HubSpotとMarketoを比較表で並べると、機能欄の○×はどちらも似た形になり、価格はHubSpotが公開、Marketoが個別見積もりのため横に並びません。中小企業の導入視点で差が出るのは機能表の外で、運用人数・稼働までの期間・日本語での支援・価格帯の考え方・CRM連携の5つの軸で見ると、どちらが自社で回るかが分かります。
結論から言えば、この2製品の差は機能の優劣ではなく「どんな組織が運用することを前提に設計されているか」にあります。前提を外したまま機能で選ぶと、高機能なほど使われなくなるという逆転が起きます。
マーケティングを少人数で回している会社にとって、HubSpotとMarketoを分けるのは機能の多さではなく、誰が設定を触り、どのSFAと組み合わせ、どれだけの運用負荷を抱えられるかという前提です。一度選定が振り出しに戻った場合も、その前提が前回から変わっていなければ、機能表を並べ直しても結論は動きません。
目次
- 1 HubSpotとMarketoの基本的な立ち位置を整理する
- 2 中小企業の導入視点で見る5つの軸
- 3 機能比較:MAとしての核心機能をどう評価するか
- 4 CRM連携:どのSFAと組み合わせるかが決め手になる
- 5 価格・コスト構造:表示価格だけで比べると必ず失敗する
- 6 運用負荷と社内リソース:最も見落とされる選定軸
- 7 Marketoを今選ぶ判断:AdobeのAJO B2Bロードマップとの関係
- 8 「使いこなせない」はどちらを選んでも起きる|ミスマッチの見抜き方
- 9 決める前に必ずやる3つの検証
- 10 乗り換えを前提に考える場合の判断軸
- 11 選定フレームワーク:自社に合うツールを判断するための問い
- 12 結論:中小企業はどちらを選ぶべきか|まとめ
- 13 よくある質問(FAQ)
HubSpotとMarketoの基本的な立ち位置を整理する
HubSpotはCRMを内側に持つ統合プラットフォーム、Adobe Marketo EngageはMA専業のエンジンです。この出自の違いが、運用人数から価格、CRM連携までのすべての差につながります。
HubSpotは、コンタクトデータベース(CRM)を土台にして、その上にマーケティング・営業・カスタマーサービスの機能を積み上げる構造を取っています。MAはあくまで「CRMの上に乗る1機能」であり、顧客データと施策が同じ場所にある前提で設計されています。
一方のMarketoは、マーケティングオートメーションそのものを深く作り込んできた専業ツールです。顧客マスタは外部のSFA/CRMに置き、そこと双方向で同期させながら、MA側で複雑なキャンペーンを組み立てる構造が基本になります。Adobeの製品群の一部として、他のAdobe製品と組み合わせる前提も持っています。
この違いは優劣ではなく、想定している組織の姿の違いです。前者は「マーケ担当者が自分で設定し、営業と同じ画面を見る」状態を、後者は「MAを専門に扱う担当者が設計し、SFAは別部門が管理する」状態を、それぞれ標準と見なしています。
比較表の項目に置き直すと、HubSpotとMarketoの違いは3つです。顧客データはHubSpotが自社のCRMに持ち、Marketoは外部のSFA/CRMと双方向で同期します。料金はHubSpotが公開しており、Marketoは個別見積もりが基本です。設定はHubSpotがマーケティング担当者自身で組む前提、Marketoはスマートキャンペーンを設計して管理し続ける担当者がいる前提です。
CRMとMAの役割分担そのものが曖昧な段階であれば、先にCRMとMAの違いを整理してから比較に入ったほうが、判断軸がぶれません。
比較の出発点は機能表ではなく「自社はどちらの組織像に近いか」です。ここがずれていると、機能を1つずつ比べても結論は出ません。
中小企業の導入視点で見る5つの軸
マーケ担当が1〜数名の組織では、機能の多さより「回し続けられるか」が選定を決めます。確認すべきは運用人数・稼働までの期間・日本語での支援・価格帯の考え方・CRM連携の5点です。
