UTMパラメータの設計ルールと命名規則|付けているのに集計できない状態を防ぐ

広告、メルマガ、ウェビナーの告知、SNS。どの施策のURLにもUTMパラメータを付けているのに、月末にチャネル別の数字を出そうとすると集計できない。google と Google が別の行に並び、メールの medium が mail と email と e-mail に割れ、campaign には人によって書き方の違う施策名が入っている。UTMを付ける習慣はあるのに、使えるデータになっていない状態です。

原因は付け忘れではありません。UTMの設計とは、付けるかどうかを決めることではなく、誰が見ても同じ意味になる語彙を決めて固定する作業です。語彙が決まっていなければ、付ける人が増えるほど値は散らばります。

月末の集計で値の割れに気づいた担当者の場合、使えるデータに戻れるかを左右するのは、source・medium・campaignに入れる語彙を固定できるかと、その語彙を誰が管理するかです。パラメータや値の種類は、増やすより絞るほうが集計は安定します。

目次

UTMを付けているのに集計できないのは、語彙が決まっていないから

集計できない原因の大半は付け忘れではなく、同じ経路に複数の値が混在していることにあります。

集計できない状態には、だいたい同じ症状が出ます。

  • 同じ媒体の utm_source が google、Google、google_ads、adwords に割れている
  • メールの utm_medium が email、mail、e-mail、newsletter に割れている
  • utm_campaign に日本語の施策名、日付入りの名前、担当者のイニシャル入りの名前が混在している
  • 同じ値を、ある人は medium に、別の人は source に入れている

割れている値は、1本ずつ見れば間違いとは言い切れないものばかりです。問題は、それぞれが別々の人の「自分なりに正しい」判断で付けられていることです。ツールは値の意味を理解しないため、1文字でも違えば別の経路として集計します。月末に誰かが手作業で行をまとめ直すことになり、その作業が属人化した時点で数字の再現性がなくなります。

付ける人が増えるほど値は散らばる

UTMを付けるのはマーケ担当者だけではありません。広告代理店、メール配信の担当、ウェビナーの運営、営業、広報。関わる人が増えるほど、それぞれの語感で値が付きます。ルールを口頭やチャットで伝えているだけの状態では、半年もすれば新しく入った人や外部パートナーの値が混ざります。BtoBマーケの効果測定で流入元の名前が統一されないことを計測の断絶として挙げているのは、この散らばりが後から直せない形でデータに残るからです。

決めるべきは付け方ではなく語彙

UTMの付け方そのものは難しくありません。URLの末尾に決まった形式でパラメータを足すだけです。難しいのは、そこに何という言葉を入れるかを組織で揃えることです。したがってUTM設計の中心は、パラメータごとに使ってよい値の一覧を作り、それ以外の値を使わせない仕組みにすることになります。

UTMのルールは「このように付ける」という説明書ではなく、「この一覧にある値しか使わない」という語彙表として作ると、人が入れ替わっても崩れにくくなります。

5つのパラメータに何を入れるかを自社ルールとして固定する

source と medium で経路を、campaign で施策を識別し、utm_content と utm_term は後で切り分ける予定があるときだけ使う、という役割分担で固定します。

パラメータ答える問い入れるもの入れないもの必須
utm_sourceどこから来たか媒体名や配信元(google、linkedin、newsletter)施策名、広告の種類必須
utm_mediumどういう種類の経路か経路の種類(cpc、email、social)媒体名、施策名必須
utm_campaignどの施策の成果か合計したい施策の単位(webinar_crm_setup)日付、担当者名、素材の違い必須
utm_content同じ施策内のどのリンクかリンク位置や広告素材の識別子施策名の繰り返し任意
utm_termどの検索語句か検索広告のキーワード検索広告以外の情報任意

sourceとmediumの使い分けは固有名詞と種類で分ける

5つのうち最も混同されるのが source と medium です。判断基準は単純で、source には固有名詞、medium には経路の種類を入れます。Googleの検索広告なら source が google、medium が cpc。メルマガなら source が newsletter、medium が email です。LinkedInに広告を出しても自然投稿をしても source は linkedin で同じですが、medium は広告と投稿で分けます。

