BtoBのGA4設定|導入後に最初にやる7つの設定とキーイベントの分け方

GA4のタグは入れた。ところが、問い合わせが何件あったのか、どの経路から来たのかを聞かれると、画面のどこを見ればよいのか分からない。BtoBサイトのGA4で多いのは、導入はできているのに、判断に使える数字が1つも取れていない状態です。

原因の多くは、初期状態のまま使っていることにあります。BtoBサイトのGA4は、問い合わせ・資料請求・ウェビナー申込を分けて計測し、社内アクセスを除き、見るレポートを絞ったときに初めて使える道具になります。逆に、商談や受注までGA4で追おうとすると、手間のわりに何も見えません。

問い合わせの件数や経路を聞かれて答えられない状態のGA4は、問い合わせ・資料請求・ウェビナー申込を分けて計測しているか、社内アクセスを除いているかで、使える道具になるかが分かれます。商談や受注はCRMの役割と割り切れば、GA4で手を付けずに済む設定も出てきます。

目次

BtoBのGA4は「問い合わせまで」を見る道具と割り切る

GA4で見えるのは、サイトに来た人が問い合わせや資料請求をするまでの匿名の行動です。商談・受注はCRMの役割と最初に線を引くと、設定すべき項目が絞れます。

GA4は、ブラウザや端末単位でサイト上の行動を記録するツールです。どの経路から来て、どのページを読み、フォームを送信したかは分かります。一方で、送信した人がどの会社の誰で、その後に商談になったか、いくらで受注したかは、GA4の外で起きる出来事です。

BtoBでは、フォーム送信から受注まで数か月かかり、途中で営業との面談や社内稟議が挟まります。この区間をGA4で追おうとすると、実装の手間が大きいわりに、件数が少なすぎて判断に使えないことがほとんどです。そこで、GA4の守備範囲を次のように決めておきます。

知りたいことGA4で見るか見る場所
どの経路からサイトに来たか見るGA4の集客系レポート
どのページから問い合わせにつながったか見るGA4のランディングページ・キーイベント
問い合わせ・資料請求・申込の件数見る(ただし正はCRM)GA4のキーイベント、件数の確定はCRM
どの会社の誰が送信したか見ないCRM・MA
商談になったか、受注したか、金額はいくらか見ないCRM

GA4とCRMの線引きを先に決めておくと、GA4で頑張るべきことは「フォーム送信までを正しく、種類別に取ること」に絞られます。データ保持期間、社内アクセスの除外、キーイベントの分け方は、すべてフォーム送信を正しく取るための準備です。商談や受注まで一本の数字でつなぎたくなったら、計測設計の全体の手順に沿って、CRM側の項目から決めます。

最初にやる設定の全体像と、この順番にする理由

過去のデータに遡って反映されない設定ほど先にやります。データ保持と内部トラフィックの除外を最初に済ませ、キーイベントとフォーム計測を固めてから、連携とレポートに進みます。

GA4の設定には、変更した日から後のデータにしか反映されないものが多くあります。データ保持期間を延ばす前に消えたデータは戻りませんし、内部トラフィックの除外も、有効にする前に記録されたアクセスからは取り除けません。導入直後の数週間を無駄にしないために、次の順番で進めます。

GA4導入後に最初にやる7つの設定 ① データ保持を14か月にする 探索で前年同月と比べられるようにする ② 内部トラフィックを除外する 少ない母数を社内アクセスで汚さない ③ キーイベントを種類別に設計する 問い合わせ・資料請求・申込を分ける ④ フォーム送信の計測方法を決める サンクスページかGTMのイベントか ⑤ 外部ドメインのフォームを確認する クロスドメインか、代わりの計測か ⑥ Search Consoleと連携する 検索流入の着地ページを並べて見る ⑦ 見るレポートを3つに絞る 毎月同じ画面で同じ判断をする 過去に遡って効かない設定ほど先にやる
図1:GA4導入後に最初にやる設定と、その順番

①と②は数分で終わる設定なので、タグを入れた当日に済ませてください。③と④は、サイト上のフォームの数と作りを確認しながら進めるため、半日から数日かかります。⑤はフォームが自社ドメインの外にある場合だけ必要です。⑥と⑦は、キーイベントが正しく取れていることを確かめてからで構いません。