中小企業の選定が難航する理由は、比較記事の多くが「専任担当がいる組織」を暗黙の前提にしているためです。以下の5軸は、その前提を外して、いまの自社の体制でそのまま検証できる形にしたものです。
軸1:運用に必要な人数を数える
最初に数えるべきは、ライセンス数ではなく「管理画面を開いて設定を変えられる人が社内に何人いるか」です。ここで1人と出るなら、その1人が休んだり異動したりした瞬間に止まる構成を選んではいけません。
HubSpotは、マーケティング担当者が自分でワークフローやフォームを組む前提でUIが設計されています。細かい条件分岐を詰めようとすれば当然学習は必要ですが、初期の数本は担当者単独で立ち上げられる範囲に収まりやすい構造です。
Marketoは、スマートキャンペーンのトリガー・フィルター・フローを組み合わせて緻密な制御を行う設計です。この自由度は、設計の意図を理解して管理し続ける人がいて初めて資産になります。逆にその人が不在だと、誰も触れないキャンペーンが残り続ける状態になりやすい。
「担当は自分だけ」という状態でどこまで回せるかは、HubSpot一人マーケ運用の進め方と社内リソースの目安と体制の決め方で具体的に整理しています。
軸2:稼働までの期間をどう見積もるか
導入期間は製品固有の数値としては断定できません。決まるのは、移行するデータの量、既存SFAとの接続、承認プロセスの数、そして社内で決裁と設計に割ける時間だからです。同じ製品でも、この4つの条件が違えば期間は倍以上変わります。
そのうえで見積もるなら、「最初の1本のメール配信が動くまで」と「スコアリングとMQL引き渡しまで含めて回り始めるまで」を分けて考えるのが実務的です。前者は設定作業、後者は社内の合意形成が律速になります。
CRMを内包する構成は、顧客マスタの同期設計が不要な分だけ前者が短くなりやすい。逆に外部SFAと双方向同期する構成は、項目マッピングと重複処理の設計が先に立ちはだかります。どちらを選ぶにせよ、MA導入の進め方で全体工程を確認してから期間を置いてください。
軸3:日本語での支援をどこから得るか
中小企業ほど導入の成否を左右するのに、比較表にほぼ載らないのがこの軸です。見るべきは「サポートの有無」ではなく、詰まったときに日本語で答えが手に入る経路がいくつあるか、です。
確認する経路は3つあります。①ベンダー公式のサポート窓口が日本語で、契約プランに含まれているか。②公式ドキュメントとコミュニティに日本語の情報がどれだけあるか。③自社の予算感で依頼できる日本の支援パートナーが実際に見つかるか。
③を確かめないまま選ぶと、契約後に予算内で頼める支援会社がないと分かることがあります。エンタープライズ向けに最適化されたツールほど、支援会社の標準的な案件規模も大きくなります。同じ「導入支援を頼める」でも、想定している予算のレンジが自社と合っていなければ、選択肢として成立しません。実際に問い合わせて概算を取るところまでを選定作業に含めるべきです。
依頼先を比べるときは、HubSpotパートナーの選び方やCRM導入コンサルの選び方の基準で、導入後の運用の相談まで日本語で受けてもらえるかを確かめます。
軸4:価格帯は「公開か非公開か」の差を織り込む
金額そのものは改定が頻繁で、ここで具体的な数字を断定しても意味がありません。比べるべきは価格情報の性質の違いです。
HubSpotは料金体系を公開しており、プランとコンタクト数から自社の概算を事前に立てられます。Marketoは個別見積もりが基本で、要件を伝えて提示を受けるまで金額が確定しません。この差は、稟議を通す難易度と、比較検討にかかる時間にそのまま跳ね返ります。
比較するときは、初年度のライセンス料ではなく「3年間の総額」で揃えてください。ライセンス、初期設定・データ移行の外部費用、追加が必要な周辺ツール、そして社内工数を時間単価に換算したものを足します。この形にすると、表示価格の安さと総額の安さが一致しないケースが可視化されます。
3年総額はMAツール導入費用の相場と内訳の項目で積み上げ、HubSpot側はHubSpot料金プラン比較で必要なプランを決めてから入れます。
公開価格のあるツールでも、機能の解放条件によって必要プランが上振れします。やりたい施策を先に3つ決めてから、それが動く最低プランで見積もってください。