迷ったときは、その値を同じ列に並べて比べたいかで考えます。medium の列には email、cpc、social のように種類が並び、経路の種類どうしを比較できる状態が正しい姿です。medium に newsletter や facebook が入っていると、種類の比較に固有名詞が混ざり、集計軸として使えなくなります。

medium の値は、GA4がチャネルを自動で分類するときの判定材料にもなります。独自の値を作ると標準のチャネルに振り分けられないことがあるため、標準的な値が存在する経路はそちらに合わせます。分類の条件そのものはGA4側の設計の話なので、ここでは値を選ぶときの前提としてだけ触れておきます。

campaignはあとで合計したい単位で名付ける

campaign の粒度は、レポートで1行として見たい単位に合わせます。ウェビナーなら1テーマ、ホワイトペーパーなら1冊、展示会なら1回の出展です。命名は「施策種別_テーマ」の2要素に固定すると、先頭の種別で絞り込めるため、ウェビナー全体の合計と個別テーマの数字を両方出せます。webinar_crm_setup、whitepaper_lead_scoring、newsletter_regular のような形です。

種別の部分は語彙表で固定し、テーマの部分は管理表で重複がないかを確認してから決めます。テーマを自由記述にすると、同じウェビナーに crm_setup と crm_launch のような別名が付くため、発行時に既存の campaign の一覧から選べる状態にしておきます。

utm_contentとutm_termは切り分ける予定があるときだけ使う

utm_content は、同じメールの上部のバナーと本文のテキストリンクのどちらが押されたか、同じ広告で素材Aと素材Bのどちらが押されたかを見分けたいときに使います。utm_term は検索広告のキーワード用です。

utm_content と utm_term を全経路で必須にすると、発行の手間が増えるうえに、誰も見ない値の表記ゆれまで管理することになります。任意のパラメータは、そのレポートで実際に切ると決まっている施策にだけ付けるルールにします。たとえばメルマガ担当者が、翌月の配信でバナーを残すかどうかをリンク位置別のクリックを見て決めるなら utm_content を付け、見る予定がなければ付けません。

表記ゆれを防ぐ書式ルールと、使ってよい語彙の一覧

表記ゆれは注意喚起では防げないため、小文字・区切り文字・語彙の3点を書式として決め、一覧にない値は使えない状態にします。

すべて小文字にする

GA4はUTMの値の大文字と小文字を区別するため、Google と google は別の値として集計されます(Googleのアナリティクス ヘルプにも明記されています)。MAやCRMの側では区別しないツールもあり、ツールによって扱いが違うこと自体が混乱のもとになります。すべて小文字に固定しておけば、どのツールで見ても同じ値になります。

区切り文字は1種類にし、日本語とスペースは使わない

複数の単語をつなぐ区切り文字は、アンダースコアかハイフンのどちらか1つに決めます。本文の例ではアンダースコアに統一しています。両方を許すと crm_setup と crm-setup が別の値になります。

日本語の値は使いません。URLに入るとエンコードされて記号と英数字の長い列になり、配信ツールや広告の管理画面にコピーした時点で読めなくなります。全角と半角の揺れも起きます。スペースもエンコードで表記が変わるため使いません。

語彙の一覧を作り、一覧にない値は使わない

source と medium は、使ってよい値の一覧を先に作ります。BtoBの中小規模であれば、medium は次の程度に収まります。

medium の値意味使う場面
cpcクリック課金の広告検索広告
displayディスプレイ広告バナー広告、リターゲティング広告
paid_socialSNSの広告LinkedInやFacebookなどの広告
socialSNSの自然投稿自社アカウントの投稿、プロフィール欄
emailメール全般メルマガ、ステップメール、営業の個別メール
referral他社サイトからのリンク寄稿記事、共催先の告知ページ
eventイベント中に示すURLウェビナーのチャット、登壇スライド
qr印刷物のQRコード展示会の配布物、紙の資料
document配布した資料内のリンク営業資料、ホワイトペーパーのPDF