データ保持期間を14か月に変更する

探索レポートで前年同月と比べるために、データ保持期間は14か月にしておきます。BtoBは検討期間が長く、季節の波も年単位で来るため、2か月では比較になりません。

データ保持期間は、[管理]の[データ設定]にある[データの保持]で変更します。標準のGA4プロパティで選べるのは2か月と14か月の2つです。有料版のアナリティクス360では、イベントデータについて26か月、38か月、50か月も選べます。

誤解されやすいのは、データ保持期間の設定が影響する範囲です。公式ヘルプによれば、データ保持期間が影響するのはデータ探索とファネルのレポートだけで、標準の集計レポートには影響しません。つまり、2か月のままでも通常のレポートで1年前の件数は見られます。困るのは、探索レポートで「去年の同じ時期に問い合わせした人が、どのページを経由していたか」のような掘り下げをしたくなったときです。

BtoBで前年同期の掘り下げが必要になる場面は意外と多くあります。たとえば4月の月次定例で、マーケ責任者が「去年の同じ時期の問い合わせはどのページ経由だったか」を探索で確認する場面です。決算期や予算策定期に問い合わせが集中する業界では、前年同期との比較が欠かせません。展示会やウェビナーのように年に一度の施策も、前回との比較でしか評価できません。変更は1分で終わり、デメリットもほぼないため、迷わず14か月にしておきます。

同じ画面には[新しいアクティビティのたびにリセットする]という項目もあります。有効にすると、ユーザーが再訪するたびにそのユーザーのデータの保持期限が延長されます。なお、年齢・性別・インタレストのデータは、設定に関係なく常に2か月で削除されます。BtoBではそもそもこれらの属性データを判断に使う場面が少ないため、気にしなくて構いません。

内部トラフィックを除外する|BtoBほど社内アクセスの比率が大きい

BtoBサイトは訪問数が少ないため、社員・制作会社・営業のアクセスが数字を大きくゆがめます。とくにフォームのテスト送信がキーイベントに混ざると、件数そのものが信用できなくなります。

たとえば月に数十万の訪問がある消費者向けサイトなら、社員のアクセスは誤差で済みます。月に数千訪問程度のBtoBサイトでは事情が違います。営業が提案前に自社の導入事例ページを開き、制作会社が更新確認のたびに各ページを見て回り、マーケ担当がフォームのテスト送信をする。これだけで、特定ページの閲覧数やキーイベントの件数が目に見えて変わります。

設定は「定義する」と「フィルタを有効にする」の2段階

内部トラフィックの除外は、2か所の設定を組み合わせます。

  1. [管理]の[データの収集と修正]から[データストリーム]を開き、ウェブストリームを選んで[タグ設定を行う]→[内部トラフィックの定義]で、社内のIPアドレスを登録します。条件に一致したアクセスには、traffic_typeというパラメータに既定で「internal」という値が付きます。
  2. [管理]の[データの収集と修正]から[データフィルタ]を開き、内部トラフィックのフィルタの状態を確認します。最初は[テスト]の状態で動かし、探索レポートで[テストデータのフィルタ名]というディメンションを使って、社内のアクセスが正しく識別されているかを確かめます。
  3. 識別が正しいと確認できたら、フィルタを[有効]に切り替えます。適用には24〜36時間かかることがあります。

データフィルタを有効にすると、除外されたデータは処理されず、後からGA4でもBigQueryでも見ることはできません。IPアドレスの範囲を広く取りすぎると顧客のアクセスまで消えるため、必ずテストの状態で数日確認してから有効にしてください。

IPで除けないアクセスの扱い

在宅勤務やモバイル回線からのアクセスは、IPアドレスが固定されないため、この方法では除外できません。ここを完璧にしようとして時間をかけるより、割り切ったほうが実務的です。オフィスと、制作会社や広告代理店の固定IPを登録できれば、社内アクセスの大半は除けます。