軸5:CRM連携を一本化するか、既存を残すか
CRM連携は、5軸の中で最も後戻りしにくい決定です。既存のSFAを使い続けると決めた時点で、MA側は「同期する設計」を前提に選ぶことになり、逆に顧客データを一本化すると決めたなら、CRMを内包する構成が有利になります。
ここまでの5軸に自社の答えを書き込めたら、比較の準備は整っています。自社の体制でどちらが回るかの判断に迷う場合は、こちらから相談内容をお送りください。
機能比較:MAとしての核心機能をどう評価するか
機能は「できるかどうか」ではなく「自社が実際に使う深さで比べる」のが正しい評価です。両者とも主要機能は一通り備えており、差が出るのは設計の自由度と習得コストのバランスです。
リードナーチャリングとワークフロー
HubSpotのワークフローは、視覚的なビルダー上で条件分岐・待機・メール送信・プロパティ更新などを組み立てる形式です。分岐が数段までのシナリオであれば、マーケティング担当者が単独で構築し、修正まで回せる範囲に収まります。
Marketoのスマートキャンペーンは、対象を絞るフィルター、起動条件となるトリガー、実行内容のフローを分けて定義する構造です。キャンペーン単位での複製や、プログラムとしてのテンプレート化に強く、似た施策を大量に量産する運用で本領を発揮します。
評価する際は、自社が1年で回す予定のシナリオ本数と分岐の深さを先に書き出してください。それが数本で分岐も浅いなら、自由度の高さは選定理由になりません。HubSpotで同じシナリオを組めるかは、HubSpotワークフロー設計の基本の手順で1本試しに組めば判断できます。
リードスコアリング
スコアリングはどちらも実装できます。差が出るのは、スコアの設計をどこまで細かく分けられるかと、その設計を維持し続ける手間です。
複数のスコアモデルを走らせ、行動と属性を別軸で管理し、営業側の判断と突き合わせて継続的に調整する——この運用が回るなら自由度は資産になります。しかし多くの中小企業では、最初の1年はシンプルな1本のスコアで十分機能し、むしろ「スコアの意味を営業が理解しているか」のほうが成果を左右します。
HubSpotで試すなら、HubSpotリードスコアリング設定方法で配点を入れ、MQL・SQLの定義と結びつけて、スコアが営業への引き渡しに使えるかを確かめます。
メール・キャンペーン管理
メール配信、ランディングページ、フォーム、キャンペーン単位の効果測定は、いずれも両者の標準機能です。違いが出るのは、テンプレート運用の厳密さと、大量のキャンペーンを横断管理する仕組みの有無です。
年間で扱うキャンペーンが数十本を超え、部門や地域ごとに同じ型を複製していく運用なら、専業ツールの管理構造で複製と管理の手間が減ります。年間数本〜十数本であれば、その管理構造は使われないまま複雑さだけが残ります。
CRM連携:どのSFAと組み合わせるかが決め手になる
既存のSFAを使い続けるかどうかで、選択肢は実質的に絞られます。ここは機能比較より先に決めるべき前提条件です。
Marketoは、顧客マスタを外部のSFA/CRMに置き、双方向同期でデータを行き来させる構成が基本です。この構成は、SFAがすでに営業部門の中核として運用されている組織では自然に働きます。一方で、同期する項目のマッピング、重複レコードの扱い、どちらを正とするかのルールを設計・維持する作業が恒常的に発生します。
HubSpotは、マーケティングと営業が同じデータベースを参照します。同期設計そのものが不要になるため、立ち上げは速く、データのずれに起因するトラブルも起きにくい。ただし既存SFAを残す場合は、結局そちらとの連携設計が必要になり、利点は薄れます。
すでにSalesforceを中核に据えている組織であれば、判断材料はHubSpotとSalesforceの違いやHubSpotとPardot(Account Engagement)の比較のほうが直接的です。MAツール全体の選択肢を広く見たい場合はBtoB中小企業向けMAツール比較を先に読んでください。
| 自社の状況 | 相性がよい構成 | 先に決めるべきこと |