event、qr、document の3つは自社で定義した値で、GA4の標準のチャネル分類には当てはまらず、未分類として扱われることがあります。未分類になることを承知で、オンラインの経路と混ぜずに見分けるために残しています。標準の分類に寄せるか自社定義の値を持つかは、あとから変えると過去との比較が切れるため、最初に決めておく項目です。

source も同じように一覧にします。媒体名(google、yahoo、linkedin、facebook、x)、配信の種類(newsletter、nurture、invite、sales)、共催先や寄稿先のように相手ごとに増えるもの、の3系統に分け、3つ目だけは管理表で追加を受け付ける運用にします。新しい共催先が決まったら、ウェビナー担当者が告知URLを発行する前に追加を申請し、運用責任者が既存の値と重複しないかを見て承認する、という流れです。

経路ごとの付け方|メール・広告・SNS・ウェビナー・営業・QRコード

経路ごとに source と medium の組み合わせを先に決めておけば、発行する人が考えるのは campaign のテーマ部分だけになります。

経路utm_sourceutm_mediumutm_campaign の例注意点
メルマガnewsletteremailnewsletter_regularリンク位置は utm_content で分ける
ウェビナー告知メールinviteemailwebinar_crm_setup当日のURLとは medium を分ける
ウェビナー当日のチャットwebinareventwebinar_crm_setup告知と同じ campaign にする
検索広告googlecpcad_search_crm自動タグ設定との関係を確認する
SNS広告linkedinpaid_socialwhitepaper_lead_scoring自然投稿と medium を分ける
SNSの自然投稿linkedinsocialwhitepaper_lead_scoringプロフィール欄は常設の値にする
営業の個別メールsalesemailsales_followup担当者名は入れない
営業資料内のリンクsales_deckdocumentsales_followup資料の版は utm_content で分ける
展示会配布物のQRコードexhibitionqrexhibition_booth印刷前に実機で読み取る

メール

メールは1通の中にリンクが複数あるため、campaign は配信の目的の単位で揃え、utm_content でリンクの位置(header_banner、text_link など)を分けます。MAやメール配信ツールには、リンクにUTMを自動で付ける機能を持つものがありますが、その初期値が自社の語彙と一致しているとは限りません。自動付与を使うなら設定画面で値を語彙表に合わせ、合わせられないなら自動付与を切って管理表の値を使う、のどちらかに決めます。

広告

広告は、媒体側の仕組みとの二重管理に注意します。Google広告とGA4をリンクして自動タグ設定を使うと、GA4には広告の情報が連携されるため、手動のUTMは主にMAやCRMへ施策名を渡す目的で付けることになります。Googleのヘルプでも、GCLIDと手動のUTMを同じURLで併用すると、成果が google / cpc ではなくUTMの値に振られることがあると注意されています。両方がそろったURLでGA4にどちらの値が表示されるかは、公開前のテストで実際に確認してください。広告の成果を受注まで追うなら、Google広告とHubSpotを連携して受注まで計測する設定を入れ、UTMは施策名をCRMへ渡す役割に限ります。

広告の campaign は、媒体の管理画面のキャンペーン名と一致させる必要はありません。管理画面側は入札や予算の都合で分割されるため、UTMの campaign はマーケティングの施策単位にとどめ、媒体の構造は媒体側のデータで見ます。

SNS

同じ媒体でも、広告と自然投稿は medium で分けます。source が同じなので、分けておかないと広告費をかけた流入と投稿からの流入が1行にまとまります。プロフィール欄に置くURLは長期間使われるため、個別施策の campaign ではなく social_profile のような常設の値にしておきます。

ウェビナー

ウェビナーは、告知と当日で経路が違います。告知メールやSNS、共催先からの流入はそれぞれの経路の値で付け、campaign だけをウェビナーのテーマで揃えます。当日のチャットや投影スライドに載せるURLは medium を event にし、告知経由の申込と当日の行動を区別します。ウェビナー集客の設計手順のように複数のチャネルで告知する場合も、campaign が揃っていればチャネル別の申込数を1つの表に並べられます。

