲得経路(展示会・資料請求・問い合わせ)ごとに分けて出すどの経路のリストが反応しなくなっているか
公開されている業界平均集計方法とMPPの扱いが自社と同じと確認できた場合のみ大きくかけ離れていないかの目安にとどまる

基準の作り方は単純です。メルマガなら直近6回分の開封率を並べ、真ん中の値を基準にします。今回の配信が基準より大きく下がったら原因を探し、上がったらクリックも上がっているかを確かめます。平均値ではなく真ん中の値(中央値)を使うのは、年末や大型連休をはさんだ1回の極端な値に引っぱられないためです。

開封率が急に下がったら、件名を直す前に届いているかを確かめる

開封率の分母は「届いた数」です。迷惑メールフォルダに入っている場合は件名を変えても数字は戻らないので、先に配信エラーと迷惑メール報告の件数を確認します。

ある月曜の配信で、いつも同じ程度だった開封率が半分近くまで下がったとします。件名がいつもと大きく変わっていないなら、疑うのは受信側です。配信エラー(バウンス)の件数、迷惑メールとして報告された件数、特定の受信ドメイン宛てだけ開封もクリックもゼロになっていないか、の3つを配信結果の画面で確認します。

3つとも普段どおりで開封率だけが下がっているなら、受信箱での見え方か、送った時刻か、リストの中身に原因があります。到達率のほうが下がっている場合は、件名に手を付ける前に送信ドメイン認証と到達率を確かめます。

受信箱で開くかどうかは、差出人・件名・プレビューテキストの3行で決まる

受信者が受信箱で見るのは、差出人名、件名、件名の後ろに続くプレビューテキストの3つだけです。開封率を上げるために直すのは、この3行です。

差出人名は、受信者が名前を知っている人にする

差出人名は、受信者が「誰からのメールか」を判断する最初の情報です。展示会で名刺交換した相手や、商談をしたことのある相手には、会社名だけより「山田(株式会社〇〇)」のように担当者の名前を入れたほうが、知っている人からの連絡として開かれます。

ただし、担当者名が向かない場合もあります。資料請求だけで接点がなく、受信者がその担当者を知らないリストでは、個人名は見覚えのない人からのメールに見えます。この場合は「〇〇株式会社 マーケティング部」のように会社名を前に出します。差出人名は毎回変えず、同じ種類のメールでは同じ表記を続けてください。受信者が名前を覚えるまで、表記を固定しておく必要があります。

件名は、読むと何がわかるかを先頭に書く

スマートフォンの受信箱では、長い件名は後半が切れて表示されます。何についてのメールかが件名の後半にあると、受信者は中身を判断できません。受信者が開くかどうかを決める語を、件名の先頭に置きます。

BtoBのメルマガで多いのは、「〇〇通信 第24号」「9月のお知らせ」のように、号数や月だけの件名です。社内では定番の名前でも、受信者にとっては中身がわかりません。次の例のように、その号で一番読んでほしい記事の中身を件名にします。

直す前(例)直した後(例)変えたこと
〇〇通信 Vol.24展示会の名刺を3か月で商談にした手順|〇〇通信号数を後ろに回し、中身を先頭にした
【必見】今すぐ見直すべきリード管理営業に渡したリードが放置される原因と、渡す前の確認項目あおりの表現をやめ、読むとわかることを書いた
新機能リリースのお知らせ請求書の一括送付に対応しました(経理部門の方向け)誰に関係する内容かを書いた

「【必見】」「緊急」のようなあおりや、本文と関係のない問いかけの件名は、一度は開かれても本文を読んだ受信者の期待を裏切ります。次の号から開かれなくなり、配信停止も増えます。

件名にできる中身が毎号そろわない場合は、件名より先に号ごとの題材の決め方を見直し、毎号1本は件名にできる記事を用意します。

プレビューテキストに、件名の続きを書く

プレビューテキストは、受信箱で件名の後ろや下に表示される短い文です。多くの配信ツールで、メールごとに設定する欄があります。空欄のままだと本文の先頭の文字が表示され、「このメールが正しく表示されない方はこちら」や「〇〇様 いつもお世話になっております」が並びます。

プレビューテキストには、件名で書ききれなかった情報を書きます。件名で記事の中身を書いたなら、プレビューテキストには「製造業の3社の事例つき」「5分で読めます」のように、読む理由を足します。件名と同じ文をくり返すと、受信箱の2行分を1つの情報で使ってしまいます。