|---|---|---|
| SFAを本格運用していない | CRM内包型に一本化 | 営業側の入力ルール |
| SFAを全社で運用中・変更不可 | 同期前提のMAを検討 | マスタの正をどちらに置くか |
| SFAはあるが形骸化している | 一本化を含めて再設計 | 移行対象データの範囲 |
| 部門ごとに別ツールが乱立 | 統合の順番を決めてから選定 | 統合の優先順位 |
価格・コスト構造:表示価格だけで比べると必ず失敗する
ライセンス料は総額の一部にすぎません。初期設定、データ移行、周辺ツール、社内工数まで含めた3年総額で並べて初めて、比較が成立します。
見積もりを揃える際は、次の5項目を同じ粒度で埋めてください。金額を書き込む前に、項目の抜けをなくすことが先決です。
| 費用項目 | 確認する内容 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| ライセンス料 | プランとコンタクト数の増加見込み | 契約期間中のコンタクト数超過 |
| 初期設定・導入支援 | 外部に依頼する範囲 | 要件定義を含むかどうか |
| データ移行 | 移行対象と名寄せの手間 | 過去データの品質 |
| 周辺ツール | 不足機能を埋める追加契約 | 連携自体に費用がかかる場合 |
| 社内工数 | 運用時間を時間単価に換算 | 学習期間の工数 |
価格情報が公開されているかどうかは、比較のしやすさだけでなく、社内稟議の進め方にも影響します。非公開の場合は、要件を固めて見積もりを取る工程そのものを選定スケジュールに組み込んでおく必要があります。見積もりを取る前にMAツール導入費用の相場と内訳で予算の幅を決め、HubSpotを検討するならHubSpot無料版と有料版の違いを見て無料から始める範囲を決めます。
無料資料:MAツール選定の比較表と見積もり確認シート(PDF・A4で4ページ)
2社の比較を、自社の条件で埋められるシートにしました。見積もりで確認する項目と3年総額の記入表に加え、MAツール7製品の比較表も入っています。
運用負荷と社内リソース:最も見落とされる選定軸
MAが失敗する主因は機能不足ではなく、設定を維持する人と時間が確保されないことです。選定時点で月あたりの運用工数を見積もっておく必要があります。
導入後に恒常的に発生する作業は、大きく4つです。①リストとデータの整備、②シナリオの新規作成と改修、③配信結果のレビューと改善、④営業との引き渡しルールの調整。このうち①と④は、ツールの使いやすさとは別に、組織の運用ルールとして決めなければ回りません。
「高機能なツールを入れたのに、結局メール一斉配信しか使っていない」という状態は、ここを見積もらずに導入した場合の典型的な帰結です。自由度の高さは、それを使い切る時間がある組織にとってのみ価値になります。
運用人数が足りないと分かったら、HubSpot運用で社内リソースが足りないときの工数目安で不足する時間を数え、HubSpot運用代行に頼めることから外に出す作業を選びます。
選定の最後に「この設定を1年後に引き継げるか」を自問してください。引き継げない構成は、担当者の異動と同時に価値を失います。
Marketoを今選ぶ判断:AdobeのAJO B2Bロードマップとの関係
Adobeは近年、B2B向けの製品ラインを整理・拡張しています。製品の将来像は公式情報で随時変わるため、契約前にAdobeの担当者へ次の3点を確認します。
Adobeは、Marketo Engageに加えて、Adobe Journey Optimizerを軸としたB2B向けの製品構成を展開しています。この動きをどう読むかで「Marketoは今後どうなるのか」という不安が生まれやすいのですが、公開情報だけで将来の製品統廃合を断定することはできません。
実務として確認すべきは、次の3点です。第一に、契約しようとしているエディションが現在も新規提供されているか。第二に、契約期間中のサポートとアップデート方針が契約書面で確認できるか。第三に、将来的に上位製品へ移行する場合の条件と費用がどう扱われるか。