営業が送るURLと資料内のリンク

営業が個別メールや提案資料に貼るURLは、最も表記ゆれが起きやすい経路です。営業担当者に毎回UTMを作ってもらうのは現実的ではないため、よく送る遷移先(料金ページ、導入事例、資料請求ページ)ごとに発行済みのURLを数本用意し、メールテンプレートや営業資料の元ファイルに埋め込んでおきます。

誰が送ったかを識別したくなりますが、UTMに担当者名を入れると異動や退職のたびに語彙が増えます。送信者はCRMの活動履歴で分かるため、UTMには載せません。

印刷物のQRコード

印刷物は、刷ったあとに直せません。QRコードにはUTM付きの長いURLを直接埋め込むより、自社ドメインの短い転送用URLを埋め込み、転送先をUTM付きのURLにしておくと、印刷後でも遷移先を差し替えられます。ただし転送の途中に別のリダイレクトが挟まるとパラメータが落ちることがあるため、印刷前にスマートフォンで読み取り、値が届いているかを確認します。展示会で配るチラシやノベルティを発注する前に、どの配布物にどのQRコードを載せるかを管理表に書いておきます。

HubSpotのキャンペーン機能を使う場合は、外で作るURLのutm_campaignをHubSpotのキャンペーンUTMの値に揃えると、施策ごとの流入がキャンペーンの画面にまとまります。

サイト内リンクにUTMを付けてはいけない理由

自社サイト内のバナーやボタンにUTMを付けると、その後のコンバージョンがサイト内のバナーの成果として数えられ、広告やメールが連れてきた成果が見えにくくなります。

ありがちなのは、トップページのキャンペーンバナーや、ブログ記事の末尾に置いた資料請求ボタンにUTMを付けて、どのバナーが押されたかを測ろうとするケースです。意図は正しいのですが、UTMはサイトの外からどう来たかを記録する仕組みなので、サイトの中で使うと本来の流入元と衝突します。

サイト内リンクにUTMを付けると 1. 検索広告から来訪 流入元 google / cpc 2. サイト内のバナーを押す ここでUTMの有無が分かれる UTMなし 通常のリンク UTMあり internal / banner 3. 資料請求 成果の流入元 google / cpc 広告の成果になる 3. 資料請求 成果の流入元 internal / banner 広告の成果が消える MAの最新の流入元も上書きされる 外からの経路はUTM、中の行動はイベント
図1:サイト内のリンクにUTMを付けると、成果の流入元が外部の経路からサイト内の値に置き換わる。

何が上書きされるのか

検索広告から来た人がサイト内のUTM付きバナーを押して資料請求すると、その資料請求はサイト内の値で記録されます。GA4では、セッションの途中で新しいキャンペーンの値が届いてもセッション自体は切り替わらず、セッション単位の流入元はセッション開始時の値のままです。ただしキーイベントの流入元を見るレポートでは、サイト内の値が成果の流入元として扱われることがあり、広告の貢献が見えにくくなります。旧来のユニバーサルアナリティクスでは、この時点でセッションそのものが切り直されていました。

MAやCRMの側でも同じことが起きます。多くのツールはコンタクトに最初の流入元と最新の流入元を記録するため、サイト内のUTMが最新の流入元を上書きし、営業が見る情報から広告経由だったという事実が消えます。

サイト内の導線は別の方法で測る

どのバナーが押されたかを知りたい場合は、UTMではなく、リンクのクリックをイベントとして計測するか、遷移先を施策専用のページに分けて閲覧数で見ます。どちらもGA4の設定の話なので手順は割愛しますが、判断としては「サイトの外から来た経路はUTM、サイトの中の行動はイベント」と分けておけば衝突は起きません。

サイト内扱いになる場所を見落とさない

コーポレートサイトとサービスサイト、オウンドメディアを同じ計測の単位で扱っている場合、それらの間のリンクもサイト内です。ヘルプページや採用ページ、メルマガのバックナンバーを載せたページから製品ページへのリンクも同様です。語彙表の横に「UTMを付けない場所」の一覧を置き、発行時に遷移元がそこに当たらないかを確認します。