フォームのテスト送信だけは、別に手当てをしておきます。テスト送信には社内のメールアドレスを使うルールにしておけば、CRM側で件数を確定するときに簡単に除けます。GA4の件数から完全に消せなくても、正となる件数をCRMで持っていれば判断はぶれません。

キーイベントは問い合わせ・資料請求・ウェビナー申込で分ける

BtoBのフォーム送信は、種類ごとに見込みの温度がまったく違います。1つのキーイベントにまとめず、問い合わせ・資料請求・ウェビナー申込を別々のイベントとして計測し、それぞれをキーイベントにします。

キーイベントは、ビジネスの成果にとって特に重要な行動を測るためのイベントです。GA4では以前「コンバージョン」と呼ばれていたもので、現在はGoogle広告側の「コンバージョン」と区別するために、この呼び方になっています。[管理]の[データの表示]にある[イベント]で、イベント名の横の星アイコンを付けるとキーイベントとして扱われます。

1つにまとめると、悪化が見えなくなる

フォーム送信をすべて1つのキーイベントで数えると、合計は見えても中身が見えません。たとえば、新しいホワイトペーパーを出して資料請求が増えた月に、問い合わせが減っていても、合計が横ばいなら誰も気づきません。営業が欲しいのは問い合わせのほうなのに、ダッシュボードの数字は「今月も順調」と言い続けます。

問い合わせは今すぐ話を聞きたい人、資料請求は情報を集めている人、ウェビナー申込はテーマに関心がある人です。後工程の対応も、商談化の見込みも違います。だからこそ、GA4の段階から分けて数えておく必要があります。

イベント名で分けるか、パラメータで分けるか

分け方には、イベント名そのものを変える方法と、1つのイベント名に「フォームの種類」のパラメータを付ける方法があります。BtoBの最初の設定では、イベント名で分ける方法をおすすめします。キーイベントの指定はイベント名の単位で行うため、名前が分かれていれば、標準のレポートでそのまま種類別の件数が並びます。パラメータで分ける方法は、レポートで使うためにカスタムディメンションの登録が必要になり、見る側の手間が増えます。

Googleが推奨イベントとして用意しているgenerate_lead(フォームの送信などでリードを獲得したとき)を問い合わせに使い、ほかの種類は自社で名前を決める形でも構いません。大事なのは、名前を一度決めたら変えないことです。

行動イベント名の例キーイベントにするか判断の理由
問い合わせ・相談の送信generate_leadする商談に最も近い行動。最優先で正確に取る
資料請求・ホワイトペーパーの送信document_requestする件数は多いが温度は低い。問い合わせと混ぜない
ウェビナー・セミナーの申込webinar_signupするテーマ別に集客経路を比べる材料になる
料金ページ・事例ページの閲覧page_viewしない関心の兆候として探索で見る。成果として数えない
採用応募・取引先からの連絡別名で計測しないマーケの成果に混ぜると件数が水増しされる

キーイベントは標準のプロパティで30個まで指定できますが、上限まで使う必要はまったくありません。BtoBなら、実務上の目安として3〜5個で足ります。スクロールや滞在時間のような行動までキーイベントにすると、成果の数字が膨らみ、何が増えたのか分からなくなります。

カウント方法は「イベントごと」のままでよい

キーイベントには、発生するたびに数える[イベントごとに1回]と、1セッションで1回だけ数える[セッションごとに1回]のカウント方法があります。公式ヘルプでは前者が推奨で、後者は旧バージョンからの引き継ぎ用という位置づけです。同じ人が同じセッションで資料を2つ請求したなら、2件として数えるほうが実態に合います。同一人物の重複送信が気になる場合は、GA4側で調整するより、CRMで件数を確定するほうが確実です。

BtoBのキーイベントは「数を増やす」ものではなく「種類を分ける」ものです。問い合わせ・資料請求・ウェビナー申込の3つを別々に取れていれば、月次の定例で「資料請求は増えたが問い合わせは減った」と気づき、その月のうちに手を打てます。

キーイベントはGoogle広告のコンバージョンの元にもなります。広告で商談につながるリードを最適化したい場合は、Google広告のオフラインコンバージョン設定とあわせて設計してください。

