自社の商材を検討している担当者は、公式サイトだけを見て決めているわけではありません。比較サイトやレビューサイトで、実際に使っている企業の評価を確認しています。ここに情報がない、あるいは古い評価しかない状態は、検討の途中で不利に働きます。
それでも多くの企業がレビューサイトを放置しています。理由は、口コミをどう集めればよいか分からないことと、依頼が規制に触れないかの判断がつかないことです。掲載だけして口コミが2件、という状態で止まっているケースが目立ちます。
この記事では、どのサイトに出すかの選び方、既存顧客への依頼の進め方、依頼していい範囲と避けるべき行為、そして経由リードへの営業対応までを扱います。これから活用を始める企業を想定しています。
目次
比較検討の段階で見られている面
公式サイトは自社が語る場、レビューサイトは第三者が語る場です。役割が違います。
検討者が公式サイトで得られるのは、その企業が伝えたい情報だけです。導入して困ったこと、他社と比べてどうか、どんな企業に向かないか。こうした情報は公式サイトには載りません。そのためレビューサイトが参照されます。
日本のBtoB領域では、いくつかのサイトが検討の場として使われています。それぞれ性格が異なります。
| タイプ | 性格 | 向く使い方 |
|---|---|---|
| レビュー特化型 | 利用者の評価が中心。星評価と定性コメント | 比較検討層への信頼の担保 |
| 比較・資料請求型 | カテゴリ一覧と資料請求が主。リード獲得の色が濃い | リード数の確保 |
| メディア併設型 | 記事コンテンツと製品一覧が併存 | 認知の獲得と検索流入 |
自社のカテゴリがそもそも存在するかを最初に確認してください。ニッチな商材ではカテゴリが用意されておらず、その場合は掲載しても検討者の導線に乗りません。カテゴリがあり、かつ競合が掲載されているサイトが優先対象です。
近年は生成AIの回答で製品比較の問いに答える場面も増えており、レビューサイトの情報が参照されることがあります。AI検索への向き合い方はBtoBのLLMO対策のやり方で扱っています。
どこに出すかの選び方
全部に出す必要はありません。2サイトに絞って口コミを厚くするほうが効きます。
複数のサイトに薄く掲載するより、1〜2サイトで口コミ件数を積むほうが効果があります。件数が少ないと、掲載していても信頼の担保になりません。判断の順序は次のとおりです。
- 自社カテゴリの有無を確認する:カテゴリがなければ候補から外します
- 競合の掲載状況を見る:競合が掲載していて口コミが集まっているサイトは、検討者が実際に見ている面です
- 掲載条件を確認する:無料掲載の範囲と有料プランの内容はサイトによって異なります。まず無料の範囲で始められるかを見ます
- 1〜2サイトに絞る:口コミ依頼は顧客の善意に頼る行為です。複数サイトへの依頼は相手の負担になり、どこも中途半端になります
口コミは10件を最初の目標にしてください。2〜3件では評価が偏って見え、かえって判断材料になりません。
掲載の優先度は、自社の商材が比較検討されやすいかどうかでも変わります。競合が明確に存在し、相見積もりが当たり前のカテゴリでは効果が出ます。逆に競合がほとんどいない商材では、優先度は下がります。
口コミをどう集めるか
依頼のタイミングが成否を分けます。成果が出た直後が最も通ります。
口コミが集まらない最大の理由は、依頼していないことです。顧客は自発的には書きません。書いてもらうには依頼が必要で、その依頼が通るタイミングがあります。
依頼するときは、相手の負担を先に伝えます。所要時間が5分程度であること、匿名で投稿できること、内容は正直に書いてほしいこと。この3点を最初に言うと、承諾率が上がります。
依頼する相手は、成果が出ている顧客に限ります。満足していない顧客に依頼すると、当然ながら低い評価が投稿されます。誰が満足しているかは、営業やカスタマーサクセスに聞けば分かります。
同じタイミングで導入事例の取材も依頼できます。どちらも「成果が出た直後」が最も通るため、まとめて相談するほうが相手の負担も少なくなります。
依頼していいことと、避けるべきこと
投稿を依頼すること自体は問題ありません。内容を指定したり、広告と分からせない形にすることが問題になります。
口コミ依頼をためらう企業が多いのは、どこまでが許容されるのか判断がつかないためです。基本的な考え方を整理します。
問題にならないことは、顧客に投稿を依頼すること自体です。「使ってみた感想を書いていただけませんか」と正直に頼むのは通常の営業活動の範囲です。レビューサイト側が投稿者に謝礼を用意している場合、その仕組みを利用することも各サイトの規約に従う限り問題ありません。
避けるべきことは次のような行為です。
- 投稿内容を指定する。高評価をつけるよう求める、書く文面を渡す
- 自社の社員や関係者が、利用企業を装って投稿する