なお、AI検索の回答に含まれるリンクのように、自社でURLを管理できない経路にはそもそもUTMを付けられません。そうした流入は、AI検索経由の流入がどこまで測れるかを確かめたうえで、UTMとは別の方法で追います。

管理表とURL発行の運用|誰が発行し、どこに記録するか

発行の窓口を1人に集める必要はありませんが、語彙を追加できる人は1人に絞り、発行した記録は必ず1つの管理表に残します。

発行は誰でもできて、語彙の追加は1人だけ

UTMの発行をマーケ担当者1人に集めると、広告代理店や営業からの依頼が滞り、結局それぞれが勝手に作り始めます。現実的なのは、管理表から誰でも発行できるようにしたうえで、source と medium はプルダウンで選ぶだけにし、新しい値の追加は運用責任者1人の承認制にする形です。

管理表に持たせる列

列入れるもの入力方法
発行ID連番自動
発行日・発行者いつ誰が作ったか手入力
遷移先URLUTMを付ける前のURL手入力
utm_source・utm_medium語彙表にある値プルダウン
utm_campaign施策種別とテーマ種別はプルダウン、テーマは既存の一覧から選ぶ
utm_content切り分ける予定があるときだけ任意の手入力(小文字とアンダースコア)
完成URLパラメータを連結したURL数式で自動生成
掲載場所どのメール・広告・資料に使ったか手入力
状態使用中・終了・差し替え済みプルダウン

完成URLは手で打たせず、数式で連結します。手入力を許すと、せっかくプルダウンで揃えた値がコピーの段階で崩れます。掲載場所の列は、あとで乱れを整理するときに、そのURLがいまどこで流通しているかを追える唯一の記録になるため省略しません。

崩れないUTM運用の回し方 1. 語彙表を固定する source・mediumの許可リスト 2. 管理表から発行する 完成URLは数式で作る 3. 公開前に開いて確認 転送で値が落ちていないか 4. 月1回の棚卸し 語彙表にない値を探す 5. 語彙の追加は申請制 承認する人は1人に絞る
図2:発行は誰でもできる形にし、語彙の追加だけを承認制にして語彙表に戻す。

公開前の確認と月1回の棚卸し

発行したURLは、公開前に一度ブラウザで開き、パラメータが消えずに遷移先に届いているかを確認します。短縮URLやリダイレクトを挟むと、値が落ちることがあるためです。

月に1回、GA4とMAから当月に記録された source・medium・campaign の値を書き出し、語彙表にない値を探します。見つかったら管理表の掲載場所から発生源を特定し、URLを差し替えます。この確認をKPIダッシュボードの月次更新と同じ日に行うと、集計する前に値の乱れを直せます。

語彙表と管理表は、担当者が入れ替わったときに計測の前提を引き継ぐための資料です。個人のファイルではなく、関係者全員が参照できる共有の場所に置いてください。

担当者が替わる予定があるなら、語彙表と管理表をマーケティング担当者の引き継ぎで渡すものの一覧に加えておきます。語彙表や管理表をいまのデータから作り始めるところで手が止まっている場合は、現状の値の棚卸しからご相談いただけます。

HubSpotで流入経路を記録する場合は、UTMの命名と同じタイミングでHubSpotのトラッキングコードの設置と社内IPの除外も済ませてください。除外は設定した時点以降のアクセスにしか適用されません。

GA4とMA/CRMの両方で読める命名にする

UTMの値はGA4だけでなくMAやCRMにもそのまま記録されて営業の目に触れるため、片方の画面を前提にしないと意味が通らない命名は避けます。

CRMでは値がそのまま人に読まれる

フォームの隠しフィールドなどでUTMの値をMAやCRMに渡していると、コンタクトの画面に utm_campaign の値がそのまま表示されます。GA4では分析担当者が表の中で見るだけの値でも、CRMでは営業担当者が商談の前に読む情報になります。c0142 のような管理番号だけの campaign は管理表を開かないと意味が分からず、営業には何も伝わりません。