フォーム送信の計測方法を選ぶ|サンクスページか、GTMのイベントか

フォーム送信の計測は、送信後に専用の完了ページがあるならサンクスページの到達で、ないならGoogleタグマネージャー(GTM)で送信完了を検知して取ります。拡張計測機能の自動計測は、実際の送信数と照合してから使います。

キーイベントの種類を決めても、フォーム送信を正しく検知できていなければ意味がありません。計測方法は大きく3つあり、サイトのフォームの作りによって選び方が変わります。

計測方法向いているケース注意点
サンクスページの到達をイベントにする送信後に専用のURLへ移動するフォーム完了ページのURLを直接開いた場合も数えてしまう。種類ごとに完了ページを分ける
GTMで送信完了を検知する画面遷移しないフォーム、埋め込み型のフォームフォームの仕組みごとに検知方法が違う。実装の確認に手間がかかる
拡張計測機能のフォームの操作設定の手間をかけずに傾向だけ見たいときフォームの作りによって実送信数とずれることがある。種類の区別もしにくい

サンクスページがあるなら、GA4の管理画面で作れる

送信後に「/thanks/」のような完了ページへ移動するフォームなら、GTMを使わずにGA4だけで計測できます。[管理]→[データの表示]→[イベント]の[イベントを作成]で、イベント名がpage_viewで、ページのURLに完了ページのパスを含むという条件の新しいイベントを作り、キーイベントに指定します。作成したイベントは、作成後のデータから計測され、過去には遡りません。

サンクスページの到達で計測するなら、問い合わせ・資料請求・ウェビナー申込で完了ページを分けておくことが前提です。すべてのフォームが同じ完了ページに移動する作りだと、種類の区別ができません。サイト制作の段階であれば、完了ページを分けるだけで計測がずっと楽になります。

画面遷移しないフォームはGTMで検知する

送信してもページが変わらず、同じ画面に「送信しました」と表示されるフォームや、MAツールやフォーム作成サービスの埋め込みフォームは、サンクスページの方法が使えません。この場合は、フォームの送信完了をGTMで検知し、GA4のイベントとして送ります。

検知の方法はフォームの仕組みによって異なります。送信完了のタイミングでサイト側からデータレイヤーに通知を出してもらう方法が最も確実で、埋め込みフォームの場合は、そのサービスが用意している送信完了の通知の仕組みを使います。設定したら、GTMのプレビューモードとGA4のDebugViewで、送信完了の時点で1回だけイベントが記録されることを確かめてください。

拡張計測機能のフォームの操作をそのまま使わない理由

GA4の拡張計測機能には、ページビュー、スクロール数、離脱クリック、サイト内検索、動画エンゲージメント、ファイルのダウンロード、フォームの操作が含まれます。フォームの操作を有効にすると、form_startとform_submitのイベントが自動で記録されます。設定が要らない手軽さはありますが、BtoBのキーイベントに使うには2つの弱点があります。

1つは、フォームの作りによっては、記録される件数が実際の送信数とずれることです。入力エラーで差し戻されたケースや、別ドメインから埋め込まれたフォームでは、想定どおりに動かないことがあります。もう1つは、問い合わせと資料請求の区別がしにくいことです。form_idなどのパラメータは付きますが、レポートで使うにはカスタムディメンションの登録が必要です。自動計測の件数は参考値にとどめ、キーイベントには上の2つの方法で取ったイベントを使うのが安全です。

どの方法を選んでも、最初の1か月はGA4の件数とCRMに入ったリード数を週に一度突き合わせてください。件数は合っているのに送信数そのものが少ないなら、問い合わせフォームの項目と送信後の導線を見直します。

フォームが外部ドメインにあるときのクロスドメイン設定

資料請求やウェビナー申込のフォームが自社ドメインの外にある場合、そのままでは流入経路が途切れます。フォーム側に同じGA4のタグを入れられるならクロスドメイン設定を、入れられないならボタンのクリックで代わりに測ります。