送信タイミングは、一般論ではなく自社リストのクリックの時刻で決める

「火曜から木曜の午前がよい」といった一般論は、自社のリストで確かめてから採用します。確かめるときは、開封の時刻ではなくクリックの時刻を使ってください。

送信時刻を決める材料として、開封の時刻は使えません。MPPが有効な受信者の開封はメールが届いた時刻に記録されるため、開封の時刻を集計すると、実際に読まれた時刻にかかわらず送信直後に山ができます。本人が操作しないと記録されないクリックの時刻のほうが、受信者がメールを読んでいる時間帯を表します。

具体的には、直近数か月の配信で付いたクリックを、曜日と時間帯で表にします。展示会リストの多い製造業向けのメルマガで、月曜の朝と金曜の夕方にクリックがほとんどなく、火曜から木曜の始業後1時間に集中していれば、その時間帯に送ります。管理部門向けのリストで、月末と月初に反応が落ちていれば、締め処理の時期を避けて送ります。

送る時刻を比べるテストをするなら、同じリストを半分に分け、同じ件名で時刻だけを変えて送ります。件名と時刻を同時に変えると、どちらで結果が変わったのかがわかりません。時刻を変えても開封率が戻らず、配信停止も増えているなら、配信の間隔と月の回数をリードの状態ごとに決め直します。

リストに反応のない宛先が増えると、件名を直しても開封率は下がり続ける

開封率が少しずつ下がり続けているなら、原因は件名ではなくリストにあります。長く反応のない宛先を分けて扱い、あわせて開封率がどう変わったかの読み方も変えます。

展示会や資料請求で集めたリストには、転職した人のアドレス、担当が変わった部署の共有アドレス、登録したきり一度も開いていない人が年々たまります。こうした宛先は分母には入り続けるので、件名をいくら直しても開封率はじりじり下がります。

一定期間、開封もクリックもない宛先は、通常のメルマガの配信から分けて扱います。期間の目安は配信頻度で変わり、月1回の配信なら半年、週1回なら3か月程度が、判断に使える回数がそろう期間です。分けた宛先には、配信を続けてよいかを確かめる一本を送り、それにも反応がなければ通常の配信から外します。外した宛先に改めて連絡するときは、休眠リードの掘り起こしとして、メルマガとは別の件名と頻度で組み立てます。

反応のない宛先を外すと、開封率は計算上それだけで上がります。外した月の上昇を件名や送信時刻の成果として報告しないよう、開封率と一緒に開封数とクリック数の実数も並べてください。

リストを業種や検討段階で分けて送ると、開封率は上がっても開封の実数は減ることがあります。セグメントの分け方を決めるときは、率と実数を並べて報告する形にしておきます。

件名のテストは、開封率ではなくクリックで勝ち負けを決める

件名を比べるテストでは、開封率の差だけで勝ちを決めないでください。MPPによる開封が両方のパターンに混ざり、あおった件名ほど開封率だけ高く出るためです。

件名のテストは、同じリストをランダムに2つに分け、件名だけを変えて同じ時刻に送ります。変える要素は1回に1つにします。件名の先頭に数字を入れるかどうかを確かめたい回に、プレビューテキストまで変えると、どちらで差が出たのかがわかりません。

勝ち負けは、クリック率と、その先の資料ダウンロードや問い合わせで決めます。開封率では勝ったのにクリック率で負けた件名は、本文の中身と件名がずれていた可能性が高い件名です。

配信数が少ないリストでは、テストの結果を信用できません。1パターン200件の配信なら、開封が1件増えるだけで開封率は0.5%動きます。数%の差を「勝ち」と判定するには、この振れ幅より十分大きな差が必要です。1回の配信で数百件に届かないなら、同じ比較を3回ほどくり返し、毎回同じ側が勝つかを見てください。HubSpotでテストを組む場合は、テストの配信条件と勝者を決める指標を送信前に決めておきます。

HubSpotを使っている場合は、HubSpotのメールA/Bテストで勝者の指標を選ぶ画面で、開封率ではなくクリック率を指定します。

開封率だけで判断せず、クリックと商談の数字と並べて読む

開封率は、いつもと違うことが起きていないかを知らせる数字として使い、改善したかどうかの判断はクリックと商談で行います。開封率を目標値にすると、数字を上げるための施策が商談を減らす方向に働きます。