- 自社から個別に謝礼を渡し、そのことを開示しないまま投稿してもらう
- 低評価の投稿を削除するよう顧客に求める
事業者が第三者を装って表示を行う、あるいは第三者に依頼して事業者の関与を隠したまま表示させる行為は、景品表示法の規制対象になり得ます。依頼の方法を決める前に、自社の法務や各サイトの投稿ガイドラインを必ず確認してください。
実務上の線引きはシンプルです。「依頼したことを公表しても問題ない形か」を基準にしてください。正直な感想を頼んだだけであれば公表しても問題ありませんが、内容を指定したり謝礼を隠したりしている場合は説明できません。
低評価がついた場合は、削除を求めるのではなく返信で対応します。多くのサイトには事業者からの返信機能があり、指摘に真摯に答える返信は、かえって信頼の材料になります。放置するのが最も損をします。
経由リードは相見積もり前提で来る
比較検討の段階で来るため温度は高い一方、必ず他社と並べられています。
レビューサイトや比較サイト経由で来る問い合わせは、自社サイトからの問い合わせと性質が違います。営業の対応を分けないと、取りこぼします。
レビューサイト経由のリードは、返信の速さがそのまま結果に影響します。同じ日に複数社へ資料請求している相手にとって、最初に返ってきた1社が基準になるためです。当日中の一次返信を運用として決めてください。
あわせて、比較軸を自社から提示する資料を用意します。他社と並べられることが前提なので、どんな観点で選ぶべきかを先に示せると、その軸で評価されやすくなります。自社が不利な軸を隠すのではなく、向かないケースも明示するほうが信頼されます。
経由リードの商談化率と受注率は、流入元を分けて記録してください。合算すると、レビューサイトへの投資判断ができなくなります。分岐の設計はMQL・SQLの定義と設計方法、商談化率の改善はBtoB商談化率を上げる7つの施策で扱っています。
比較の土俵に乗るには価格の提示も影響します。出す判断と見せ方はBtoBの料金ページで扱っています。
有料掲載をどう判断するか
まず無料の範囲で口コミを10件集め、経由リードの質を測ってから決めます。
多くのサイトには有料の掲載プランがあります。上位表示や資料請求の獲得数に応じた課金など、形態はさまざまです。判断の順序は次のとおりです。
最初は無料の範囲で始めます。口コミを10件集め、その状態で自然にどれくらいの問い合わせが来るかを見ます。ここで来る問い合わせの商談化率が、自社の他チャネルと比べてどうかを確認します。
商談化率が他チャネルと同等以上で、かつリード数を増やしたいのであれば、有料プランを検討する段階です。逆に、口コミが集まっているのに問い合わせが来ない、あるいは来ても商談にならないのであれば、有料化しても結果は変わりません。カテゴリが自社の商材と合っていない可能性を先に疑ってください。
リード獲得チャネル全体の中での位置づけと配分はBtoBリード獲得施策一覧で整理しています。誰をターゲットにしているかが曖昧なままでは判断できないため、必要であればICPの設定方法を先に済ませてください。
掲載やレビュー獲得の進め方について相談したい場合は、自社の商材と競合状況を前提にご相談いただけます。
口コミを製品と営業の改善に使う
集めた口コミは掲載して終わりではありません。自社と競合の評価は改善の材料になります。
レビューサイトの活用というと、良い評価を集めて信頼を担保することに意識が向きます。しかし投稿された内容そのものが、他では得られない情報になります。
自社の口コミから読み取ること
口コミには、営業や商談では聞けなかった本音が出ます。特に注目すべきは3点です。
- 評価されている点が、自社の想定と一致しているか:自社が強みだと考えている機能とは別の点が評価されていることがあります。その場合、訴求を変えたほうが刺さります
- 不満として繰り返し挙がる点:同じ指摘が複数の口コミに出るなら、それは個別の相性ではなく構造的な課題です
- どんな企業が書いているか:投稿者の業種と規模を見ると、実際に定着している顧客層が分かります。想定していたターゲットとずれている場合、ICPの見直しが必要かもしれません
3つ目は特に価値があります。自社が狙っているつもりの層と、実際に満足している層が違うというのは珍しくありません。ターゲット定義の見直しはICPの設定方法を参照してください。
競合の口コミから読み取ること
競合製品の口コミは、公開されている競合分析の材料です。営業資料や公式サイトからは分からない、実際に使った人の評価が読めます。
見るべきは低評価の内容です。競合が抱えている不満は、自社が解決できるのであれば、そのまま差別化のポイントになります。商談で比較されたときに、その論点を先に提示できると強くなります。
ただし、競合の弱点を商談で直接指摘するのは避けてください。他社を落とす話し方は印象を悪くします。「こういう点を重視されるのであれば、弊社ではこう対応しています」という形で、自社の説明として伝えます。