BtoBサイトでは、フォームだけが別のドメインにある構成がよくあります。MAツールで作った資料請求のページ、ウェビナー配信サービスの申込ページ、外部の予約サービスの日程調整ページなどです。何も設定しないと、自社サイトから外部ドメインへ移動した時点で別のセッションとして扱われ、「どの経路から来た人が申し込んだか」が分からなくなります。

同じタグを入れられるならクロスドメイン設定をする

クロスドメイン測定の前提は、すべてのドメインに同じウェブデータストリームの同じタグID(G-から始まるID)が入っていることです。この条件を満たせるなら、[管理]の[データの収集と修正]から[データストリーム]を開き、ウェブストリームの[タグ設定を行う]→[ドメインの設定]で、対象のドメインを追加します。設定後は、ドメインをまたぐリンクのURLに_glというパラメータが付き、同じユーザー・同じセッションとして引き継がれます。

注意したいのは、リダイレクトを挟むと_glパラメータが消えることがある点です。フォームへのリンクが短縮URLや計測用のリダイレクトを経由していないかを確認してください。

タグを入れられないなら、クリックで代わりに測る

外部サービスによっては、フォームのページに自社のGA4のタグを入れられないことがあります。この場合、クロスドメイン設定はできません。無理に実現しようとせず、自社サイト上の「申込ページへ進む」ボタンのクリックを代わりのイベントとして計測し、実際の申込数は外部サービスやCRMの数字で確定させます。クリックと実申込の比率が大きく崩れていなければ、経路ごとの比較には十分使えます。

決済や外部認証など、外部ドメインを経由して自社サイトに戻ってくる流れがある場合は、同じ[タグ設定を行う]の中にある除外する参照の設定で、そのドメインを参照元として扱わないようにします。ここを放置すると、戻ってきたアクセスの参照元が外部サービスに書き換わり、本来の流入経路が見えなくなります。

Search Consoleを連携して、検索流入の着地ページを見る

オウンドメディアやSEOに取り組んでいるなら、Search Consoleとの連携は必須です。ただし、検索語句とキーイベントを直接結びつけることはできないため、着地ページの単位で読みます。

連携は[管理]の[サービス間のリンク設定]にある[Search Consoleとのリンク]から行います。GA4側で編集者以上の権限、Search Console側で確認済みの所有者であることが必要です。1つのウェブデータストリームにリンクできるSearch Consoleプロパティは1つだけで、逆に1つのSearch Consoleプロパティにリンクできるウェブデータストリームも1つだけです。

連携すると、[Googleオーガニック検索クエリ]と[Googleオーガニック検索トラフィック]の2つのレポートが使えるようになります。ただし、これらのレポートのコレクションは初期状態では非公開になっており、左メニューの[ライブラリ]から公開しないと表示されません。連携したのにレポートが見当たらないという相談の多くは、ここが原因です。また、Search Consoleのデータは収集から48時間後に反映されます。

BtoBで先に知っておきたいのは、Search Console連携で分かることの限界です。Search Consoleの指標と組み合わせられるのは、Search Console側のディメンションのほか、ランディングページ、デバイス、国に限られます。つまり「どの検索語句で来た人が問い合わせたか」は見えません。見られるのは「検索から着地したページごとの表示回数・クリック数と、そのページからのキーイベント」です。記事ごとに成果を評価したくなったら、この着地ページ別の数字をBtoB SEOのKPIに組み込みます。

見るレポートを3つに絞る

GA4は見られる数字が多すぎるため、毎月見るレポートを先に決めておかないと、画面を開くたびに違う数字を眺めて終わります。BtoBなら、経路別・着地ページ別・種類別の3つで足ります。

設定が終わったら、月初の定例でマーケ責任者と営業責任者が毎回同じ画面を開けるように、見るレポートを決めます。次の3つです。

  1. 経路別のキーイベント:集客系のレポート(トラフィック獲得など)で、チャネルごとのセッション数と、問い合わせ・資料請求・申込の件数を並べます。どの経路が問い合わせを生んでいるかを見る表です。
  2. 着地ページ別のキーイベント:ランディングページのレポートで、入口になったページごとのキーイベント件数を見ます。記事や事例のうち、どれが問い合わせの入口になっているかが分かります。
  3. キーイベントの種類別の月次推移:問い合わせ・資料請求・申込を別々の線で並べ、前月・前年同月と比べます。合計では隠れる悪化に気づくための表です。