片方だけで読める命名の例

よくあるのは2つのパターンです。1つ目は、GA4のチャネル分類で意味が補われる前提で、medium を曖昧な値のままにしておくケースです。GA4ではチャネル名が付いて見えても、CRMには元の値しか届きません。2つ目は、MAのキャンペーン機能で付けた名前の一部だけを campaign に入れるケースです。MAの中では階層構造で意味が分かっても、GA4には文字列だけが届きます。どちらも、値の文字列だけを見て経路と施策が分かるかを基準に確認します。

CRMのリードソースの選択肢と語彙を揃える

展示会の名刺や電話での問い合わせのように、UTMを通らずにCRMに入るリードもあります。CRM側でリードソースを選択式で持っている場合、その選択肢の内部値をUTMの medium や source と同じ語彙にしておくと、オンラインとオフラインの経路を同じ軸で集計できます。選択肢の表示名は日本語で構いませんが、内部値は語彙表と一致させます。値の表記がすでに割れているなら、語彙表に合わせて置き換える前にリードの名寄せで重複を片付けます。

あわせて、最初の流入元と最新の流入元を別の項目で持つかどうかも、命名と同時に決めておきます。どちらを評価に使うかはアトリビューション分析の領域ですが、項目が1つしかないと、あとからどちらの見方もできなくなります。

UTMを読む前提として、GA4側のキーイベントやデータ保持が整っているかも確認してください。GA4導入後に最初にやる設定で順番をまとめています。

すでに乱れたUTMの整理のしかた

過去に記録された値は作り直せないため、切り替え日を決めて、それ以降の値だけを揃えるのが現実的な整理です。

過去のデータを直そうとしない

GA4に記録された source や medium の値は、後から書き換えられません。レポートや集計表の側で旧値を新しい値にまとめることはできますが、元のデータは乱れたまま残ります。過去分をきれいにすることに時間を使うより、この日以降は揃っていると言える状態を早く作るほうが、数字を判断に使える期間が早く始まります。

整理の手順

  1. 直近12か月に記録された source・medium・campaign の値を書き出し、件数の多い順に並べる
  2. 語彙表を作り、旧値と新しい値の対応表を作る(Google と adwords を google にまとめる、など)
  3. 切り替え日を決める。月初や四半期の初日にすると比較の区切りが分かりやすい
  4. 流通中のURLを差し替える。広告の遷移先、メールのテンプレート、署名、SNSのプロフィール、営業資料の元ファイルが対象
  5. 切り替え日以降、最初の2か月は週1回、語彙表にない値が出ていないかを確認する

対応表は捨てずに残します。切り替え日をまたいで前年と比べるときに、旧値を新しい値にまとめ直す根拠になるからです。

差し替えられないURLは対応表で吸収する

すでに配布した印刷物のQRコードや、他社サイトに掲載済みの寄稿記事のリンクは差し替えられません。これらは旧値のまま流入が続くため、対応表に差し替え不可として残し、集計の側で新しい値にまとめます。

CRMの過去レコードの流入元を一括で置き換えると、元の値が分からなくなり、あとで対応表の誤りに気づいても戻せません。置き換える場合は元の値の項目を残したまま、正規化した値を別の項目に持たせてください。

整理の途中で、対応表の作り方や差し替えの優先順位に迷うことは珍しくありません。いまの値の一覧を見ながら切り替え日までの段取りを組むところから一緒に進めることもできます。

やらない判断|パラメータと値を増やしすぎない

UTMのルールは細かくするほど守られなくなるため、情報を詰め込みたくなる箇所ほど、入れない判断をあらかじめ決めておきます。

campaignに日付や担当者名を詰め込まない

campaign に webinar_crm_setup_20260915_tanaka のように日付と担当者名を足すと、同じウェビナーの告知が日ごと・人ごとに別の行になり、施策単位の合計が出せなくなります。日付はデータ自体に記録されているので、期間で絞れば分かります。担当者は異動で変わり、語彙が増え続ける原因になります。同じテーマを複数回開催して並行して告知する場合に限り、vol02 のような回番号を付けます。

すべてのパラメータを必須にしない

5つすべてを必須にすると、発行のたびに意味の薄い値を考えることになり、とりあえず入れた値が増えます。必須は source・medium・campaign の3つにとどめ、utm_content と utm_term は使う理由がある施策だけに付けます。