ロードマップの確認はMarketoに限った話ではありません。どの製品を選ぶ場合でも、ロードマップに関する説明は営業担当の口頭ではなく、公式ドキュメントと契約条件で裏取りしてください。自社の運用が製品側の方針変更にどれだけ影響されるかを、選定時点で見積もっておくのが実務的な守り方です。
「使いこなせない」はどちらを選んでも起きる|ミスマッチの見抜き方
使いこなせない状態はツールの優劣ではなく、前提条件のずれから生まれます。HubSpotでもMarketoでも、同じ構造で起こります。
典型的なずれは4つです。①設定できる人が実質1人しかいない、②既存のSFAとの役割分担を決めないまま導入した、③配信するコンテンツの供給が追いつかない、④営業側が引き渡し基準に合意していない。いずれもツールを乗り換えても解消しません。
選定段階でこれを見抜くには、デモを「機能を見せてもらう場」ではなく「自社の運用を再現してもらう場」に変えることです。自社の実際のリストとシナリオを持ち込み、設定から配信、結果確認までを担当者自身が操作する。ここで詰まった箇所が、導入後に詰まる箇所とほぼ一致します。
すでにHubSpotを導入済みで手が止まっているなら、乗り換えを考える前にHubSpotを使いこなせない3つの原因とHubSpot導入が失敗する7つの理由に当てはまるものがないかを確かめます。Marketoを使っていて自社の体制に合わないと感じているなら、Marketoが中小企業に向かない7つの理由と現実的な代替策で代わりの構成を比べます。
決める前に必ずやる3つの検証
比較表の読み込みを増やしても精度は上がりません。自社のデータと自社の担当者で、3つの検証を実施してから決めてください。
検証1:自社の実データで1本通す。サンプルデータではなく、自社の実際のリスト(名寄せ前の状態を含む)を使い、取り込み・重複処理・セグメント抽出・配信・結果確認までを一周させます。データの汚れは導入後に必ず表面化するため、ここで見えたほうが安全です。
検証2:操作するのは将来の担当者本人にする。ベンダーや支援会社が操作するデモでは、習得コストが測れません。実際に運用する担当者が、マニュアルを見ながら設定できるかどうかを確認します。
検証3:サポートに実際に問い合わせる。選定期間中に、想定される質問を1件投げてみてください。回答までの時間、日本語の質、回答の具体性が、導入後に自社が受け取る支援の実像です。
この3つを終えた時点で、多くの場合は結論が出ています。出ない場合は、5軸のどこかに未回答の項目が残っています。検証の設計から一緒に整理したい場合は、現状をお聞かせください。
乗り換えを前提に考える場合の判断軸
乗り換えは「今のツールが合わない」だけでは正当化できません。移行コストを上回る改善が具体的に説明できるかで判断します。
すでにどちらかを運用していて、乗り換えを検討する場合に確認すべきは次の4点です。第一に、現状の不満がツール起因か運用起因か。運用起因なら乗り換えても同じ状態が再現します。第二に、移行対象のデータと資産(リスト、テンプレート、シナリオ、レポート)の範囲。第三に、移行期間中の施策停止をどう吸収するか。第四に、契約の残存期間と解約条件。
特に第一の切り分けは慎重に行ってください。配信結果が振るわない原因が、コンテンツの質や引き渡し基準の不在にある場合、ツールを変えても数字は動きません。原因がツール側にあると確かめられたら、MAツール乗り換え手順に沿って移行の計画を立てます。
移行コストを見積もるときは、Marketoの機能がHubSpotの何に置き換わるかを対応表で確認し、作り直しになるワークフローとスコアの本数を数えます。
選定フレームワーク:自社に合うツールを判断するための問い
5つの問いに答えを書き込めば、どちらの構成が自社に近いかが機械的に見えます。全項目が一方に偏らない場合は、偏っている項目の重みで決めます。
| 問い | CRM内包型が向く答え | MA専業型が向く答え |
|---|---|---|
| 設定を触れる人は何人か | 1〜2名 | 3名以上 |
| 年間のシナリオ本数は | 10本前後 | 数十本以上 |
| 既存SFAの運用状況 | 未導入または刷新可能 | 全社運用で変更不可 |