逆に、平均エンゲージメント時間、ユーザー属性、細かく切った探索レポートを毎月追う必要はありません。BtoBの母数では、これらの数字は月ごとの揺れが大きく、施策の判断に結びつきません。気になる変化があったときにだけ、探索レポートで掘り下げれば十分です。

経路の数字を信用できるものにするには、広告やメールのURLに付けるパラメータの命名がそろっている必要があります。広告やメールを出す前に、UTMパラメータの命名規則を社内で1つに決めておきます。ChatGPTなどAI検索からの流入が目立ってきたら、AI検索経由の流入の測り方を確かめ、参照元の見分け方をそろえます。経営にGA4とCRMの数字を1枚で見せる段階になったら、経路別の件数をKPIダッシュボードに載せます。

自社の場合にどのレポートを毎月見るべきか判断がつかない場合は、現在の流入経路とフォームの構成をもとに一緒に整理できます。GA4の設定と見るべき数字を相談する

3つのレポートで問い合わせが減ったと分かったら、ファネルデータ探索で問い合わせが止まっている段を確かめる方法で、判断ページ・フォーム・送信のどこで減ったかを切り分けます。

GA4で商談・受注は見えない|そこから先はCRMの役割

GA4の仕事は、フォーム送信までを種類別・経路別に正しく取ることです。商談化や受注への貢献は、フォーム送信の時点で流入元をCRMに渡し、CRM側で見ます。

GA4を整えると、次に「どの経路から来たリードが受注につながったか」を見たくなります。この問いに答えるのはGA4ではなくCRMです。GA4は匿名の行動を記録するツールで、送信した人が誰で、その後の商談がどうなったかは記録していません。BtoBの商談は、フォーム送信から数週間から数か月後に、営業との面談やメールのやり取りの中で進みます。

GA4とCRMの守備範囲 GA4が担当する(匿名の行動) 流入経路(チャネル・参照元・キャンペーン) 着地ページ・読んだページ フォーム送信(キーイベント) ここが境界:送信の時点で 人と流入元がCRMで結びつく CRMが担当する(誰が・いくら) リード(会社名・担当者・流入元) 商談化・商談金額 受注・失注とその理由 商談・受注はCRMのレポートで見る
図2:GA4とCRMの守備範囲と、その境界

GA4に商談データを戻す実装は、最初はやらない

GA4の推奨イベントには、qualify_lead(見込みのあるリードと判定された)やclose_convert_lead(顧客になった)のように、リードのその後を表すイベントも用意されています。仕組みとしては、CRMで起きた出来事をGA4に送り返すことも可能です。

ただし、月に数件から数十件の商談しかない段階で、この実装に工数をかける価値はほとんどありません。件数が少なすぎてGA4上で比較できないうえ、同じ情報はCRMのレポートのほうが正確に、会社名つきで見られるからです。最初にやるべきは、フォーム送信の時点で流入元の情報をCRMのリードに記録し、CRM側で経路別の商談化率や受注額を見られるようにすることです。

GA4とCRMの数字が完全に一致することはありません。GA4は経路と傾向を、CRMは件数と金額の確定値を持つと役割を分けておけば、ずれがあっても判断はぶれません。

複数の接点のどれが受注につながったかを評価したい段階になったら、BtoBアトリビューション分析の考え方が必要になります。CRM側は、見たいレポートを先に決めてから項目を逆算しないと、CRM導入でつまずく原因をそのまま踏みます。GA4とCRMで件数が食い違うときは、テスト送信の混入、計測方法の重複、外部ドメインでのセッションの途切れの順に確かめます。

GA4のキーイベントとCRMの商談データをどうつなぐかは、使っているフォームやCRMによって変わります。フォームがMAツールの埋め込みか自社実装か、CRMに流入元の項目があるかを確認するところから始めます。フォーム送信から商談までの計測のつなぎ方を相談する

HubSpotを併用している場合は、HubSpotのトラフィック分析とGA4の数字の違いを前提に、ページの分析はGA4、流入元ごとのコンタクトと商談はHubSpotと役割を分けます。