月次の会議で、メールの担当者が「開封率が先月より上がりました」と報告したとします。そのとき確かめるのは、クリック数、メール経由の資料ダウンロードや問い合わせの数、配信停止の数が同じ方向に動いたかです。数字の組み合わせごとの読み方は次のとおりです。

数字の動き考えられる原因次に確かめること
開封率が上がり、クリックも増えた件名・差出人・時刻の変更で、読む人が増えたその先の問い合わせや商談が増えたか
開封率が上がり、クリックは横ばいMPPで記録される開封が増えた、件名と本文がずれた、反応のない宛先を外した受信環境の比率、件名の内容、リストの件数の変化
開封率が急に下がり、クリックも減った迷惑メールフォルダに入っている、リストに問題がある配信エラー、迷惑メール報告、受信ドメイン別の反応
開封率が急に変わり、クリックは変わらないツールの変更や集計設定の変更ボットによる開封の除外設定、集計方法の変更履歴
開封率もクリックも少しずつ下がっている反応のない宛先が増えている、内容が受信者に合っていない獲得経路別のリストの反応、配信停止の理由

開封率は、急な変化に気づくための数字として使います。メールの成果は、クリックとその先の問い合わせ・商談の数で報告してください。

開封の記録を、リードの点数付けや自動配信の条件に使っている場合も見直します。「メールを開封したら点数を加える」「開封した人に翌日フォローメールを送る」という設定は、MPPで記録された開封にも反応し、読んでいない人に点数が付き、フォローが送られます。条件はクリックや特定ページの閲覧に置き換えます。点数表を直すときは、リードスコアリングの設定から開封の加点を外し、クリックとページ閲覧に点を移します。

開封率は上がっているのに商談が増えないなら、メールの見せ方ではなく、ナーチャリングの評価の仕方を見直す段階です。まずナーチャリングが商談につながらない原因を洗い出し、メール経由のリードを商談まで数えられる状態にします。メール経由の問い合わせが商談につながっているかを追えていない場合は、配信の数字と商談の記録をつなげる設計からご相談いただけます。

まとめ

開封率は、受信者が読んだ割合ではなく、開封として記録された割合です。AppleのMPPで読んでいない開封が記録され、画像を表示しない受信者の開封は漏れます。業界平均と比べるより、自社の同じ種類のメールの直近の数字を基準にし、改善したかどうかはクリックと商談で判断してください。

次にやることは3つです。まず直近6回分の配信で、開封率と一緒にクリック数、配信エラー、配信停止の数を1つの表に並べます。次に、差出人名・件名・プレビューテキストの3行を、受信者が中身を判断できる形に直します。最後に、開封をきっかけにしている点数付けや自動配信の条件がないかを確認し、あればクリックに置き換えます。

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よくある質問

BtoBメルマガの開封率の平均はどのくらいですか?
配信ツールの提供会社が業種別の平均を公開していますが、MPPによる開封の扱いや集計方法が数字ごとに異なるため、自社の数字と直接比べられません。自社の同じ種類のメールの直近6回分の真ん中の値を基準にし、その基準からの上下で判断してください。
開封率はどうやって計算しますか?
開封数を配信成功数で割り、100を掛けて計算します。分母は送信数ではなく、エラーで戻らずに届いた数です。多くのツールは、同じ人が何度開いても1件と数えるユニーク開封で表示します。
Appleのメールプライバシー保護で、開封率はどのくらい高く出ますか?
リストのうちAppleのメールアプリで受信している人の割合によって変わるため、一律の数字はありません。有効にしている受信者のメールは、受信した時点で画像が読み込まれて開封として記録されます。影響を受けないクリック率と並べて見てください。
メルマガの件名は何文字にすればよいですか?
文字数を決めるより、開くかどうかを決める語を件名の先頭に置いてください。スマートフォンの受信箱では件名の後半が切れるため、号数や社名などの定型の部分は後ろに回します。
開封率が急に下がった原因は何ですか?
件名がいつもと変わっていないなら、迷惑メールフォルダに入っているか、リストに配信エラーが増えている可能性が高いです。配信エラー、迷惑メール報告、受信ドメイン別の反応を先に確かめ、配信ツールや集計設定を変えていないかもあわせて確認してください。

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