| MA運用の経験年数 | 0〜1年 | 2年以上 |
| 予算の決め方 | 公開価格で先に試算したい | 要件を固めて個別見積もり |
この表は優劣を示すものではなく、どちらの前提に自社が近いかを判定するためのものです。「向く答え」が3つ以上そろった側が、現時点で運用を継続できる可能性の高い構成になります。
判定が割れた場合は、軸1(運用人数)と軸5(CRM連携)の答えを優先してください。この2つは後から変更するコストが最も大きく、他の軸は導入後に調整できる余地があります。
導入を決めた後の最初の設定順序はHubSpot初期設定チェックリスト、運用全体の設計はHubSpot活用ガイドで確認できます。
結論:中小企業はどちらを選ぶべきか|まとめ
マーケ担当が1〜数名で、既存SFAの制約がなく、公開価格で試算してから決めたい組織は、CRM内包型が現実的な第一候補になります。
HubSpotとMarketoの差は、機能の優劣ではなく前提とする組織モデルの違いです。専任のMA担当者がいて、全社運用中のSFAが変更できず、複雑なキャンペーンを大量に回す組織であれば、MA専業型の自由度が資産になります。そうでない場合、その自由度は使われないまま複雑さだけを残します。
選定を進めるときは、5つの軸に自社の答えを書き込み、3つの検証を実施してください。比較表を読み込む時間を増やすより、自社のデータで一周させるほうが、判断の精度は確実に上がります。
そして最後に確認すべきは、1年後にその設定を引き継げるかどうかです。導入の成否は選んだ製品名ではなく、選んだ後に回し続けられる設計になっているかで決まります。
MA選定のご相談
「どちらが自社で回るか」を、体制から一緒に判断します
Ampelは、BtoB企業のMA/CRM選定と導入・運用設計を支援しています。現在の体制、既存SFAの状況、想定している施策をお伝えいただければ、どちらの構成が自社で運用を継続できるか、検証の設計まで含めて具体的にお答えします。
よくある質問(FAQ)
- 中小企業がMarketoを選ぶのは現実的ですか?
- 体制次第です。MAの設定を継続的に担当できる人が確保でき、既存SFAとの同期設計を維持できるなら選択肢になります。担当が1名で兼任という状態であれば、自由度の高さが運用負荷に転じやすく、CRM内包型のほうが継続しやすい傾向があります。判断はMarketoが中小企業に向かない7つの理由と現実的な代替策も併せて確認してください。
- HubSpotとMarketoはどちらが安いですか?
- 表示価格では比較できません。HubSpotは料金が公開され、Marketoは個別見積もりが基本のため、同じ土俵に乗せるには3年間の総額(ライセンス、初期設定、データ移行、周辺ツール、社内工数)で揃える必要があります。総額を積み上げるときは、MAツール導入費用の相場と内訳の項目をそのまま使えます。
- 導入してから実際に運用が回り始めるまで、どのくらいかかりますか?
- 製品固有の期間としては断定できません。移行データの量、既存SFAとの接続、社内の承認プロセス、確保できる工数の4つで決まります。見積もる際は「最初の1本が配信できるまで」と「スコアリングと営業引き渡しまで含めて回るまで」を分け、後者は社内の合意形成が律速になる前提で置いてください。
- 日本語のサポートはどちらが手厚いですか?
- プランによって含まれる範囲が変わるため、契約前に3点を確認してください。公式サポート窓口が日本語で対応し契約プランに含まれるか、公式ドキュメントとコミュニティに日本語情報がどれだけあるか、自社の予算感で依頼できる日本の支援パートナーが実際に見つかるか。3点目は実際に問い合わせて概算を取るところまで行うのが確実です。
- Salesforceを使っている場合、どちらを選ぶべきですか?
- Salesforceを全社で運用し変更できない前提なら、同期設計を前提としたMAが自然に収まります。ただし同じ前提では他の選択肢も候補になるため、HubSpotとPardot(Account Engagement)の比較やHubSpotとSalesforceの違いと併せて検討してください。