最初はやらなくてよい設定

GA4には設定項目が多くありますが、BtoBの導入初期に必要なものは限られています。キーイベントが正しく取れるまでは、分析を広げる設定に手を出しません。

次の設定は、ここまでの7つが安定して動き、毎月のレポートで判断ができるようになってからで構いません。

  • BigQueryへのエクスポート:生データを自由に分析できますが、SQLを書ける人と、分析する問いがなければ使われません。
  • カスタムチャネルグループの細かい作り込み:まずはデフォルトのチャネル分類で経路を見ます。分類に不満が出るのは、UTMの命名がそろっていないことが原因である場合が多くあります。
  • 探索レポートの大量作成:誰も見なくなった探索レポートが並ぶと、必要なものが探せなくなります。定例で見る3つが決まってから、問いに応じて作ります。
  • ユーザー属性やインタレストの分析:BtoBの判断軸は会社と役職であり、GA4の年齢・性別・興味関心の推定値はほとんど役に立ちません。

サイトの訪問数が月に数百程度で、問い合わせが月に数件しかない段階では、GA4の数字を細かく分析するより、送信してきた1件ずつの中身を営業と一緒に見るほうが得るものは大きくなります。GA4の設定は最低限に済ませ、時間はリードの中身の確認と施策の実行に使ってください。

まとめ

GA4を導入したら、次の順で設定し、見る数字を絞ります。

  • GA4の守備範囲は「フォーム送信まで」。商談・受注はCRMで見ると最初に線を引く
  • データ保持期間は14か月にする。影響するのは探索とファネルのレポートだけだが、前年比較に必要
  • 内部トラフィックは定義してからテストの状態で確認し、有効にする。有効化後の除外は取り消せない
  • キーイベントは問い合わせ・資料請求・ウェビナー申込で分け、イベント名の単位で指定する
  • フォーム送信は、サンクスページがあればその到達で、なければGTMで送信完了を検知して取る
  • 外部ドメインのフォームは、同じタグを入れられればクロスドメイン設定、入れられなければクリックで代わりに測る
  • Search Consoleは連携後にライブラリでレポートを公開する。見られるのは着地ページ単位まで
  • 毎月見るレポートは経路別・着地ページ別・種類別推移の3つに絞る

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よくある質問

GA4の「キーイベント」と「コンバージョン」は何が違いますか
GA4で重要な行動として指定するものがキーイベントで、以前はGA4の中でもコンバージョンと呼ばれていました。現在、コンバージョンという呼び方はGoogle広告側で使われます。GA4のキーイベントをもとにGoogle広告のコンバージョンを作成する、という関係です。
GA4の初期設定で最低限やることは何ですか
BtoBサイトであれば、データ保持期間を14か月にする、内部トラフィックを除外する、問い合わせ・資料請求・ウェビナー申込を別々のキーイベントとして計測する、の3つが最低限です。この3つが済んでいれば、経路別に問い合わせの件数を比べる判断ができるようになります。
サンクスページがないフォームの送信は計測できますか
計測できます。画面遷移しないフォームや埋め込み型のフォームは、Googleタグマネージャーで送信完了を検知し、GA4のイベントとして送ります。拡張計測機能のフォームの操作でも自動記録されますが、実際の送信数とずれることがあるため、キーイベントに使う前にCRMの件数と照合してください。
データ保持期間を14か月にしないと、1年前のデータは見られませんか
標準のレポートでは、保持期間の設定に関係なく過去の集計データを見られます。保持期間が影響するのは探索レポートとファネルのレポートだけです。ただし、前年同期との掘り下げ分析にはこれらのレポートを使うため、導入直後に14か月へ変更しておくことをおすすめします。
GA4の問い合わせ件数とCRMのリード数が合いません
完全に一致することはなく、正となる件数はCRMで持つのが基本です。そのうえで、テスト送信の混入、計測方法の重複、外部ドメインのフォームでのセッションの途切れなど、大きくずれる原因がないかを確認します。原因は1つずつ潰し、直すたびに1週間分の件数をCRMと突き合わせます。

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