UTMに載せる情報を増やさない

施策の担当部署や予算区分など、UTMに載せたい情報は次々に出てきます。しかしそれらは管理表の列として持てば十分で、URLに載せる必要はありません。campaign の値をキーにすれば、管理表の情報とあとから結合できます。

ルール化そのものが重い場合

月に発行するURLが数本で、施策もメルマガと広告程度に限られるなら、管理表の運用まで作り込む必要はありません。source と medium の語彙表を1枚作り、小文字とアンダースコアのルールだけ決めておけば足ります。実務上の目安として、管理表が必要になるのは、UTMを発行する人が3人以上に増えたときや、外部の代理店やパートナーが発行に関わり始めたときです。

まとめ

UTMの設計は付けるかどうかを決めることではなく、誰が見ても同じ意味になる語彙を決め、それ以外を使わせない仕組みを作ることです。

source には固有名詞、medium には経路の種類、campaign にはあとで合計したい施策の単位を入れます。utm_content と utm_term は、切り分ける予定があるときだけ使います。

値はすべて小文字にし、区切り文字は1種類、日本語とスペースは使いません。source と medium は語彙表に載っている値だけを使い、経路ごとの組み合わせを先に決めておきます。サイト内のリンクには付けず、サイトの中の行動はイベントとして測ります。

運用は、管理表から誰でも発行できる形にしつつ、語彙の追加だけを1人の承認制にします。値はGA4とMA/CRMのどちらの画面で見ても意味が通る命名にし、すでに乱れている場合は過去を直そうとせず、切り替え日を決めて以後を揃えます。

無料相談

UTMの語彙表と管理表を、いまのデータから一緒に作ります

UTMは付けているのにチャネル別の数字が出せない、GA4とCRMで流入元が食い違う、過去の値が乱れていてどこから直せばよいか分からない。Ampelでは、実際に記録されている値を棚卸ししたうえで、語彙表と切り替え日までの段取りを一緒に決めるところから支援しています。

よくある質問(FAQ)

utm_sourceとutm_mediumの違いは何ですか。
utm_source は流入元の固有名詞(google、linkedin、newsletter など)、utm_medium は経路の種類(cpc、social、email など)です。同じLinkedInでも広告と自然投稿では source が同じで medium が違う、と考えると区別しやすくなります。medium に媒体名を入れると、経路の種類ごとの比較ができなくなります。
UTMの値に日本語を使ってもよいですか。
使わないことを推奨します。URLに入るとエンコードされて読めない文字列になり、配信ツールや広告の管理画面へコピーしたときに確認できなくなります。全角と半角の揺れも起きやすくなります。値は小文字の英数字と1種類の区切り文字だけで作り、日本語の意味は管理表の列に持たせてください。
すでにサイト内リンクにUTMを付けてしまっています。どうすればよいですか。
まずサイト内のリンクからUTMを外し、外した日を記録してください。それ以前の期間は、サイト内の値に置き換わった成果が含まれているため、経路別の数字を比べるときはその日を区切りにします。どのバナーが押されたかを知りたい目的は、リンクのクリックをイベントとして計測する方法に切り替えます。
UTM付きのURLはSEOに悪影響がありますか。
UTMは計測のためのパラメータで、それ自体が評価を下げるものではありません。ただし、外部に配ったUTM付きURLが別のページとして扱われないよう、自社サイトのページにcanonicalが正しく設定されているかは確認しておくと安心です。サイト内リンクに付けないルールを守っていれば、UTM付きURLが自社サイト内で大量に生まれることもありません。
UTMの管理表はスプレッドシートで十分ですか。
BtoBの中小規模であれば十分です。重要なのはツールではなく、source と medium をプルダウンで選ぶ形にすること、完成URLを数式で生成すること、掲載場所を必ず記録することの3点です。専用ツールを入れても、語彙を追加する権限が決まっていなければ値は同じように散らばります。

BtoBマーケティングの戦略設計から施策実行、運用定着までを一気通貫で支援します。