営業の想定質問に反映する
口コミに出てくる不満や疑問は、商談でも聞かれる可能性が高い論点です。自社の口コミに「初期設定に時間がかかった」という指摘があれば、商談でも同じ質問が出ます。
これを想定質問として整理し、回答を用意しておいてください。営業資料や、ランディングページのFAQ欄に反映すると、疑問を持たれる前に解消できます。営業資料への反映は別記事で扱っています。
改善したら口コミで伝える
指摘された点を実際に改善したら、その事実を伝える手段があります。低評価の投稿への返信で、改善した内容と時期を書いてください。同じ懸念を持つ閲覧者にとって、指摘が放置されていないことが分かる材料になります。
投稿者本人に個別に伝えることもできます。改善を伝えたうえで、評価の更新を強制せず、事実だけを共有します。結果として評価が変わることもありますが、それを目的にすると押し付けになります。
掲載情報を古いまま放置しない
レビューサイトの製品情報は、一度登録すると更新されないまま残りがちです。機能が追加されている、価格体系が変わっている、対応業種が広がっている。こうした変化が反映されていないと、比較検討の場で不利になります。
半年に1回、掲載内容を確認する時間を取ってください。確認するのは、製品説明、スクリーンショット、料金の記載、対応カテゴリの4点です。競合が情報を充実させている中で自社だけが初期登録のままだと、それだけで見劣りします。
更新の際は、掲載している画面や資料が現在の仕様と一致しているかも確認してください。古い画面のまま残っていると、実際に導入した後で印象が変わったという指摘につながります。
あわせて、自社のカテゴリ登録が適切かも見直します。サイト側のカテゴリ構成は更新されることがあり、より適した分類が追加されている場合があります。検討者がたどり着く経路そのものが変わるため、影響は小さくありません。
まとめ
BtoBのレビューサイト活用で押さえるべき点を整理します。
- 公式サイトは自社が語る場、レビューサイトは第三者が語る場。役割が違う
- 自社カテゴリがあり、競合が掲載しているサイトを優先する
- 複数サイトに薄く出すより、1〜2サイトで口コミを10件積む
- 口コミは依頼しないと集まらない。成果が出た直後が最も通る
- 依頼すること自体は問題ない。内容の指定、身分を偽った投稿、謝礼の非開示は避ける
- 低評価は削除を求めず、返信で対応する。放置が最も損をする
- 経由リードは相見積もり前提。当日中の一次返信を運用として決める
- 有料掲載は、無料で口コミ10件と商談化率を確認してから判断する
口コミは一度集めて終わりではありません。古い評価だけが並んでいる状態は、かえって現在の実力を疑わせます。四半期に1〜2件ずつでも新しい投稿が積まれる形を作ってください。
チャネル設計のご相談
どこに出すか、どう口コミを集めるかからご相談いただけます
「掲載はしたが口コミが増えない」「経由リードが商談にならない」といった状態を、商材の性質と競合状況から具体化します。まだ掲載していない段階でも問題ありません。
よくある質問
- 口コミは何件あればよいですか。
- まず10件を目標にしてください。2〜3件では評価が偏って見え、判断材料になりません。10件あれば傾向が読み取れる状態になります。集めた後も、四半期に1〜2件ずつ新しい投稿が積まれる形を作ってください。古い評価だけが並んでいると、現在の実力を疑わせます。
- 顧客に口コミを依頼してもよいのですか。
- 依頼すること自体は問題ありません。「使ってみた感想を書いていただけませんか」と正直に頼むのは通常の営業活動の範囲です。避けるべきなのは、投稿内容を指定すること、自社の関係者が利用企業を装って投稿すること、自社から謝礼を渡してそれを開示しないことです。依頼の方法は自社の法務と各サイトのガイドラインで確認してください。
- 低い評価がついてしまいました。
- 削除を求めず、事業者からの返信機能で対応してください。指摘に真摯に答える返信は、他の閲覧者から見れば信頼の材料になります。放置するのが最も損をします。改善した点があれば、その事実を返信に含めてください。
- レビューサイト経由のリードは質が高いですか。
- 検討時期が近いという意味で温度は高いですが、必ず他社と並べられています。同じ日に複数社へ資料請求している相手が多いため、返信の速さがそのまま結果に影響します。当日中の一次返信を運用として決め、比較の軸を自社から提示する資料を添えてください。
- 有料掲載はすべきですか。
- まず無料の範囲で口コミを10件集め、その状態で来る問い合わせの商談化率を確認してください。他チャネルと同等以上であれば有料化を検討する段階です。口コミがあるのに問い合わせが来ない、来ても商談にならない場合は、有料化しても結果は変わりません。カテゴリが自社の商材と合っていない可能性を疑ってください。